二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜
日時: 2011/09/03 16:35
名前: 荒音 ◆NtiH7Gwhw2 (ID: w1UoqX1L)

目次

絵本【悪ノ娘】 >>1
1 善ヨリ悪ニ 
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6

あくまでも、これは独自の解釈という事を忘れるな!いいか、分かったか!

参照100突破です。ありがとうございます。

登場人物
【悪ノ娘】
カリン=ベリアー=ルキファルナ

【悪ノ召使】
レン
 
【王宮魔道師】
ルタカコ=リグレー

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Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.2 )
日時: 2011/09/01 16:08
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: GRSwxM1g)
参照: jは荒音です。



あら、おやつの時間だわ

+ カリン 〜ルキファルナ王宮 バルコニーにて〜
——ゴーン ゴーン——
 教会の鐘がとっておきの時間を知らせた。あら、もう三時?わざと、大きな声でいった。召使に聞こえるように。ま、いくら、あたしのルキファルナ王宮が広いからって、バルコニーから声が聞こえないことはないでしょう。
 どうかしら。
——おじぎしてる召使がいるわ。
 どうも、きこえたみたいね。
 召使がこちらにやってくる。金髪の若い召使だ。後ろで髪を結ってる。たしか、名前は——何だったかしら。思い出せん……。
 レ、まで来てるのだけれど。あれ、アで始まった気もする……。
 ……うーん?
「今日のおやつは——」
 何かしら?あたしは、王女としての振る舞いも忘れて、椅子から身を乗り出した。
「ローロ・ラドーでございます。」
 わあ!
 ローロ・ラドー。それは、あたしの統べる国——ルキファルナ発祥のお菓子。馬車に少し似ていることから、どこかの古い言葉で馬車を意味する、ローロ・ラドーと名付けた。よく由来を知っていますね?ふん、凄いでしょ。……何よ、何で不満そうなのよ。
「……いえ、なんでもございません、カリン様。」
 でしょ、不満なんて、ないでしょ。
 あたしが世界を統べてるの、世界はなんだって、あたしの思い通りなの。不満なんて言ったモノは、即刻首をはねてやる!
 ま、ローロ・ラドー、あたしの母親……すなわち、先代女王、アスワンが名付けたんだけど。

* レン 〜ルキファルナ王宮 黄燐の間にて〜
 ここ、ルキファルナ王宮は広い。とてつもなく、広い。
 一日で全ての部屋でおじぎをして帰ってこれるだろうか、ってほど、広い。国の三分の一の面積を誇るほど、広い。もちろん、建設費用も、相当かかったに違いない。
 でも、先代女王、アスワンの時はまだこれよりはずっとせまかったはずだ。何故、これほどに広くなったのか?
 理由は分かっている。
 このルキファルナを統べる、王女様——カリン=ベリアー=ルキファルナの我儘によるもの。
 僕は一介の使用人だ。レンという名の召使だ。いや、ホントはレンじゃないけど、まあ、そういうことにしておきましょう。ともかく、そんな人間は、この国の国土面積について、どうこう言える立場ではない。
 なのに、この黄燐の間で、会議に参加させてもらえる。これは不思議である。
 しかも、その問題は、【ルキファルナ国土面積問題】だ。
 あ、そこの方。私語は慎んでもらえるよう、願います。
 えー、ともかく、このルキファルナは面積の三分の一が、王宮となっておりますね。え、百分の一?無視の方向でいきたいと思います。
 これはかなり、まずい事態となっています。国民からありとあらゆるものをおさめさせた結果、この王宮は出来上がりましたね。その犠牲になったものたち、つまり、そう、国民が、怒り、暴れているとの情報が入っています。
 はい、そこ、ルタカコ殿、意見ですか。どうぞ。
 そのうち、このルキファルナは滅びます。
 ……え。
 突然のその言葉に、僕は言葉を失った。宮廷魔道師、ルタカコの予言。これは絶対の言葉。
 大臣たちも、顔を見合わせている。
 僕は——体が寒くなってきて、吐き気をもよおす。だめだ。僕は、怖がりなんだ。よしてくれ!
「国民の怒りが、何よりの証拠。」
 ルタカコの冷たい言葉——。
 僕は、どうすれば——?
 取り仕切るんだ!取り仕切るんだ——!
 命令ばかりが頭に入ってきて、集中できない。気がつけば、震えている。
 怖いんだ。恐れているんだ。
 何を?
 何を?
 僕は、机をダン!と叩いた。

Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.3 )
日時: 2011/09/02 20:13
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: 6VawRV/m)

● ルタカコ 〜ルキファルナ王宮 黄燐の間にて〜
 机をたたいたレンを何事かとみんなが見つめたけど、私は、できるだけ表情ひとつ変えないでおき、それどころか、
「大事なことなので二回いいます。そのうち、ルキファルナは滅びます。国民の手によって。」
 と言い放った。
 これにたいしても、また、レンは机を叩く。
「ルタカコ殿。大事なことなので何回でも言います。私語は慎みください。」
 あら、この黄燐の間、そんなルールあったかしら?
 まあいいわ。
 とりあえず、予言はしたのだから。
 というか、問題はそんなことじゃないでしょう。
 私はさらりと話題を変えた。
「この会議に、王が出席なさらないなんて、どういうこと?カリン王女、あなた達、退けてるワケ?」
「……そういうことでは、ございません、けど、」
 レンもさすがにこれにはつまったようだ。
 私ははなで嗤った。
「そう、そういうこと。カリン王女は邪魔だから、退けるってコト?そーゆーことね?」
「いえ、そういうこと、ではありません、けど、でも、あの、」
 さあ、とどめだ。生意気な召使さん!
「カリン王女の政治なんて、ロクじゃないからよねぇ。」
 沈黙。
 私のイジメ心にブレーキがかかった。もうこれ以上やったら、泣いちゃうかもね。ま、やるつもりだけど、この後。
「ルタカコ殿。」
 あら、まだ、やるつもりなの。召使さん。

Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.4 )
日時: 2011/09/02 20:06
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: 6VawRV/m)

* レン 〜ルキファルナ王宮 黄燐の間にて〜
「カリン王女を中傷、および批判することはおやめください。いくら、最高職——宮廷魔道師だからといって、首をはねられるかも知れませんよ。ルタカコ殿?」
 いらっときた。カリンを中傷、批判するなんて。許せない。
 しかし——
「最高職は、王女ではないということね?レン。」
 しまった、ルタカコはどんどん隙をついてくる!僕は慌ててこたえる。
「違います。勝手な解釈はおやめください。王女は、職業でありますか。お金をもらっているのですか?違うでしょう。雇われていますか?違うでしょう。だから、最高職は貴方様です。」
 ルタカコは今にも舌打ちしそうだった。僕は咳払いを一つした。
「……そう。貴方、召使にしてはなかなかやるわねえ。まあ、当然かもしれないわねえ。昔、あれだけ勉強させられたんだものねえ。……それだけ賢いから、この会議の議長を任せられるのよねえ。」
 駄目だ、ただの口論になってしまっている。
 というか……、あれだけ勉強させられたって——……。わざと、僕の傷に触れたのだろうか、この口論を炎上させるために?
 僕の怒りのボルテージを上げて、楽しませる気か!
 僕もそれなりに賢いんだ、あなたのいうように!
「そうですね。」
 にこっと笑った。
 彼女は、舌打ちをした。
 彼女にとって、いじめられる側が泣かないほど、嫌なことは無いのだろう。
「では、本題に戻りましょう。」
 それから、ルタカコは一度も発言をしなかった。

Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.5 )
日時: 2011/09/03 16:32
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: w1UoqX1L)

+ カリン 〜ルキファルナ アロガナス海岸にて〜
〜一ヶ月前〜

「カイン。」
 あたしはふいに呟いた。
「カイン、カイン……。」
 カリン王女、とよぶ侍女の声も、あたしは、聞こえなかったくらい、真剣。
「カインお兄様との、結婚……二人は、許婚……そうよ、誰にも邪魔はできないのよ。」
 フフッ。
「カリン王女、早く来てくださいっ!」
 ——あ。
「……あたしに命令する気なの?」
 ちょっくら、冗談で言ってみる。
「えっ……あの……申し訳ございません!」
「冗談よ。……ねえ、ネリア。」
 侍女の名を呼ぶ。本名は、ネリア=アリル。
 声を落として、あたしは尋ねた。
「あたし、王女として、やっていけると思う?」
「あの……あたし、ルタカコ様の弟子なんです。だから、魔術もできます。だから、王女様の政治がふさわしいかどうかも……わかります。ルタカコ様と力を合わせて、やってみたのです。」
 魔術。あたしは、そういうのが大好き。ユニコーンとか、一角獣とか——ホント憧れる!……同じことしか言ってない?うるさいわよっ!
「まだ、……カリン王女様は……。」
「まだ、何?」

「まだ、十四歳で居らっしゃるけど……。」

Re: 悪ノ娘〜Gemini in heaven of heel〜 ( No.6 )
日時: 2011/09/02 20:27
名前: 荒音 ◆Uww.V3pkVM (ID: 6VawRV/m)

+ カリン 〜ルキファルナ アロガナス海岸にて〜
「まだ、十四歳でいらっしゃる?……そうね、あたしはまだ十四歳だわ。だからこそ、不安なの……。」
「きちんとやっていけるかどうか……?」
 こくん、とうなずく私。
「では——……、まず、これはいかがでしょう?」
 ネリアが差し出したブリオッシュは、とてもおいしそう。今すぐ食べてしまいたい。
 いや、食べる!
 パク!
「おいし〜、幸せ!」
 甘すぎず、薄すぎず。よくこんな味のブリオッシュが作れるものだわ、と感心してしまう。
「では、貴方様お気に入りのメイドを連れてきましょう。」
 あたしは、ブリオッシュに夢中でかぶりついていたので、ネリアの声しか聞いていなくて、ネリアの代わりに誰かがやってきたのも、全然気付かなかった。


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