二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結、そして……
- 日時: 2011/07/29 00:16
- 名前: 白黒 (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22252
はじめまして、白黒です。
白黒にちなんでポケットモンスターブラック・ホワイトの小説を書こうと思いました。
内容はオリジナルの要素を含みながら、ゲームの通りに進行したいと思います。
何分まだ中学生で、文才もないですが、それでも読んでくれたらありがたいです。
コメントを貰えれば、幸いです。
無事完結致しました。そしてこの物語は、次回作の『混濁の使者』へと続いていきます。参照をクリックして頂ければ、そちらに飛びますので。
登場人物
>>28
プロローグ
>>2
カラクサタウン
>>4
サンヨウシティ
>>5 >>6 >>7 >>8 >>13
シッポウシティ
>>14 >>15 >>16 >>21 >>27
ヒウンシティ
>>29 >>32 >>33 >>42 >>44 >>45 >>47 >>50 >>51 >>54
ライモンシティ
>>55 >>59 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>74 >>76 >>79 >>80
ホドモエシティ
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>89 >>90 >>92 >>95 >>96 >>100 >>101 >>102 >>106 >>107 >>108 >>113 >>114 >>115
フキヨセシティ
>>119 >>122 >>123 >>125 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131
セッカシティ
>>132 >>133 >>136 >>137 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>155 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167
バトルサブウェイ
>>196 >>199 >>200 >>205 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>213 >>217 >>218
ソウリュウシティ
>>227 >>235 >>238 >>239 >>242 >>243 >>246 >>249 >>250 >>253 >>254 >>256 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>268 >>269 >>271 >>272 >>275 >>279 >>280 >>281 >>284 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>291
ポケモンリーグ
>>292 >>293 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>302 >>305 >>306 >>307 >>308 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>340 >>343 >>344 >>347 >>348 >>349
エピローグ
>>350
番外編
ミキの特訓 前後編 >>52 >>53
トライアルハウスバトル 前後編 >>81 >>82
旧ライモン遊園地の夜 前後編>>111 >>>112
四季の川 前後編>>143 >>144
Heaven of battle 前後編 >>168 >>169
過去のプラズマ 前後編 >>282 >>283
マルチバトルサブウェイ 前中後編 >>317 >>318 >>319
夢のドリームマッチ 対戦表
リオVSメイル >>181 >>184 >>187 >>188
アカリVSキリハ >>189 >>190 >>191
ムントVSレンジ >>192 >>193 >>194 >>195
100章記念 イリスQ&A
>>231 >>232 >>233 >>234
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- Re: 174章 決戦 ( No.347 )
- 日時: 2011/07/27 21:35
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
「行くのです、デスカーン!」
ゲーチスが初めに繰り出したのは、黄金の棺桶の姿をしたゴーストポケモン、デスカーンだ。
「デスカーン、シャドーボールです!」
デスカーンは触手のように伸びる四つの黒い手から影のたまを一つずつ、計四つダイケンキに向けて発射する。
「ダイケンキ、弾け」
ダイケンキはその影の球を前足の鎧で全て弾き飛ばし、逆にデスカーンに当てる。
しかし、それだけではなかった
「な……!デスカーン!」
弾き返された四発のシャドーボールがデスカーンにヒットすると、デスカーンは吹っ飛ばされて戦闘不能となった。
「馬鹿な……技も使わず、弾き返した攻撃だけで戦闘不能にするなど……」
ゲーチスは想像を超える事態に混乱している。しかしそれは、Nやアデク、チェレンたちも同じだった。
「どうしたゲーチス。もう終わりか?」
唯一全く動じていないのは、イリスだけだった。
「くっ、たまたま当たり所が悪かっただけです、調子に乗らないでください。次はこうは行きません、シビルドン!」
ゲーチスが次に繰り出すのは、ヒウンシティでも姿を見せ、リオのシャンデラによる束縛から脱した電気タイプのポケモン、シビルドンだ。
「シビルドン、ワイルドボルトです!」
シビルドンは、イリスが今まで見た中で、ゼクロムを除けば最も激しい電撃を身に纏い、ダイケンキに向かって突撃してくる。
「ダイケンキ、薙ぎ払え」
ダイケンキは向かって来るシビルドンに対し、アシガタナを二刀流で抜刀し、横薙ぎの一閃を放つ。
「シビルドン!」
そして、シビルドンもまた、デスカーンのように吹っ飛ばされて戦闘不能になる。
「また……だと……!」
ゲーチスはますます困惑するが、それでも止まる事はなかった。
「まだです、まだ終わっていない!ガマゲロゲ!」
ゲーチスの次のポケモンは、リゾートデザートでイリスとミキを押し流したポケモン、ガマゲロゲだ。
「ガマゲロゲ、濁流!」
ガマゲロゲはどこからか巨大で濁った大波を発生させ、ダイケンキを押し流さんとする。
「ダイケンキ、打ち消せ」
ダイケンキは大きく吠え、濁流を消し去ってしまう。さらに咆哮はそのまま進んで行き、ガマゲロゲを襲い、吹き飛ばして戦闘不能とする。
「どういう事だ……」
ゲーチスはブツブツと何か言っている。相当焦っているようだが、ゲーチスは止まらない。
「行きなさい、キリキザン!」
ゲーチスが繰り出すは、全身が刃物のようなポケモン、キリキザンだ。
「キリキザン、アイアンヘッド!」
キリキザンは鋼鉄の頭を突き出し、ダイケンキに向かって超高速で突進する。
「ダイケンキ、切り上げろ」
ダイケンキは体勢を低くし、キリキザンの頭が自らの角と被さった瞬間、角を勢いよく振り上げ、キリキザンを天井まで切り上げて吹っ飛ばす。そして、またも戦闘不能。
「キリキザンまでもが……ぬぅ、バッフロン!」
ゲーチスの五番目のポケモンは、バッファローのような姿のノーマルタイプのポケモン、頭突き牛ポケモンのバッフロンだ。
「アフロブレイク!」
バッフロンは角とアフロ状の頭を突き出し、猛烈な勢いでダイケンキに突進する。
「突き飛ばせ」
ダイケンキはその突撃に対し、自分も角を突き出し、瞬間的な突きを繰り出してバッフロンを突き飛ばし、戦闘不能にした。
「馬鹿な、ありえない……技も使わず、ポケモンの能力のみでワタクシのポケモンを五体も倒すなど……!」
ゲーチスは明らかに狼狽している。それもそのはず、自慢のポケモン五体が、一体のポケモンに……それも技も使わず負けたというのだから、無理もない。
「……いや、まだだ。まだワタクシには奥の手がある。イリスよ、ワタクシの最後のポケモンの強さは、今までのポケモンの比ではないぞ。このポケモンで、貴様を絶望の底へと叩き落してくれる!」
ゲーチスは最後のボールを手に取り、最後のポケモンを繰り出す。
「さあ行け、サザンドラ!」
ゲーチスの最後のポケモンは、今まで何度か見た悪・ドラゴンタイプのポケモン、サザンドラだ。
両手が頭となっていて、普通の頭と合わせて三つの頭を持ち、闇のように黒い翼も三対存在する。
「凶暴ポケモンサザンドラ。これはその中で最も強く、巨大で、強大な固体です。言っておきますが、ワタクシはこのサザンドラ一体で、7幹部を相手取る事ができます」
確かにゲーチスのサザンドラは大きい。イリスはダークトリニィのサザンドラを見て気付いたが、サザンドラは派手な見た目の割りに体は小さい。体長は2m弱あるものの、そのずんぐりとした体に乗れるのは、せいぜい四人がいいとこだろう。
しかしゲーチスのサザンドラは6m以上あり、十以上乗れるほどの巨体だ。強さは体の大きさと密接な関係なので、体が大きいほど力も強い。つまりゲーチスのサザンドラは、通常のサザンドラよりも遥かに強い事が分かる。
「ここへ来て降参などしないでくださいよ。あれだけ大口を叩いたのです。あなたこそここでワタクシが、一思いに叩き潰して差し上げましょう。
「できるならやってみろ、最終的に叩き潰されるのはお前だ。僕がお前を叩き潰して、お前の野望を打ち砕く!」
さて、今回はイリスvsゲーチスの始まりでしたが、なんとイリスのダイケンキは技も使わずゲーチスのポケモンを五体、叩きのめしてしまいました。これは『イリスの怒りなどの感情がダイケンキにも伝わり、ダイケンキの力が増幅されている』という設定です。それから前回出て来た箱庭の箱の力もプラスされています。では、次回はダイケンキvsサザンドラ。お楽しみに!
- Re: 175章 逆転 ( No.348 )
- 日時: 2011/07/27 22:31
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
「サザンドラ、ドラゴンダイブ!」
サザンドラは空中から物凄い勢いをつけて下降しながら、ダイケンキへと突撃する。
「ダイケンキ、メガホーン!」
それと同時にダイケンキも角を勢いよく突き出し、サザンドラへと攻撃。
両者ともに技の衝撃で後退し、睨み合う。
「ダイケンキ、吹雪だ!」
「サザンドラ、大文字です!」
ダイケンキの放つ猛烈な吹雪を、サザンドラは大の字の巨大な炎で相殺する。
「悪の波動!」
そしてサザンドラは悪意が込められた闇の波動を無数に放ち、ダイケンキを襲わせる。
「シェルブレードで切り裂け!」
しかしダイケンキは角と両手(両前足)に持った仕込み刀のアシガタナに水のエネルギーを纏わせ、悪の波動を次々と切り裂いていく。
「メガホーン!」
そして一気に跳躍し、強烈な角の一撃をサザンドラの腹へと炸裂させる。
「ぬぅ、サザンドラ、大文字!」
サザンドラは空中で身動きの取れないダイケンキに大の字の炎を喰らわせ、地面に叩き落す。
「ドラゴンダイブ!」
そして物凄い勢いで降下し、ダイケンキに突撃し、衝突する。地面に落とされた直後だったので回避どころか防御もできず、ダイケンキはドラゴンダイブの直撃を受けてしまう。
「ダイケンキ、吹雪で吹き飛ばせ!」
しかしダイケンキはまだ倒れておらず、至近距離から猛烈な吹雪を放ち、サザンドラを空中へと吹き飛ばす。
「確かに相当強いダイケンキのようですね。ですが、その程度ではワタクシのサザンドラを倒す事などできませんよ!サザンドラ、悪の波動!」
サザンドラは悪意の波動を無数に飛ばし、四方八方からダイケンキを攻撃する。
「ドラゴンダイブです!」
そして急降下しつつ突撃するドラゴンダイブ。このサザンドラの攻撃パターンは『遠距離攻撃で攻めた後ドラゴンダイブで追撃』といった感じだろうという事が分かる。
「ダイケンキ、シェルブレード!」
ダイケンキはドラゴンダイブの直撃を受けたものの、すぐに体勢を立て直し、水のエネルギーを纏ったアシガタナでサザンドラを切り裂く。
「メガホーンで突き飛ばせ!」
そしてサザンドラとの距離がある程度できると、サザンドラに強烈な角の一撃を喰らわせ、吹き飛ばす——否、突き飛ばす。
「ここまでできるとは、完全に計算外ですよ……!サザンドラ、大文字!」
「何が計算だ。自分の事しか考えてない計算なんて、合わないに決まってる!ダイケンキ、吹雪!」
サザンドラの放つ大の字の炎を、今度はダイケンキが吹雪で相殺する。
「ドラゴンダイブです!」
「メガホーンだ!」
サザンドラは物凄い勢いで急降下し、突撃する。ダイケンキは角に力を込め、強烈な角の一突きを繰り出す。
サザンドラとダイケンキはしばしせめぎ合ったが、最終的には両方とも後退し、引き分けとなった。
「悪の波動!」
サザンドラは悪意に満ちた闇の波動を無数に放つ。
「シェルブレード!」
ダイケンキは角と刀に水のエネルギーを纏わせて一閃を放つ。
ダイケンキは悪の波動を受けて怯み、サザンドラはシェルブレードを喰らったものの、すぐに持ち直して上空へと飛び立つ。
「……まさか、こんな短時間でサザンドラがここまで消耗するとは、思ってもいませんでした」
見れば、サザンドラはかなり疲労していた。
「それほどにあなたのダイケンキは優れているという事でしょう。ならば、早めに決着を着けるのが吉。これで決めさせてもらいますよ」
ゲーチスは最後の一撃で決めるらしく、サザンドラの使える、最大級の技を指示する。
「サザンドラ、流星群!」
サザンドラが大きく叫ぶと、天井を突き破って大量の流星が降り注ぐ。流星の威力は凄まじく、ダイケンキといえどこれを喰らえばやられてしまうだろう。
だからイリスも、最後の一撃に賭ける。いや、最後の一撃で決める。
「ダイケンキ、ハイドロカノン!」
ダイケンキは自身を銃身に見立て、巨大な水の弾丸を発射する。
弾丸は降り注ぐ流星を砕き、破壊し、飲み込み、止まる事無く進み続け、サザンドラへと迫っていく。
そして、弾丸はサザンドラを貫き、地面へと落とす。
三つ首の闇の龍は地に落ち、ゲーチスの野望も、奈落の底へと落下し、霧散した。
「こんな事が……こんな事がありえるはずがない!」
ゲーチスはサザンドラが敗北すると、狂ったように叫びだす。
「僕の勝ちだ、ゲーチス。直に国際警察もここに来る。お前はもう……終わりだ」
終わり、というイリスの言葉を聞き、ゲーチスは顔を上げる。
その顔は、絶望に染まって……いなかった。
「終わりか……終わりだとな。フフ……フハハハハ!」
そしてゲーチスは、またも狂ったように高笑いするが、今度のは何か違う。
「何がおかしい」
イリスがそうゲーチスに問うと、ゲーチスは指をパチンと鳴らす。
「お呼びでしょうか、ゲーチス様」
現れたのは、ダークトリニィだった。
「ダークトリニィ、脱出するぞ。サザンドラを出せ」
ゲーチスがそう命じると、ダークトリニィはゲーチスのとは別固体のサザンドラを出し、ゲーチスはそれに乗る。
「逃げる気か!」
イリスは叫ぶ。ゲーチスはそれに対し、悠然とした態度で返す。
「ええ、逃げますとも。ワタクシの野望は、まだ終わっていません。……ダークトリニィ、もう隠し立てする必要はありません。あのポケモンを出しなさい」
ゲーチスがそう言うと、ダークトリニィは「かしこまりました」と返し、三人がそれぞれのボールから、それぞれのポケモンを出す。
『!?』
その場にいた全員脱——Nまでもが目を見開く。そこには、三体の雲に乗った鬼のようなポケモンが姿を現した。
「旋風のトルネロス、雷撃のボルトロス、そして豊穣のランドロス。ダークトリニィ、お前達はそれに乗って先に行け」
言うが早いか、ダークトリニィはすぐさまポケモンに乗り込み、空いた天井から外へと出て行った。
「さて、言いたい事はあるでしょうが、これがワタクシたちの力です。ワタクシの野望——それを実現するための策略の一つが、プランπ。これはNを利用し、人心を掌握する手法。いわば平和裏に事を進めるものです。そしてこれから実行するのが——」
イリスたちは言葉が出ない。そうしている間に、ゲーチスは言い放つ。
「これから実行するのが、プランΩ。これは奥の手も奥の手です。なにせ——戦争でこの世界を支配するのですからね!」
今回はイリスvsゲーチス、ダイケンキvsサザンドラのバトルでしたが、早く終わしました。今回重要な所はゲーチスの逆転です。ゲーチスの野望は打ち砕かれたかに思われましたが、実はまだ手を残していたんです。ちなみにπ(パイ)とはギリシャ語で、アルファベットのPに相等しまして、平和という意味の英単語のpeaceの頭文字になります。プランΩ(オメガ)も同じくギリシャ語で、Wに相等します。これは戦争を意味する英単語warの頭文字です。つまりプランπは平和的に、プランΩは戦争で世界を支配するという意味になります。長いあとがきになりましたので、この辺で終了。次回は遂に最終章です。お楽しみに。
- Re: 最終章 離別 ( No.349 )
- 日時: 2011/07/28 11:52
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
「ゲーチス様!」
ゲーチスがサザンドラに乗り、飛び立ったその時だった。部屋にプラズマ団7幹部総員が流れ込んできたのだ。イリスは一瞬PDOの面々がやられたのか、と思ったが、そのPDOたちもすぐに部屋に入ってきた所を見るとそうではないようだ。
「レンジ、どうしました? 他の者もそんなに慌てて」
「ゲーチス様、俺たちはどうするんですか!?」
確かに、ゲーチスがここから逃げるという事は、他のプラズマ団は見捨てるという事。下っ端勿論、力を持つ幹部までも置き去りにされる。
「安心してください。ちゃんと考えてあります」
ゲーチスの言葉に安堵の溜息を漏らす幹部達。ゲーチスはそれを見つつ携帯端末を取り出し、そこからホログラムで何かを映す。
それを見た瞬間、その場にいる全員は驚きの顔となる。
映し出されたのは、7人の人間だった。それも……プラズマ団の紋章が付いた服装をしている。
「あなたがたはもう必要ありません。これからはこの7人が幹部となってもらいます。あなたがたよりもずっと強力な力を持つこの7人が。……そうですね、7P(セヴンプラズマ)とでも呼ぶとしましょうか」
「そんな……」
ゲーチスの言葉を聞き、幹部達——元幹部達は絶望と虚無に満ちた顔となる。
「では皆さん、御機嫌よう。ワタクシはプランΩの準備を進めて参ります。なに、安心してください。プランΩは準備も大変ですから、その間ワタクシは何も仕掛けません。それまで、残りの人生を有意義に生きる事です」
そしてゲーチスは、飛び去ってしまった。残った元幹部達は、ゲーチスに見捨てられた事を信じたくないのか、口々にこの事象を否定している。
「……いろいろあったけど、一番まずいのはゲーチスの野望がまだ潰えていない事だね」
チェレンはいつも通りの冷静な口調で言うが、覇気が感じられなかった。
「それに、あんなに強い7幹部のさらに上がいるなんて……私たち、大丈夫なんでしょうか」
ミキの顔も。かなり沈んでいる。
「大丈夫だよ。イリスがいればなんとかなるって」
唯一ベルだけがマイペースに言うが、やはり少し表情が強張っている。
「ところで、リオさんたちはどうしてここへ?」
イリスは気になっていた事を訊ねてみる。
「たまたま私が壊した壁際で戦ってたんだけど、そこからトルネロス、ボルトロス、ランドロスの三体が見えて、なにかまずい状況になってるのかと思って分断していた壁を燃やして皆を連れて上に上がったの。……まあ、その前に勘の良い元幹部が駆け出していったけどね」
つまり、リオたちはダークトリニィが出て行った辺りでバトルを中断し、ここへ来たようだ。
「……イリス君」
キリハが、イリスに呼びかける。
「それよりも、彼を」
そしてキリハはNの方を見る。Nはじっと、イリスを見つめていた。
「君の役目は、まだ終わってないよ」
キリハに押され、イリスはNの方へと歩み寄る。
そしてその場にいたイリスとN以外の者は、退室する。
「N……」
「イリス。君に話したいことがある」
Nは何かを決心したような表情でイリスに言う。イリスも頷き、二人は玉座のあったところへと歩いていく。
「君と初めて出会った、カラクサタウンでの事だ」
Nの声は、静かで落ち着いていた。
「君のポケモンから聞こえてきた声が、僕には衝撃だった……」
しかしどこか痛んでいるような、傷ついているようでもあった。
「何故ならあのポケモンは、君の事を『好き』と言っていた……一緒に居たい、と言っていたから」
Nはそれでも、痛み傷ついても、無理をして振舞っているように見える。
「……僕には理解できなかった。世界に人の事を好きなポケモンがいるなんて……僕はそれまで、そんなポケモンを知らなかったからね……」
イリスはその言葉を聞き、平和の女神の言葉を思い出す。
『Nは幼い頃から、たくさんのポケモンと触れ合ってきました。ですが、そのポケモンたちは全てゲーチスが集めたもの。それも、トレーナーに裏切られ、酷い傷を負ったポケモンだけを、Nに与えていました』
「それからも旅を続けるほどに、僕の気持ちは揺らいでいった……心を通い合わせ、助け合うポケモンを人ばっかりだったから……だからこそ自分の信じていた物が何かを確かめるために君と闘いたい……同じ英雄として向き合いたい。……そう願った」
そしてNは玉座のあった場所、今はもう破壊された壁だけが残る場所へと歩む。
「ポケモンの事しか……いや、そのポケモンの事すら理解してなかった僕が、多くのポケモンと出会い、仲間に囲まれていた」
Nの顔は沈んでいるようにも、喜んでいるようにも見える。
「君に敵うはずがなかった……」
そしてNは、何もない空へと向かう。
「僕は考えたんだ、僕に何ができるか。僕はプラズマ団という組織に属し、悪行を行ってきたと言っても過言ではない。……ゼクロム」
Nはゼクロムを呼び、空へと向かわせる。
「僕は自分の罪を償いたい。清算し切れるものじゃないだろうけど、僕は僕にできる精一杯の事をしたい。だから……君とはお別れだ」
「N……!」
イリスは手を伸ばすが、Nはそれを拒む。
「イリス!君は夢があると言った」
そしてNは、静かに弾ける雷のような声で、言った。
「その夢……叶えろ!その夢を実現し、君の真実とするんだ!イリス!君ならできる!」
「N……!N!」
イリスは叫び、手を伸ばすが、Nはゼクロムに乗り、イリスの手は届かない。
「それじゃ……」
Nは覚悟を決めた顔で、イリスに言う。
「サヨナラ」
「N!」
イリスは叫ぶが、Nは行ってしまう。遥か遠くへと。
今回は礼のラストシーンでしたが、その前にいろいろありました。ゲーチスの言う新たな7幹部、7Pとかですね。では、これにてポケットモンスターBW 真実と理想の英雄は終了です、無事完結いたしました。え?これだけ振っといて終わらすな?分かっていますとも。真実と理想の英雄は終了しましたが、僕は次回作でゲーチスとの、プラズマ団との最終決戦をするつもりなのです。では、次はエピローグですが、次回作もお楽しみに……。
- Re: エピローグ ( No.350 )
- 日時: 2011/07/28 12:07
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
真実と理想、それは相反するものではなく、互いに共存するものである。
真実を求めし者は善なる心を持ち、理想を追い求めし者は力を得る。
善なき心を持つ者は真実に焼かれ、力なき者は理想に貫かれる。
真実と理想はともに生きていくためにある、信念。しかし、この世には真実と理想が混濁した信念、灰色で、濁色の信念もある。
燃え盛る炎のような真実とも、弾ける雷のような理想とも違う。言うなれば、凍てつく氷のような信念。
そして、その混濁した氷の信念をつかさどる龍が、復活せんとする……
夢を叶えろ、Nはそう言った。
でも、それはもう無理な事だ。
僕の夢は、他人の夢がどうこうとか言ってたけど、あんなのはただの戯言だったのだ。
僕の夢、それはN。君と——
イリス、君は真実を教えてくれた。
だから僕は、それを胸に刻み込む。
僕は各地を巡って、さまざまな地方を訪れて、いろんな人と、ポケモンと触れ合い、絆を知ろうと思う。
そしていつか、僕の決心がついたら。君と——
夢を叶えんとする少年と、贖罪をする少年。真実と理想を誰よりも理解する者。
この二人が、世界を救う鍵となろう……
- Re: ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄 完結 ( No.351 )
- 日時: 2011/07/28 12:45
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://pokegai.jp/
皆様の応援もあり、『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』遂に完結いたしました。
ですがこれで終わらせはしません。この作品のラストで張った伏線を回収するべく、次回作も書く所存です。それに、この作品で出て来た街は原作の初回プレイ時の時のものですから、カゴメタウンやサザナミタウンなんかも出ていないので、次回作では出します。
ちなみに次回作のタイトルはもう決まっています。名付けて『ポケットモンスターBW 混濁の使者』です。
エピローグをご覧になった方ならば、もしかしたら使者がなんなのか、お分かりになるやもしれません。
では、本作品を読んで下さった皆様、ありがとうございました。
今作品は終了し、次回作へと進んで行こうと思います。
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