二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.77 )
- 日時: 2012/09/13 21:30
- 名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
File15 探し物
約一時間半、コナン一行を乗せた博士の愛車ビートルは放火現場についた。
全体的に黒くなったコンクリートの廃墟が激しく燃えていたのを物語っていた。
「明日取り壊されるみたいだね」
愛莉は近くにあった立て札を読んでそう言った。
三人は立ち入り禁止と記された黄色いテープをくぐり、証拠をくまなく探した。
愛莉は記憶をたどりながら、薬品のにおいがした部屋にコナンを案内した。
「ここよ」
「壁が真っ黒じゃな……」
博士がため息と共に呟いた。
沢山の薬品があったせいか、特にこの部屋が燃えていた。
足元には燃えカスが沢山あった。
「安藤、なんか思い出したことはあるか?」
残念そうに愛莉は首を振った。
愛莉は部屋を歩き回って、あの時自分のとった行動を再現しながら証拠が無いか探し始めた。
コナンもあちこち動き回り、証拠を探した。
しかし見つかるはずも無く、ガックリ項垂れながらその部屋を後にした。
自分達をほうらね、と言わんばかりの表情をしてくる哀の姿がコナンの脳裏に過ぎった。
「ここよ。私が落ちた所」
愛莉は階段に一番近い窓を眺めた。
今は窓ガラスが割れていて、そのまま外の風が入ってきた。
自分が小さくなった今、中から外を見る風景も少し違って見えた。
「随分高い所から落ちたんじゃな」
「柔らかい土とか木とかがクッションになってくれたから……。まあ痛かったは痛かったけどね」
「あれ、君達」
突然聞きなれない声が聞こえ、同時に三人が後ろを振り向く。
そこには優しそうな警察官が立っていた。
「ちょっと、ここは立ち入り禁止ですよ」
「あ、あぁ、すいません。ちょっと気になってしまったものですから」
博士が冷や汗をかきながら言い訳を言った。
警察官は苦笑いを浮かべて
「早くここから出なさいよ。じゃ、私は用事があるので」
と言って、先ほど愛莉達がいた部屋に入っていった。
「さあ、注意されたんだから、もう帰ろう」
博士が2人にそう促しても、二人は警察官が入っていった部屋を一心に見ていた。
「これ、しんい———」
「なあどう思う?」
「はぇ?」
「妙ね」
コナンと愛莉は顔を見合わせてそう言った。
————————
「ないわ、ジン。どこにも。やっぱり警察が持ってったんじゃないの?」
見た目は男の警察官だが、声音と共にその口調は女性そのものだった。
iphoneでジンにそう言い、空いてる右手で辺りをなにやら探っていた。
《よく探せ。警察が持っていったのなら、何か情報がつかめるはず。警視庁に組織の情報屋がいるんだからな》
「そんなこといったってね、ジン。ないものはないわよ」
かがんでいた姿勢を直し、自分の顔についていた変装用マスクをビリビリと引き剥がした。
プラチナブロンドの髪が帽子からサラッと落ちてきた。
この部屋にある唯一の窓を覗き込み、考えもしなかった人物達がビートルに乗り込む様子を捉える。
まさか彼がここにいるなんてね……とベルモットはため息をついた。
《……どこにいったんだ、あのメモリカード……》
ジンは少々苛立ちながら言っているのが電話口から伝わる。
まさか私たちが探してるメモリカードは彼がとってしまったのか?
コナンを姿を思い浮かべながら、ベルモットははっと息を呑んだ。
もしそうなら返してもらわねばならない。
もしとってしまったのなら……彼女にも……被害が及んでしまう。必ず。
しかし、ベルモットはコナン達が来てたことをジンには何もいわなかった。
「ま、今日の所はこれで引き上げるわね。私、午後から人と会う約束してるの」
《……アルフィオ・グウェイザー》
「……誰よ、その人?」
ジンがポツンと言ったある名前。
ベルモットに心当たりはなく、聞き返した。
隠しておいた自分のバイクにまたがり、ジンの言葉を待った。
《前、始末……た、そし……んげ……》
ザーッとノイズが入ってしまった。
「待って、ノイズ入ってよく聞こえない」
コナンたちに見られまいとバイクをうんと茂みの中に隠してしまったせいなのかはわからないが、急いで廃墟の焼け跡の前に来た。
ノイズは消え、ジンの声がクリアに聞こえるようになった。
「始末した組織の人間ね?あー、そういえばここで殺ったとか言ってたわね。その人がアルフィオ・グウェイザー?」
《……そうだ》
ジンは納得の行かない様子で認めたのがベルモットは少し気になったが、構わず聞くことにした。
「その人間が何だっていうの?」
《そいつを始末しようとする前に、あいつ自分の妹つれてきてた》
「へえー、つまり、そのアルフィオは最初からスパイだったのかしら?」
《そうと考えて間違いは無いだろう》
「で?その人達がどうしたっていうのよ?」
《……恐らくあの妹だ。あの妹がメモリカードを持っていったんだ。可能性はある。ベルモット、グウェイザーの妹の事を調べろ、いいな》
「ちょっと、ジン———」
ブツンと一方的にきられ、ベルモットはため息をついた。
調べることなんて慣れてはいるが、結構疲れるものなんだとジンに文句言ってやりたい気持ちを抑え、バイクのあるほうに振り返った。
「っ!」