二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.15 )
日時: 2012/08/17 15:17
名前: シャオン (ID: Wz7AUOMy)
参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

 
 第六話 新キャラ登場!


 テロリスト共が絶叫している中、俺はこの気味の悪い女を睨めつける。

 「お前・・・一体何をした?」

 「何をした?ふふっ、私は何もやってないよ。この通り手も足も出せない状況〜」

 女は俺にロープで縛られている自分の手と足を見せて言った。それにしても何だよ・・・その気持ち悪い笑顔は。

 「ただ言うなれば、あのこわ〜い人達は恐怖してるんだよ。捕まったらどうしようとか、殺されたらどうしようとか、みんなに裏切られるんじゃないか、とか。不安に恐怖してるんだよ」

 女は歯を見せてニヤニヤ笑っている。あのテロリストの精神状態をまるであざけり笑っているのかのように・・・。何知ったような口きいてんだ、こいつ。確かにこの女の言う通り、あのおっさん達は不安と言うものに恐怖しているのかもしれない。だけど、いくらなんでもあれは異常だ。よっぽどの精神が不安定な奴かただの臆病ならまだ分かる。しかし、襲撃の時は平然としてて何かにビクついてる素振りもなかったのに、今になって恐怖するのはまずありえない。と言うことは、残る考えは一つだ。

 「お前、能力スキル持ってるだろ」

 考えられるのはこれしかなかった。いくらなんでも、あれは異常すぎる。テロリストが話す素振りもなくダウンしていくなんて言う光景、能力スキル意外何があるんだ?

 「あれ、バレちゃった?まぁ、バレるよね〜あんな光景見たら。ところで、何で私が能力スキルを持ってるって分かったの?」

 「お前のその外見からして、誰がお前以外あり得るんだよ」

 「え〜、それってあてずっぽ?間違えてたらどうすんだよ〜」

 女は残念そうな声をあげて言った。どうやら喜んでないのが分かる。 その証拠に、女の口元から笑みが消えた。

 「ちくしょう、こうなったら皆殺しだーーー!」

 リーダーの男は、拳銃を俺達人質に突きつけて言った。マジですかリーダーさん。落ち着けよ、今ここで人質を皆殺しにしたら警察に突入されちまうぜ?て、言っても聞いてもらえなそうだな。

 

 バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン


 


 第三者視点


 無心を含む人質達に、銃を全弾撃ち尽くしたテロリストのリーダー。 もくもくと銃口から出てくる煙の匂いが男の鼻を突いた。辺りは一帯、シーンと静まり返った。しかし、人質の彼らはあれ?と言いたくなるほど何ともなかった。

 「どういうことだ?」

 男は驚きの表情を浮かべた。確かに銃身は人質に向けて発砲したはずなのに、人質は無傷。こんな偶然があり得るだろうか?

 「危ないじゃないですか〜。あ〜死ぬかと思った」

 人質の中から無心が立ち上がった。しかも、手足のロープをどうやって解いたのか、そこにロープの姿はなかった。

 「お前、どうやってロープを解いた!」

 男はポケットから銃弾の予備を取り出し、再び銃に弾を装填して、目の前に立ち尽くす無心に銃を向けた。しかし、無心は焦る様子もなくゆっくりと口を開いた。

 「さぁ、何ででしょう。ロープが偶然にも緩かったのかな?」

 「嘘をつけ!ロープはちゃんときつく縛られてたはずだ!」

 男の怒号が無心に勢いよく飛んできた。しかし、無心はどうってこともなく、むしろ顔が笑顔で満ち足りていた。

 「しょうがないじゃないですか。偶然ですから」

 無心はそう言うと、人質に取られている人の隙間を縫うように男の元へと足を進めた。今度は確実に仕留める!っと呟き、男は銃を両手で構えた。


「そう言えば、知ってます?偶然って必然的に起こせるんですよ」

 無心は、人質の狭い隙間の道を渡りながらテロリストリーダーに問いかける。

 「な、何を言「例えば、偶然にも天井から物が落下してきたとか、偶然にも家から徳川埋蔵金がでてきたりとか、偶然にも意味不明な力を手に入れてしまったとか、そんな物念じれば出てくるんですよ」」

 「どういうことだ!何が言いたい!」

 男の手が震えだし、その振動が銃へと伝わり拳銃がカチャカチャと鳴り出している。冷たい笑顔で迫り来る無心の恐怖、無心の言葉による精神的な追い込み。たったこれだけの言葉で恐れるか?と、思う人達もいると思うが、この男は経験しているのだ。さっきの人質への発砲が全員に当たってないと言う事実に。そして、無心は人質から抜け出してこう言った。

 「俺にあなたの弾は当たらない」


 男の震えは、身体全体にまで広がった。

 「ふっ、ふっ、ふざけるなーー!」

 すると男は、身体を震わせながら冷たい笑顔をした無心に向けて発砲した。男は無我夢中で銃の中にある弾を使い切り、今度は予備の弾を装填し、また発砲する。少しの間、これの繰り返しだった。そして、とうとう決着の時がきた。男の持つ予備の弾が底をついたのだ。銃口からもくもくと上がる煙が男の視界を遮る。男は、無心の生死を確認すべく、もくもくと煙を上げる銃を投げ捨てた。徐々に視界が良くなっていく、そして男が見た者は・・・


 「嘘だろ・・・」

 男は力が抜けるようにその場に崩れ落ちた。そこにはさっきと変わらない冷たい笑顔をした無心の姿があった。

 「言ったとおりでしょ?俺にあなたの弾は当たらないって。いや・・・偶然にも銃の軌道がずれたのかな?」

  そして、気づくと無心は男のすぐ目の前に・・・

 「さぁて、大人しく捕まってもらいますか。リーダー」

 冷たい笑顔の無心。しかし、無心の目は男側から見ると全然笑っているようには見えなかった。

















 テロリストは全員捕まり、無事に人質の方々は開放され、もう日が暮れようとしていた。


 「あ〜今日は散々な一日だったよ!日頃の行いが良いせいかな?」

 1人の女性が黙々と歩く無心に陽気に話しかけた。無心はただ沈黙していた。いつも通りの買い物後の帰り道。夕暮れを見ながら甘い物をほおばる至福。これが無心のいつもの楽しみのはずだったのに。

 「ねえ、聞いてる?おーい」

 だが、そんな希望はこのデパートにいたこの女の存在によって打ち砕かれた。無心は思う、なぜ・・・この女が俺についてくるのだ・・・と。

 「ああ、聞いてる」

 無心は適当に返事した。

 「そう言えばさぁ、あの時なんかしたの?」

 あの時と言うのは、あのデパートで男が無心に発砲した時の事だ。無心は溜め息をついて応える。

 「あれは俺の異常、「悪戦苦闘リグレットスタイル」と言って、簡単に言えば偶然を呼ぶ能力スキルだ。そう言うお前はどうなんだ?あの時、能力スキルを使ってたな・・・一体どんな能力だ?」


 「あれは私の過負荷マイナス、「鎮連歌チェーンソング」、人の負の感情をいじる能力だよ」

 と、その時、無心は足を止めた。女は無心の真後ろに歩いていたので無心の急停止についていけず、ふにゃ、と声をあげて無心の背中にぶつかった。

 「過負荷?」

 無心は振り向き、女に問う。女はさっき鼻を打ったのか鼻を擦っている。

 「そうだけど・・・何か?」

 「いや、何でもない・・・」

 無心はそう言うと、再び後ろを向いて足を進めた。2人を照らす夕日はとても紅く、まるで血に染まっているかのようなものだった。