二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナGO】君の傍に居たいよ。 ( No.13 )
- 日時: 2012/08/08 17:47
- 名前: 異識 (ID: tVNOFy45)
- 参照: 藍紅・ドロップ・華奈に連絡! イナGOファンタジーで合作やろうぜ!
第一話
五月某日。
この日、雷門中サッカー部の面々は、市街地にいた。
「……で」
『で?』
突如声をあげた剣城京介に対して、松風天馬、神童拓人、霧野蘭丸の三人は一斉に首を傾げる。
「何で俺の用事にみんなが付いてくるんですか」
そう。
「京介のスパイクが傷んだので、買い換えに行く」だけなのだから、
別に天馬達が付いてくる必要はないわけで。
だがしかし、またも四人は口を揃えて言うのだ。
『暇だったからなんとなく』
京介は諦めた。
もう蘭丸に至っては、ニヤニヤし通しである。
多分、四人は知っているのだ。
「兄の一時退院祝いに渡すプレゼントを買いに行く」
という、本当の目的に。
「……もういいです。
みんな、適当にそこらの店見ててください。
俺、大通りのスポーツショップ見てきますからっ」
「あ、俺も行きt「京)付いてくんなっ!///」
何が恥ずかしいのか、京介は顔を赤くして天馬を振り切り、大通りへと向かった。
◇◆◇
大通りの中心地、交差点を半分程渡った頃だった。
—————ズゥウウウ………ンっ!
「っ、あ————っ?」
突如として、世界が、揺れた。
地震とはベクトルの違う、空間そのものが揺れているような感覚。
これはそう、多分——
「空間震……!」
空間震。
先程言ったように、空間そのものが揺れるかのような現象。
日本ではおよそ三十年ほど前、後に「南関東大空災」と記録される程の大きな空間震が観測されてから、全国各地で頻繁に起こっている。
京介たちも、授業中などに何度か空間震に遭ったが、今回のものはこれまでの比ではない。
「——くっ」
どうにか身を起こしたところで、携帯電話が震えた。
「もしもし?」
『——すけ? ——で、空間——あった——いたから——』
「松風?
聞き取れないんだ。もう一度……」
「————」
ノイズしか聞こえない。
今の事態で、回線が混乱しているのだろう。
「——くそっ」
不意に、顔を上げた。
その目に——闇色が拡がる。
「————」
無言で佇む少女がいた。
膝くらいまである闇色の髪を、一つに纏めている。
肌は普通の人間に比べると白めで、端正な顔立ちをしている。
何より目を引くのは瞳だ。水晶の輝きを持つ、淡い水色の瞳。
だが、その瞳はどこか、くすんで見えた。
その目に、京介は見覚えがあった。
「(——ああ)」
この目が、嫌いだった。
世界に絶望し、全てを諦めたような目。
それは——かつての自分と同じ目。
その目が、不意に京介に向けられた。
少女は闇色の髪を揺らして振り向き、桜色の薄い唇を微かに動かして、
呟く。
「お前も、私を殺しに来たのだろう?」