二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説)
- 日時: 2012/06/10 18:35
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/19/
( 馬鹿だねアリス。お茶会は君が死んでしまってからさ、 )
『私、真実が知りたいの・・・!!』「大好き。・・・いや、愛してる」3期最強少女連載中。
『サッカーなんて、とっくの昔に捨てたわ、』「お前1人だけが全て背負わなくて良いんだ。1人だけで、戦うな」
『もう私、何も失いたく無いのよッ!!!』GOの超最強少女も連載開始。
*参照、さくらの小説一覧。
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Hello.‖0504
綺麗だった桜の季節も散ってしまい、今では緑の若葉が芽を覗く季節となりました。皆さん如何お過ごしでしょうか。
私も今年の4月から中学二年へと進級し、先輩という立場の恐ろしさを知りました。後輩に怖い子が居てチキンな私はビビりまくり。其の子の将来がとても心配です。やだあの子怖い。
相変わらず亀更新ですが、自分のペースを保ちながら気ままにやって行こうと思ってます。
主スレは二次創作(紙ほか)の「アリスと兎の逃避行」、副スレは同じく「金木犀で創るシャングリラ」です。覗いてみて下さい。
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アリスと兎の逃避行|menu
About(注意) [>>01]
sakura(自己紹介) [>>02]
Thread theme tune(テーマソング) [>>183]
[inzm|long.]
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inzm11/原作沿い
( World in melt*. )
op [>>04]
ed [>>06]
主人公 [>>09]
重要人物 [>>10]
重要人物声優イメージ [>>11]
○世界編(※続きからです。)
episode.22 『ムゲン・サ・゛ハンドを超えろ!』 >>23 >>25 >>26 >>28 >>30 >>36 >>72
episode.23 『帝国の呪縛!・前編』 >>112 >>118 >>132
episode.24 『帝国の呪縛!・後編』 >>133 >>153 >>158 >>162
episode.25 『戦慄 もう一人の“鬼道”!』 >>180 >>214 >>220 >>222
episode.26 『最強対決!ペンギンvsペンギン』 >>225 >>239 >>240
episode.27 『立ち塞がる要塞!』 >>242 >>279 >>299 >>339 >>369 >>372
episode.28 『一之瀬!最後のキックオフ』 >>398 >>400
episode.29 『全力の友情 一之瀬vs円堂』 >>401 New!!
inzmgo/原作沿い
( 悪戯schalkhaft*. )
予告 [>>373]
主人公想像曲 [>>015]
op [>>265]
ed [>>267]
主人公 [>>268]
親友 [>>283]
女医とSP [>>251]
episode.01 雷門に吹く新しい風! >>274 >>282 >>286 >>298 >>305 >>361 >>364
[all|short.]
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‖短編
○夢小説(名前変換小説)版 >>87
|inzm/go
『でも、本当はちょっと寂しかった』 >>113 「それは違う。断じて違う」
『幼い日の幻影』 >>203 「・・・何だ。喧嘩売ってんのか」
『Lost』 >>295 「大丈夫じゃなかったら、どうする?」ユキナ書き
『Lost』 >>296 「・・・・・・お前、何してるんだ」ユキナ書き
『夏の日の私達』 >>301 「ならその残りのパワーとやらで踏ん張れ」
『遠き彼に花を捧ぐ』 >>334-336 「だから、お前には、待っていて欲しい」
『世界が消えてなくなるまでの3秒でキスを交わそう』 >>356-357 「良い訳ねぇだろ馬鹿か」
『ワンコイン、プリーズ!』 >>360-361 「10円貸せ。」
|Host
『甘く蕩ける誕生日の10時頃』 >>378 「じゃあ、どれ位好き?」
|企画/シリーズ
卒業の春、また巡り合える事を願って。 (円豪鬼) >>374-376
[inzm|捧げ物,頂き物.]
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|捧げ物
『毒舌姫と七人の狼君』>>16 りむうへ
『ラーメンと君』>>17 風風へ
『君不足。』>>18 りむうへ
『オルフェウスの皆と。』>>19 星兎へ
『恋は残酷』>>297 風風へ
『王牙学園の日常。パターンD』>>332 漆黒へ
『ハッピーエンドはまだこの先』>>392 りむうへ
『雨色不知火が視た幻想』>>397->>398 りむうへ
『指揮者はそのタクトを祈りのように描いたのです』 >>426 誕生日を祝ってくれた皆様へ
|頂き物
『彼氏の事、』>>20 りむうから。
『校則違反です、それ。』>>21 りむうから。
『春桜心中。 〜heart of blossom〜』>>228 漆黒から。
『誕生日に、君に捧げる物は 俺からの君にしか言わないこの言葉で』>>408 ミミから
『その一瞬を』>>412 海穹から
『桜色ラバー』 >>422 漆黒から
『君にこの言葉を』 >>423-424 アーシェから
[Others.]
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|memo.
>>241 >>344
| バトン
バトンの説明 >>260
・愛してるんだけどバトン >>261
・柄風教えてくれバトン >>366
|遊んでみた。
・オリキャラに100の質問! >>94 >>95 >>96 >>106
・オリキャラに100の質問!第二弾 >>363
+up (更新履歴)
0504’お礼短篇+1
0429’3長篇+1
0427’3長篇+1
0426’3長篇+1
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- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.395 )
- 日時: 2012/03/17 22:16
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
>>ドロップs
⇔>>393返信遅くなりまして、すみませんでした((汗
改めまして、お久しぶりですドロップさん!
いやあ、また来てくれるなんて、嬉しいです。
バトン回って来ました?ありゃあ、伝達速いですね^^;
楽しんで、頂けた、だ、と…?あんな糞みたいなバトンで!?お世辞だ!お世辞に違い無い!!
虹彩「余りにも酷過ぎてバトン挑戦し終わった後一生分の労力を使い果たした気になったが、何かコメント入れておかないと社交辞令が成ってない為、こんなお世辞を打つ事しか出来なかったとかそういう」
やめて!幾等其れが本当の事だとしても流石に其れはやめて!
お前は私が傷付かない人間だとでも思っていたのか!
サク「え、人間てwちょw」
え、待て。其処から?
き、綺麗なんて滅相も無い!だからやめましょう、そんなお世辞h((ry
知ってるんだからね!本当はドロップさんの方が描写綺麗なんだって!!私には到底真似できないスケールなんだって!
ふつくし過ぎて、涙すら出て来た、やっべえ汚ねえ。((まだ鼻水は出てないから汚くは無い。
うちの馬鹿共が大好きなんて///やっだあ照れるじゃないですかw←←
珠琴「何故貴様が照れる」
また来て下さい。コメントthank you!!
>>アーシェ
⇔>>394うん、久しぶりだね!!
今日は定期演奏会だったよー。やべえ疲れた。
サク「疲れたんなら早く寝ようか」
寝たいんだけどね、どうもやる事が←
私のクラスに絵が上手い人は居ないかな。俺を含めて雑魚ばっか←
顔が良い子は多いんだけどね、何でだろう、不平等過ぎる。
うん、来れる時で良いからね!
待ってるよ!
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.396 )
- 日時: 2012/03/22 22:58
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
嫌いだ。もう何もかも嫌いだ。ボロボロのドレスは雨で濡れて冷えた身体に地味に響く。
真っ赤に変わった信号機。
×
暗い夜道。ぼんやりと街灯とたまに通る車のライトが照らす。
日付が変わる頃の深夜。道を歩く人間は私と彼の他に一人も居ない。冷たい雨の雫が二人の身体を打ち付ける。
赤と青の傘が街灯に照らされては雫が落ちていた。
私と彼の間に会話は無い。と、言うか、私が話す気になれないだけなのだ。
最初は今日の感想を彼が私に言い聞かせていただけだったのだが、私はあろう事か口が開かず只管無視状態。
そんな私に彼は痺れを切らしたのか、「何だよお前」と零してスマートフォンを弄り始める。
私は只管黙って俯いているだけだった。今の私に彼の言葉は耳には入らなかったのだから。彼は全然悪く無いのに、酷い事をしていると思う。でも、今は其れ以上に重い現実が私を酷く突き立てていた。
雨の音が五月蝿い。彼がスマートフォンを弄る機械音も耳に嫌な音だ。
アルコールで火照った身体に、雨は気持ち良く滲みこんだ。この日の為に奮発して買ったドレス。雨で濡れ、所々解れてボロボロだ。ビリ、また引っ掛かる。トボトボとした足取りで伸びる木の枝にドレスを引っ掛けては、そのまま引き千切る。
ドレスがどんなに破れ様が、今日のあの出来事と比べれば私には非じゃなかった。
「ねぇ、ちゃんと前見ろっての」
「………見てるよ」
此れが、この帰り道最初の会話だ。
見てるとは言え、深く被った傘や、視線が足元に行っている所為で視界は悪い。故に、まあ嘘に近い返答だ。空返事とでも言えるだろうか。
さて、今日の出来事についてだ。疑問に思っている方もそう少なくは無いだろう。
結婚式、愛。今日の禁止ワードだ。今日は信頼を寄せていた先輩方の結婚式だった。やっとこの時間になって結婚式は私達を帰してくれた。深夜に女性が一人だけで歩くなんて危なすぎる。という事で、車やタクシーに乗らない私には彼———狩屋君がついてくれた訳だ。私は狩屋君と一緒に帰る方が身体が危ないとふざけ気味で言ったのだが、狩屋君は其れに怒ったのか、「んな疚しい事するかよ」と怒鳴って無理にでも私を家まで送ると言って来た。神童先輩も言ってるし、私はその言葉に甘える事にしたんだ。
「もう諦めろよ」
「うん、」
泣いていたのだろうか、妙に目の周りが腫れぼったい。鼻の奥がツンと滲みて目から雨が毀れた。一滴だけ。
本当に、何で私ばっかり。嫌いだよ、全部。こんな事なら最初から結婚式パスして置けば良かった。何て、思っても無い事を考えてみるのだけれど。
虹彩先輩から招待状が届いた時は声も出なかった。虹彩先輩は私が絶対の信頼を寄せていた人物の一人だ。綺麗で強くて、家庭的である為練習で疲れているのにマネージャーの残業を手伝ってくれる優しい先輩だ。色々なものを次々とこなす姿は凛としていて格好良かった。
そんな大好きな先輩の結婚式は嬉しかった。相手は誰だろう、と興味が沸いて名前を見たら持っていたカップを落とした。
“神童拓人”そう書いてある。神童先輩は先程言った通り、私の初恋の人だ。ずっと、今まで10年間大好きだった。片想いだったけど。
今思うともうあの時から判っていたのかもしれない。どうせあの二人は結ばれる事になる事位、鈍い私でも勘付いていたのだから。
暗い夜道、赤い傘、少し距離があって、青い傘。街灯に照らせれては雨雫が跳ねた。
「おいっ!」
交差点を渡っていた。信号は。赤なのに。嗚呼もうちゃんと前向けよ私の馬鹿。
でも後少しだから渡ってしまおうかな。走ろうとしたその瞬間。
キィィィイイイ!!タイヤの嫌な音が耳に響いた。痛い、鼓膜破れそう。
目を見開くと大型トラックが目の前に。
トラックのライトが眩し過ぎた。
「………」
急に足が止まった。え、動け私の足。もう避けても無理だと思ったのだろう。運転手が凄い顔をしてハンドルを握っている。
紅い傘が夜空に跳ねた。
すると後ろから物凄い力で肩を引かれる。凄い力だ。
私は逆らう事が出来なくて、自然的に後ろへ投げられ茂みに尻餅を付いた。
×
←|→
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.397 )
- 日時: 2012/03/22 23:10
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
×
「死ぬな」
運転手に負けない位の凄い顔をした狩屋君に抱き寄せられ、低い言葉で囁かれた。
その余りにもの男っぽい声に吃驚して顔を上げれば、寒いのに汗を掻いた狩屋君がやっぱり居て急に罪悪感が私を襲う。
「ったく、飛び出すなって言ったばっかじゃん!」
「ごめんね」
「マジで今の焦ったんだからな!本当に危なかった!」
「うん」
狩屋君が助けてくれた。狩屋君が助けてくれなかったらこんな元気な姿で居られていないだろう、恐らく。多分、狩屋君も吐くだろう、ぐちゃぐちゃで鮮血が衣服を汚す、そんな汚い私になっていたんだろう。
そう思えば、狩屋君には感謝しなければいけない。
その前に、私は更々死ぬ気なんて無かったのだから、本当に感謝しなければいけない。
ヨロヨロしながら、多分意識なんて飛んでたのだろう。身体だけが勝手に動いて、無意識の内に赤色の横断歩道を渡っていたんだと思う。
そりゃ私だって死にたくないさ。死ぬのが一番怖いさ。
「お前、気がつけば横断歩道渡ってるしさ、信号は赤だし、トラックが迫って来てるのに全く気が付かないし。もう、ヒヤヒヤさせんなよ」
「でも、死ぬ気じゃ無かったよ。私だって死ぬの嫌だもん」
「そりゃあね。此れ位で死ぬ様じゃ、もうとっくに死んでんな、お前」
もうこの際話してしまおうかな。狩屋君は私の気持ちに気が付いていたみたいだし。
この場には私と狩屋君の二人きり。この際全部愚痴として履かせて貰おう。何となくスッキリ出来る様な気がする。
気が付けば、私の口は勝手に作動していた。
「でもね、本当に大好きだったんだよ」
「あー、知ってる」
「やっぱり。」
ほら、思った通り。
何時でも狩屋君はそうだ。私が風邪引いて熱があった時、直ぐにそれに気が付いて、無理にでもサッカーをしようとする私を強制的に家まで送り届けてくれたっけ。友達と喧嘩した時も、私の異変に気が付いて相談に乗ってくれて。そう言えば、私は狩屋君に頼ってばっかりだったんだな。部活の時も、女子と居る事も多かったけど、狩屋君と話して笑っている方が多かった気がする。部活が夜遅くまで終わらなくて、心配だからと家まで送ってくれた。その時の狩屋君は、家が近いからと言っていたけど全部嘘。本当は狩屋君は“おひさま園”という孤児院育ちなので私の家とは正反対。
その時は、私は狩屋君の優しさ、鋭さにまだ気がつけて居なかった。甘えてたんだ。
だから、大人になってまで狩屋君に頼るのは気が引けるけど、でも狩屋君ならきっとこう言う。
“溜め込んでる事あるならはっきり言ってよ。逆に心配するじゃんか”
私が今まで何回も聞いた言葉だ。
この言葉に甘えて、本音を吐いた事が何度もある。恥ずかしさなんて無かった。狩屋君は約束もちゃんと守るし、無闇にこの事を人に言わない。ちゃんと自分で、受け止めてくれてる。
孤児院育ちだからなのか、思いやりと言う物を人一倍沢山持っていると思う。そんな狩屋君は大好き。
「何だよ。言いたい事あるんだろ。ほら、前みたいに話してよ」
「え、良いの?多分狩屋君気付いてる事だからつまらないよ?」
「悩みにつまらないも面白いも無い。さっき死にそうになる位嫌な事あったんだろ?溜め込んでる事あるならはっきり言ってよ。逆に心配するじゃんか。…俺がそういうタチなの知ってんじゃん」
その言葉に、自然と笑顔が毀れた。ふわって。
「神童先輩も好きだったけど、虹彩先輩も大好きだった」
「だから、泣いてぶっ壊すなんて事出来なかった」
「うん…、」
そうだ。虹彩先輩も同じ位大好きで、どちらか選ぶなんて出来なかった。
なんて、もしかしたら私の神童先輩への気持ちがどれだけ軽かったかを示しているのかもしれないけど。だけどこの10年間、ずっと想い続け悩み続けて来た恋だ。花は咲かせたかった。
だけど、私の中で此の恋に対するケジメが付けれていた。虹彩先輩と神童先輩が後に結ばれる事は前々から気が付いていたし本当に、実は心から虹彩先輩に譲っていたのかもしれない。
そして今日の結婚式、私の10年に渡る恋は玉砕した。
今日の日の為に、貯金出して少し高価で可愛いドレスやらヘアメイクやらしているとすっかり自分では無いと想う位別人になっていた。譲るなどと言っていても、この結婚式で少しでも綺麗に可愛く見せて、彼に認めて貰える様にしたかったのだろう。その為に身長の低さを少しでもフォロー出来る様に態とヒールの高い靴を買い、背伸びまでした。何処まで私は彼の視界に入りたかったのだろう。彼の視界にはもう、虹彩先輩しか映ってないと言うのに。
こんな努力、無駄だと言うのに。分かっていてもやっぱり。此れは、恋という病気の危険な所だと思う。
本当は、こんな糞みたいな結婚式、ぶち壊してやりたかった。泣いて子どもみたいに駄々捏ねて。ぶち壊して台無しにして、最後はドラマのラブシーンの様に私が神童先輩を掻っ攫って逃げる。してやりたかった。
でも、大好きな二人の困る顔が如何しても見たくなかったのだろう、そんな事やっぱり出来なかった。
馬鹿。私の馬鹿。こんなに後悔する位なら、やっぱり泣いとけば良かった。結婚式パスしとけば良かった。10年もの長い年月が経つ前にパパっと告白してフラれてこの結婚式心から祝福したかった。
あの時、馬鹿みたいに「おめでとう」と笑っていた気がするが、それが心からの笑いなのかは不安だ。
「ま、どうせお前の事だからさ。あの二人が将来結婚するだろうなとは思ってたんだろ。お前は優しいからそういうの全部受け止めて、キャプテンを好きになってた」
「す、凄いよ狩屋君」
「まあ、伊達にその10年間お前と同じ様に、お前だけを見てた訳じゃないからな」
「…は、」
思わず気が抜けた言葉が出た。
でも無理も無いだろう。突然変な事言い出すんだ。これじゃあまるで、凄く遠回りの告白みたいじゃないか。
「“みたい”じゃなくて、そうなのー」
「え、嘘、」
「本当。だからお前が引かれそうになった時、俺生涯で一番肝冷した。」
嗚呼、でも此処で先程の話題を引っ張って来るのは止めて欲しい。
再び抱き寄せられ、私が告白されている事に改めて気付く。雨が降ってて体も冷えているのに、狩屋君の身体はとても温かかった。それは、私も同じなのだけども。
私を助ける為に伸びたその腕は、何処からそんな力が出せるんだと思う位細い。だが鍛えてあって丈夫そう。傘は道端に放り投げられており、新品のスーツは雨で濡れていた。
ぎゅ、優しく、それでも力強く抱き締め返す。狩屋君が居ると、温かい。この温かさに昔から気付いていれば良かった。でも、失う前に大切なものに気付いて良かったと思う。
狩屋君の頬がちょっと紅潮する。
「いっつもキャプテンばっかでさー。ずっとそんなお前だけしか見てなかった俺の身にもなれよ」
「あはは、それは…ごめん、」
「本当、馬鹿みたいに一途でさ。ま、俺も人の事言えないんだけど」
「・・・、」
時が、一瞬止まった様な気がした。
「俺なら、お前を幸せにしてやれる」
暗い雨が降り止まない中、信号がまた赤に変わった。
(( 雨色不知火が視た幻想 ))
240322
りむうに捧げる合格祝いです。
最初書いてたのが消えちゃって、多少雑になってるかもしれないけど、御免ね。
それにとても遅くなってすみませんでした。
合格おめでとう!
- World in melt*. episode28 ( No.398 )
- 日時: 2012/03/27 14:20
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
ジリジリと地面を焦がす太陽が、今日も雲一つ無い空で見事に地球を焼いてくれている。
今日は遂にジュリアとの決戦の日だ。対ユニコーン戦と言った方が、適切では無いか。
控え室に入り、ジャージの下に着込んでいた青色のユニフォームに着替えた。私の腕には、薔薇と桜のあのブレスレットが一つ、填められていた。もう一つは、今頃ジュリアの手の中にあるのだと思う。
「それ、綺麗ですね。」
「冬花ちゃん、」
隣に居た冬花ちゃんが、ブレスレットを指差した。
「うん。試合の時、壊れない様にしないと。」
×
ミーティングが終わり、それぞれのベンチでアップをする。
マネージャーは、ドリンクやタオルを人数分合っているか確認したり、怪我様のテーピングなどの確認を再度していた。
「あれ、秋ちゃん、は…?」
「そういえば…。何処へ行っちゃったんでしょうか。もうすぐ試合が始まるのに…、」
「私、ちょっと探して来るね」
「あ、私が行きます!もう直ぐ試合が始まっちゃいますから!」
「大丈夫、直ぐ戻って来るから!」
私のドリンクを用意してくれていた春奈ちゃんの言葉を無視して、私は走った。
だって、居ないのは秋ちゃんだけじゃない。一哉と土門、そしてジュリアまでもが不在だった。ジュリアから聞いていた一哉の怪我の事。それが妙に引っ掛かって離れない。
もしかすると、4人は一緒に居るのかもしれない。
其れを考えると、黙っては居られなかった。
一言だけ一哉に言っておきたかったのだ。
「あ、一哉待って!」
幾等か走っていると、話を終えた一哉と土門がユニコーンの控え室に入って行くのが見えた。
私の呼び掛けが聞こえたのか、土門に「先に行っててくれ」と頼み、足を止めてくれた。
「一哉、私は別に一哉の足の怪我の事なんて聞いてないし気にしてないんだからね」
「聞いたんだ。そして気にしてくれてるんだね」
何でこんな馬鹿っぽい話しか出来ないのだろう、私は。つくづく私の頭が嫌になった。
でも、今言わなければいけない。今言わないと何時言うんだ。
「一哉の足の事、ジュリアから聞いた。ジュリアも秋ちゃんも、多分皆一哉が試合に出る事に反対していると思う。でも、私は違うよ?」
「サクラ、」
「今回が最後のFFIになる事、分かっているからこそ、今回の試合を最高の試合にしなければいけないんだと思う。私がもし同じ立ち場だとしても、同じ様に考えてると思う。でももし私だったら、力ずくでも出場してやるけどね。」
「…、」
「だけど、壊れかけてる足を完全に壊しちゃったら元の子も無いから。無理し無い様に、いざとなったらジュリアも、土門もマークもディランも、勿論私も居るからね」
「ははっ、サクラはイナズマジャパンだろ」
「そう、その笑顔を保って!笑顔が消えたら最高じゃないよ!大好きなサッカーなんでしょ!?楽しめっ。」
「…あぁ」
「まず言いたかったのは一つだけ。後から後悔しない様な、最高のゲームにしよう。…これだけだから」
その時、一哉が“ああっ!”と笑って、思い切りハグして来たのは、秋ちゃんには内緒にして置こう。一哉の笑顔、とても綺麗だと思った。
こんな下手な会話だったけど、少しでも一哉の中に溜った蟠りを無くしてあげられていたら、本望だ。
「サクラ、ありがとう。でも、負けないから」
240327
- Re: アリスと兎の逃避行 (inzm/長篇小説) ( No.399 )
- 日時: 2012/04/25 22:55
- 名前: さくら (ID: te9LMWl4)
- 参照: 狩屋中篇かきたいいいいいいい
《Do you know monopoly?》
-パタン-
静かな部屋に響くのは本を閉じる音や、大きめの木製の椅子をずらす音だけだった。
1クラス分は座れる机と椅子の周りには、呆れるぐらいの本の数。
だが、本は綺麗に本棚でまとめられていて、本の種類などは入口のリストを見るだけですぐにわかった。
どうやら、ここは図書室のようで、カーテンの間からは、春らしい暖かな日差しが入り込んでいた。
図書室入口の真上にある時計は1時5分を指しており、図書室は多くの生徒で賑わっており、時折話し声も聞こえた。
そんな中で、藍色の長い髪をポニーテールにした少年は、1人図書室のはじで黙々と一冊の分厚い本を見ていた。
彼の黄金色の猫目には何時もとは違う、黒ぶちの四角い眼鏡がかけてあり。
その雰囲気は、いつもの試合でみせる緊張感のある冷静な感じではなく、柔らかい穏やかな雰囲気をはなっていた。
少年が読んでるのは、どうやら英語の本であるようで、普通の人ではわからないような難しく眠くなるような英文が何ページも続いていた。
だが、少年はそんなことを気にすることもなく、黙々と本の世界に入り込んでいた。
「あ、剣城こんな所にいた」
剣城と呼ばれた少年は声がした方向を向く。
すると、春の日差しに反射してキラキラと輝くほどの明るい茶髪の少女がたっていた。
彼女の右手にはサッカーボールがあり、なぜだか少しだけムッとした顔をしていた。
「なんだよ清野」
「せ、清野って、これでも先輩なんだけど敬語はどうしたのよ」
「話ってそれだけですか?清野“せんぱい”」
これでいいですか?
とでも言いそうな顔で剣城は上目遣いで聞いてくる。
だが、そのあとすぐに いつも通りの冷静な顔に戻り、視線は本の方へと向いていた。
「そ、そんなわけないって!!剣城だってサッカー部なんだからさ、外で天馬達とも一緒にサッカーやろうよ!!」
「めんどくさいな」
「なんで!?!?」
静かな図書室に響いたのは、清野の叫び声。
静かに本を読み、世界に入り込んでいた生徒たちは一瞬で現実世界に戻され、邪魔されたことにより、清野には冷たい視線を送っていた。
「と、とにかくいこ?」
この生徒たちからの冷たい視線から逃げるように清野は剣城の手を持ち、引っ張った。
「はぁ....」
しょうがない
とでも言いたそうなため息を軽くつき、剣城は本を机に置き立ち上がる。
俺は先輩と二人っきりで練習やってみたいです。
小さく呟いた剣城の声は清野には届かず、2人の足音と共に消えていった。
「あ、剣城遅いよ!!」
「すまない(って俺が松風に謝る必要あったのか?)」
End
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有難う御座います。
風風からの誕プレでした。少し早いけど気にしないの。
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