二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【妖狐×僕ss】おりじなるすとーりー ( No.1 )
- 日時: 2012/11/11 16:35
- 名前: 回路 (ID: EpPczols)
第一話/新しい入居者
—君を見たとき、涙が出た。やっと会えた…。
—声をかけたかった。抱きしめたかった。
—でも君は、何も覚えていなかった。
—運命は、残酷に時を過ごす。
「もう来てたのか、桜懍。…と火衣、だっけ?」
「正解です、反ノ塚さん」
メゾン・ド・章樫のエントランスにて。
3号室の住人、一反木綿の先祖返りの反ノ塚連勝は新しい入居者の風彌槻桜鈴(カゼミツキ オウリン)とそのSSの紅露火衣(コウロ カイ)の出迎えに来ていた。
「それにしても…レンは大きくなったなっ」
「そうか?桜懍が小さいだけじゃないの?」
「どっちもですよ」
あることがきっかけで知り合った連勝と桜懍。桜懍の幼馴染である火衣は連勝に今日までは会ったことはなかったが、桜懍の話しを聞いて連勝のことは知っていた。
「…じゃあ、取り敢えず先に桜懍の部屋に行くか」
「案内宜しくな〜」
連勝がドアを開ける。
「…反ノ塚、何この子っ!?」
「おぉ!?…って、野ばらか。何って…新しい入居者だけど…?野ばらちゃん、息荒いよ」
ドアを開けた向こうにいたのは雪女の先祖返りの雪小路野ばら。何時からドアの向こうにいたのだろうか、息が荒い。
野ばらの視線は誰とでもなく、桜懍の方にある。
「…そのアクアマリンのような透き通る髪」
「「…?」」
「綺麗な銀色の瞳」
「「…??」」
「そしてその何かに怯える顔!あぁん、メニアック!!」
「「…???」」
「何かは野ばらだけどね」
不思議そうに首を傾けていた桜懍と火衣だが、火衣は〝野ばらが女好き〟ということに気づいたらしく、桜懍の手をひいて一歩後ろに下がる。
「野ばら落ち着いて」
「あの…あなたは誰や?」
「まさかの関西弁!?メニアックッ」
「あー…。俺が代わりに言うな。雪小路野ばら。俺のSS」
「野ばらちゃんかぁ。宜しく…な?」
さっきの怯えた顔も少しあるが、理解した桜懍は野ばらに手を差し出す。それを不快そうに火衣は見ている。
「あ、握手…握手ねっ!…あぁ、小さい手〜。メニアック!相当やばいわよ、桜懍ちゃんっっ」
「??」
「桜懍、その人から離れて」
「野ばら、完全にイっちゃってるなぁ」
そんな会話をしながらも、いつの間にか足は止まりラウンジ前に着いていた。
「………ここは、部屋じゃなくてラウンジでは?」
「いやぁー…、俺間違えちゃった☆」
「レンは馬鹿やなぁ?」
わざとらしい連勝の言葉にイラついたのか連勝を睨みつける火衣。それに気づいていないお気楽桜懍。
いつの間にか治ったのか、まださっきよりはまともな野ばらが口を開く。
「まあまあ。取り敢えず入りましょう?」
続く