二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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supercell ヒーロー
日時: 2011/07/26 18:20
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

supercellさんのヒーローという曲がとても好きなのでこの小説を書きました。出来る限りストーリーを歌詞に合わせてみました。それと段落がメチャクチャです。すいません。結構最初の方は結構長いので適当に読ん下さい。ぜひ読んでみてください。面白かったらぜひお気に入り小説に入れてみて下さい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

参照200回を超えました。皆様ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

コメディの方で「魔法少女が壊しに来る!?」というものもやっていますので、よろしければご観覧下さい。そちらの方が数倍面白いです・・・

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Re: supercell ヒーロー ( No.25 )
日時: 2011/06/16 19:09
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第二十四話
「に・・さん・・にい・・・ん」
どこからか声がする。
目を開けるとそこには寺院の天井が映し出されていた。
「目が覚めた?」
そこには俺の弟「陸人」がいた。
「陸人・・・・」
「何?」
「すまなかったな・・・・・・・・・・」
俺は今までアイラの下で働いていたこと全てを覚えている。
「お前に殴られて気がついたよ・・・・大切な物にな・・・・」
右を見ると俺の刀もすぐそばに一緒に倒れていた。
俺は手に白い綺麗な石を持っている少女を見た。その石はたぶん「月下美人」だろう。
「中村だったな・・・・・・・・」
「はい・・」
「君には本当にすまないことをした・・・・・・」
これは俺の本音だった。
「兄さんもういいから、帰ろう・・・・・」
「こんな俺を受け入れてくれるのか?」
陸人は優しく微笑んだ。
「あなたは僕の兄さんでしょ?僕は優しいあなたをどんなことがあっても裏切らない」
こんな兄とは違って立派な弟だな・・・・・
「さっ帰ろう」
その時だった。

ドカァァァァァァァァァァァン!!!!

寺院の壁が強制的に何者かによって破壊された。
その破壊された壁の奥には十人程度のディスパイアがいた。
「!!!!!」
陸人は立ち上がると神風を手に取った。

こいつらはたぶんアイラの手下達だろう。アイラの刺客なら皆がジャック以上の実力を持っているな。ここにいる中村、陸人、俺で刃向かっても倒せるかどうか分らない奴らばかりだろう・・・
どうせアイラが念のためにとここへ送り込んできたのだろう。
陸人を殺し、中村と連れて帰るために。
だが、アイラは俺の意識が完全に戻るということまでは予想出来ていないだろう。
フッ・・・・・・
それならここで罪を償い死ぬのも悪くないな・・・・・・・
「待て陸人」
俺は陸人を止めた。そして、手元の刀を手に取り、ガクガクの足を無理やり立たせた。
「ここは俺一人で戦う。お前は中村を連れて町へ帰れ」
陸人は苦い顔をした。
「そんなの無理だよ!!!そんなボロボロの体で!!!!」


「いいから早く行け!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


俺はつい怒鳴ってしまった。
「頼むから中村と逃げてくれ・・・・・」
陸人は目をそらすと
「行こう結衣さん」
陸人は俺の顔をもう一回見た。

「必ず生きて戻ってきてね」

俺は思わず笑ってしまった。

「ああ」

陸人は俺の言葉を聞くと何も言わずに中村を背負い、寺院の入り口へと走っていった。
「行かせるか!!!」
ディスパイアの一人が陸人達に向けて能力を発動させようとした。

「お前達の相手は俺だ!!!!!」
俺はそいつと他のディスパイアに渾身の衝撃波をぶつけた。

ドォオオオオオオオオオオオオオオン!!!

音はかなり大きいが誰かの能力でガードされているだろう。
入り口を見ると陸人達はすでにいなかった。
「行ったか」

必ず生き延びろよ陸人。中村を守るんだぞ。何があってもな。
そして、こんな情け無い兄ですまなかったな。お前に何もしてやれなかった。だから最後の償いとしてここで戦わしてくれ。思い返せば色々あった人生だったな。
最後に言わせてくれ陸人。



「「自分を信じろ」」



また合えたらどこかで合おう。

俺は刀を強く深く握り締めた。
(もう思い遺すことは無いな・・・・)
俺は地面を思いっきり蹴った。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


そして、敵の中へと走っていった。


陸人は痛む腹の傷に耐えながら結衣をおんぶして町に向けて走っていた。


ドカアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!


陸人は寺院の方向の大きな爆音と共に、ここから見える寺院の先端から寺院が崩れ落ちるのを確認した。

「っ!!!!!!」
陸人は目をつぶるとさらに加速し走っていった。

Re: supercell ヒーロー ( No.26 )
日時: 2011/07/02 15:29
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第二十五話
ここはアメリカのディスパイア対策本部。

パン!!!パン!!!

一人の少女がマシンピストルをひたすら撃っていた。

パン!!!パン!!!

少女の腰には大量のマガジンケースがつる下がっており、ケースは何色かの色で分けられていた。

パン!!!パン!!!!

少女は赤いケースに入っているマガジンを取り出すと、自分の銃へ詰め込んだ。

ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

少女の指がトリガーに触れると、凄まじい勢いで火を帯びた弾丸が発射された。
(まあまあだな・・・・・)
少女はポッケに入っていた一切れの紙を取り出した。
そこには「日本支部への配属」と書かれていた。
「日本か・・・・」
少女はそう呟くと紙をギュっと握り締めた。



(あと・・少しで・・ゲート・・だ・・・)
陸人は結衣をおんぶしたままゲートへ向かって走っていた。
しかし、今は走るという動作には程遠いほど遅い速度で歩いていた。
幸い、あの後ディスパイアには会わずにここに来れた。


ゲートへ着くとその途端に陸人は倒れこんだ。
(やっと着いた・・・・でも学校まで行かなくちゃ・・・・)
医療施設が十分でないここでは二人ともこのまま死んでしまう。
陸人は背中で力尽きている結衣を見た。
(結衣さんは大丈夫そうだな・・・問題は僕の腹部か・・・・・)
結衣の服の切れ端を使って作った臨時の包帯は陸人の血がにじみ、赤一色になっていた。
(あと少しだ・・・がんばれ・・・)
自分に情けない応援をしながら地面の砂を掴むようにして手を握り、手を握ったまま立ち、足を進めた。

痛い足を引きずって、ついに学校の坂道までの道のりまで来た。
(あと・・・・少し・・・・・・)
足が疲労を最大まで抱え込んだその時だった。
(あれは・・・・・・・)
陸人の目には「会長」尾形美砂が現れた。
時間帯から予測すると、どうやら下校しているらしい。
(あ・・れ・・・・?)
その時だった

ドサッ・・・・・・・

陸人は地面に倒れこんだ。
その音に気がついた美砂は陸人の方を見た。
(あれは・・・・・池川か?)
美砂が陸人へ駆け寄ると、陸人は結衣を手放して倒れこんでいた。
「おい!!!池川!!!!大丈夫か!!!!!」
こくこくと時間が過ぎていった。


気がつくとそこはとても良い臭いがした。
テレビの下の電子時計はあれから二日後を示していた。
「気がついたか」
そこにいたのは生徒会長であった。
僕は動揺する元気も無く、ただ頭の上の氷の冷たさを実感するだけであった。
「会長・・結衣さんは・・・・」
「ああ、お前といたあの娘か。そいつならお前の横の布団で寝ているぞ」
頭の氷が落ちないように横を向くと結衣さんがいた。
「それと、お前の腹部の包帯は変えておいた」
僕は自分の腹部をさわった。確かに包帯の生地が違うことから替えてあることが分った。
「それにしても」
会長は席に着きながら話し始めた。
「お前ら何があったんだ?」
「それは・・・・」
言うか言わないか迷った末、助けてくれた恩もあるので僕は話すことにした。



「ほう。とりあえず、行方不明だった校長がディスパイアで、そいつがこの娘を狙い、校長だったディスパイアの能力で蘇ったお前の兄さんと戦闘して現在に至ったんだな?」
「まぁそんな感じです」
「そうか・・・・」
(現在、学校の最高責任者は私だからな・・・・下手に校長の件を探るよりも、池川たちと行動した方が案外早く目的を達成できるかもしれないな・・・・・)
会長は何かを考えていた。
「あのな」
「なんでしょう?」
「もし」
会長の声はとても小さかった。
「・・・もしよかったらでいいんだ。私もお前たちと一緒に行動させて欲しい」
「え・・・・?」
「いや・・・その・・・・多い人数の方が戦いやすいし、もし、ディスパイアに奇襲された時は安全だろ?」
「そうですけど・・・・なんで急に?」
会長はどう話して良いか分らない様子で、顔を真っ赤にしていた。
「わ、わ、私はただあの時の恩を返さないといけないと思ったから・・・・・その・・・・・ああ!!!いいじゃないかもう!!!!」
会長は声を最大の大きさにして怒鳴った。
「わ、わかりました・・・でも会長。生徒会の仕事はどうするんですか?」
「ああ、それは副会長の里中にまかせるから大丈夫だ」
結構自分勝手だなこの人・・・・・副会長ってあの前の戦いでボロボロになっていた人か。
「というわけで、明日からよろしく頼む。それと、そこの少女は少しここで寝かせて置け。まだ、お前と違って傷が癒えてない。傷を見たところ、明日には治ると思う。明日はこの子の事情を話して、私が一緒にこの子と登校しよう」
「わかりました。こちらこそ明日からよろしくお願いします」
僕は席から立つと、会長の家を後にした。

Re: supercell ヒーロー ( No.27 )
日時: 2011/07/12 21:54
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第二十六話
(陸人・・・・・・・陸人・・・・・・・陸人・・・・・)
「うわああああああああああああああああ!!!!!」
布団から飛び起きるとまだ午前三時だった。
「ハーッハーッ」
僕は荒れた息を整えた。
さっきの声は何なのだろうか?
低く、全てを飲み込んでしまうようなあの声は。
「まぁこんな日もあるよな」
苦笑いをしながらまた布団へ入った。眠気が覚めたまま・・・。



「よし!!!」
朝起きると、気持ちを入れ替え、多少睡眠不足の体をフルに活用し学校へ向かった。

「陸人〜〜〜〜〜」
歩いていると裏から聞き覚えのある声が聞こえた。
「結衣さん。会長も。おはようございます」
「ああオハヨウ・・・・」
会長は何故か周りの目を気にしながら結衣さんの裏を歩いていた。
「美砂先輩から全部聞いたよ。陸人アリガトね。助けてくれて」
「うん。気にしないで。大丈夫だよ」
今気がついたことだが、結衣さんの首に白い石の首飾りが吊るされていた。

「じゃ、また後で会いましょう」
「うむ。ではまた」
「じゃあね!美砂先輩!」
会長を送ると結衣さんは僕の手を取った。
「行こう。陸人」
「うん。あ、でも」
「どうかしたの?」
一応、先生に無断で結衣さんを助けに行ったわけだし、謝っといたほうが・・・・・・・・
でも、怒られるよな・・・たぶん・・・・
「陸人?」
結衣さんは僕の顔を覗き込んだ。
「ごめん結衣さん。僕、職員室に用があるから先に行ってて」
「うん。わかった。じゃあ先に教室で待ってるから」
「うん。そうしてて」
僕はそう告げると職員室に向かおうとした。
すると、細くて色の白い手が僕の腕を掴んだ。
「陸人・・・・あとで話があるの・・・」
その時の結衣さんの声は朝とは違いとても暗かった。
僕は微笑んだ。
「わかりました。では」
結衣さんは僕の腕をスッと離した。それと同時に僕は走っていった。


(いざとなると、どんな顔をして入ればいいのか悩むな・・・)
僕は職員室の前にいた。
(悩んでてもしょうがない)
僕は勢いよくドアを開けた。しかし、ドアは何故か軽かった。
「!・・・・・池川・・・」
「先生・・・・・!」
僕たちは互いに顔を見合わせた。そこには僕の担任の先生がいた。
「中村を助けたとき、傷は負わなかったか?」
予想外の反応に僕は少し驚いた。
「あ、はい。大丈夫です」
「そうかならよかった」
「あ、あの先生」
「なんだ」
この状況では言わなくてもスルーできそうだが、人として謝っといたほうがいいな。
「この前は無断で飛び出してしまってすいませんでした」
先生は少し悩んでいた様子だった。
「この前のことは気にするな。朝一番の生徒会長の報告によれば中村も無事そうだったらしいしな。お前も無事だったことだし、今更何を言ってもどうしようもないだろ。ただ、次からはこんな行動は控えてくれよ。お前たちは俺の教え子なんだから」
そう言うと先生は笑いながら、僕の頭をわしゃわしゃ掻いた。
「ほら、授業そろそろ始まるぞ。急げよ」
「はい。ありがとうございました」
僕は教室へと駆けていった。

授業も終わり、放課後となった。
「陸人。ちょっといい?」
「うんいいよ。朝の話ってやつだね」
僕はバックの整理を終えると、結衣さんの机へ椅子を持っていった。
「話、長くなっちゃうかもしれないけどいい?」
「うん。構わないよ」
結衣さんは息を吸い込み呼吸を整えた。
「実はね。私、陸人がお兄さんと戦っているときのことを思い出してみて、そして思ったんだ」
「何を?」

「あなたが」
結衣さんは何かの覚悟を決めたようだった。


「あなたがドラゴンによってディスパイア化してしまうんじゃないかって・・・」


「えっ?」
その時は、時計の針の音が鮮明に聞こえた。

Re: supercell ヒーロー ( No.28 )
日時: 2011/07/19 22:43
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第二十七話
「だから・・・もう陸人には戦って欲しくないの」
結衣さんは下を見ながら、僕とは顔を遭わせずにそう言った。
そんな結衣さんを慰めるように僕言った。
「大丈夫だよ。確かにこの力に頼り過ぎているけど、ディスパイアになんかならないから」
「でも!!」
結衣さんは声を荒げ、机を叩いた。
「じゃあ、何であなたの衝撃波は黒くなったの?あの炎の神風は何の力なの?」
「っ・・・・」
僕は言い返せなかった。僕自身もその力が誰のものなのか分かっていたからだ。
それは紛れも無く



ドラゴンの力



ガラガラ
沈んだ空気の中、教室のドアが開いた。
そこには生徒会長の尾形美砂がいた。
「取り込み中すまないな。緊急だ。ディスパイアが三体確認された。アイラの部下である可能性が高かったので一応討伐を引き受けたのだが・・・この作戦は中村は不参加だ。敵の狙いがお前であり、まだ傷が完全に癒えていないからな。陸人、今から行けるか?」
「はい大丈夫です」
僕が席を立ったその時、何かが僕の袖を掴んだ。


「陸人、行かないで・・・・・お願い・・・・・」


結衣さんは泣きそうな声をしていた。
「あなたは私の大切な人・・・・だから・・・・」
僕は無理に作り笑いをした。
「ごめん・・・結衣さん。僕行かないといけないんだ。結衣さんや兄さん、会長、この町の人のためにも、この身が滅びてでもディスパイアを倒さないといけないから・・・・それに戦わないと僕の居場所が無くなっちゃうから・・・・・」

「必ず・・・・」
結衣さんは呟いた。
「必ず戻ってきてね」
「はい」
僕がそう言うと結衣さんは手を離した。
「行きましょう。会長」
僕たちはゲートへ向かった。

Re: supercell ヒーロー ( No.29 )
日時: 2011/07/25 12:32
名前: 春夏秋冬 (ID: tGlrccyT)

第二十八話

「陸人。さっき中村と何を話していた?」
「えっ・・・・?」
「いや、さっき中村と話していただろう?あれは何を話していた?」
「・・・・・実は・・・」
僕は無理に笑い混ぜながら話し始めた。ここで会長にしっかりと話しておくべきだと思ったから。
「僕の体のドラゴンについて話していました。結衣さんは心配していました。僕の体を。能力を過度に使いすぎればドラゴンに飲み込まれてしまうんじゃないかと・・・・」
僕は自分の左腕を見た。
「実は僕・・・自分でも薄々感じているんです。ドラゴン、いやディスパイアへこの体が近づいているのが・・・・身に覚えのない戦いの痕跡も多々ありまして・・・・・」
「そうか・・・・」
会長は顔をしかめていた。
「失礼な発言をしたことを許してくれ」
「いえ、大丈夫です・・・」

その時、何かレーザーの様な物が陸人の横顔目掛けて飛んできた。
「陸人!!!!!」
「えっ?」

ズドオオオオオオオオオオオ!!!!!

威力が圧縮されたレーザーが陸人の髪をなびかせた。
「久しぶりだね」
レーザーの飛んできたほうを向くと、三人のディスパイアがいた。
「貴様は!!!」
美砂が血相を変え、槍を構えた。
陸人は何故美砂が血相を変えたのか瞬時に分った。そこには以前、美砂と副会長の里中がボロボロにされたあのクイーンのディスパイアがいたからだ。
「お前、アイラの部下だな?」
陸人は覚えていた。寺院にこいつらがいたことを。
「おお〜よくあてたねドラゴンの坊や。あの時はボスがいたから騒げなかったけど、」
「おい、待てフィント」
右隣にいたディスパイアがレーザーのディスパイアの肩を掴んだ。
どうやらあのレーザーのディスパイアの名前はフィントと言うらしい。
「始めまして池川君。私はディラン。新サクリファイスの一人です。今日は君へ二つ用事があったのでここへ来ました」
フィントの肩と掴んでいた男は喋りだした。
「一つ目はある事実を伝えに来ました」
「兄さんのことか?」
陸人はだいたい予測がついていた。
「ええ。あなたのお兄さん、「池川海人」はあの寺院において死亡、と私たちサクリファイスの中ではなっている」
「何故だ?」
陸人はドッと怒りが込み上げてきた。
「あの寺院には私たちの援軍であるディスパイアの死体しか残っていなかった。しかし、そこにあった人間の出血量からいくと、海人君はどうあがいたとしても死んでいると」
「何故それを伝えに来た?」
まだディランは喋り続けていたが、陸人は怒りに耐えられずもう一つの質問をした。
「やれやれ・・これだから人間は・・・「死んだ」と教えてあげた方が気分がスッキリするでしょう」
「理由はそれだけか?」
「それ以外に何が必要ですか?」
「貴様!!!!!!」
陸人は鞘から神風を抜くとディランへ向けて走った。
「それから私たちにはもう一つやるべきことがありまして」
ディランは手の平を胸の前で合わせた。
「池川陸人の回収といういかにも簡単な用件です」
その瞬間、陸人の前へ結界が出現した。

ドスッ!!

鈍い音と共に、陸人は転がっていった。
「私の能力は結界を作り出すこと。その結界は収縮し、相手へ物理攻撃をすることができます」
「陸人!!!ッチ!貴様ら!」
美砂は槍をディランへ向けた。
「あなたの相手はこの私よ」
声が聞こえる方から美砂へ向けて、鋭いレーザーが飛んできた。

ギィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!

槍のコーティングの氷を削るようにレーザーが美砂を襲う。
「くはっ!!!!」
美砂は槍と共に、五十メードルほど吹き飛ばされた。
「じゃ、ディランとライズ。後はヨロシク」
「分りました」
「・・・・・・・・・・・」
フィントは美砂の方へとレーザーを使い、飛んでいった。

「陸人君」
「くっ・・・何だ!」
陸人の怒りは収まらなかった。なんせ、兄を使ってディランが挑発してきたからだ。
「私とその右腕についてお話をしましょう」
ディランは陸人へ駆け寄った。それと同時に陸人は神風を構えた。
「君はドラゴンが元々どういう目的で作られたのか知っているのかい?」
「!!!!!」
どういうことだ?ドラゴンが「作られた」?
「ドラゴンとは、あの中村響の「作品」だ。あの男はある時こう考えた。「ディスパイアの力をコントロールできれば世界は人間は救われると」
中村響・・・・それはすなわち、結衣さんの父・・・・!
「彼の考案は、ディスパイアの力を人間へ移植するというものだった。だが、彼の実験には人体が必要だった。無論、誰も生きた人間はもちろん、死体なども提供してくれない。そんな時、彼の頭には死んだ自分の妻ということが浮かんだ。すぐさま、彼は作業に取り組んだ。その末でき上がったのが「ドラゴン」だ。しかし、ドラゴンは暴走。そのままドラゴン自身、自分をコントロールできなくてあの寺院へなんとかたどり着きそのまま居ついた。まぁこれは全てボスから聞いたことだけどね」
ディランは神風を指さした。
「その刀も元々はドラゴンのための武器として中村が作ったものだ。何故君がそれを持っているかは知らないが・・・・さて、無駄話はここまでだ。そろそろ行かせてもらうよ!!」


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