二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.3 )
日時: 2012/08/05 21:11
名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: vf.KGARd)

File01 事の発端


帝丹小学校のチャイムが鳴った。
1年B組の生徒達は急いで自分の席について、このクラスの担任、小林先生が来るのを待った。
工藤新一こと江戸川コナンと宮野志穂こと灰原哀は少々気だるそうに頬杖をかいて待っていた。
そしていつもどおりに教室のドアが開くのを聞こえた。
にこやかな顔をした先生が入ってきた。

「はーい、皆さん、今日は新しい友達が来てくれますよー!」

教室が少しざわめいた。
コナン周辺の席の人達、少年探偵団と名乗る小島元太、円谷光彦、吉田歩美はどんな人が来るのかと期待していた。

「じゃーあ、入ってきていいですよー」

ドアから茶髪のポニーテールをした女の子が入ってきた。
目ははっきりとわかる茶色に、鼻から頬にかけて少しそばかすがある英国風な少女が入ってきた。
風貌からしてハーフだろう、とコナンは推察した。

「初めまして!安藤愛莉です!パパの都合で米花町にきました〜。よろしくお願いします」
「よ〜ろ〜し〜く〜」

クラスメイト達は元気に挨拶して、愛莉は嬉しそうだった。

「じゃあ愛莉ちゃんは……隆君の隣でいいかな?」
「はい!」

コナンの席とは然程離れていない所に愛莉はそこにずんずん向かっていった。
もちろん、コナンと哀はそこまで転校生に興味は無かった。

「じゃあ、新しいお友達がきたことだし、授業を始めま〜す。では皆さん、昨日の算数の続きから……」

いつもどおり、皆は机から教科書を取り出して勉強の姿勢に入った。
コナンも慣れた手つきで教科書を開いた。
愛莉が視線を送っているとも知らず。


休み時間に、愛莉の席の周りには沢山の生徒が集まった。
それぞれ自己紹介したりして、愛莉は忙しそうに笑顔を振りまいた。

「江戸川君といい、私といい、あの子といい、このクラスには沢山の転校生が来るのね」
「はっは〜」

コナンは哀の言葉に薄笑いを浮かべた。
確かに、この学校は可笑しいと思わないのだろうか?
その時コナンは愛莉と目があった。
すると愛莉はいきなり立ち上がって、コナンの傍まできた。

「あなた、江戸川コナン君でしょ!」
「へ?」

コナンは驚いて愛莉を見つめた。
愛莉は嬉しそうな表情を浮かべていた。

「怪盗キッドとの対決、いつも新聞で見てるもの!」

コナンは一瞬、この子が黒ずくめの手先なんじゃないかと疑ってしまった自分を悔やんだ。
自分の名前なんて、それなりに知れている。

「あ、あ〜……ありがとう」
「ねえ、どうしてあんなに鋭く推理が出来るの〜!?私もコナン君みたいになりた〜い!」
「え、あ、あはは……」

コナンはとにかく愛想笑いを浮かべた。
別に子供と接するのは大分慣れていたつもりではいたが、ハイテンションな子にはどうもついていけないな、とコナンは思った。

「そうだ!コナン君に校舎を案内してもらいたいな〜」
「え」
「愛莉ちゃん!私たちもついていっていい?」

歩美は自分を指差して言った。
愛莉はニッコリ笑って頷いた。

「や、でも僕じゃなくても……」
「レディーのご指名は断っちゃ駄目よ」

悪戯な笑みを哀から受けて、コナンは席を立った。