二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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[テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ−
日時: 2010/08/22 13:52
名前: 亮 (ID: TtH9.zpr)
参照: ここは短篇集ですv まだまだ、リク募集中ですよー☆

 
 亮です^^
 初めまして、またはこんにちはv
 
 ここは短篇集となります
 1つ1つの話は、連載ではないので設定がかなり違います
 少し前まで“バトテニ短編”だったのですが、スレ主の性格がどうしようもなく浮気性なので。笑
 普通の夢小説も、とあるサイト様からお題を借りてきました☆^^
 なので、『いろんな愛のカタチ−スキだから、だからこそ−』に題名が変わりました
 各小説の題名は、いろいろなサイト様から借りてきています。


 主題歌 >>366 【巡音ルカ Just Be Friends】

       
 リクエスト用紙 >>108
 ↑新企画です☆^^ 是非どうぞv


 注意事項  >>3



(○・ω・)ノ-------------バトテニ-------------

 大好きな君へ5つの言葉       

 01  「好きだよ、これからもずっと、」(宍戸亮) >>7
      ドコデダッテキミノトナリニイラレルナラ

 02  「やっと会えたのに、ね」(越前リョーマ) >>14
     アエタノニ、ツタエラレタノニ
 
 03  「最後に伝えられて良かった」(越前リョーマ×美那浦麗) >>369 夜琉サマリクです
     フアンナノ、ワカラナイノ、アナタガ     

 04  「お前が泣くことじゃねーよ」

 05  「離さない、お前だけは絶対に」(向日岳人×神田瑞生)>>161 志筑様リクv
      イツマデモイツマデモ、キミヲハナサナイ


 バトテニ 20のお題

 01  夢なら覚めないで(越前リョーマ×大咲麻由) >>189 マユ様のリク^^
     ユメデダッテイイ、キミトイッショニイタインダ    
 
 02  消えぬ想い
 
 03  殺したいほど恋してる(リョ桜) >>25
     ブキヨウダケレド、サイテイダケレド、キミノコイシテル   
 
 04  愛に生き、愛に死す(白石蔵ノ介) >>107
     マモルカラ。キミノアイヲ、オレノアイヲ
     
 05  君の亡骸(跡部景吾) >>81
     モウイチド、ナイテオコッテ、ワラッテ

 06  死が二人を別つまで

 07  I Love You(不二裕太×暁野宮輪廻) >>134  うっさー様リクv
     オナジダヨ、カカエルフアンハ、オナジダヨ

 08  力いっぱい抱きしめたい

 09  嘆きのキス

 10  涙止まらない

 11  俺の誓い、私の誓い >>40
     オレハチカウ、キミニ、ジブンニ

 12  思う空

 13  エデン(楽園)の在処

 14  あと何回君の名前を呼べるだろう?

 15  君を守りたい

 16  Two of us

 17  永遠が見えた日(幸村精一) >>252
     アナタノエガオニ、エイエンヲミタ    

 18  君のためにできること

 19  Last Voice(中務隼人×織原リサ) >>126 志筑様リクv
     サイゴノコトバ。ソレハ、サイゴノネガイ
 
 20  ともにいこう


 バトテニで5のお題

 01  「どうするの?ここで死んじゃう?それとも、生きてみる?」(宍戸亮) >>468←最新up!
     キミノクチカラ、ソノコトバハキキタクナカッタ

 02  「罪悪感とかそういうの、どっかに落としちゃったみたい」(幸村精市) >>59
     アクマニココロヲウッタフリシテ、ホントウハズットタスケヲモトメテイル 
  
 03  「生きて帰れたらね、最初に何したい?」…なんて、とても無意味な質問

 04  「この世界の何かが狂って、俺も狂ったみたいなんだ」(切原赤也×朔夜)>>395 うっさーサマリク
     チハスキダ。ウソノナイオマエソノモノダカラ

 05  「さよなら」言ったその後に笑わないでよ。


 死ぬ前に思うことで5のお題

 01   せめて今だけは夢を見させて

 02   霞む景色は君を残して(跡部景吾×椎名蘭)>>301 夜琉サマリク^^
      セカイハキミヲウツクシク、アルベキスガタニモドシタ

 03   この時だけを、永遠に

 04   笑ってる、でも泣いている

 05   僕らは何を間違ったのか



(●・ω・)ノ------------恋愛------------

 ●素直になれない10題←new!!

 01  明らかな強がり(財前光) >>449←最新up!!
     ウラヤマシイノハ、アンタノホウナンスワ

 02  書いて消して、書いて消して

 03  小声の「ありがとう」

 04  定番ツンデレ台詞

 05  遠回しなサイン

 06  思わずいつものクセで

 07  興奮してつい本音が

 08  もう嫌い!

 09  照れ隠しの怒り

 10  本当のことを背中に語る(宍戸亮) >>285
     セナカニツゲレバ、キモチハカルクナッタ


 ●定番ネタで10のお題

 01  記憶喪失(不二裕太×暁野宮輪廻) >>166 うっさー様リクv
     タシカメタアイハ、オモッテイタヨリモオオキカッタ

 02  入れ替わり(遠山金太郎×如月蒼) >>207 志筑様リク
     ドンナスガタデモ、キミヘノキモチニカワリワナイ

 03  性格反転

 04  タイムスリップ

 05  女装or男装(越前リョーマ×美那浦麗) >>276 夜琉様リク^^
     オレヨリモカッコイイナンテ、ハンソクデショ?? 

 06  夢オチ

 07  昔の写真

 08  殺人料理

 09  幼稚園ネタ

 10  そんな……あなたが、敵…!?(鳳長太郎) >>148
     ソラハビョウドウ。テキモミカタモ、カンケイナイノ 


 ★あいつとのヤバい15題

 01  ヤバい!もしかして、今の見られた!?

 02  ヤバい!どうしてあんなのに引っかかるんだ!?

 03  ヤバい!プレゼントどこやったっけ!?

 04  ヤバい!全然、機嫌直ってねー!(幸村精一×葉月海羽)>>265リーラン様リクv
     キゲンヲナオシテ、キレイニワラッテ

 05  ヤバい!俺いま夢中で何言った!?

 06  ヤバい!これじゃあ今朝の占い通りだ!

 07  ヤバい!そんな顔して笑うな、喋るな、覗き込むな!

 08  ヤバい!いつまで続くんだ、この話題!

 09  ヤバい!嫌なトコまで可愛く見える!

 10  ヤバい!思いっきり疑われてる!

 11  ヤバい!俺の方が年上なんだぜ!?
 
 12  ヤバい!このままじゃ誤解されちまう!

 13  ヤバい!あいつもこいつ狙いかよ!

 14  ヤバい!こんなことで泣きそうになるなよ、 俺!


 ★遊園地デート5題

 01  何に乗るかで分かれる意見

 02  長蛇の列

 03  夢の中にいるみたい

 04  人混みではぐれた!(幸村精一×暁野宮輪廻)>>338 うっさーサマリク^^
     シンパイナンテサセナイデ、オレノウデノナカニイテ

 05  最後の乗り物


(●・ω・)ノ------------季節------------


 7月7日(七夕) 【短冊で知る本当の願い(それは天候さえ変える愛)】(白石蔵ノ介)>>320-321 
          アノヒノオネガイ、マダユウコウデスカ??

 
 いまのトコロは以上ですv
 徐々にお題をクリアしていこうと思います。
 この小説には、もう1つの小説“バトテニ-At the time of parting-”に出てくる、
 香澄や隼人、リサも登場します。
 もちろん、設定は変わりますが、性格など基本的なことはそのままです^^
 新しいヒロインの名前は“越智 弥 オチワタル”です。
 
 恋愛も含め、まだまだリク募集中です!
 待ってます!



 長々と失礼しました
 それでは、どうぞv










—————愛には、いろんなカタチがあるんです。
      
      強く、深く、包み込むように抱きしめる。
      何よりも相手を思い、守り抜く。
      共に笑い、共に涙し、共に生きる。
      そして。

—————共に死すこと。 それも、“愛のカタチ”。









どうか彼方に、彼方だけの素敵な愛のカタチが見つかりますように。

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Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.203 )
日時: 2010/06/09 16:48
名前: 亮 (ID: cX1qhkgn)

>マユ

 運動も勉強もしないのは問題外だけど。笑
 
 おお、茶化すヤツはやっつけろぉ! 
 亮のトモダチも皆、「協力するー」って言って自分が話しかけるばっかのヒトだから^^;
 ライバルなんだかトモダチなんだか分かんない。笑
 
 ヒトの口コミは怖いぜwww

 ホント、似てるね。
 話しが逢うから嬉しいよ^^


>皆様

 >>189【夢なら覚めないで】 upしました。
 遅くなってすんまそん^^;

Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.204 )
日時: 2010/06/09 18:44
名前: 志筑 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)

仲良くしないワケがないよーッΣ
逆に僕の事を忘れないで仲良くしてn((蹴r

静「シーヅキちゃ〜ん……??」
臨「お葬式には行くからね」

ちょっと待て!!
なんで僕が死んでる事になってるんだよっ!!
まだ生きてるかr静「これから死ぬんだよ」

蔵「観念して成仏せや」
謙「しぶといで」
臨「あれっ、反応しない……」

(ぐっ、僕はいらない子なんだ……!!)
▼志筑は心を閉ざした。

侑「俺の技パクんなや」

更新読みましたー!!
ちょ何コレ、待って、お母さん(亮)とお姉ちゃん(マユ)が意地悪するよ!!
リラ、ちょっとお姉ちゃん(志筑)を助けて←つかしてねぇよ
亮の文才とマユが生み出した素敵キャラのコントラストが素晴らしいwww

うさの輪廻ちゃん同様、素晴らしかったぜー★
遅くなりましたが、更新乙v^^v 
続きのリクも楽しみにして待っています。笑

Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.205 )
日時: 2010/06/09 18:31
名前: マユ ◆vars8VB/bg (ID: 6CqIKfIj)

そうだね(笑

いや、それはもうライバルではw
その友達との話に割って入ればいいんだよ☆
秘密が出来ると黙ってはられないんだろうねぇー

そうだね^^
相談し合えるし、ウチも嬉しいな♪

うぽつ!
切ない雰囲気に涙腺崩壊だよぉぉ〜!
リョーマと麻由の綺麗な笑顔が浮かんでホロリときた;
亮、感動をありがとう^^

Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.206 )
日時: 2010/06/09 23:47
名前: 亮 (ID: cX1qhkgn)

>志筑

 うわあああああ、ありがとう志筑ぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 蔵「キモイねん、ありえへんわ、お前」

 そんな覚めた瞳で見ないでよ!
 ヒトが感動してんのn「それがキモイっちゅーねん(謙」

 あああ、謙ちゃんに言われた^^;

 臨「優しい志筑が、あの駄文に感想くれてるよ^^」

 サラッと駄文と言わないで。
 お前が言うと3割り増しくらいに腹が立つ★

 臨「死んで貰おうか^^」

 逃げるが勝ちッ
 感想ありがとー^^
 塚、コメにフイタwwwwww
 そうだよ! 亮は志筑のおかーさんだよ!
 
 半分以上、麻由ちゃんと、マユに助けられた^^
 亮だけじゃただの駄文だけど、2人のおかげでステキな駄文になった。笑

 次は蒼ちゃん描くよー ちょっと待ってねー☆


>マユ

 もう、回りはライバルだらけだよ。笑^^
 1番のは、やっぱり彼女ちゃんなんだけど^^;
 亮はそんなに優しくないから、別れろ別れろって呪いを掛けてるb

 リア友はあんまり亮の話し聞いてくれないし、マユがいて良かったよー☆

 わわわ、喜んでいただけましたかッ
 駄文ですんまそん。
 麻由ちゃんの出番も少なかったし、ごめりんこ。

Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.207 )
日時: 2010/06/16 16:50
名前: 亮 (ID: cX1qhkgn)






———————————あれ?





キミが私で、私がキミ?
私がキミで、キミは私?



ああ、もうワケ分かんなくなっちゃう。



だけど。



キミの隣に居られることに、キミの隣で笑えるコトに。
変わりがないのなら。







ワケ分かんなくても、良いのかも知れないなぁ。







「ちょい待ち。 おかしいやろ! どー考えても!」


いつも騒がしく、平和な四天宝寺中テニス部室。
そこに、大きな怒声が響き渡る。

「声大きいよ、白石ぃ」
「せや、うるさいでェ」

呑気に耳を塞ぎながら困り顔をする2人。

「これが黙っとられるか!」(白石)

後ろで、他のレギュラーたちも頷く。
同意しないのは、問題を起こした本人たちのみだ。

「取りあえず、状況を説明しや。 詳しくな、分かるようにやで! あ、金ちゃんやなくて蒼がな」(白石)

あえて金太郎ではなく、蒼を選ぶ白石。
“蒼”は“金太郎の顔”でニコリと微笑む。
隣には“蒼の顔”で“金太郎の顔をした蒼”を見つめる“金太郎”がいる。

「あー・・・ もう、ワケ分からんッスわ」(財前)
「せやな」(謙也)
「私も金ちゃんも、変わらへんと思うけどなぁ」(蒼)

声は確かに、“金太郎の声”だが口調は“蒼”。

「せや! ワイがぜーんぶ説明したるでェ!」(金太郎)

“蒼の声”がしたかと思えば、それは“金太郎”で。

「もう、どっちでもええわ! 話してみぃ」(オサム)

後ろで呆れたように見ていた、顧問のオサムも大きな声を出す。
すると“蒼の顔”は“金太郎のような笑顔”で笑った。

「ほな、よー聞ぃとってや!」(金太郎)

「えーっとな、まず、
 ワイがバァ————————ッと走っとってな、蒼もドタドタやっとてな、ゴッツーンて、なってもうたんや」(金太郎)

「そうそう」(蒼)

返す言葉もなく、白石は“金太郎”な“蒼”のほうを見た。

「蒼、もっかい説明しぃや」(白石)
「しゃーないなァ ———えーと」(蒼)



遡ること、10分前。



「金ちゃーん、ヒマやなぁ」(蒼)
「せやなぁ、まだ腹も減らんし」(金太郎)

いつもより、少し早めに部活に来た2人。
早すぎたようで、まだ他には誰も来ていない。

「白石が来ればおもろいのになぁ」(蒼)

白石をどうするつもりなのか、2人以外には想像出来ない。
金太郎は蒼の言葉に「せや」と同意した後、何か思いついたように寝そべっていた身体を跳ね起こした。
隣で、驚いた蒼は目を見開く。

「な、何やの、金ちゃん」(蒼)

金太郎は、いつもの無邪気な笑顔をしてみせる。
蒼は依然、キョトンとしたままで。


「皆が来るまで、2人でテニスするでぇ!!!」(金太郎)


大声でそう言ったかと思うと、金太郎はさっそくコートのほうへ走る。
蒼はと言うと、「その手があった」と両手をパンと合わせた。


「行くでぇ! 蒼ぉ!」(金太郎)
「おぉーッ 来い!」(蒼)


しばらく、ボールを打ち合う。
デタラメにボールを打ちまくる金太郎に、蒼は当然のように着いていく。
蒼の運動神経は、並みのモノでは無かった。
———もし、蒼の運動神経が並みか、もしくはそれ以下だったなら。
この後のハプニングは無かったかもしれない。


「なんか、めっちゃノって来たぁ!」(金太郎)


金太郎が楽しそうに叫ぶ。
蒼も同意のようだ。

「せやな!」(蒼)

無意識に、金太郎はマネージャーの蒼を、自分と同レベルのテニスプレイヤーと見なした。
それが、始まり。
金太郎は、何の悪気もなく何の躊躇もなく、それを繰り出した。


高く、高く、金太郎はジャンプする。





「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐ィィィ!!!」(金太郎)





人並みはずれた金太郎の懇親のパワーが、そのボールに込められる。
剛速球となったそのボールは、コート全体をジグザグに巡る。

「!」(蒼)

普通の人間ならは、ボールを恐れコートから逃げ出すだろう。
しかし、蒼は違う。


「すっごいねー! 金太郎!」(蒼)


目を輝かせ、そのボールへと突っ込んだ。
何故、彼女はただのマネージャーなんだ?
今の蒼を見れば、誰もが抱くだろう疑問だ。
金太郎もその光景を見て、微笑む。

「今すぐ、打ち返してあげる!」(蒼)
「返り討ちにしたるわぁ!」(金太郎)

突っ込む。 迷い無く、躊躇無く。
どんどん、どんどん、どんどん、どんどん。
走る。 砂埃の中を。 真っ直ぐ、真っ直ぐ。






「えいッ!」(蒼)





蒼の声と共に、砂埃は一層多くなる。
金太郎にも、前方が確認できない。

「うわぁ!」(蒼)

蒼の声が、今度はもっと近くで聞こえた。

「蒼?」(金太郎)










割れたボールと共に、少女が金太郎にぶつかった。










「そんなワケや。 分かった? 白石ィ」(蒼)

蒼が呑気に言う。

「おもろかったなぁ、金ちゃん。 金ちゃんのボール、すごいんやもん」(蒼)
「へへへ、蒼もごっつかったでぇ」(金太郎)

2人は2人の世界へ入っているようだ。
それを、白石はまたも怒声で崩す。


「金ちゃん! 蒼みたいな女の子の素人に、そないな危険なことしたんか!!!」(白石)


蒼はへらへら笑ったまま、金太郎はビクッと硬直したまま、白石の顔を見る。

「し、白石ィ」(金太郎)
「今度暴れたら、毒手やで?」(白石)
「いややぁ!!!」(金太郎)

そんな光景を、蒼はニコニコ眺める。
隣に経っている財前が、珍しく口を開いた。

「なぁ、呑気にしとるけど・・・ 不安やないんか?」(財前)

「ふぇ?」(蒼)

とぼけた声を出す蒼に、財前はため息。

「せやから、不安やないんか?」(財前)
「うん、全然」(蒼)

再び、大きくため息を付く。


「一生そないな姿やったら、やりたいコトも出来へんで? 蒼も金ちゃんも」(財前)


一生? このまま? やりたいコト? 出来ない? 

———そんなコト無い、そんなコト無いよ。
   だって、私のやりたいことは、隣にいること。
   隣で、笑い会うことだよ?
   だったら、今のままでも出来てるじゃん。

蒼は、財前に伝えようと口を開く。
その声は、白石の言葉にかき消された。



「戻る方法考えるで。 早よせな、テニスどころやないやろ」(白石)



テニスドコロジャナイ。

蒼の胸に深く、深く、響く。

気がつけば、“蒼になった金太郎の腕”を引っ張って、部室を出ようとしていた。


「ちょ、蒼、なんなん?」(金太郎)


金太郎は困ったように蒼に問う。
蒼は振り向かずに、走り出した。

「蒼?!」(金太郎)

後ろからは、皆が追ってくる。

「止まりや、蒼! 急にどないしたんや?」(金太郎)

蒼はピタ、と足を止める。
金太郎は肩を持って無知やり振り向かせた。

振り向いた蒼は、



何故だか、



泣いていた。


「あ、お?」(金太郎)

何故だか、分からない。 自分自身にも。
だけど、どうしようもなく、悲しくて。
どうしようもなく、情けない。

「ごめん、ごめんね、金ちゃん、」(蒼)
「蒼?」(金太郎)

———私、勝手だ。
   “このままでいい”なんて、勝手だ。

「すぐ、戻ろう。 無理矢理でも、戻らせよう?」
(蒼)
「何でや? 別に急がんでもええやん」(金太郎)





「だって! だってやだもん! 金ちゃんがテニス自由に出来ないなんて、やだもん!」(蒼)





やだ。 とてつもなく、やだ。
自由に動き回る、元気な金ちゃんがスキ。
テニスが大好きな、純粋な金ちゃんがスキ。
強い相手をどんどん倒す、かっこいい金ちゃんがスキ。
自分のせいで金ちゃんがダメになるなんて、絶対やだ。

蒼は泣く。
蹲って顔を見せないようにして。

「泣くことやないで?」(金太郎)

金太郎の声がやけに近くで聞こえて、顔を上げた。
そこには、蒼の目の高さまで屈んだ金太郎がいた。

「でも、」(蒼)





「ワイは、どんなカッコでもテニスするし、どんなカッコでも、蒼といられたらそれでええんやで?」(金太郎)





自分の顔を慰め、自分の顔で慰められるなんて、変な話。
だけど、ココロの奥がとてもあったかくて。

蒼は、強く頷いた。

「取りあえず、コートに行こう?」(蒼)



「行くでぇ! 蒼!」(金太郎)

“金太郎”が“蒼”の声で叫ぶ。
目の前には“金太郎の姿”の“蒼”が立つ。

「よっしゃ、来いッ」(蒼)

さっきと違うのは、皆が周りで見守っているということ。

どんな姿でも、どんなコトが起こっても。
テニスを楽しめる気持ちと、キミを好きな気持ちは、絶対絶対絶対、変わらない。









「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐ィィ!!!!」










“金太郎”の声が響く。
砂埃が立った。
この砂埃が消えたとき、
白石が金太郎に、財前が蒼に、謙也が財前に、蒼が白石に、金太郎が謙也になっていたけれど、それはまた、別の話。


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