二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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[日和]永遠なる酔いにおぼれ[細道]
日時: 2010/01/16 22:47
名前: 転 (ID: pD6zOaMa)

*注意*

・シリアス,ダーク
・もうこれ…ギャグマンガじゃない…
・芭蕉さんが鬱すぎる
・曽良くんの扱いがひどい
・要するにキャラ崩壊

苦情は一切受け付けませんのであしからず<(_ _)>

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Re: [日和]永遠なる酔いにおぼれ[細道] ( No.1 )
日時: 2010/01/16 22:49
名前: 転 (ID: pD6zOaMa)

月が綺麗だ と思った。
庭の花と池との組み合わせはとても素晴らしい,これだけで一句詠めそうだ と思ったが

「やめとこ」

今日は疲れた と縁側に横たわってみた,どうせこの家には誰も来ないのだから,こうしていても文句は言われない。
腹が減った とこの美しい景色には不釣り合いな一言を呟いてみる。
生きるためには食べなくてはいけない,しかし 生きたくなくとも腹は減る。これはすごい矛盾だ,とくだらない
瞑想に数秒目を閉じてみた,秋の虫の音色が心地良い。

「…食べなかったら 死ぬのか」

生きたくとも食べるものが無ければ死ぬ者もいれば,生きたくなくとも食べるものがあれば食べ,生きてしまう者もいる。
当たり前のことなのだが,空腹で思考回路がおかしくなっている自分には,それはとても不思議なことに思えてきた。
数年前と比べ,痩せた腕を見つめる 病的に白い。ストレスで軽く体を壊し,それが治ってもまだ体は弱ったままだった。
もしかすると 本当に,病に体を蝕まれているのかもしれない。
———このまま食事をとっても とらなくとも死ぬのかもしれない。
もし,自分が今この瞬間に死んだとしよう。この庭は荒れ,弟子たちは他の師につくか それとも一人で句を詠むのか。
悲しむ者はいるだろうか,どうせすぐ忘れ去られてしまうだろうけども 少しは泣いて欲しいとも思った。
遺書を書いていないから 私の財産はどうなるだろう,そこまで考えていた時だった。




「芭蕉さん 入ります」




(…あぁ)

来た としか思わなかった。少しずつ近づく足音に耳を傾けながら 横たわった体制のままでいると

「またこんな所で寝て 酔っているんですか?全く」

煩い。保護者のような口調は癇に障った,心の中で舌打ちをして しかし彼の言葉は一切無視する。
今 自分が死んだら,彼はどんな反応をするだろう。少しは悲しむのだろうか。

(私が死んだ時に)

ふわりと体が持ち上がった。部屋に運ばれるのか,と思った途端 急に吐き気に襲われる。呻き声が口から漏れると
彼はこちらの異変に気がついたのか 起きましたか,と刺々しく聞いてくる。あぁ気分が悪くなるその声。

(曽良君が泣いてくれますように)

それを 私は天に昇りながら 嘲笑えますように,死んだ後もそれくらい彼を憎めますように。
彼が 一生私のことを忘れませんように。
最低な願い事を唱えてみても,彼への憎悪はあふれ出る。

「芭蕉さん 大丈夫ですか」

「気持ち 悪い」

観念して吐き気をこらえて彼と口を聞く。あぁ嫌でしょうがない。気持ちが悪い,死んでしまいたい。

「体の調子が悪いくせに そうやって立ち歩くからですよ,この弱ジジィが」

あぁ何を言うのだろうか。この馬鹿な弟子は全てが自分のせいだと分かっていないようだ。
その声,顔,その雰囲気さえが殺してしまいたいほど憎い。
この景色も虫の音色も,夜風も台無しだ 帰ってほしい,消え去ってほしい。

「…曽良君 下ろしてよ」

「駄目ですよ 布団に運ばなければいけません」

「自分で歩けるから」

「その顔色じゃ無理です」

「大丈夫 そんなこと」

「そんなことじゃないです」


「————師匠の言うことを聞いてよ お願いだから」


無理矢理彼の腕を振り払うと 裸足で庭に下りて両手を広げ 空を見上げた。
あぁ なんて,綺麗な星空だろう。


「ば しょう さん」


彼の声が頼りなく聞こえる。それが嬉しくて思わず顔を綻ばせる。
声の方に振り返ると 急に目の前が歪んだ。


「芭蕉さん!!!!」


「———曽良君 ごらん?とても 綺麗だね」


君と違って。


「曽良君 やっと 吐き気が消えそう,やっと」


あぁ 私が死んだ時 彼がこの景色を思い出しますように

私への行いをずっと後悔しますように

そして 泣いてくれますように




END





* * *

色々とすいませんでした。打ち切りエンド的な感じなのは…その…。


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