二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.42 )
- 日時: 2012/08/25 21:46
- 名前: シャオン (ID: Wz7AUOMy)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
第十三話 お使い
ザーと雨がアスファルトの地面にぶつかる音がする。その音は教室どころか校内全域に伝わりそうな程である。その音を聴きながら優雅に1年13組でティータイムを楽しむ人物がいた。
「雨の音を聴きながらのおやつは、たまには良いな・・・」
そう良いながらビスケットを口に運ぶ無心の姿があった。いつも通りの登場の仕方で飽き飽きしてるかもしれないが、今回はこの登場の仕方でお願いする。なぜなら、
「またもや登場。世の中を漫画としか思ってない安心院さんだぜ」
無心の目の前で、天井からまるでこうもりのように逆さにぶら下がっての登場の安心院さん。しかし、無心はもうそう言う登場に慣れてるので驚きも何もない。
「何ですか安心院さん。また頼み事ですか?今日こそ言わせてもらいますけどi「そう言えば、頼み事があったんだ〜」」
「て、聞けよ!」
無心が話している最中に安心院さんが言葉を当然の如くさえ切り、自分の世界を作っていく。無心はこの事は譲れないのか、珍しくツッコミを入れた。
「お、君少しは感情が戻ったのかい?」
言われてみると確かにそうだ。昔の無心は言葉を遮られても別に黙っていて何も言わなかった。人の動作や言動にも何の感情も持たなかったが、今は段々と取り戻してきている。しかし、無心にはそんな事どうでもいい事、とりあえず安心院さんには0.1コンマ早く消えて欲しかった。
「どうでもいいですよそんな事。とりあえず何しに来たのか10文字以内に述べて俺から消えてください」
「お使いして欲しいんだ」
お使い、その言葉で無心のトラウマが蘇った。無心が安心院さんを苦手に思う原因の一つになったあれ。無心は今日こそ安心院さんに言ってやろうと口を開けかけた。
「行ってくれたらこいつをやるよ」
安心院さんは懐から1枚の紙切れを無心の方へと見せつけた。その紙にはスイーツフェスタ チケット購入者限定!! 無料食べ放題!!と書かれていた。
「行きます」
無心はチケットを見るやいきなり180度逆な答えをとっさに言ってしまった。無心を一言で言うなら・・・「単純」だ。これほど似合う男はそうはいないだろう。安心院さんもそれを見越して言ったはずだ。
「ぼくも慕われてるんだな〜頼んだら快く承ってくれるなんて」
「はぁ〜・・・そんな事頼むなら修行中の善吉君に頼めば良いのに・・・」
無心は溜め息をついて呟いた。
「それでさぁ、悪いんだけど外に出てスポーツ用品やら薬品やらを買い集めて欲しいんだ」
「はいはい、分かりましたよ。それでお金の方は・・・?」
「ああ、はい。これ」
安心院さんは福沢さん1人をまるでスタンバイしてたかのようにポケットから取り出し、無心に手渡した。無心は黙って受け取り、席から立ち上がった。
「そう言えば、余ったお釣りって貰って良いんですか?」
「あはは、ダメに決まってるだろ?もしも、買い物中に細かいお金がなかったらどうするんだい?ぼくはお札を崩さなくちゃならないんだぜ。それに、会計をしてる店員さんにも負担をかけるじゃないか」
安心院さんは長ったらしくそう説明するが、簡単に言うならば無心にお金を恵むと言うシチュエーションを防ぐための口実だ。もっと簡単に言うならお金を渡したくないだけ。安心院さんは無心に対して何かしらのプライドを持っているみたいだ。無心はどうでもいいのか、はいはいと、言い残して教室から出て行った。静かになった教室でポツンと1人だけぶら下がっている安心院さん。安心院さんは眼を閉じて、微笑んだ。
「そこにいるんだろ?隠れてないで出てきなよ」
安心院さんはその教室に誰かがいるのを見透かしたのか、誰かに話しかけた。すると、それに答えるかのように教室の床にシューズがぶつかる音がした。
「君が欲してる物は分かってるよ。力・・・だよね」
安心院さんは目を開け、怪しげに笑っている。
「大丈夫、安心しなよ(安心院さんなだけに)。君の欲している物は半纏が作ってくれたよ」
安心院さんは再び目を閉じて、普通に笑った。
「しかし、君も物好きだね〜。こんなスキル望むなんて善吉君以来だよ」
しかし、向こうは反応がない。まるで安心院さんだけ独り言を言っているみたいだ。
「ま、君の好きにしてくれて構わないよ。この先どんな事があろうとぼくには関係ないけどね」
そして、安心院さんはまた目を開くとニヤリと笑った。
「じゃあ、ぼくはこのへんで消えとくよ。精々足掻いてくれよ?」
そして、安心院さんはふっと、消えてしまった。そして、後を追うかのようにコト、コト、と足音が鳴った。しかし、それは幽霊のようにすぐに消えてしまった。
同時刻、校門の前で1人倒れる箱庭学園男子生徒がいた。
「イタタッ・・・神様の野郎・・・もうちょっと丁寧に落としやがれよ・・・」
男はどっかぶつけたであろうたんこぶの出来た頭を擦りながら立ち上がる。
「さぁて、俺の第二の人生の始まりだ!!」