二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ( さよならリリィ、 ) 稲妻11/帝国
- 日時: 2010/12/02 08:12
- 名前: 吉川 (ID: l6pfUsAS)
■Information
( さよならリリィ、 )はイナズマイレブンの短編中心二次創作テキストスレです。
趣向は「佐久間と源田と不動と鬼道が仲良しなら世界は平和になるよね!」という頭の悪いソレです。
間違ってもオールキャラ中心、にはなりません。雷門はコンビニ弁当のポテトサラダ程度=つまりおまけ。
読むに耐えない駄文ですが、笑って許してくれる方のみどうぞ。
■Main
>>1 (お葬式の後の話)
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- 雨の日 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/02 08:12
- 名前: 吉川 (ID: l6pfUsAS)
そろそろ帰ろうかと誘ってみたが、やはり鬼道はそれをやんわり断って、もう少しここにいるから先に帰れと微笑んだ。式が始まったばかりのころ、雲は鉛の色をしながらも、なんとか水を零さないようこらえていたのに。今はたらいをひっくり返したよりひどいと思える大雨だ。雨粒は黒い傘に自身を打ち付けては、跳ね返った。帰ろう、と不動は言った。
「じゃあな、鬼道ちゃん」
「ちゃん付けで呼ぶなと、いつも言っているだろう……」
蚊の鳴くような声で鬼道は、不動の皮肉っぽい言葉に苦言を呈す。もっとも、不動の声色はいつもの数十倍は優しかったのだけれど。
激しい雨は真っ直ぐアスファルトに突き刺さるものの、跳ね返るソレは好き勝手なところに飛ぶものだから、三人とも喪服のズボンの裾はべたべたに濡れていた。もとから黒い布を、水はさらに塗りつぶして夜の色にまで染め上げる。それでも、三人は不思議と惨めな気分ではなかった。いろんな感情が自分の中でせめぎあっているのを、ただ感じていた。
「死んだんだな。ほんとに」
佐久間がぽつりと漏らした、さもすれば独白のような呟きを源田は拾い上げて笑う。
「なにを今更、おまえのほうが総帥の死に近かったろう」
「それは物理的な距離だろうが」
「俺は日本にいて、総帥はそっちで亡くなったんだから。物理的もなにもあるもんか。そもそも俺は改心した総帥を、知らない」
「改心?……改心、」
租借するように佐久間は二度、改心と繰り返して、それから傘を一回くるりとやった。四方八方に飛び散る雫。不動がひどく迷惑そうに顔をしかめる。皮膚に触れた冷たい水は、体温を奪っていく一方だ。少しだけ寒い。冬がもうすぐそこに迫っていることを、気温は雄弁に語っていた。
「鬼道がうらやましい」
そう言い放ってから佐久間は足を速めると、ぴたりと止まって後ろを振り返った。その衝撃で傘から雨粒がきらきらと舞う、彼の真珠のような髪は灰色に映えた。
「俺は影山のことを、やっぱり、許せてないんだと思う。いくら改心したからといって」
「佐久間、おまえさあ……」
馬鹿にしたような表情を不動はつくる。それでも佐久間は気にせず、続けて言った。源田はちょうど今の空模様のような色をした瞳に、ただじっと友人の姿を映している。
「だって俺は鬼道みたいに可愛がってもらったわけでもないし、いい思い出なんて」
だんだんフェードアウトしていく言葉に、不動はとうとうため息を吐いた。
「じゃあ、なんでおまえ泣いてんだよ」
「佐久間は優しいからなあ」
という二人の視界もすでに滲んでいて、しかもそれが雨の仕業でないことは明白だった。雨粒に混じって涙だけが熱い。
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