二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.77 )
日時: 2012/09/25 01:34
名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode



 第二十三話 襲われざる客


 拳を構えながら絹氏の元へと走る八尾図。その距離わずか1メートル。そんな八尾図を見て、絹氏はつまらそうな表情をすると、

 「ここで貴殿は僕を殴って倒したら最高にカッコイイよねー」

 と八尾図に言い放った。しかし、八尾図はそんな事を聞かず、拳を前に突き出そうとしている。絹氏は少々間を空けると、

 「だけど、現実は漫画のようにもいかないんだよねー。例えば週刊少年ジャンプとかさ!」

 絹氏は制服の中からボトボトと何か物を落下させた。八尾図も一瞬だけ、その落ちた物に視線が回った。その瞬間だった。その落下物からパァンとクラッカーの音に似ている音と共に真っ白な光が放出されたのだ。


 (スタングレネード!?)

 スタングレネードと言うのは軍隊でよく用いられている爆弾の一種だ。殺傷能力はないものの、敵の目をくらませて一時的に敵の行動を封じるには持って来いの代物なのだ。

 そんなスタングレネードをまともに見てしまった八尾図は目がくらみ動きが止まってしまった。これでは、敵に攻撃してくださいと頼んでいるようなものだ。八尾図は必死に目を開け、絹氏の位置を確認しようとするのだが、目の前にはあの男はいなかった。その時、




 ドン


 「ぐっ!?」



八尾図の腰から鈍い音のようなものと、とんでもない激痛が走った。八尾図は思わずその場に膝を着いた。その瞬間、


 「!?」

 苦しむ暇もなく、八尾図は何らかの力により宙に舞っていた。一瞬の内の出来事で八尾図も何が起こっているのかが分からない。そんな事を考えている時、今度は右腕に鈍い痛みが彼を襲う。傷の方を見ると、服は破れ、青い痣が出来た肌が顔を覗かせていた。



 ドシャリ


 八尾図は飛ばされながらも着地しようと頑張るが、失敗し保健室の外の廊下へと弾き出された。床の冷たさを制服越しに感じながら、八尾図はまた動き出そうとする。が、足首に伝わる嫌な痛み。それは、動かそうとすれば激痛が走り、仰け反ってしまう位だ。 さっき無理に着地しようとしたせいで足首を変な方向に曲げてしまったらしい。


 「クソッ!」

 床に拳を叩きつけ、自分の力不足を悔やむ八尾図。しかし、彼がここでいくら悔いを見せても敵は同情すらせず、自分を簡単に処刑するだろう。コツ、コツ、と良い足音を出しながら、保険室の方からあの男が現れてくる。


 「普通にしてはよく頑張った方だよ。だけど、それじゃあ僕たちには勝てない。貴殿の敗因は僕たちにあって、貴殿には無い物があったから・・・」

 絹氏はそう言いながらポケットから手榴弾を取り出す。しかし、これもただの手榴弾ではない。今度絹氏が取り出したのは焼痍しょうい手榴弾である。この手榴弾は殺傷性の高い武器で、一旦爆発すると、炎が現れ、どんどん周りを燃やしていく代物だ。そんな危ない物を絹氏は今にも栓を抜こうとしている。


 「じゃあな、普通ノーマル

 絹氏は焼痍手榴弾の栓をピキンと抜いた。その光景を見た八尾図は自分の未練でいっぱいな気持ちを思い知った。


 (あ〜俺・・・もう死ぬのか・・・。短い人生だったな・・・。せめて、もう少し人を助けたかったんだけどな〜・・・。馬鹿やってみんなで怒られたかった。みんなと感動物の映画でも観に行ってそこでいっぱい泣きたかった。みんなと色々な話をして楽しみたかった)


 色々な後悔を心の中で呟くと、そっと目を閉じた。焼痍手榴弾が床へと落下し、一時的な爆発を起こし、そしてみるみる炎が広がっていく。




 

 八尾図の身体が炎へと飲まれて行くのを確認すると、絹氏は後ろを向いて、赤無を処刑しに足を進めた。その時、ぶわっとすごい風が後ろから流れた。絹氏は足を途中で止め、まさかと思いながらも後ろを振り向いた。そこには、何処にも傷が無く、鋭い目つきで絹氏を睨み続ける八尾図が立っていた。


 「これは俺の命令だ。『絹氏 公明を除く、全員の安全を確保する』」