二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 日時: 2010/11/18 21:09
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
失礼しました
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- Re: 水草炎の物語(ポケットモンスター) ( No.5 )
- 日時: 2010/11/18 21:00
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
第五話 『脅威の存在、破壊のハジマリ』(フシギダネ)
目が覚めると、いつのまにか外に出ていた。
不思議に思い、先程の洞窟に行ってみると、オコリザル含め、マンキー達は全員倒れていた。
「……あの声の主か。」
さっき体に入りこんだ謎の存在。それは明らかに自分とは力の差がある存在だった。
倒れているオコリザル達も最低限の傷で済んでいる。
圧倒的な力と、実力を持つ、そう、神のような……
「まさか、な。」
そういうと、フシギダネはその場を離れた。
オコリザル達が目覚めたのは、フシギダネが出て行った、約十分後の事だった。
「ちっ、なんなんだよさっきのポケモンはよぉ!」
オコリザルはいつも以上に怒りを表している。
子分のマンキー達もたった一匹のポケモンに自分たちを全滅させられたことに腹を立てていた。
「あー、もう! イライラする! だれか、殴らせろ!」
怒りの限界に達したオコリザルはマンキー達に向かって突っ込んでいった。
そこに……
「お前達に聞きたいことがある。」
一匹のポケモンが現れた。オコリザル達の視線がそちらに向く。
それは白い体をした人型のポケモンだった。
「誰だぁ、てめえは?」
「先程お前達と戦ったフシギダネについて聞きたい。」
「人の話を聞けよぉっ!」
怒りの矛先を謎のポケモンに向け、オコリザルは飛びかかった。
「愚かな……やはり、ポケモンというのは身勝手な者だ。だが、これはお前達から仕掛けた争いだ。私はそれから我が身を守る、それだけだ。」
その頃フシギダネは22番道路の中間地点に来ていた。
「ん? あそこに池がある。休むとしよう。」
そういうとフシギダネは池の方へと歩み寄った。
その時、空から緑色の蜻蛉のような竜が舞い降りてきた。
「あんたは?」
「ん? 僕はフライゴンだよ。ここから先は険しい山道になってるからね。いったんここで休憩さ。」
「険しいってあんた飛べるじゃん。」
「知らないの? あの山は飛んでいくと火の鳥に出会うって言われているんだ。だから飛べるポケモンでも歩いて行くしかない。まぁ、あの山にいるポケモンは皆強いから滅多に登山するポケモンはいないけどね。」
初耳だった。火の鳥とはどういうものだろう。少し興味が出る。だが自分は飛べないし、炎にも弱い。あまり追求はしないでおこう。危ない物にはできるだけ近寄りたくない。
「ところで……」
フライゴンが再び口を開く。
「君の名前は何て言うの? まだ僕しか名乗ってないよね。」
「あぁ、僕はフシギダネ。」
「そう、よろしくね。ところでフシギダネ君は何故ここにいるの?」
「そうだなぁ、どこへ行くという目的もないし、あの山に登ってみようかなぁって。」
フライゴンはぽかんと口を開いている。
「君、あそこのポケモンの強さを知らないの? 失礼だけど、君だけで登れる山じゃないよ。」
「僕も腕には自信がある方さ。」
「へぇ、だったら一緒に行かない? 僕も少し不安でさ、はは。」
「うん、まぁ、良いよ。」
こうしてフシギダネはフライゴンと友達になり、一緒に山に登ることにした。
『火の鳥』。そう呼ばれる存在がすでに二匹を見つめていることも知らずに。
「な、てめぇ……何なんだよ!」
「「「こいつ、強すぎる、まるで歯が立たねえ!」」」
オコリザル達は自分達の技が一切当たらない、そのポケモンに、恐怖を感じていた。
「今までのは正当防衛。だが、これからは違う。貴様等を消す!」
ポケモンが放った衝撃波、マンキー達やオコリザルはそれに直撃する。
「うぎゃあああぁぁぁぁ!」
その凄まじい威力の衝撃波は、洞窟を破壊し、天井からは岩が落ち、すぐに洞窟はふさがった。
「私には破壊する事しかできない。これもまた、運命だ。」
そういうとポケモンは手に気を集中させ、エネルギー弾をつくりだす。
「人間には邪魔はさせぬ。」
そういうとエネルギー弾をトキワシティに向けて放つ。
爆発。トキワは一瞬にして火の海となった。
ポケモンはその燃えるさまを少しの間見た後、フシギダネが向かった山の方へ、飛んで行った。
- Re: 水草炎の物語(ポケットモンスター) ( No.6 )
- 日時: 2010/11/18 21:01
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
第六話 『化石達の全盛期、過去へ』(ゼニガメ)
セキチクシティの南のある海、通称、19番水道。
その海にゼニガメはいた。
「なんだかんだ言って、海も久しぶりだなぁ。」
自分の目的も忘れてはしゃぐゼニガメ。
『さて、このあたりで良いかな。』
上空から声がした。
「ん?」
見ると、薄い緑色の精霊のようなポケモンがいた。
『……』
ポケモンは少しずつ体内に力を吸収していく。
ゴゴゴ……と空気が唸り、ポケモンが光り出す。
「……何かこれ、やばいんじゃ……。」
ポケモンの力が一気に体外に放出される。
「ちょ、おーい!」
『え……』
瞬間、今までの景色が消え、代わりに違う景色が広がっていた。
「……何で?」
『ごめん、君まで巻き込んじゃって。』
「君誰? ここはどこ?」
『私はセレビィ。ここは1億年前の19番水道。』
「は? 1億年前? そんなの信じられるかよ。」
『別に信じてくれなくても良いわよ。本当の事だもの。私の能力、時渡りの力でタイムスリップしたのよ。貴方が近くにいたから一緒に来ちゃったのね。』
「じゃぁ、今すぐ戻してくれよ。」
『あぁ、無理。時渡りは一度に莫大な力を使うのよ。せめて1日待って。』
「そんな……まぁ、この辺を散歩して時間をつぶそう。」
そんなこんなで散歩を始めたゼニガメ。
浜辺に打ち上げられているポケモンを見つけたのは1時間後の事だった。
「大丈夫か? しっかりしろ!」
「……」
「う〜ん、オイラはこんな昔のポケモンに関する知識はないし、どうしよう。」
「お〜い、どうしたんだ。」
またしても上空から声がした。
今度は灰色の体をした翼竜のようなポケモンだ。
「君は?」
「あぁ、あっしはプテラ。それよりどうしたんだ。そのポケモン、随分ダメージを負ってるようだが。」
「そうなんだよ。こいつ、浜辺に打ち上げられていたんだ。」
「見たところそいつはリリーラだな。まずは、体力を回復させないとな。」
そういうと翼竜、プテラは背中に巻いてある葉っぱからオボンの実を取り出し、リリーラに食べさせた。
するとリリーラの体は少しずつ回復し、本人の意識も戻った。
「……。(ありがとう、助かった。)」
「あれ? 喋れないのか?」
無言のリリーラは静かに頷く。
「そうか、この時代のポケモンはあまり学力も高くないんだな。」
「……! ……!(違う、そんなんじゃない! 元々リリーラという種族は喋ることができないのだ!)
「さてと、そろそろセレビィの所に帰るかな。旅を続けなきゃ。」
「……!(人の話を聞けー!)」
「セレビィ? お前の仲間か?」
「あぁ、そうさ。それから、オイラの名前はゼニガメだ。」
「ゼニガメね。覚えておく。さて、ゼニガメ。あっしもそのセレビィの所に連れてってもらっていいか?」
「ん? 何で?」
「セレビィってのは時を超える力を持つポケモンだろう? あっしはお前についていきたいんだ。」
「ついていきたいって、ただの危険な旅だぞ。」
「あぁ、構わねえよ。旅ってもんを生きてるうちにしてみたかったんだ。」
「……良いよ。味方は多い方が良い。だけど、命の危険が及ぶ旅になる。覚悟はしとけよ。」
「もちろんだ。」
そんな会話をした後、2匹はセレビィの元へ戻ろうとした。
しかし、突然足に草が絡まり、派手に転んだ。どうやら、リリーラの技らしい。
「痛た……リリーラ、お前も来るか?」
頷くリリーラ。そこにプテラが飛んでいき、リリーラをつかむ。
「お前じゃ陸地を早く動けねえだろ。あっしが運んでやるよ。」
「……。(ありがとう。)」
『君……多数のポケモンを連れての時渡りがどれだけ難しいか知ってる?」
呆れ顔でセレビィが言う。
『ま、良いわ。明日朝5時に戻るわよ。』
「感謝するよ。」
そして次の朝、4時30分。
『ほら、起きて。』
予定の時間より30分も早く起こされた。
「なんなんだよ、まだ時間じゃないでしょ。」
『そんなこと言ってる場合じゃないわ。周りを見て。』
見ると多数のアーマルドとアノプスが自分たちを取り囲んでいた。
「ちっ、起きて早々バトルかよ。リリーラ、プテラ、起きろ!」
「……。……。(起きてるよ。1時間前から。)」
「うぅ〜ん……!? な、なんじゃこりゃあ!?」
何を言ってるか分からないが戦闘態勢をとるリリーラと突然の出来事に驚くプテラ。何とまぁ対照的で。
『後30分、時渡りのパワーを貯めるまで粘って! 私もできるだけ援護するわ!』
ゼニガメ、リリーラ、プテラがセレビィを背にして立つ。
アーマルド達が一斉に襲い掛かってくる。
さて、戦いのはじまりだ。
- Re: 水草炎の物語(ポケットモンスター) ( No.7 )
- 日時: 2010/11/18 21:02
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
第七話 『VS化石ポケモン、始祖鳥襲来』(ゼニガメ)
アーマルド達が一斉に襲ってくる。
リリーラは自然の力を球体にして打ち出す。
それは一匹のアーマルドに直撃し、爆発。周りのアノプス達も吹き飛ぶ。
プテラは口元にエネルギーを溜め、一気に打ち出すという大技で前方の敵を一掃する。
セレビィは幻想的な色の葉を辺りに撒き散らし、アノプス達を切り裂き、援護する。
「すげえな、おいらも負けねえぜ!」
ゼニガメも水鉄砲を打ち出しアノプス達を攻撃する。
次第に立っているアノプスの数も減っていき、残るは3体のアーマルドのみとなった。
それらは一斉に攻撃を仕掛けてきた。
一匹はエネルギーを岩にして勢い良く何発も打ち出す攻撃……ロックブラスト。
一匹はツメを光らせ、十字に斬り裂こうとする攻撃……シザークロス。
一匹は尾に水のエネルギーを集中させ、叩きつける攻撃……アクアテールを使用する。
「あっしに任せろ!」
そういうとプテラは拳を地面に叩きつける。
すると、地面は割れ、その破片は空中に浮き上がる。
それは一点に集まり、全てのアーマルドに均等に降りかかる。
その岩の集まりは雪崩のようにアーマルド達に襲いかかる。
岩の集まりによってアーマルド達は動きを止めた。
そしてロックブラストはプテラの放つ光線……破壊光線によって粉々に砕け散った。
「あいつらは動けねえ! いまだ!」
プテラの指示でゼニガメの水鉄砲、リリーラのエナジーボール、セレビィのマジカルリーフが的確にアーマルドの急所に当たる。
ほぼ同じのタイミングでアーマルド達は倒れた。
「よし、片付いたね。セレビィ、後何分で時渡りができる?」
「後、10分くらいね。」
「そうか、なら休んでると……」
「ヒャッハ———!!」
……こういうシーンで邪魔者が出るのはお約束なのだろうか。
声の主は上空から高速で襲ってきた。
「誰だてめえは!?」
プテラがそのポケモンに向かって叫ぶ。
「俺はアーケオス! お前はプテラか? 俺はプテラは嫌いなんだよ。俺と遊ぶのは、お前以外だ!」
そういうと声の主……アーケオスはプテラに向かって回し蹴りのように尾を叩きつける。
「グッ———!」
くぐもった声を出しプテラははるか彼方に吹き飛んでしまった。
「……、……。(ドラゴンテールか、厄介な技を持っているな。)」
「さて、次はお前らだ!」
アーケオスは体の周りに先の尖った岩を浮かせ、一気に飛ばしてきた。
ストーンエッジ。そう呼ばれる強力な技だ。
それはゼニガメ達に直撃———せず、ゼニガメ達を囲むように地面に突き刺さった。
「クク……これで横には逃げられないぜ。」
そしてアーケオスはもう一度尖った岩をつくりだし、撃ちだした。
横への移動を封じられ、上空からは大量の岩が降ってくる。ゼニガメ達は地中に潜る技も使えない。
万事休す———
———ふむ、もう我の力が必要、か……
オオオオオオオオォォォォォォォォ!!
謎の声、そしてその後に耳に響く咆哮。
瞬間、ゼニガメの体から巨大な影が現れ、降ってくる岩と、周りに刺さっていた岩を、まとめて吹き飛ばした。
そしてその影は消え、辺りには吹き飛ばされた岩が転がっていた。
「今のは、一体?」
「そんなことよりアーケオスを見て!」
見るとアーケオスは体中を黒い煙で縛られていた。
「な……何だこれ!? 動けねえ!」
「良く分からないけど、今だ!」
ゼニガメのみずでっぽう、リリーラのエナジーボール、セレビィのマジカルリーフがアーケオスを直撃する。
「グッ……まだだ、まだだぁ!」
三匹の攻撃を振り払い、アーケオスは突撃してくる。
「準備完了! 時渡りよ!」
辺りがゆがみ始め、セレビィが力を解放しようとする。
しかし、このままではアーケオスの方が速い。
「あっしを置いていくなぁ!」
先程吹き飛ばされたプテラが凄まじいスピードで戻ってきた。
エネルギーを纏いながら。
ギガインパクト。一回の発動でかなりのパワーを使ってしまう技だ。
不意を突かれたアーケオスは避けることもできずにプテラの突撃を横腹にまともに受けた。
「グ、ハァ……!」
今度はアーケオスが吹き飛ばされ、時渡りの範囲から出る。
瞬間、その場所から、ゼニガメ、リリーラ、セレビィ、プテラは消えた。
「帰ってきたな。」
「えぇ、まさかあんな戦いに巻き込まれるなんてね。」
「すげえ! これが1億年後か! すげえ、すげえよ!」
「……。(1億年前から随分と変わったものだな。)」
プテラとリリーラは辺りを眺めている。
「あんなことがあったから、場所がちょっとずれちゃったね。」
「あぁ、おいらはここはあまり来たくなかったんだが……。」
目の前にあったのは所々が凍りついた洞窟、ふたごじまだ。
ここには昔から伝説の氷の鳥が棲むと言われている。
「おっ、ここは何だ? 行ってみようぜ!」
「ちょっ、まっ……」
プテラとリリーラはさっさと洞窟に入ってしまった。
「……まぁ、氷の鳥に会うなんてことないよな。」
呆れ顔でゼニガメも洞窟に入る。
「……あの子たち、面白い。私もついていこう。」
それに続きセレビィも洞窟に入る。
しかし、すでに氷の鳥は察知していた。
島への侵入者に……
- Re: 水草炎の物語(ポケットモンスター) ( No.8 )
- 日時: 2010/11/18 21:02
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
第八話 『動き出す巨悪』(ヒトカゲ)
「死」というものはいずれ誰でもやってくる。
死後は元々の形は崩れ去り、「霊」としてこの世を彷徨うものもいれば、死の国へ行きその後永遠にこの世には戻ってこないものもいる。
ただし、例外がある。
死んでも元の形が崩れず、再びこの世に戻ってきた存在だ。
これには2つのパターンがある。
一つは死の国の「神」に認められて、この世に戻ってくるパターン。
そして、もう一つは……
圧倒的な力により、死に反逆したパターン。
後者は絶対にあってはならない事だ。実際にその禁忌を犯した者は現在、この世に24体しかいない。
その24体をポケモンたちはまとめてこう呼んでいた。
死の神に反逆した王、「24神王」と。
「この三匹はいずれ我の計画の妨げとなるだろう。」
「……仰る通り。」
「では、今のうちに狩っておくべきだ。行け、夢想界翼、再起百合姫、再起刃王。」
「御意。」「了解しましたわ。」「承知。」
「もうすぐだ。もうすぐ、我の計画が発動する……」
ハナダシティの東に位置する道路、9番道路。
あまり人通りは無く、野生ポケモンが好んで生息している。
そこにヒトカゲは居た。
「旅をはじめたはいいものの、どこに行けばいいかわからない。どうすりゃいいんだ?」
そんな時だった。
空から一体のポケモンが舞い降り、ヒトカゲをつかんで再び空に舞い上がった。
1.5mはあるであろう体に長いたてがみ。
ポケモンの正体はピジョットだった。
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
突然の出来事に動揺しまくるヒトカゲ。
「何? 何!? 何!!?」
「うるさいな、暴れんな。落ちるから。」
「何が目的なんだよ?」
「エレキブルってポケモンが炎タイプのポケモンを探している。それでお前を見つけたから連れて行く。それだけだ。」
「それだけの理由で!? 他には炎タイプがいなかったのか?」
「いなかった。」
「……。」
何をされるかは知らないが、呆れるばかりだった。
数十分後、無人発電所。
「さぁ、着いたぞ……って、妙に静かだと思ったら寝てたのかよ!」
「んぁ? だって空飛んでても意外と暇なんだもの。」
「……まぁいい。あれがエレキブルだ。」
ピジョットが指した方向には黄色い虎柄のポケモンがいた。
「おーい、エレキブル、連れてきたぞ。」
「お、早かったじゃねえか。そいつか?」
「あぁ、多分ヒトカゲだな。」
誰がどう見てもヒトカゲだろうが。
「だが、ちょっと頼りなくねえか?」
「言わせておけば、失礼なことを……。」
「じゃあ、試してみるか?」
「「は?」」
「お前らがバトルをするのさ。そいつが勝てば手伝ってもらうってことで。」
「俺は別に良いが……。」
「て、いうか何をするんだよ? まだ聞かされてないぞ?」
「雷の鳥を倒しに行くんだよ。」
「え?」
その言葉に、ヒトカゲは固まった。
雷の鳥のうわさは聞いたことがある。この辺りに生息している伝説のポケモンだ。
「じゃ、始めるとするか!」
「ちょ、ま……」
エレキブルはヒトカゲに向かって飛びかかった。
旅を開始して早々、とんでもないことに巻き込まれたようだ。
- Re: 水草炎の物語(ポケットモンスター) ( No.9 )
- 日時: 2010/11/18 21:03
- 名前: ほしのすな ◆5VZ6lwsTJw (ID: F35/ckfZ)
第九話 『その身に宿るは竜の力』(ヒトカゲ)
エレキブルは拳に雷を纏わせ、ヒトカゲに振りおろしてきた。
ヒトカゲはそれを間一髪でかわすと、火の粉を吹き、反撃した。
「無駄だ!」
その火の粉はエレキブルに軽く振り払われる。
それと同時にエレキブルは二つの尾に溜めてあった電気を放出した。
その二つの電流は、一つに交わり、光線のようにまっすぐとヒトカゲに向かっていく。
ヒトカゲは火の粉を吹き相殺しようとするが———逆に火の粉は吹き飛ばされ、その光線———チャージビームはヒトカゲに直撃した。
しかしそれでも火の粉によって多少は威力を削ることができたので、大したダメージにはならなかった。
「よし、反撃だ!」
とはいってもヒトカゲの攻撃は全てエレキブルの拳によって防がれてしまう。
火の粉も、爪を鋼質化させて切り裂く技、メタルクローも、エレキブルの雷を纏ったパンチの前では無力に等しかった。
「あのパンチの威力を下げられれば……、そうだ!」
ヒトカゲは体毛から小さな玉を取り出し、エレキブルに向かって投げた。
それをエレキブルは片手で難なくキャッチする。
と、同時に玉は爆発し、エレキブルの体が炎に包まれた。
「ちぃっ! 火炎玉か!」
そう、ヒトカゲが投げたのは火炎玉。
投げることによって爆発し、相手を火傷させる事が出来る。
そして火傷したポケモンは、痛みによって体に力が入らなくなり、物理攻撃の威力が低下する。
それはエレキブルも例外ではなく、雷パンチの威力は弱まっていた。
「これで攻撃の威力は低下した。後は少しずつダメージを与えれば……」
「ふん、火傷を負ったなら、物理的な攻撃ではなく、特殊的な攻撃をすればいいんだ!」
そういうとエレキブルは再びチャージビームを放つ。
それは先ほどのチャージビームより威力が増し、スピードも上がっていた。
「ぐっ!」
避けるのが一瞬遅く、光線はヒトカゲにかすった。
「まさかあの技は……」
「そうだ! チャージビームは撃つたびに身体にエネルギーが溜まり威力が増すんだ!」
その後もエレキブルは威力が上がり続けるチャージビームを連発していた。
ヒトカゲは防戦一方で、避けられない光線は火の粉で威力を軽減している。
だが、次第にヒトカゲに疲れが見え始め、石につまずきかけた。
その隙を見逃さず、6発目、最大威力となる電気の光線がヒトカゲを捉えた。
「なんだ、やっぱり大したこと無かったな。」
勝ち誇るエレキブルの声が聞こえる。
そして、他の声がもう一つ……
———貴様の力はその程度か?
(誰? 俺の力? この程度だよ。力の無さのせいで、屋敷を追放されたんだから。)
———ふん、貴様はまだ気づいてないようだ。貴様の中に眠る竜の力を。
(竜の……力?)
———では呼び覚ましてやろう。その力を。親から受け継いだ、竜の力を。
(親? そうだ、俺の父親は竜……、だから、俺にもその血が……)
———そうだ。まぁ、その力を扱えるかどうかはお前次第だがな。
(貴方は誰? こんなことができるんだ、ただのポケモンじゃないよね?)
———後に分かることだ。
気がつくと、エレキブルは再び拳に雷を纏わせ、突っ込んできていた。
拳から放たれる雷は勢いを取り戻している、チーゴの実によって火傷を治したのだろう。
(さっきのはなんだろう。)
距離はどんどんと詰められていく。50m、40m、30m……
(不思議だ、力があふれてくる。これが、竜の……力!)
20m、10m、5m、3m、エレキブルは拳をヒトカゲにぶつけ———られなかった。
ヒトカゲに拳が直撃する瞬間、ヒトカゲが放った今までとは比べ物にならないほどの勢いの火の粉によってエレキブルは吹き飛ばされた。
猛火———ヒトカゲの特性だ。
自らが危機的状況に陥った時、炎の威力を上げる特性だ。
「ちっ、もう一発だ!」
エレキブルは再び拳に雷を纏わせる。
だが、それより早くヒトカゲが動き出す。
奇妙な舞を踊りだしたかと思えば、その舞に呼応するかのようにヒトカゲの体から青白い炎が噴き出た。
竜の舞。自分の攻撃能力とスピードを同時に上げる、主に竜が使う技だ。
それによってスピードが上がったヒトカゲは、エレキブルよりも早く、移動し、空高くジャンプ、空中で一回転し、凄まじいスピードで落ちてきた。
そして、そのまま勢いの乗った拳を、エレキブルの顔面に直撃させた。
ドラゴンタイプの高威力技、ドラゴンダイブだ。
「グハ……」
火傷のダメージも負っていたエレキブルはさすがに耐えきれず、倒れた。
それと同時に、体力の限界に達したヒトカゲも倒れた。
ヒトカゲの目が覚めると、目の前にピジョットがいた。
身体に痛みは無い。オボンやオレンの実によって回復されたのだろう。
「お、気がついたか。」
「うん、俺は一体?」
「エレキブルと戦って、勝った。すごかったぜ。お前の最後の一撃。」
あれを自身が使った時、親から受け継いだ技だとすぐに分かった。
あの技は火の粉やメタルクローとは桁違いの威力だ。しかし消耗も大きい。まさに切り札となるだろう。
「ま、とにかくお前はエレキブルに勝って認められたってわけだ。あいつはもう回復して発電所の前で待ってる。早く行こう。」
「あ、あぁ。」
あの技もあるし、強い味方もいる。雷の鳥も、きっと倒せるはずだ。あれ? そういえばピジョットの技は見てないな。どんな技を使うんだろう。
そう思いつつ、俺は発電所に向かった。
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