二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.19 )
- 日時: 2012/09/09 21:36
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: x40/.lqv)
- 参照: 第五篇/She is the Strongest Fighter (半径50cmの英雄)
「わぁぁぁぁあああああッ」
思惑通り、ピットは猛然と走り出した。どよめくメンバーの声を背にして、私はコントローラーのスティックを今度は左に弾く。
「やめてぇぇぇぇぇぇぇえぇえ」
急旋回して食卓に戻ってきた。
上に弾く。
「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
これはジャンプか。じゃあ下は屈むだろう。ちょっと攻撃ボタンを押してみたい衝動に駆られたけど、それは危なそうなのでやめておいた。ちゅーか、面白い声だすなあこの天使。
これ以上はやれそうなことも特にないので、肩から降りて鍵を引っこ抜く。ぶはあっ、と大きく息をついて、頑健なはずの親衛隊長がその場にへたへたと腰を下ろしてしまった。泣きそうな顔までして、なんて情けないんザマなんだ。今までにない経験だから当たり前だけれど。
静まり返るだだっ広いリビングに、マスターの声だけが聞こえた。
「飲み込みが早くて助かるよ。そういうことだ、我々の何処かにある「端子」に鍵を刺されれば最後、我々は彼女の操作に逆らえない。眼と口は動くが、それ以外は指一本動かせなくなる。それは無論、我等も例外ではない。……まあ、つまりは今彼女がやった通りだ」
「……バグだ」
吐き捨てるようなウルフの言葉に、マスターは小さく肩をすくめた。
「バグにも限界がある。カギでなければ開かない扉はC4百個でも破れず、鍵は鍵穴に刺さなければ使えない。それと同じ、これも『端子』に繋がなければただのガラクタに過ぎん。そして、コードの長さは五十センチ。言い換えれば、彼女が最強たりえるのは半径五十センチ、しかも『端子』の場所が分かるとき限定だ」
C4百個も積んだら流石に壊れるんじゃね? と言う突っ込みはどうも無しの方向らしい。きっとそう言う部屋が実際にあるのだろう。
「……このガキにそれを取られるこたねェな」
女子高生に向かって「ガキ」とは何だ。ちょっとカチンと来た。
だがしかし、此処でキレても仕方ないだろう、頭の片隅が滾りそうになる怒りを叱責する。
「だが、彼女の眼には『端子』の位置など丸分かりだ。効果範囲を差し引きしても、彼女のコレが最強なことに変わりはない。何しろ、彼女はコントローラー一つで私をも自由に操れるのだ。クレイジーもな……」
今の響き、聞き逃しはしない。
私が呼ばれ、あまつさえ最強の技を預けられた理由は、きっと最後の言葉が知っている。だが、私はあえて何も言わず、何も聞かないでおいた。メンバーの暗い顔は、マスターがこんなにも陰鬱な表情をする理由を、きっと知っている。
この中で無知は、私だけ。
「さて」
マスターもそのことを知っているのだろう、コレまでとは打って変わって、朗々とした声を張り上げた。
「彼女が何者か、何故呼んだのか、もう皆は分かっただろう。明日も早い、もう寝てくれ」
その言葉に、皆は立ち上がりながら、冷ややかな目でマスターを見返した。何だその眼は、と眉間にしわを寄せて身構える彼に、メタナイト郷が代表して声を上げる。低く渋く、透徹した声で。
「生憎、騒動続きで皆眼が覚めてしまったらしい。私は地下に行く」
その言葉を残して、郷はさっさとリビングを出て行ってしまった。それに引き続き、俺も僕も私も、と次々に人がリビングを出て行く。残されたのは子供勢と王侯貴族諸氏、そしてミスター。残った人はまるで打ち合わせしてあったように黙って動き出し、てきぱきとテーブルの上を片付け始めた。
「そうだ、アイク団長」
言っておかなければ。
「うん?」
また間違われたら困る。
「あたしは、小夜子です。サ、ヨ、コ! いいですか!?」
「お……おぉ!」
信用ならない返事だけど、此処は信用するしかない。
私はずっと溜まっていた息を大きく吐き出した。
To be continued...
アイク団長は日常パート内ではネタキャラ。戦闘ではカッコよくしたいな、出来れば……(´・ω・)
「第零章長すぎwwwwww(^p^)wwwwww」とはどうか言わないで。