二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.38 )
日時: 2012/09/24 03:14
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: ptFz04.o)
参照: 第二篇/After a Calm comes a Storm (嵐の前の静けさ)

 私の声に冗談味が薄かったせいからか、カービィは幾分声に覇気をなくした。
 「でも、でもやだぁソレー」
 「はいはい、ツマミ食いしないならもう使わないから。素直に待とうよ」
 私の一言がトドメとなって、カービィはそれきり黙りこむ。が、次の瞬間ぱぁっと顔を輝かせて走り出した。一瞬何事かと思ったが、次に聞こえた小さな音で、すぐ状況を理解する。
 「おかーり、ミケー!」
 嬉しそうに言う先は採光窓。磨き上げられたそれを指先で叩きながら、キャスケットを少し押し上げているのは、ドクターだった。ただしトレードマークとも言うべき白衣は身に着けておらず、その代わり丈夫そうな分厚い茶色いシャツと黒いズボンの上から、何故か黒いトレンチコートを羽織っている。
 「Open this door(開けてくれ)」
 口がそう言っていた。
 「今すぐー!」
 ドテドテと足音を立てて近づいたカービィだが、冷房を使っているのでサッシは閉まっている。そして、それを開けるための鍵は人間用の位置にある。一頭身のカービィに届くわけもなく、仕方ないので私が開けた。助かったよ、とドクターが中に入るよりも前に、カービィが彼に飛びつく。
 「どーしたの、今日は夜まで帰ってこないって言ってたのにー」
 カービィを抱きとめ、外からそのままリビングに上がりこみながら、ドクターはカービィの問いに黙って小さく笑った。けれども、何だか顔が酷く疲れている——ように見える。誰も気付かないのだろうか?
 「ドク、それ……」
 不思議そうな、そしてどこか恐ろしげな声を上げたのは、ピカチューの傍にくっついたピチュー。顔には気付いていないみたいだが、代わりにその潤んだ目が、足元を不安げに見つめている。ドクターはすぐ自分の足元を見て少し、本当に少し、眉根を寄せた。
 「ケガ、してるん?」
 地が黒いからよく分からないが、右足のズボンに血が滲んでいる。濡れ方からして結構な量だろう。
 ピチューの問いにしばし沈黙したドクターは、参った、と言うように目を細め、乾いた笑いを上げながら小さく首を横に振った。顔が青褪めているのは、やせ我慢のせいか。
 「大したことない、とはちょっと言えないな……いやはや、全く」
 頭を抱えながら、言葉の端を濁す。詳しいことはあまり言いたくなさそうな雰囲気だ。それを察したらしいネスが子供勢をやや無理矢理ドクターから引き離し、自分も彼から離れて、リビングから出て行った。残るのは私とヨッシー、それにリンクだけ。

To be continued...

 ドクターはほとんど負の方向に表情を傾けない。
 彼の中では、無理をすることが当然になってしまってるんです。