二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

マギ 〜果てしない未来へ〜 プロローグ ( No.1 )
日時: 2013/02/01 17:59
名前: フレア (ID: 8fjoy93E)

——私はこれからどうなるのだろう。
バルバッドのスラム街で銀髪に淡紫の瞳を持つ少女は壁に背をもたれかけ、座った。
雨が降り始め、血に濡れた少女の服に滲む。
辺りからは「くそっ!あいつどこへ行った!!」「見つけ次第殺せ!!」など男達の怒号が聞こえてくる。
——私はもう駄目かもしれない。もう少し……人として生きていたかった………。
まぶたを閉じると次々と思い出が蘇ってくる。
「おいっ!!お前、大丈夫か!?」
 ほぼ逝きかけていた彼女をこの世に留めたのは金髪の少年だった。
少女は生気の無い目で少年を見た。
「私に関わらない方がいい。王家の手の者達に殺られるよ」
「王家の手の者達……?お前、何をしたんだ……?」
「いたぞ!!」
少女が少年の質問に答えようとした矢先、男の怒号がスラムに響く。
男達は剣を抜き、少女を切ろうと一直線に向かってくる。
「ここから立ち去れ……!」
少女は呻くように少年に言ったが、少年はその言葉に従わずに腰に差してあった短剣を抜いた。
「っ!君は……!その紋章は!!」
少女が驚いたのも無理はない。
その少年の短剣には迷宮攻略者しか持てないと言われている紋章が刻まれていたのだから。
実際には見た事は無かったが、一度本で見た絵と全く同じだったから少女は確信した。
「はぁっ!!」
少年が短剣を振り上げると少年の前に火柱が立った。
「ひぃぃぃぃっ!!」
男達は情けない声を上げ、武器を放り出し逃げていった。
「これが……迷宮攻略者……!」

金髪の少年は名をアリババ・サルージャと言う。
バルバッドの王族にして、最近巷で世間を騒がしている《霧の団》の頭領だった。
そして、少女の名はレーヴェ・レーセシア。
なぜ彼女が怪我を負ってスラムに居たかと言うと、この国の王は煌帝国の通貨《煌(ファン)》を大量に借り、結果、担保として海洋権・制空権・国土の利権・通商権を差し押さえられ、国民の税金を上げまくり、その結果、貧しい者は次々と死んでいった。
バルバッドの王、アブマド・サルージャを打ち倒すべく、レーヴェは城へ単身乗り込んだ。
しかし、少女は途中で想った。
王を倒しても、何も変わらないのではないか?と。
それが命取りとなった。
レーヴェの手は鈍り、兵士達によって致命傷を負わされた。
そして、今に至るわけだ。
しかし、皮肉にもこの出会いが変えることになる。
この国の、未来を。