二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: カービィ達がクトゥルフ神話TRPGをするようです。 ( No.5 )
日時: 2012/11/21 16:23
名前: グレイ ◆Qk0AOa1nlU (ID: jOSKkG.u)
参照: http://ははは、検索が大変だ。

1章 始まるのは一体何か

【PL】

「最初に、ご忠告をしませう」

静まりかえった家の中で、エヌゼットの声だけが良く響く。
因みに、喧嘩はカービィが鬼ごろし火炎ハンマーで鎮圧したようである。これ以上は言えない。

「クトゥルフ神話TRPGは、恐怖を楽しむための物。いきなりホラーシーンがドン! と現れることが多いのです、特にリボンさん、泣かないでくださいませ。そして、突如降臨する目を背けたくなるような邪神達、生き物だと言えるのかどうかすら危うい生物、生暖かい血液が飛び散り、ぐちゃぐちゃにされた肉塊。そんなものも現れます。覚悟を決めてくださいませ。まぁ、多少は自粛いたしますが……」

ごくり、と誰かがつばを飲み込む音が聞こえた。

「それでは、ゲームを始めませう。今回の目標は、勿論なるべく全員生還ですね。最初はリボンさんの探索者のRP(ロールプレイング)からです」
「はい!」

最初のエヌゼットの忠告の重い雰囲気を吹き飛ばすような声が聞こえた。いや、むしろ聞いていなかったのであるが。
嬉々とした表情で、リボンは答えた。
エヌゼットはにっこり笑って、良い心構えでせう。と呟く。

「あと、ここで誰か1人を合流させることが出来ますが、どうなされますか?」
「ジャア、僕が行くヨォ。何が起こるか分かんないしネェ」

すぐさまマホロアが名乗りを上げる。
周りも異論は無いようだ。

「それでは、歩夢さんの最初のシチュエーションをお教えします。マホロアさん以外の方は退出をお願いしたしまする」
「えー」
「何でだよ?」

カービィとデデデは不満そうな声を出す。

「仕方ないッスよ、だってオイラ達は他の所に居るって言う設定なんスよ。違うところにいるのに、知ってるのはおかしいじゃないッスか」

ワドルディの説得に納得したのか、2人は渋々といった雰囲気で家を出る。
因みに、マルクは言われてすぐに家の外に出ていた。

「さて、今からシチュエーションをお教えしますのでお好きなように動いてくださいませ」

好きなように、と言われてリボンは少しパニックに陥る。
初心者である、と言うことで何処をどうすれば良い方向に向かうか分からないから、であるのだろう。

「クトゥルフとかの良いところは、こういう自由なRPだからネェ。自分の探索者になりきって、この子だったらどう思うカナ……? って考えながらやってけば良いんだヨ。まずはシチュを聞きなヨォ」
「……そうですね!」

【RP】

女子高生である活莉歩夢は、夕暮れの住宅街を歩いていた。
この道はいつも通るのだが、街灯も人気も少ない。
しかも、普段ならもう少しは止めに帰るところだったのに、先生に引き留められて遅くなってしまったのだ。

(うーん……暗いですし、走って帰りましょう)

歩みを早める歩夢、すると、後ろからタッ、タッ、タッ、と走るような音が聞こえてくる。
ジョギングをする人だろうか?

(まぁ、走ってるだけでしょうしね)

そう思い、歩夢はそのまま軽く走る。
走っている音は、いつの間にか真後ろに聞こえた。
その時、誰かに押されたような感覚がして、歩夢は前のめりに転ぶ。

「いたっ!!」

《幸運ロール:45→50(失敗)》

転んだ際にリボンは足首を捻ってしまったようだ。
動かそうとすると、鋭い痛みが走る。
すると、いきなり右の腕の手首部分を強く捕まれた。

「な、何をするんですか!?」

掴んできたであろう人物は、ただ白いだけの仮面とニット帽で顔を隠しており、何処か不気味である。
振り払おうともがくが、振り払えない。

「だ、だれか——ッ!?」

突然、歩夢の右腕に鋭い痛みが走った。
反射的に右腕を見ると、注射器を刺されている。

【PL】

「あ、ここで一度、幸運ロールします!」
「分かりました」

【RP】

《幸運ロール:45→32(成功)》

歩夢が注射器をふと見てみると、夕焼けの色でも分かるくらいに黒い色の液体が入っていた。
それを無理矢理押し込み、歩夢の二の腕辺りから血が流れ落ちる。

「———いっ!?」

【PL】

「ここで一旦、マホロアさんの番です」
「了解、ダヨォ」

【RP】

青木遥がコンビニで夕飯を購入するために夕暮れの街を歩いていると、50メートルくらい前方の所で何か不審な動きをしている人物が居る。
どうやら、もみ合いをしているようだ。

「……何ダ? 喧嘩カ?」

もしそうなら止めなければと、走って近付いていくと、明らかに不審な人物が、大体女子高生辺りの女の子を襲っていた!

「お、女ァ!? ちょ、待て、寄るなそこォォォォオオオ!!」

遥の存在に気づいたのか、不審な人物はすぐに走って逃げていった。

《追跡ロール:85→90》

遥はすぐさま追いかけるが、男は路地を上手く使って遥は撒かれてしまった。

【PL】

「ハイィィ!? 何で私に怯えてるんですか!?」

突っ込むリボンに、マホロアはあれ? と言った表情でリボンを見ている。
因みにエヌゼットは最早引きつった笑顔だ。

「言ってなかったカナ? ワドルディ君と一緒にクトゥルフしたときネ、その時に登場した神話生物がニャルラトテップの化身、腫れ女だったんだよネェ。んで、その神話生物はね、扇子で目の下を隠すと凄く美人な中国人風の女性なんだけど。扇子を取ると、どうやって隠してたのか、その醜い本性を現すんダ」
「あ、もう拙者は察しました。黄灰の脂肪の塊のような強大な体躯に、不健康そうな肌色の触手が肩に生え、黒と黄色のチュニックを纏っています。目だけが可愛らしい女性のよう、そして小さな触手が生えた吐き気を催すような女神の神話生物です」
「そう、んで遥はその変貌を見てしまったんだヨォ。最終的には遥は完全に逃げ切ることが出来たんだけど、トラウマになって軽い女性恐怖症になったんだヨォ」
「何か、気持ちは分からなくも無いんですけど……何でマホロアさんが私と合流するのに名乗りを上げたのかが不思議です」

うんうん、とエヌゼットは何か同情をしたようにVTRの遥を見詰めている。
マホロアはマホロアで、この状況を楽しんでいるようだ。
ただリボンだけがツッコミを入れている。

「で、この後はどういたしませう?」
「とりあえず、歩夢の方に行くヨォ。色々探索しなくちゃダシ」
「分かりました」