二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第1章無い記憶 0話・1 血族 ( No.3 )
日時: 2012/09/09 11:00
名前: escキー (ID: 50HaSQuo)


・・・その男は今日何度目になるかわからないため息をついた。
まだ、暗いというには早すぎる。
赤いというべきだろう。夕焼けが美しい。
血の、ように。
「・・・あー・・・ったく・・・」
何か適当に声を出したようだ。
長時間喋らずため息ばかりついていたので、その声は若干嗄れていた。
彼の風貌は一見新入社員のようにみえる。
が、彼の座っているデスクは立派だった。
しかもここは社長室だ。
50階建てビルの最上階。
赤く染まった横浜市遠近区の町が見下ろせる。
彼は社長だ。
しかも、日本の経済を担うほどの。
「・・・たぁーーっ。ふぁぁ・・・」
覇気の無い欠伸をして立ち上がる。
そして、一人で呟く。
「ヘリウスもやるねぇ・・・。」
机に掛けてあったバックをとると、また呟く。
「が、欠点の方がおおいな・・・。」
社長室を出る。
一人でエレベーターに乗る。
そしてまた、呟く。

「のび太よりも強い奴なんて、結構居んのにな・・・?
俺みたいに。」

その男を乗せたエレベーターは、扉を閉めた。