二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.95 )
- 日時: 2012/09/28 11:17
- 名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
File20 同時進行
一人の女性がある夜、人気の無い暗い路地を歩いていた。
コツコツと響くヒールの音。
後ろで高く結った髪の毛が歩くごとに揺れる。
この女性は緊張で、自分を落ち着かせようと深呼吸をした。
大丈夫、私は組織の人間なんだから———。
そう思った直後、何者かによって冷たく固いものを後頭部に推し当たられた。
女性はハッと息を呑む。
「久しぶりですね……キール」
後ろから男の声が聞こえる。
キールと呼ばれた女性はゆっくりと両手を挙げた。
「ええ、久しぶりね……バーボン?」
するとバーボンはキールに当てた銃を降ろして鼻で笑った。
周りが暗くて相手の顔がよく見えない……キールは思った。
偶然周りが暗くて見えないだけなのか、それとも計算して見えないようにしてるのか、わからなかった。
バーボンといえばベルモットに並ぶ秘密主義者。そして尚且つ洞察力観察力が長けている強者。
「こんな所に呼び出して、何の用かしら?」
「赤井秀一の事だ」
手短に終わらそうとしてるのが、喋りの速さでわかる。
「あぁ、赤井秀一……。この世にはもういない人のことを聞いてどうするの?」
「本当にお前が殺したのか?」
「あら、またそれを聞きにきたの?」
「ちゃんと答えてくださいよ?」
「何度も言ったけど、私が殺ったわ。至近距離でね」
「そしてお前に取り付けた小型カメラで別の場所でジンが見ていたと……」
「そうね。まず、未だに疑いか晴れていない私に聞くよりジンに聞いたほうが良かったんじゃないの?」
バーボンは答えなかった。
「……子供」
「え?」
思っても見なかった言葉にキールはかなり驚いた。
「……赤井秀一が生きていた頃、アイツの周りでうろちょろしてた子供がいたと聞いたんですが……」
キールの頭にコナンが過ぎる。
「何でもかなり頭の切れる子供。キール、知ってますか?」
「さあ、知らないわ……。ずっとベッドの上にいたし。何より本当に昏睡状態だったわけだし」
「そうですか……」
再びバーボンは黙りこくった。
何を知りたいのか、キールには全くわからなかった。
なぜコナン君の事を?
確かにあの子はとても頭が切れる少年ではあったけど……私が見る限り赤井秀一に並ぶような推理力に洞察力……。
気が付けば、目の前にいたバーボンは消え去っていた。
*
「へぇ〜、ここが新しく出来たホテルなのか?」
コナン一行は人気の無い路地にいた。
小五郎は目の前の下る階段を見て胡散臭いと言わんばかりの口調でそう言った。
「ここの“雪花”って隠れ家をコンセプトにしたホテルみたいだよ。だからあんまり宣伝とかしないって聞いたよ」
蘭がそう言うと小五郎は若干溜息着いて
「それじゃあプロデュースしたヨーコちゃんが可哀想じゃねぇか」
と呟いた。
「まあまあ!入り口の前でゴチャゴチャ言わんで、早よ中に入ろうや」
平次が会話に割り込み、一向は階段を下って行った。
すぐドアに突き当たった。
ドアはどこかヨーロッパを思わせるような木で出来た扉だった。
小五郎はその扉を押すと一向は思わず感歎の声を上げた。
地下だとは思えない明るさ。天井には大きくゴージャスなシャンデリアがついていて、カーペットもびっくりするほどのふわふわで、左側には大理石で出来た池があり綺麗な鯉が泳いでいた。
「す、すげー……」
「地下ってこんなに明るかったん……?」
「ほんと、すごいねー……」
コナン、和葉、最後に蘭の順にそれぞれ呟いた。
その時、このホテルの従業員の女性がパタパタと走ってきた。
豪華なホテルなだけあって、従業員の制服もものすごく綺麗なものだった。
「あの、今日は営業してないんですが、もしかして……?」
「あぁ、この謎解きの企画の懸賞に当たった服部平次や。で、この人達は俺の付添い人」
平次はそう言って招待状を差し出した。
すると従業員はニッコリ笑って
「服部様の付添い人方ですね。今オーナーに知らせてますので、あそこのソファーにおかけになってお待ちください」
と言い、またパタパタと走っていった。
コナン達はソファーにこしかけると、またこのソファーもふっかふかで驚いた。
「さすが豪華なホテルだけあるなぁ、蘭ちゃん!!」
「うん!なんか夕食も楽しみだね」
「おや?あなた達は」
声のするほうに振り返るとそこには端整な顔立ちの好青年が立っていた。
「お、お前は警視総監の息子の!!」
「白馬探やないか!!」
小五郎の次に平次が声を上げた。
「君達も来ていたんですか」
「探兄ちゃんはどうしてここにいるの?」
「いやぁ、この企画の事をばぁやが知ってね。勝手に応募しちゃって……まあ暇だったので退屈しのぎと思ってね。最近は事件も少ないですから……僕のこの鋭い頭という刃物が錆付かないように来たんですよ」
コナン、小五郎、平次は呆れて失笑していた。
「なぁ、白馬探って誰?」
「あ、和葉ちゃん会った事無かったっけ?」
「ほら前に平次とコナン君が無人島にいたときあったやん!そん時に見かけただけやし……名前も知らんかったし」
「そっかぁ。白馬君は警視総監の息子でイギリスで留学経験が長いんだよ」
「ふぅん、留学以外平次と同じような立場なんやなぁ……」
その時先ほどオーナーに知らせてきます、と言った従業員が戻ってきてこう言った。
「他の方たちも既にいらしていますので、顔合わせもかねて食堂にいらしてください」