二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.39 )
日時: 2012/08/16 18:03
名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: vf.KGARd)

File06 アリスの生い立ち 後編


アリスは走って逃げていった。
追いかけてくるはずがない炎が、自分のすぐ後ろに来てる危機感を覚えながら全速力で。
その時、後ろからバイクにのった女性が走り去った。
ホワイトに近いような金髪をなびかせた女性は、ヘルメットごしからアリスを横目で睨んでいた。
アリスはすぐにピンときた。

この人が私の家に火を放った放火犯だ。

証拠も根拠も何もない中、アリスは何故か自分の中に沸き起こってくる確証を拭えなかった。
もしかしたら、あの放火犯は私の所に引き返してきて銃でも何でも殺すかもしれない。
そんな不安が過ぎって、アリスは幅もそんなにない道路に移った。
アリスは遠回りをしながら、アルフィオが勤務しているワシントンン首都警察に向かった。

目の前を通る事はあったが、中に入るのは初めてだった。

ロビーの受付には2人の若い女性がいた。

『あの』
『何でしょう?』

1人のブロンドの髪を後ろにお団子にして結っている女性がアリスに微笑みながら応えた。

『お話したい人がいるんです』
『まずあなたの名前と、相手の名前を言ってください』

受付嬢はパソコンの画面を見て言った。
アリスは自分の名前と、兄のアルフィオの名前を言って、ついでに綴りも教えた。
しばらくお待ちください、と受付嬢はしばらく画面をジイッと見てひたすらカーソルを動かした。
時々カタカタとキーボードのボタンを打つ音が聞こえる。
すると受付嬢は訝しげにアリスを見て言った。

『アルフィオ・グウェイザーなんていう人はどこの警察にもいませんね』
『そんな。兄はここで勤めてるって言ってたんです!間違いなのでは?もう一度調べてください』
『いいえ、何回か調べましたがそんな人はいません』

受付嬢はいないの一点張りだった。
アリスはもうどうしてよいかわからず、フラフラと見知らぬ人とすれ違って建物を出た。
じゃあアルフィオはどこに勤務してたの?警察なんてのは嘘?
いいや、嘘なもんか。
昔、アリスの家にアルフィオの同僚の人達が遊びに来た事があった。
ちゃんと警察のバッチも身に付けていた。
アルフィオもだ。
家にはちゃんと給料も支払われていた。
どういうこと?
アリスは途方に暮れていたが、すぐに名案が浮かんだ。
電話すれば済む話だ!
何でこんな単純な案を思い出さなかったのだろうと不思議に思い、すぐに携帯を取り出して電話をかけた。

『もしもし?』

むこうでアルフィオの声が聞こえて、心底ホッとした。

『アル!大変なことになってるの!』

家が燃やされた事、アルフィオはどこも警察に勤務していないということを全てアリスは話した。
その時、電話の向こうでどこか聞き覚えのある携帯のプッシュ音が聞こえた。
ただ、アリスはそれどころじゃなく、聞き流していた。

『ああ、それは……。ごめん、電波の調子が悪いみたいだ。あとでかけなおす』
『ちょっと、アル!?』

アルフィオは焦った口調で、最後まで言い終わらないうちにきった。

『な、なんなの……電波の調子が悪いって、こっちは大変な状況なのに!』
『ちょっと失礼。君はアルフィオ・グウェイザーの妹だと聞いたんだが』

びっくりして振り返ると、そこにはイカつい顔をした大柄の男がいた。
知り合いでもなんでもない上に大柄の男ということで、アリスはすっかりおびえてしまった。
その男はアリスの様子に気づいて、少々慌てて弁解するように喋り始めた。

『お、驚かないで、大丈夫。何もしないから。ただ君のお兄さんの仕事の同僚だよ』
『アルを知ってるの!!』
『ああ知ってるよ。で、俺はグウェイザーから頼まれて、君に色々と渡しておきたいものがあるんだ。そうだな……あそこのカフェで話そうかな』

このイカつい男性は意外と親切でアリスは少々面食らった。
カフェでこの男性は全てを話してくれた。
どうやらこの男はアンドレ・キャメルという名前でFBI捜査官。
アルフィオはある時、たまたまFBI捜査官と友達になり、そのお偉いさんがアルフィオの運動神経、明晰な頭脳の持ち主ということでFBIにスカウトした。
なぜアリスに言わなかったかは、後々驚かせるためだったという。
現在、アルフィオは今任務である危険な組織に潜入していて通話の自由もなかなか利かないらしい。
そこまでは、この話しはアリスの好奇心をかなりそそられて、どこかの映画を見ている気持ちになっていたが。

『だが、どうやら……グウェイザーは組織に怪しまれているそうでね。それで万が一のために、グウェイザーか色々預かってきた』
『あ、怪しまれてるって……』
『これから俺は日本に向かう。そこに他の仲間がいるから、一緒にアリスを連れてってくれとグウェイザーに頼まれた。日本で使う保険証、まあその他日本で使うものだ』

保険証を手にとって見ると、日本語で名前がかかれてあった。
“安藤 愛莉”

『これ私の名前じゃない!』

アイリは母親が日本人というハーフで、漢字も少なからず読めていた。

『グウェイザーが勝手に証人保護プログラムにしてしまったみたいだ』
『そんな!勝手に……!!』



続(というか力尽きた)