二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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幻水オリジナル〜プロローグ〜
日時: 2011/01/04 21:24
名前: 元 チョビ太 (ID: xOYpbzCU)

幻水1の何十年後を舞台にした話です。


坊ちゃん、グレミオ、ソウルイーター……
この3つが当然重要なキーワードになりますが、前半は坊ちゃんほとんどいません。


内容は一応全年齢対応で誰向けとかっていうのはないんですが、女性向けっぽい描写に見える所もあるかもしれません(そんなつもりないんですが…;)


オリジナル設定がありますのでオリキャラも存在します(前半かなり出張ってます)
ご注意下さい。


拙い文面ですが、よろしければどうぞ。


取り敢えずプロローグだけ仕上がりましたのでアップしときます↓↓

まだ投稿に慣れてないので些か不備があるかと思いますが、その内もっと閲覧しやすいようにしますので暫くお待ち下さい。

登場人物もその内アップします。
すいません;;;




Page:1



プロローグ ( No.1 )
日時: 2011/01/04 21:16
名前: 元 チョビ太 (ID: xOYpbzCU)

〜プロローグ〜

 人間にとって恐ろしい事は孤独だ。
 心も体も、温もりを感じられなくなれば、それは死だ。
 愛するもの、愛される意味を失えば、それは闇だ。
 そう…これからの一生に光なんてない。

 “結局、ぼっちゃんを苦しめてばかりでしたね…”

 僕への贖罪と己への自虐めいた気配を漂わせた声が突然聞こえてきた。
 その時、闇でしかなかった視界がクリアーになっていく。
 闇から解放される。
 景色が変わり、よく見るとそこは赤い花畑。
 赤い花、いやそれは、緋色の薔薇だった。
 無数に咲いている、不気味な程に。
 バラ…無縁のものではないが…。
 僕はかつて経験した残酷な事実が呼び起こされそうになった頭を軽く振り、その衝動を押し止める為歩き始めた。
 薔薇を多少踏みつけたが構わない。
 不思議と、いや珍しいのか。
 蔦に棘は無かった。
 淡々と前を行く。
 程なくして、僕の視界に別の色が現れた。
 金色の。
 緋色の中に一際目立つ金色。
 花ではない、人だ。人間、僕のよく知る人。
 今は背を向けているが、振り返らなくとも誰かは判る。
 僕は歩みを止めず音を立てて近づく。
 前にいるその人も僕の気配に気づいてるはずなのに振り返らない。
 ただ座り込んで、その手は、優しく薔薇を包み込んでいた。
 その背中は、相変わらず頼りなかった。
 僕がまだ幼かった頃は、とても頼もしかったけれど。
 とうとう隣まで来た所で立ち止まり、僕も同じように座り込んで暫く薔薇を見つめてみる。
 何か言葉が掛けられるのを待ちながら。
 バラ…無縁ではないけれど、見ても何とも感じない。
 今は。
 今は、とにかく、隣の存在感が強烈過ぎて。
 別に赤い景色の中にある異色の存在だからとか、そういう意味じゃなくて。
 この人みたいに、じゃないけれど。
 自分の世界、自分の心にはこの人しか居ないという事。
 気になってしょうがない。
 傍に居ないと心配で、落ち着かないんだ。
 だから、常に手の届く所に居て、居たかった。
 ずっと、一緒に…。
 でも、この人は先日その命が尽きてしまった。
 人生を全うした死だ。抗うことを許されない、人としての死だ。
 僕の目の前で、最期に昔と変わらない優しい微笑みを見せて逝った筈だ。
 もう二度と、こうして会える筈がない。
 「バラを見ても平気なんですか?」
 「うん…」
 突然話し掛けられても、僕は普通に返事を返した。
 死別してからそんなに時間が経っていたわけじゃない。
 緊張もなかった。自分でも意外だ。
 バラ…僕の過去を知る者なら、僕のブラックリストに入っていると思われるけれど、実際はそんな事無い。ただ無縁ではないだけだ。
 「ぼっちゃん…」
 ぼっちゃんって…。
 僕はもう子供じゃないんだ。勘弁してくれ。
 いい歳したオッサンだ。中年オヤジ、いや還暦は済んでるからジジイだ。ジジイじゃ。
 でも、見た目は14歳のまま。
 その所為でこの人を筆頭によく子供扱いされる。
 そしてそんな僕も干渉されて大人になりきれてない。
 まるで八つ当たりだが、それこそ大人気ないか。
 僕も僕だが、結局この人に止めろと言った所で無駄なんだ。
 昔から染み付いてる癖。
 なので、もう諦めてはいる。
 なかなか後の言葉が出てこないので隣の顔を見ると、見慣れた微笑みがあった。
 ただ優しく微笑んでいるだけ。
 何だ…ただ呼んだだけか?何か言いたいんじゃないのか?
 それを本人に直接言えれば良いのに、何だか少し怖くて聞けない。
 きっと拒絶される。お前は僕を拒絶するだろう。
 「グレミオ、いい加減に“ぼっちゃん”はよせ」
 恐怖感を誤魔化す為にこんな事言ってみたけど、はたさて乗ってくるだろうか。
 …どうやら通用したようだ。微笑みは見事にくしゃくしゃな泣き顔へと崩れていった。
 「そ、そんなぁ〜…今更ムリですよぉぉぉ…。ぼっちゃんだってずっと呼んでていいって言ってくれたじゃないですかぁ〜」
 良かった、いつも通りの反応だ。
 「忘れたよ」
 「酷いです〜〜!!!!!!!」
 ついにはうずくまって泣き始めた。
 僕の気を引かせる為の嘘泣きに見られがちだけど、本当に泣いている所が凄い。そして面倒臭い。
 取り敢えず、いつも通りの面倒臭い状況になったので話題を変えてみた。
 「それより、ココ何処?僕は死んだの?」
 言い終えた刹那——急に…鼓動が早くなる。
 同時に、グレミオの慟哭が止まった。
 怖くなった。怖い。怖い…。
 グレミオは涙を拭き取りながらゆっくり起き上がる。
 ダメだ、後には引けない…。
 「お前は、どうして…ココに、いるの?」
 鼓動の速さが一気に増した。
 ゆっくりと、僕に振り向くその顔は、無表情だった。
 冷たい旋律がほとばしった。
 胸が苦しくなった。体に流れるこの嫌な感情は…。
 待て!待ってくれっ、待って…
 「待って…」
 もう縋り付くしかなかった。どうすればいいのか解らなかった。
 何処にも行かないように抱きついた。
 突き飛ばされないようにしがみついた。
 「……っ」
 目頭が熱くなった。でも、この感情に身を任せる気はしない。
 都合が良すぎる…僕はそれ以上の業を犯したんだ。
 誰もが愚かだと言うだろう。
 それでもいい。
 恥を押し退けてそれでも縋っているのは、グレミオなら受け入れてくれると思ったから。
 瞼を閉じ、闇の中でグレミオの言葉を待った。
 この闇が温もりで満たされるようにとグレミオの動作を願った。

 しかし、いつまで経ってもグレミオが僕を救うことはなかった。
 闇の中に広がるのは絶望のみ。
 あの時と一緒。
 僕の目の前で死なれた時と一緒だ。

 「グレミオは、ぼっちゃんを苦しめてばかりですね…」

 そこで全ての感覚が無くなった。映像も音も途絶えた。
 何も無くなった。
 何も判らなくなった。
 何も出来なくなった。
 何も考えられなくなって、僕は…

















 落ちる、堕ちる。
 どうしようもない無力感。
 落ちる、堕ちてゆく。

 どこまで落ちるの?
 私は何処に堕ちようとしているの?

 何故、落ちてゆくの?
 私は、何処に堕ちればいいの?


 ねぇ、あなたは、誰…?




 「夢か…」
 朝、携帯のアラームで目を覚ました。
 AM7:30
 いつも通りの時間ね。
 変な夢を見たのに平然としてるのは、所詮夢だから。
 妙にリアリティを感じたけど、所詮は夢。
 早く準備しなきゃとベッドから起き上がろうとした時、違和感を感じて手元に視線を落とした。
 右手の甲に、不気味な形をしたタトゥーが。
 大きな鎌を振りかざした人の形をした、怖い紋様…。
 さっきの夢と何か関係があると思いついた時、体の芯から凍りつく程の悪寒が走った。
 


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