二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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星のカービィ64
日時: 2010/12/11 11:15
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

         プロローグ

広い広い宇宙に「リップルスター」という、妖精が住む美しく、平和な惑星があった。

今日も平和に妖精たちは一日を過ごすはずだった。

「きゃっ! 何あれ!」

一人の妖精が空を指差し、大声で叫んだ。きらきら輝いていた日の光が突如、どす黒い雲に覆われていく。

雨雲? 違う。これほどまでに急激に空の機嫌が変わるはずはない。この黒雲は誰もが予想すらしなかった「侵略者」だったのだ。

宮殿内では王女と従者が突然の事態に慌てふためいて平常心を失っていた。

「王女様! 先ほど突如発生した黒雲の中から一つ目のおぞましい怪物が現れ、街を破壊しています!」

「そんな・・・どうしましょう・・・」

あまりに平和ボケしたこの惑星の住人は戦うことを知らず、右往左往するばかりだった。

ズドーン!!

激しい轟音とともに宮殿が崩壊していく。もはや一刻の猶予もない。がれきの降り注ぐ中、王女は意を決し、従者にこう命令した。

「リボン、逃げるのです。この『クリスタル』を持って、早く」

「そんな、王女様やみんなを残して行くわけにはいきません!」

「いいから早く! 宇宙空間を自由に飛びまわれるのはあなたしかいないの。それに、クリスタルはこの惑星の宝。絶対に守りぬかなきゃいけないわ」

「くっ・・・」

崩れゆく王室内でリボンは目をつむり、ぐっと拳を握りしめてうつむいている。

「王女様・・・」

「大丈夫です、リボン。きっとこの宇宙のどこかであなたを助けてくれる人が現れるはずです。さあ、行くのです!」

意を決したようにリボンはしっかりと、自分の背丈よりも大きなクリスタルを抱え、広大な宇宙へと飛び立っていった。

「王女様、みんな、必ず助けに戻ってきますから・・・」

破壊されゆく故郷を振り返りつつリボンはそう呟いた。

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第二話「絵描きの友達」 ( No.2 )
日時: 2010/12/13 02:27
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

 呆れるほどのどかな惑星ポップスターでカービィとリボンはクリスタルの欠片集めを開始していた。

「見れば見るほどリップルスターに似てるわね。それより早くクリスタルを探さないとね。ってあれ? カービィ?」

並んで歩いていたはずのカービィがいつの間にか米粒くらいに見えるほど後ろで座り込んでいた。それを見てリボンは慌てて引き返した。

「お腹へった〜」

「しっかり。まだまだこれからなんだから。あれ? カービィ、その手に持っているのって・・・」

「ぽよ? これがどうかした?」

昨晩、自分の後頭部にコツンと当たった宝石のような
ものをリボンに見せてカービィが言った。

「それがクリスタルの欠片よ、カービィ! クリスタルがどんなものかわからずに探してたのね、もう」

リボンはその性格ゆえ、他人にあまり本気で怒らない。特にカービィはともに故郷を救ってくれる仲間だからなおさらだ。

「さっそく合体させるわね。それっ」

二つのクリスタルの欠片が一瞬ピカッと光を放ち、融合した。

「ぽよっ!? 少し大きくなったね」

「こんな具合にクリスタルの欠片を集めて元の姿に戻していくのよ。完全な形に戻ればリップルスターを救う力になってくれるはずよ」


 カービィはエネルギー充填のため一度自宅に帰り再び歩き出した。もちろんリボンも家に招待してあげていた。

「さーて、いっぱい食べたし頑張るぞ!!」

「本当によく食べるのね、カービィって・・・」

カービィ宅で一緒にご飯を食べていたリボンは彼のあまりの暴食ぶりに驚いていた。いや、それを通り越してあきれていた。一体リボンの何倍食べたのだろう?

「あっ、アドレーヌ。やっほー!」

カービィが、道のスミでキャンバスを立てて風景画を描いている少女に声をかけた。ベレー帽をかぶったその姿はいかにも画家っぽい。こちらに背を向けており、顔は見えない。

「お友達なの? なんか無視されちゃってるけど」

「あれっ? アドレーヌ・・・」

ようやくゆっくりと振り向いた彼女の顔は明らかに殺気を感じさせるものだった。いつもの彼女じゃない。カービィは即座にそう感じた。

「ココハ通サン! ソシテ、クリスタルハ頂クゾ! 行ケ、アイスドラゴン!」

アドレーヌがキャンバスに筆を走らせ、一匹のモンスターを描いた。恐るべきことに、その絵は二次元の存在から三次元の存在へと変わった。

「ええっ! 絵が飛び出した!?」

目を疑う出来事にリボンは大声をあげて驚く。

「アドレーヌは自分で描いた絵を実体化できるんだ。とにかく、今のアドレーヌはおかしい。元に戻してあげなきゃ」

キャンバスから飛び出たアイスドラゴンは冷気をまき散らしつつカービィたちに襲いかかっていく。 

第三話「デデデ城へ向かえ」 ( No.3 )
日時: 2010/12/15 16:21
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

 アイスドラゴンは口からサイコロのような氷の塊を大砲のように撃ちだした。

「カービィ、危ない!」

「大丈夫さ。ぼくのコピー能力、見せてあげるよ」

ふーっと息を小さく吹き出すとカービィは大きな口を開けてまるで掃除機のように氷塊を吸い込んだ。
あまりの吸引力にリボンも吸い込まれそうになったが、なんとか踏ん張った。

「・・・っ! 何だったの、今の」

強風で髪を乱したリボンが事態を飲み込めずにいる。

「これがぼくのコピー能力の一つ、『アイス』だ! くらえ、フリージングブレス!!」

カービィの吐き出す強力な冷凍ガスが氷の怪物であるはずのアイスドラゴンをみるみる凍らせていく。わずか10秒ほどでアイスドラゴンは氷のオブジェと変わり果てた。

「相手の能力をコピーする。—これがカービィの能力なの?」

「オノレ、ナラバ私ガ自ラ葬ッテクレヨウゾ」

絵筆を振り回し、アドレーヌが憤慨している。

「アドレーヌ、ちょっと痛いけど我慢してね」

カービィは氷漬けのアイスドラゴンをサッカーボールのようにアドレーヌに向けて蹴飛ばした。

「アイスキック!!」

アドレーヌに命中し、ガシャン、ガラガラと音を立てアイスドラゴンは砕け散った。

「ウオオッ!・・・」


 「アドレーヌ、アドレーヌ!」

倒れたアドレーヌをゆすり、カービィが声をかける。

「う、うーん。あれ、私何してたんだっけ? あ、カービィ君。それに、見かけない子が・・・」

あおむけの状態からむくっと起き上がり、アドレーヌは困惑した様子を見せた。

「初めまして、リボンと言います。何者かに操られていたアドレーヌさんをカービィが助けてくれたんですよ」

「え? 私、操られてたの? そっか、カービィ君、ありがとね。リボンちゃんも」

カービィは照れて赤くなった顔でリボンの身に起きた不幸についてアドレーヌに話した。どうか協力してくれないかと。

「なるほどね。大変だったわね、リボンちゃん。よし、さっきのおわびも兼ねて私も協力するわ!」

アドレーヌはキラキラした笑顔で二人に向かってそう言った。

「よーし、仲間が増えたぞ。でも三人じゃちょっと心細いよね?」

「じゃあ、デデデ大王様の所へ行って誘ってみる?」

「んー、大王か。ダメモトで勧誘してみようか」

「デデデ大王様ってここの王様のことよね?」

「うん、まあ自称だけどね」

絵描きのアドレーヌがクリスタル集めの仲間に加わり、三人はデデデ大王の住むデデデ城を目指すこととなった。

第四話「仮面の騎士メタナイト」 ( No.4 )
日時: 2010/12/23 13:45
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

 カービィ一行は見上げるほど大きな城の城門前に立っていた。

「うわぁ、立派なお城ねー。大王様はどんな人なのかしら」

リボンが感動したようにそう言った。デデデは大王と言っても、「自称」大王である。プププランドでは統治の意識がなく、それぞれが自由に暮らしている。

「跳ね橋が下りてるし勝手に入っちゃおうよ」

「そうね」

「えっ?」

リボンは二人のやりとりに戸惑いを感じずにはいられなかった。他人の住居、しかも王様の家に無断で侵入していいのか?
そう思って立ち止まっているリボンにアドレーヌは、「大丈夫だよ」と言って手を引いた。

「いつもやってることだから大丈夫。まぁ、大王様もちょっと意地悪なところがあるけど城に勝手に入ったって怒られないわ」

「そうなんですか?」

「敬語じゃなくていいわよ。私たち、友達でしょ?」

リボンはアドレーヌにそう言われたとき、胸が熱くなった。遠い宇宙の見知らぬ星の見知らぬ人たちにこんなに優しく接してもらえるなんて思ってもみなかったのだ。

—昼間だというのに城内はまるで真夜中のように静まり返っていた。

「おかしいな、いつもはもっと騒がしいんだけど。何かあったのかな?」

カービィがそう言ったときには既に遅かった。バタンと大きな音を立てて扉が閉まった。押しても引いても開けられない。窓も同じだ。

「閉じ込められちゃった!」

混乱する彼らに追い打ちをかける事態が発生した。薄暗い城内で素早く動く黒い影がリボンとアドレーヌを刹那の間に連れ去ってしまった。
カービィがそれに気が付いたときには姿は見えなくなってしまっていた。

「どうしよう、リボンとアドレーヌが・・・。とにかくあいつが逃げた方に向かうしかない」

黒い影の逃げた方向には屋上へと続く階段があった。はっはっと息を切らしながら長い長い螺旋階段をカービィは駆け上がっていった。そして、光の差し込む扉が見えてきた。

「アドレーヌ、リボン、いるの!?」

そこには薄い黒い球体の中に閉じ込められているアドレーヌとリボンの姿と、デデデ大王、そして謎多き仮面の騎士メタナイトがいた。

「カービィ君、助けてー!」

「クリスタルは渡さないっ!」

「強情ナ小娘ドモダ。ナカナカクリスタルヲ渡ソウトセンワ」

「二人とも、今助けるよ! いや、四人かな」

カービィは分かっていた。デデデやメタナイトがこんな行動をとるはずがないということを。つまり、アドレーヌのときのように何者かに憑依されていると考えたのだ。
そんなカービィの前に操られた仮面の騎士メタナイトが立ちふさがる。彼は愛用の剣である宝剣「ギャラクシア」を鞘から抜き、カービィへ突きつけた。その刀身はまるで稲妻を思わせるものだった。

「貴様ハ私が始末スル。地獄ニ落チルガイイ」



第五話「ミックス!」 ( No.5 )
日時: 2010/12/25 10:59
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

 丸腰のカービィを相手に、メタナイトは容赦なくギャラクシアを振り回した。金色の軌道が美しく乱舞する。そこへデデデがモンスターを召喚してカービィをさらに追い込もうとしていた。

「行ケ、サーキブル、ガルボ!」

固い鎧に身を包み、頭上には何でも切り裂いてしまいそうなカッターを装備しているサーキブルと鉄をも溶かしてしまいそうな炎を吐く、竜のような姿をしたガルボである。

「くそぅ、三対一か・・・」

メタナイトの高速の斬撃を避け続けるだけでも精いっぱいのカービィはうろたえずにはいられなかった。

「ガオッ!」

「フンッ!」

ガルボが高熱火炎で、サーキブルがカッターでカービィをしとめようとした。

「あれだ!」

カービィは空中でくるりと身をひねり、メタナイトの剣撃から回避すると、カッターと炎を例の恐るべき吸引力で吸い込み、コピーした。

「ふたついっぺんにコピーですって!?」

球体の中に閉じ込められているリボンが声をあげた。

「あれは『ミックス』よ。ふたつのコピー能力を組み合わせてより強力な力を生み出すのよ。カービィ君が最近身につけたって言ってたけど、実際に見るのは初めてだわ」

アドレーヌがそう言って興味深そうに見ている。

「バーニングカッター!」

刀身が真っ赤な炎に包まれた長剣である。長すぎてカービィには持てないんじゃないかと思うくらい長い。
カービィは目にもとまらぬスピードでガルボ、サーキブルの両者に急接近し、深紅の斬撃をお見舞いした。

「ギョワアァ!」

あっけなくニ体のモンスターは消滅した。それを見て、リボンとアドレーヌは驚嘆している。

「ナカナカヤルデハナイカ、ダガ、私ニカナウト思ウナ!」

メタナイトがギャラクシアを斜めに振りおろし、カービィがそれをバーニングカッターで止めた。キィン! と頭が痛くなりそうな金属音が鳴り響いた。

「やっぱりいつものメタナイトじゃないね、普段はこんなもんじゃない」

「小僧、何者ダッ・・・」

「ぼくはカービィ。星のカービィだあああっ!」

雄叫びとともにギャラクシアを振り払い、メタナイト自身も吹き飛ばされ、ボテボテと転がった。



「ううむ・・・。私は一体・・・」

メタナイトがふらふらと立ちあがり、周囲を見ている。

「メタナイト、元に戻ったんだね」

「私は何者かに操られていたのか?」

「説明はあと。今は大王を元に戻してリボンやアドレーヌを助けないと」

「ふむ、状況は大体飲み込めた。私もともに戦うぞ、カービィ」

二人は不敵に笑うデデデと向き合い、改めて戦闘態勢に入った。

第六話「炸裂、ギャラクシアダークネス」 ( No.6 )
日時: 2011/02/21 01:45
名前: クランベリー ◆u8da6hjvyw (ID: t18iQb5n)

 巨大な木製ハンマーを構えるデデデに対し、カービィとメタナイトは膠着状態を保っていた。

「カービィ、あまり手荒なまねはするなよ」

メタナイトが釘を刺した。

「わかってるって」

「何ヲゴチャゴチャ言ッテオルカ」

デデデがハンマーを渾身の力で振りおろした。もともとデデデは力のある方だが、身体を乗っ取られたことでより一層パワーが増しており、石製の床が大きくえぐれていた。

「すごいパワー・・・」

「カービィ、私はあの二人の少女を救う。お前は王様を頼む」

メタナイトがそう言って黒い球体に閉じ込められた二人を助けようとするとまたもやデデデが何かを召喚し、行く手を阻んだ。それは、変わり果てた、カービィの友人、ワドルディだった。

「ワドルディ! 目が一つしかないよ!」

「おそらくやつも何者かに取りつかれて変貌してしまったのだろう。安心しろ、私が元に戻す」

「ヌエィ!」

バキッ!

鈍重な音が響き渡り、ハンマーがカービィの頭(全身頭のようなものだが)に振り下ろされた。強力な力が加えられ、カービィは深く床にめり込んだ。

「いてて・・・」

「大丈夫か、カービィ!」

駆け寄ったメタナイトはすっかり自身の背後のことに無頓着になっており、ワドルディもとい、ワドルドゥの一つ目から発せられたビームを背中に受けた。

「ぐおおおっ!」

彼はドサッと倒れこんだ。マントからブスブスと黒い煙が上がっている。

「カービィ!」

「メタナイトさん!」

倒れたカービィとメタナイトを見て彼女らは絶望を露わにした。今二人が倒れたら一体誰がこの危機を救えるというのか。

「まだまだ、あきらめるには早すぎる」

すぽんとカービィがめり込んだ身体を床から抜いた。それに続き、メタナイトもゆっくりと立ち上がった。

「これしきで調子づいてもらっては困る」

カービィは先ほどデデデが砕いた石の床の大きな欠片をふたついっぺんに吸い込んだ。

「ストーンストーン」

石の床をコピーすることにより、カービィの身体は頑丈な岩石となった。それと同時に身体もべらぼうに巨大になった。

「ヌウウ・・・。ソレガドウシタァー!」

デデデはめちゃくちゃにカービィの身体をハンマーで殴打しまくる。しかし、ストーンストーンの頑丈さの前に、効果は皆無だった。

「『へヴィ・オン・ストーン』!」

「ギャアッ!」

ストーンストーンカービィにのしかかられたデデデはひとたまりもなくダウンしてしまった。

「私も行くぞ。手加減版『ギャラクシアダークネス』!」

辺りが一瞬暗くなったかと思うとギャラクシアが黄金の軌跡を描き、ワドルドゥは悲鳴を上げる暇もなく崩れ落ちた。


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