二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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イナゴ 「サッカーなんて」
日時: 2011/06/06 01:51
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

どうも、克哉です。
ぬらりひょんの孫、夢小説を書いてる中一です。
今回は、イナゴの話を書きたいと思っています。
どうか、生暖かい目で見てくれたら幸いです。
主人公設定

如月 終夜 「女」 「ポジション」どこでも。
容姿・男にも女にも見える外見。目は少しきつめ。
右が青、左が赤のオッドアイ。
性格・冷静、無慈悲。優しさなんてものがあまりない。
サッカー経験・フィフスセクターで、色々な実験をされているので、実力はある。弱い者には、負け犬という。
概要・フィフスセクターで、色々な実験をされていた。(神の水とか、エイリア石とかね。』そのせいで、あまり人間を信用できない。
年齢は12歳だが、もうこれ以上年を取らないとのこと。
そして、子宮はあるものの、子供を作る機能がない(正確にはとられた)ため、子供を絶対に作ることが無い。女だが、男にも女にも好かれる。老若男女構わず落とせる。基本男として育てられたため、男のような発言をする。そして、男装をして、雷門中に入学する。
バンダナを左腕に巻いており、試合のときに、右目を隠したり、左目を隠したり、両方の目を隠すのに使っている。
右目は、データ分析を、左目は力を増力させる力を持っている。
そして、サッカーが大嫌い。
でも、強い。
化身は、闇に包まれた、黒い豹。
技 「ダークエンジェル」 シュート技
  「ダークストーム」  ガード技
  「チーターダッシュ」 ボールをキープする
  「ブラックサンダー」 シュート技
  「データクリア」   ボールを奪い取る
  「ブラックハンド」  キャッチ技

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Re: イナゴ 「サッカーなんて」 ( No.2 )
日時: 2011/06/06 18:19
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

「お坊ちゃま、起きてください。」
「あぁ、運転手。ありがとう。」
と、感謝の意味を含めて、笑ってやる。
すると、運転手は顔を赤くしやがった。
「は、はい。あ、お坊ちゃま。」
「何だ。」
「どうせなら、運転手ではなく、修司とお呼びください。」
「分かった、良いだろう。修司。」
「ハイ、なんでしょう」
「この大きな建物は何だ」
私の前にあるのは大きな建物だ。しかも西洋風。
「あれは、お坊ちゃまの「やっぱ良い、言うな。分かったから。」
かしこまりました。」
私が門を開けようとすると、修司が門を開けてくれる。
何だ、そのくらいは私にも出来るのに・・・
「修司。」
「はい、何でしょう坊ちゃん。」
「俺の部屋はどこだ?」
「まず、食堂はどこかと聞いたほうがよろしいと思いますが。」
「分かった。で、どこだ。」
「あちらでございます。」
なるほど、作りも西洋風なもので、食堂は玄関を入ってすぐ前か。
「修司。」
「次は、浴場でございますか?」
「よくわかったな。案内しろ。そして、終わったら俺は食事をする。
食べ終わるまでに、雷門中の10年間のデータをハッキングしろ。
それくらいは出来るだろう?」
「仰せのままに。ですが、貴方様のほうがフィフスセクターの管理下にいたので、分かっているのではないですか?」
「俺がいたのは質素な牢屋だ。テレビなんて見る暇は無い、実験ばかりする、挙句の果てには、俺はあそこでまともな飯を食ったことが無い、記憶の中では実験が終わった後は、ずっと寝ていた。・・・これで、どう分かれというんだ?あ、あと。雷門中の入学者のデータもな。
ところで、入学式はいつだ。」
「明日でございますね。」
「・・・そうか。まぁいい、案内しろ。」
ハイ、かしこまりました。そういって、修司は館内を案内してくれた。
趣味が悪い部屋もあったが、図書館なんてのもあった。
うん、前よりは良いらしい。
一通り見終わった後、食堂へと移動した。
今日の食事は、和食。
和食なんてはじめて食べるんだが。日本人として、大丈夫か、私。
「美味しい。」
「それはようございました。」
「これ、誰が作ったんだ?」
「私ですが。」
「修司、お前って、凄いな。」
「お褒めに預かり光栄です、お嬢様。」
「・・・あ、あぁ。家の中で、人がいないときだけ女扱いしてくれるのか?」
「一応、使用人は私だけなんですがね。」
「へー。」
修司が、まさか使用人だったとはな。
食事を食べ終えると、PCを置いて、皿を持っていってしまった。
ディスプレイを見ると、見慣れた奴らの顔があった。
「円堂、守?」
円堂守の欄をチェックすると、さまざまな功績が与えられていた。
ふむ、10年前か。この頃が最盛期、と言うわけだ。
そして、右肩下がりにおちていき、フィフスセクターが管理し始めるようになって、楽しそうな顔の写真は無い。今の雷門イレブンは、とても弱そうだ。フィフスセクターのファーストクラスでひねりつぶせそうだな。
そして、入学者の欄を見る。
やはり、進学校となっただけあって、サッカー部に入りたいと言う奴らもちらほらいるらしい。
入学者の欄を、どうでも良いような目で眺めていると、フィフスセクターで見たことのある顔を見つけた。
幼い頃、実験をされていて、部屋に帰るときに一回だけ見たあいつだ。
「剣城、恭一ねぇ。」
「何か面白い方でも?」
「ん?まあな。面白そうなおもちゃだ。」
そういって、また眺めていく。すると、円堂守に似た目の奴がいた。
「へぇ、松風天馬?面白そうなおもちゃがいるもんだな。」
「それはようございました。で、ボスからの伝言があるのですが。」
「聞かせろ。」
「『一日目、楽しく過ごせたかな?明日から、雷門中に入学してもらうわけだが、サッカー部に入ってもらいたい。理事長には、もう許可が入っている。自由にサッカーを楽しんでもらおう。だが、忘れるな。お前は私の所有物だ。貴様が私をつぶそうとしたところで、無駄なことだ。では、貴様の幸運を祈る。』とのことです。」
「幸運、ね。まあ、やってやろうじゃないか。」
そういって、席を立つ。
「風呂に入る。」
「分かりました。」
浴場へと向かう。
浴場へ向かうと、お湯が溜まっていた。
何から何まで、すばやい男だ。
風呂につかる。
背中の傷が少し痛んだが、あまり気にしない。逆に、左肩の焼印を気にしてるぐらいだ。
ユニフォームで、見えないよな。
そう思いながら、頭を洗い、体も洗う。
こざっぱりしたところで、先刻のデータを思い返す。
「円堂守、お前はまだ、私のことを覚えているのか?
まあ、不動は忘れているだろうな、きっと。
そういえば、風邪の噂で円堂は結婚したらしいが・・・いったい誰とだ?」
二人のうちの一人だとは思うが、それ以外の人間でもあるだろうと思い、風呂から上がる。
すると、バスタオルと下着がおいてあった。
・・・真面目に、すばらしい執事だよな、修司。
バスローブまでご丁寧においてある。
ここはホテルかよ。
私は、体を拭いて、下着をはき、その上にバスローブを着る。
私が居間へと戻ると、ソファーの横に修司がスタンバイしていた。
「お嬢様、失礼ながら、髪を触らせていただきます。」
「まあどうせ、学校行くときには結ぶことになるだろうしな。」
「でしょうね。」
テレビのボタンを押す。
すると、バラエティとかがあった。
ニュースがあったので、ニュースを見る。
髪がどんどん乾いていく。
手が気持ち良い。
「・・・全く、面白くない試合だな。」
「そうですね。中学生にしては、ずいぶん大人びた試合をしていますから。」
「修司、お前フィフスセクターから雇われてるのに、いいのか、そういうこと言って。」
すると、修司は少し微笑を浮かべて、
「私がお使えしているのはお嬢様ただ一人でございます。」
ふむ、なかなか良いことを言う。
髪の毛が乾いたのだろう。
私は、眠気をこらえきれず、瞼を閉じてしまった。
闇へと落ちていく。
誰かが私の体を抱えている。
「全く、油断も隙もありませんね、お嬢様は。」
唯一聞こえたのは、その言葉だけ—

Re: イナゴ 「サッカーなんて」 ( No.3 )
日時: 2011/06/06 21:45
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

目を覚ましたのは、またもや修司の声だった。
「お坊ちゃま、朝食の準備が整っております。」
「あぁ。なあ、修司。」
「ハイ?」
「坊ちゃん、って言うのはやめろ。終夜でいい。」
「分かりました、終夜様。」
様付けはしなくても良いのだが。
「修司、この匂いは何だ?」
「あぁ、朝食の匂いですよ。」
「へー。始めた嗅いだ。つか、朝食って何?」
「・・・朝、食べるご飯でございますよ。」
「ふぅん。解説ありがとう。で、この料理は何?」
「鮭の塩焼き、豆腐とわかめの味噌汁、卵焼き、山形原産ブランド米、つや姫で炊いたご飯でございます。」
「こういうの、何て言うんだ?」
「悪く言えば質素、よく言えば純和風ですね。」
「そうか。いただきます。・・・で、この木の棒は何。」
次は前におかれた二本の木の棒を指差す。
「・・・終夜様、貴方は日本人ですよね。」
「それがどうした。日本人はこの木の棒を使ってご飯を食べるのか。」
「まぁ、それが普通ですね。」
「そうか。私は悲しいことに、液体だけの食事しか食べたことが無い。」
本当の話だ。私の食事といえば、冷たいスープ、点滴、卵だけ。
こんな料理なんて食べたことが無い。
「・・・ならば、食べさせてあげますよ。」
そういって、気の棒を器用に使って、料理を私の口の前まで運ぶ。
私は、料理を口の中に含み、木の棒を抜いて、食べた。
「うまいな、この魚。白魚、なのか?」
「正解です。」
そういって、また料理を口に運んでくれる。
私は、無言でそれを口に含み、時には味の感想をいいながら、食事を終わらせた。
「ご馳走様でした。」
「お粗末さまです。服を着替えてください、車は用意してあります。」
そういわれて、自室に戻り、制服を着る。
私が車の前まで行くと、後ろ向きにされ、髪を結ばれた。
俗に言う、ポニーテール、って奴か?
私は、部屋にあった黒いスカーフを、首に巻く。
そして、リムジンに乗って、本を読む。
本の名前は「日本語勉強」とかかれている。
真面目に、日本語の練習をしなきゃいけない。
英語とイタリア語しか分からない私には、結構な勉強だ。
「修司。」
「はっ。」
「今夜から、日本語教えてくれないか?
それ以外の勉強は、私は出来ているから。」
すると、修司は笑顔で頷いてくれた。
「分かりました。さあ、着きましたよ。」
「ん?あぁ、そのようだな。」
私がドアを開けようとしたとき、修司がいち早く開けてくれた。
「素早いな。」
「お褒めに預かり光栄です、終夜様。あ、靴紐が・・・」
と、跪いて紐を結びなおす。
少し恥ずかしいんだが。
「修司、いい。」
「いいえ、だめです。・・・できましたね。さぁ、行きましょう。」
「何でお前も着いて来るんだ?」
「一応執事ですので。理事長室に行きますよ。ボスの最後のご命令ですから。」
「はいはい。それならリムジンをどっかに置いてからにしようね、修司さん?」
「あぁ、それなら業者に頼みました。」
「そうか。じゃあ、行くぞ。」
そういって、荷物を持とうとする修司を手で制す。
修司は少し不満げな顔をしたが、大人しく着いてきた。
理事長室を、ノックして扉を開けてくれる。
私は、歩いていき、修司が案内したソファーに座った。
理事長、ねぇ。
写真でも見たが、実際見てみると、理事長、は似合わない。
せいぜい悪徳な高利貸しってとこか。
そして、隣に立っている奴。
これまた悪人面をしてやがる。
「如月君、率直に聞こう。君はあの方の何なんだね?」
「ハァ?聞こえなかったね、もう一回大きな声で言ってみろよ。」
「・・・っ!君は私を侮辱するのか!?
何なら、退学にしてやってもいいんだぞ!?」
「何言っちゃってんの、アンタ。俺を退学させるってことは、あの方の怒りも買うってことだよ?それも考えて言ってんの?」
「ぐっ・・・」
足元を見られた、という感じで私をにらむ。
「あんた、マジで考えてなかったんだ?うっわ、こんな理事長リコールすりゃあいいのに。クズじゃん。」
「なっ!貴様、何様のつもりだ!」
「俺?・・・人体兵器様。
言っとくけど、俺、あの方の一番のお気に入りの人体兵器だからさ。
・・・口の利き方に気をつけろ、バーカ。」
そういって、部屋から出る。
嘘はついていない。
グラウンドを見ると、一人の少年が、11人の少年たちと戦っているのが見えた。戦っている一人の少年は、ヤンキーみたいな格好をしている。
私が、急いでグラウンドまで降りると、
一人の少年が10人目を破壊したところだった。
少年は、私を見た。
私は、サッカーボールを眺めていた。
すると、サッカーボールが勢いよく飛んできた。
「・・・うん、悪い。」
そういって、右手をボールに向かって突き出す。
すると、ボールは右手に軽く収まった。
少年は、少し驚いた顔をしていた。

Re: イナゴ 「サッカーなんて」 ( No.4 )
日時: 2011/06/08 21:55
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

「台詞間違いあるかもね。作者がバカだから。」
「そういうこというなよ・・・」


手の中に収まったボールを見ると、フィフスセクターの印がついていた。
あぁ、やっぱり。
道理で弱いと思ったよ。
「あ、少年。これ、返すわ。」
と、ボールを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばす、といっても、あまり力を入れていない。
だから、取れると思うのだが。
だが、少年はボールを避けた。
すると、電気塔にあたった。
電気等は、ボールの衝撃で、有り得ない音を鳴らし、そして、メキメキと倒れそうになった。
ボールはというと、当たった衝撃で、形を保っていなかった。
「あちゃ〜・・・まぁ、いいか。
折れてないし。」
「終夜様!」
「ん?あぁ、修司か。どうしたよ。」
「いえ、何をされているのかと思いまして。」
「あぁ、ボールを蹴って返そうと思ったんだが、あの少年が避けてな?
それで、あの電気塔が倒れそうになったんだ。
修司、念のため、見てきてくれないか?」
「はい、かしこまりました。」
修司は、電気塔のところまで走っていく。
そして、少し眺めた後、戻ってきた。
「終夜様、どのくらいの力を入れたのです?」
「あぁ、少しだけだ。」
「・・・折れそうになってましたよ。」
「ふむ、そうか。やはり力の加減というのは難しいな。」
少し考えるそぶりを見せると、さっきボールを避けた少年がこちらへ歩いてきた。
その顔。
その少年は、剣城、恭一。
「オイ、お前。」
「何か用か、少年?」
「・・・お前、何で邪魔をした?」
「ハイ?聞こえなかったね、誰が邪魔をしたって?」
挑発するように顎をしゃくる。
すると剣城は、胸倉を掴んできた。
修司が、腕を掴もうとする。
「修司、やめろ。」
睨んで制す。
すると修司は、渋々手を引っ込めた。
「で?俺が何をしたのかな?ボール、返したはずなんだけどなぁ?」
「お前、あんなボール渡されて受け取れると思うのか?」
「思うよ?だから渡したんじゃん。」
そして、腕を掴み、耳元で囁く。
「フィフスセクターのキミに、さ?」
すると、剣城は手を離した。
そのときに突き放された。
修司が、私を受け止めた。
「あぁ、ありがとう。」
そして、剣城を見据える。
「で、キミ何してるの?入学式もうすぐ始まるよ?」
「お前も何をしてるんだ?新入生だろ?」
「俺はね、理事長に許可をもらったんだ。なぁ、修司。」
「はい、終夜様。確かに許可はもらっております。」
と、懐から一枚の紙を手渡される。
紙を眺めて、修司に返した。
修司はまた懐に直し、笑顔を見せた。
「ご理解が早くて助かりました。」
「うん?それは俺をバカにしているのか?」
と、ふざけたように笑う。
すると、ギャラリーたちが集まってきた。
その中に、見たことのある目をした少年がいた。
松風、天馬。
天馬は、剣城にむかって、走ってきた。
「何してんだよ!」
ワオ!猪突まっしぐらのとこまでそっくり!
剣城は、明らかにイラついたという様子で、天馬に向かって、もう一つのボールを蹴り飛ばした。
それも、軽くだ。
すると、天馬はそれをキャッチした。
そして、剣城はボールを取り返した。
うん、やばい。スローすぎて眠くなる。
私はスカーフを右目に当てて、縛った。
これで、あまり遅くは見えないだろう。
「あまり強く縛ると視力が悪くなりますよ。」
「いや、縛っとかないと、視力が良すぎて困るんだ。
特に動体視力とか。」
「あぁ、なるほど。」
ベンチに座って眺める。
騒ぎを聞きつけて、教師達が集まってくる。
その中には、見知った顔の教師がいた。
「・・・音無」
そう、呟いて、フラフラと音無の所へ歩く。
音無は、ある男と話していたが、私に気がつくと、目を見開いた。
「終夜さん!終夜さんじゃないですか!」
「音無、お前は相変わらず元気そうで、安心した。」
「う・・・それって、どういう意味なんですか?」
「そのままの意味だ。・・・不動と鬼道、元気か?」
「うん。お兄ちゃんは元気、だけど・・・」
「不動が、何かしたのか?」
「空元気かな。元気だけど、元気じゃないって。」
「なるほどね。じゃあ、これ、渡しといて。」
ポケットから、小さなメモ用紙を取り出す。
メモ用紙には、かろうじて読める数字が書いてあった。
「声が聴きたくなったら電話しろって、伝えといて。」
「・・・会わないんですか?」
私は肩をすくめる。
「いまさら、どういう顔して会えって?
10年間、ずっと音信不通だった奴に、アイツは会いたいって思うのか?俺は、会わないな。きっと。」
と、目を伏せる。
すると音無は、理解したように頷いた。
「分かりました。でも・・・」
音無が、決意したように、強い言葉で。
「不動さんが会いたいって言ったら、会ってあげて下さい。
お願いです。」
「・・・分かったよ。音無の頼みだからね。」
と、笑う。
すると音無は、顔を赤らめた。
照れると真っ赤になるのは、昔からのようだ。
グラウンドを見ると、天馬が剣城のボールを取ろうと躍起になっている。
音無と喋っていた男はいつの間にかいなくなっている。
修司が、走ってきた。
「修也様、電話でございます。」
「あぁ、誰からだ?」
「・・・南雲様からです。」
「そうか。・・・はい、もしもし。」
『よお!元気か?』
「まあ、一応はな。そっちはどうだ?ヒロトと風介は元気か?」
『元気だな。元気すぎて頭が痛い』
「お疲れ。で、何でお前らが電話番号知ってるんだ?」
『・・・お前らのボスに、渡されたんだ。』
「へえ。で?監視しろってか?」
『まあ、そういうことだな。
今から日本に帰るんだが、どうすれば・・・』
「ああ、それなら修司に頼もう。着いたら、また電話してくれ。
そしたら修司を迎えに行かせる。」
『分かった。じゃあ、またな。』
電話が切れた。
私は、隣にたたずんでいる修司に、少し眉を八の字にして、
「と、言うわけだ。・・・頼むぞ?」
「分かりました。・・・それなら、これもイラねーナ。」
と、ネクタイピンと、ピアスを外し、足元に落として、革靴で踏む。
「何してるんだ?修司。」
まあ、分かっていたことだが、あえて聞いてみる。
「分かってるだろ?盗聴器とマイクと、小型監視カメラの処分だよ。
もう必要ないって、ボスに言われたから、外してるんだ。」
「あぁそう。」
終夜が力なく答えると、天馬がボールを奪っていた。
ボロボロだなぁ、と思っていると、修司がネクタイを緩めていた。
それは執事としていいのか?
少しだけ疑問符が浮かんだが、グラウンドに意識を集中した。
修司が少しだけ視線をよこしているのにも気づかずに。

Re: イナゴ 「サッカーなんて」 ( No.5 )
日時: 2011/06/13 22:51
名前: 克哉 (ID: /./DNVgg)

ベンチに座ってあくびをする。
すると、誰かが近づいてきた。
髪の毛が右方向に偏っていて、ひげが生えてる男。
あぁ、そういえばさっき音無と喋っていた男だと思った。
「・・・何か、俺に」
用ですか?と聞こうと思ったら、唇を奪われた。
「んんっ!?・・・ふっ・ぁっ・・・」
唇が離れる。
男は少し舌を出して、唇を舐めた。
修司がここにいたら、この男を殴っていただろう。
だが、今、修司は南雲達を迎えに行っている。
そして、ギャラリーは、さっきのくだらないサッカーに興味を持っていた。
で、ギャラリーは今、どこかに行っている。
松風天馬も、剣城恭一も、さっき、髪にウェーブがかかった少年に連れて行かれた。
唇が離れて、少し息が荒くなった。
・・・まさかキス、されるなんてな。
10年ぶりだからびびった。
「・・・何、するんですか?せんせー?」
男は、何も言わず、腕を引っ張った。
俺はそれ以上何も言わず、腕を振り払った。
すると男は、立ち止まって、また腕を掴む。
しかもさっきより強く。
参ったな。
こうなったら奥の手—
「痛いっ!」
そう叫んだ。
すると、力がゆるくなった。
よっしゃ今のうち!
腕を振りほどいて、走り抜けようとする・・・・が。
「きゃあ!」
ぶつかった。
ああもう、背が低いのも考え物だな。
上を見上げる。
げっ・・・
「剣城、恭一・・・」
「何だ、剣城。試合中じゃなかったのか?」
「今は、ハーフタイムでね。・・・監督さんこそ、ここでナにやってるんだ?」
「新メンバーをチームの所に連れて行かない監督がどこにいる?」
・・・あぁ?
「それにしては、結構逃げられそうだったけど?」
「お前がいたおかげで逃げてくれなかった。礼を言っておこう。
ほら、如月。お前も入るんだ。さっさと着替えろ。」
服を渡されて、部屋に入れられた。
サイズ、合ってるかなぁ。
服を脱いで、着ようとする。
すると、ドアが勢いよく開いた。
そこには、ネクタイを緩めた修司が、息を荒くして、眉をつりあげていた。
そして、その後ろには、走ってきたのだろう、南雲と涼野、基山。
そして、待機していたのか、監督。その監督と話していたのだろうか。
剣城までいる。
私は座り込んで、下においていた服を胸の所まで覆う。
「・・・入るときは、ノックぐらいしたらどうなんだ、修司・・・?」
と、睨みつける。
修司は、息を整えて、入ってきた。
修司が、上着に手をかけて、私にかける。
「終夜様、無防備、ですよ。」
「黙れ、修司。さっさとドア閉めろ。」
そういって、渡されたユニフォームに袖を通そうとする。
もちろん、上着をかけたまま。
下、下着しかはいてないんだが・・・・
修司がドアを閉めようとするが、基山が入って、私に抱きついてくる。
・・・殴ってやろうか。
「終夜、会いたかった!」
「そうか。離れろ、変態。男に抱きつくな。」
((((いや、もうバレて))))
「どうして!?会いたくて、俺、走ってきたのに!」
「・・・・離れろ、負け犬。」
「あぁ、もっと罵って!それこそ終夜の俺への愛の鞭!」
・・・
私は、ガマンできずに、顔をぶん殴った。
そして、ズボンをはく。
基山はというと、壁にめり込んだ。
「終夜の僕への愛の鞭・・・!」
とか何とか言ってる。
私基山の元へ行き、股間を足で踏む。
靴を履いていなかったから、裸足だが、感触が気持ち悪い。
しかも、なんか起ってきてるし。
「あっ!そんなとこ、触らないで!」
「黙れ。こうされたかったんだろうが?それに、起ってきてるのに、嘘はいけないぞ?」
そういって、力を強くする。
あぁ、ズボンにしみが出来てやがるよ。
全くキモチワルイ。
私は蛆虫を見るような目で、基山を見た。
基山は、私の目を見るや否や、情けない顔になった。
「どうなんだ、基山?年下に弄られる気分は?ん?」
「凄く、気持ち良いですぅ、終夜ぁ、もっと。」
「はっ・・・キモチワルイ。しねよ。蛆虫以下のお前には、興味が無いんだよ!」
そういって、股間を踏みつける。
すると、基山はうっと唸った。
そのときに、ズボンにしみが大きくついた。
・・・出しやがったよ、こいつ。サイテー。
私は基山を放っておき、スパイクを履く。
そして、修司の近くまで行くと、修司の頬を、思いっきりひっぱたいた。
「今度、ノックもせずに入ったらコノぐらいじゃ済まさない。」
そうして、バッグから針を取り出す。
私はその針を折って、基山に当てる。
基山は、その痛みに驚いて、やっと平常心に戻ったようだ。
「ぎゃっ!」
「おー。やっと起きたか。まぁ、寝たまんまぶっ潰してやっても良かったんだけどな。」
そういって、立ち上がる。
二人が放心していた。

Re: イナゴ 「サッカーなんて」 ( No.6 )
日時: 2011/06/13 22:52
名前: 克哉 (ID: /./DNVgg)

「監督?」
「・・・あ、悪いな。さて、行くか。」
「はい。・・・で、俺はどこのポジションなんです?」
「MFだ。頼んだぞ。」
「はいはい。」
「返事は一回だ。・・・のばすなよ。」
「はい。・・・監督。」
そういって、歩いていく。
体育館に入ると、ギャラリーのざわつきが聞こえる。
「キャーッ綺麗な子!」
「格好良い〜!誰なのかなぁ〜」
黄色い声が飛び交う。
私は、その声のするほうへ、少しだけ、笑みを零した。
すると、黄色い声が、いっそう強まった。
私が雷門中のベンチの近くまで行くと、誰かが声を上げた。
「あ!終夜さん!」
「・・・あぁ、音無センセイ。どうしたんだ?」
「あはは、終夜さん、先生なんて言わないでください!さっきみたいに、音無でいいですよ!」
笑いながら、音無は言った。
あぁ、相変わらずだ。
「音無、本当にお前は変わってないなぁ。もう少し大人らしくしたらどうなんだ?」
「うっ。終夜さんが大人すぎるだけです!」
「あぁ、悪い。子供だったな、お前は。まぁ、背は伸びてるがな。」
「頭を撫でてもらえなくて、残念です。」
「音無、しゃがめ。」
「・・・?はい。」
音無は、少しだけ首を傾げたが、言うことに従ってくれた。
私は、音無の耳元に、唇を近づけて、
「周りに騒がしい奴がいないとき、お前がしゃがんでくれたらいつでもしてやるよ。」
そういって、耳元にキスを落とす。
音無は、顔を赤くしてる。
「しゅ、終夜くん!悪ふざけも大概に・・・」
「なんだ、イヤなのか?」
「・・・いやじゃ、ないです。」
「素直でよろしい。・・・さて、雷門イレブンさん?」
振り向くと、雷門イレブンは、呆然としていた。
私は、少し笑みを浮かべた。
「あんな、雑魚どもに何手を煩わせてるんですか?」
「なっ・・・!雑魚だと!?」
あちらのチームの一人が声を荒げる。
まぁ、雑魚というところは声を大きくしてやったからな。
「諦めるんですか?」
「・・・」
「へぇ、負けを認めるんだ。」
「仕方ないんだ・・・」
「そうだよ。フィフスセクターには、逆らえない・・・」
「大体、力が強いんだよ・・・」
弱音を聞いていく。
そのとき、私の脳は、不機嫌モードになっていた。
「はっ!・・・あんたら、雑魚以下だね。」
「なっ!?」
「雑魚に雑魚って言うのは、悪いことじゃない。
・・・今のあんたらは、雑魚じゃなくて、蛆虫以下ってことさ。
クズ。カス。・・・本当、マジ部活やめたら?」
そう、助言してやる。
すると、逆上して、切れられた。
「お前に何が分かる!お前に、何が・・・」
「ハァ?何言っちゃってんの、キャプテンさん。
アンタが引っ張らないから、こういう風になったんだよ?」
「・・・」
「・・・あんたら、何のためにサッカーやってるの?」
「え?」
「進学のため?苦しみのため?フィフスセクターの言いなりになるため?」
奴らはずっと黙っている。


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