二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.51 )
- 日時: 2012/08/23 18:37
- 名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: 7NQZ9fev)
File08 接触
この有名政治家を狙った事件は、この政治家に恨みを持った者の犯行と見なされ、犯人は捕まってはいないものの警察は、「全力で捜査します」と口からでまかせを言い、ダラダラを捜査をして結局捜査はなんも証拠が出ないとこからすぐに打ち切られた。
アリスはその政治家の事務所、家を調べて出掛けた。
しかしかつて事務所があった焼け跡は既に別の建物が建っていて、中まで調べることが出来なかった。
そこから20分歩くと、政治家の家があったところについた。
現在は更地だが、近々新しい家が建つという看板が掲げられていた。
『まあ証拠は見つからないとは思うけど』
グルリと周辺を注意深く歩いていると、目の前に黒い車が見えた。
今風のものでなければ、レトロさが伝わってくる、ポルシェ356Aだった。
アリスの兄は車に目がなく、幾度なく車の種類、良さを言われた事か。
アルフィオは特にこのポルシェ356Aを気に入っていた。
アルがこの車を実際に見たらどんな反応を示すだろうか、とアリスはそんな呑気な事を考えながらしげしげと車を眺めた。
『ん?』
トランクの蓋のふちに赤黒いしみのようなものがついていることに気づいた。
触ってみると、それは渇いていてパリパリとした触感と共にはがれていった。
間違いない、これは血のあとだ。
アリスは何気なくそのトランクに手をかけてみた。
心臓の鼓動はこれまでにない緊張で大音量で聞こえてきた。
もしかしから死体が……!?
思いっきりトランクを開けると、そこは何もなかった。
『な、なあんだ……』
変に期待してしまった自分が恥ずかしくなり、この車の持ち主に謝りたいという気持ちも沸き起こった。
きっとこの血はこの車の持ち主か誰かの血かなんかだ。
トランクを閉じようとして、何気なく前方を見るとアリスはメデューサに睨まれたかのように固まってしまった。
車のガラス越しで見て、ずっとむこうに2人組みの男が歩いてきた。
2人とも真っ黒で、一人は長髪なのが伺える。
あれは人間じゃない、人の皮をかぶった悪魔だ。
アリスは直感的にそう思ってしまった。何メートルも先にいて、2人はアリスに気づいてなかった。
さて、早く逃げよう。
しかしアリスは石の様に固まってしまっていて、動くことが出来ない。
ふと見つけたのが、このトランク。
そうだ、この中に入ってやりすごそう。
そう思うと全身を覆っていた石がボロボロと崩れていって、気づかれないように中に滑り込んだ。
さあもう大丈夫……。ホッと胸をなでおろしていると、この車に誰かが乗り込んだような音が聞こえた。
2人ほど。
アリスははっとした。
あの2人がこの車の持ち主だったのか!!
車は発進して、どこかへ向かっていった。
ボソボソと話し声が聞こえるが、くぐもっていてよく聞こえない。
このトランクに逃げ込んでしまった自分をひたすら恨んだ。
一時間乗っただろうか、車はスピードを落とし始めた。
じゃり道を走っているようだ。
すると、この車はゆっくりとなって……止まった。
2人が車から出てくる音が聞こえ、足音はどこかにいってしまった。