二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【学園アリス】 太陽の光 【小説】 ( No.31 )
日時: 2012/10/30 21:12
名前: 愛理 ◆aGZ9OPSgQQ (ID: cmzh4jIc)

〆黎さん

詳しく教えてくださりありがとうございます!
かつお節のアリスに盛大に吹きましたww

〆黒簾香菜さん

後のストーリーで出せたらなあと思います♪
こちらこそいつもありがとうございます!

〆Dr.クロさん

優子の味方…! 心強いですね…!
呼び捨て&タメ口全然OKです! じゃあ私もクロさんなんて呼んでもいいですか?(((
それと質問なんですが、九六ちゃんは封李君のことを何と呼んでいるんでしょうか?
教えていただけると嬉しいです♪


08 通りすがりのヒーロー


「なあ九六ちゃん。最近あの優子ちゃんが全く学校に来てへんのやけど?」


蜜柑は九六に問いかける。そうなのだ。
北の森の事件から、優子が全く登校してきていない。
その為か紗和もどことなく元気がなかった。


「まあ、多分…奴に捕まったんでしょうね」

「奴…って誰のこと?」

「…今は知らなくてもいいのよ」


九六の妙な態度に蜜柑は顔を顰める。そんなに危険な人物なのだろうか。
その時だった。教室の扉が静かに開く。ふと蜜柑は視線をそちらに送った。
そこには体中傷だらけでところどころ血が出ており、痛みのせいか顔を苦しそうに歪めた優子がいた。
ザワ…と教室内が戸惑いの声であふれる。が、紗和は叫んだ。


「優子…っ! あんた…傷だらけ…!!」

「…気にしないで、いつもの任務よ…。ちょっと長くてハードだっただけ…」

「——優子、罰則印…かなり赤いぞ。…熱持ってる」

「大丈夫だから…僕のことは気にしないで」


静かに優子は自席に着いた。クロノと九六は静かにそれを見る。
蜜柑は自分の目の前に座った優子を見てあまりの痛々しさに茫然としていた。
それに気づいた優子は蜜柑を睨みつける。


「…何。なんか用?」

「え、いや…そ、その傷…何なん? なんでそないな怪我してんの?」

「……知らなくていい」


ふいっと優子はそっぽを向いた。ズキンと傷が痛む。
蜜柑が何か叫んでいるがそんなことを気にする余裕もない。
それを見ていたクロノは目を細める。


(これは…デューンと話した方が良さそうだな)


 * 〜 * 〜 *


片手には花束。未だに痛む体。
優子は病院に向かってゆっくりと歩いていた。


(くっ…そ……)


熱を持つ罰則印。激痛が走り続ける。
ペルソナに捕まった後、すぐに優子は初校長に引き渡された。
その場で罰を下された後、即任務につかされる。
それがまた非常に厳しいもので、しかも任務中も罰則印に激痛が走っていたので限界だった。


(っ…ヤバ……)


流石にヤバいと感じた優子は近くのベンチに横になってしまう。
ぐったりと力の抜け切った体。手からも力が抜ける。
持っていた花束が地面に落ちた。そして——それをグシャリと踏みつぶす足。
荒い呼吸を繰り返しながら優子は相手を見る。


「いい気味だなあ、…優子」

「っ……てめ…えっ!」

「僕の呪いのアリスは最高だろう? 苦しすぎて、さ?」


賢である。妖しい笑みを浮かべながら優子を見る。
さらに呪いの強さを大きくする賢。優子は体をくの字に曲げる。


「あっ…く……こ、の…っ…!!」

「妹の見舞いにでも行こうとしていたのか? お前には似合わないよ」

「————そこまでだ、賢」


静かな声がその場を支配する。それと同時に罰則印の痛みが消え去った。
うっすらと目を開けて、優子は賢の方を見る。
賢の後ろにもう一人少年がいた。少年は賢の腕をきつく掴んでいる。


「…邪魔をするな、月ノ宮、柊」

「この場を見過ごせって言う方が無理だと思うんだけど?」

「……ちっ」


賢は小さく舌打ちすると、少年——封李の手をほどき、その場から去る。
ゆっくりと身を起こした優子は、ぐしゃぐしゃになった花を見た。
それに気づいた少女——雪乃は静かに花に手を向ける。
すると…花が元のきれいな状態に戻った。力の無い目で優子はそれを見る。


「…誰も助けてなんて言ってないわよ?」

「いいんだよ。俺達がお前を見過ごせなかっただけだから。な、柊」

「まあねー。あ、これ花」

「……」

「っと…次からは無茶すんなよー」


歩きだす優子の背中に封李の声がかかる。
雪乃によって戻った花束を見つめながら優子は内心でつぶやく。


(……何、今のアリス…?)