二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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Sなアイツにご用心!! 【イナGO】
日時: 2012/01/28 20:08
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

えーと・・・

初めましてな方も、お久しぶりな方もいらっしゃるとは思いますが・・・
一応、はじめまして。
奈義沙(元・海風 奈義沙、慶野 昧)と申します。


約半年ぶりにここに来たのですが・・・
皆さまの書かれた小説を見ていたら、書いていた時の楽しさや、参照が日に日に増えていくことの嬉しさを思い出して、またこの場に戻って来た次第です。

自分に才能がないのに、書いてしまうことをお許しください。


※注意:ここから先は、駄文の宝庫です。「駄文? しゃーねーな。見てやるよw」という、テルミ様はそのままどうぞ。





————この駄文のあらすじ————

 イナズマイレブンGOの世界にて・・・。
 この世界の、東京の稲妻町には都内最強の飛鷹聖那という名の女不良がいた。
 彼女は昔から喧嘩っ早い性格で、“友達”なるものは持っていなかった。
 そんな彼女をどうにかしようとした兄:飛鷹征矢は、彼女を雷門中へと転校させることにした・・・・・・。




こんな文章でよければ、どうぞ。そのままお進みください。
荒し・悪口コメは控えてください。




《プロローグ 〜飛鷹の名を持つ少女〜》
   >>2

《登場人物》
   >>6

《最狂少女!? 飛鷹聖那の憂鬱》
   >>7>>8>>9>>10>>15>>16

《ドS先輩!? 南沢先輩登場》
   >>17>>18>>19>>20

《雷門中サッカー部の実態》
   >>21

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Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.21 )
日時: 2011/12/18 13:00
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

《雷門中サッカー部の実態》


 別に好きで通っているわけではない。兄に言われてここにいる。

 当たり前のことを、聖那は恨んだ。

聖(なんで私があんな目に……)

 彼女自身はMではないのに、どういうわけかこの学校出会う男は皆Sなのである。いや、皆というのは言いすぎであろうが、少なくとも聖那が予想した以上のSがこの学校にいる。三人も……。

聖(一人が剣城京介——これはエロめのSか? とにかく、人の弱点をうまく使いそうだ)

 聖那は先生の話を小耳にはさみながら、ノートの端っこに『剣城・・・エロS 弱点使う』と小さくメモした。

 それから彼にやられたことを思い出し、一人赤面した。今すぐに殴りに行きたい衝動を理性で抑えながら、聖那は南沢の事へと思考を切り替えた。

聖(そして南沢篤史——ナルシストの俺様的Sだな。人の不幸は蜜の味、ってか?)

 聖那の耳はすでに先生の声は、蟻の叫び声にしか聞こえなくなっている。そしてまたノートに端っこに『南沢・・・ナルシの俺様S 他人の不幸を見て楽しむ』と書き込んだ。

 だが……と聖那は考える。確かにSだ。だけど紙に書いておけとか教えてくれたし、何気に優しいではないか?

 そこまで考えると、シャーペンを握りなおして『少し優しい?』と書き加えた。

聖(残るは松風天馬——こいつは厄介なSだ。絶対服従させたい主義だな)

 先生の話が止まったことにすら聖那は気付かない。もちろん、先生に睨まれていることも、周りからの視線にも気付かない。ただノートの端っこに『松風・・・絶対支配主義 黒い 近づかないように』と書く。

 そこまで書いて天井を仰ぐと、青筋を立てているハゲ教師の眼鏡が目に飛び込んだ。

聖「あ」

先「……飛鷹さん? 授業をきちんと聞きたまえよ?」

 聖那はしまったとノートの端を隠したが、説教されるという事実が変わることはなかった。

 結局、残り二十分近くあった授業時間は、先生の聖那への怒りと聖那の意地で潰されてしまった。









聖「ま、松風」

 終礼前、聖那は南沢の弱点を聞こうと、松風を呼び止めた。

松「ん? なぁに?」

 六時間目前の出来事など、とうに忘れ去っているような顔を松風はしている。それを見て聖那は泣きたくなってきた。

聖「南沢篤史って知っているか?」

松「え? うん。知っているよ」

聖「じゃあさ、そいつの弱点とかってわかるか?」

松「えぇっ! 南沢先輩の弱点? どうしてそんなことを……」

聖「いや、その、いろいろ……」

 聖那は適当にごまかして、どうにか聞き出そうとした。

松「うーん……俺には分からないなぁ。あ、そうだ! おーい、狩屋ぁ!」

 松風は、近くにいた水色の髪をした男子を呼んだ。

松「南沢先輩の弱点って知らない?」

狩「ハァ? 知るかよそんなもん」

 何聞いてんだよ、という顔をして狩屋がこちらを睨みつけた。

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.22 )
日時: 2012/01/28 23:42
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

 そういえばこんなやつとクラスが一緒だったか、と聖那はしみじみ感じた。

狩「そんなに知りたいのなら、本人に聞けばいいだろ」

聖「あほ。自分の弱点なんかを他人に教えるバカがどこにいるってんだ。お前はバカか? 他人に弱点教えるのか? 弱点教えて、いじられようとでも考えているのか? マゾなのかお前」

 聖那は今日相手をいじれなかった分、目の前にいる狩屋をいじめた。

狩「なっ……、バカじゃねぇよ!」

聖「だが、そんなすぐに切り捨てられるような考えを口にするなんて、やっぱりバカだな」

 聖那が蔑むような目で狩屋を睨みつけると、さすがの狩屋も我慢の限界に達した。

 顔を真っ赤にさせてカバンを持ち、大きな音を立てて椅子から立ち上がった。そして教室から出ようと、ずかずかドアの前まで歩いて行った。

狩「ふざけんな! 人をバカにすんのも大概にしろよ!」

 そう言い捨てて、教室から出て行った。

聖「……似ている」

 聖那は目を細めながら、前通っていた学校で起こったことを思い出した。

 あれは辛かった。聖那が喧嘩を繰り返しているのも、兄である征矢を嫌っているのも、あの事件が原因であると言っても過言ではなかった。


 ——『人をバカにするしか能がないんでしょ? 生きてる価値、ないんじゃないの?』


聖(今どうこう思っても無駄か)

 今にも吹き出しそうな怒りを拳で握りしめた。爪が手の平に食い込む。

 不意にプチっと音がした。

聖(またか……)

 聖那が拳を緩めると、温かな液体が指先まで伝って床に落ちた。もちろんそれに誰も気づかなかった。









 稲妻商店街の中に入り、しばらくするといい匂いが漂ってくる。

 脂っこいが、食欲をそそる匂いだ。

 誰でも嗅いだことがある匂いだが、ここの匂いは格別いい。

 聖那の立った先には、ラーメン屋が一軒ある。ここが、聖那の行きつけの店であり、家でもある。

聖「ただいま」

 聖那は中に入り、厨房に立っている兄征矢に声をかけた。

 中には、客が一人カウンターに座っているだけで、他には誰もいなかった。彼はこの店の常連客だ。

 征矢はチャーハンを炒めている手を止めずに、聖那の方を向いた。

征「おう。お帰り」

客「聖那ちゃんか。おかえり」

聖「……」

 聖那は二人を無視して、裏口のドアを開けた。

征「たまには店の手伝いとかしてくれないか?」

聖「ふん」

 征矢を鼻で笑うと、聖那は黙って裏口のドアから家の玄関へ向かった。



客「反抗期かい? 聖那ちゃん」

征「まぁ、そんなところですかね」

客「大変だねぇ、君も」

 げらげらと笑う客の声を、聖那は不愉快に感じた。

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.23 )
日時: 2012/01/29 14:12
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

 聖那の部屋は征矢のお下がりである。

 一般的な中学生の部屋と比べれば、とてもシンプルに家具等が置かれているためか、とても広く見える。

 部屋の中央にはクリーム色の丸いカーペットがあり、その上にはガラス製の丸テーブルが置かれている。テーブルの上にはティッシュボックスがぽつんとある。

 右側には堂々と机、棚とクローゼットが置いてある。いずれも木製で、机の上には何もなく、すっきりしている。

 一方の左側にはベッドが置かれている。白い枕に、白いシーツ、布団は淡い水色になっている。しわ一つないベッドの上に、聖那は腰かけた。

 天井を仰ぐと、LEDの電球が穴の中に埋まっているのが見えた。他には何もない。

 女子の部屋としてみればあまりにもシンプルで、男子の部屋としてみればあまりにも殺風景と言える部屋の中で、聖那は日々を過ごしている。

聖「そういや、レポートがあったよな」

 聖那は今日歴史から出た宿題のレポートのことを思い出した。

 最凶不良とか言われている聖那だが、宿題やテスト勉強その他諸々はきちんとやる主義だ。

 聖那は棚から歴史事典をひっぱりだし、弥生人に関して書いてあるページを開いた。しかし、いくら事典と言っても小学生用のものだから、大したことは書いてなかった。

聖(しょうがない。とにかく自分の考えをずらずらと並べよう)

 聖那は決心したようにうなずくと、机とその上に置いたレポート用紙を前にして、シャーペン片手に文章の構成を考えはじめた。

 カリカリというシャーペンの音だけが聞こえ、たまに紙がくしゃくしゃになるような音がするだけになった頃、部屋に征矢が入ってきた。

聖「兄貴? どうしたのさ」

征「聖那、いい加減に兄貴呼びは止めてくれないか?」

聖「やだ。ていうか、質問に答えろよ」

征「あぁ。夕食ができた。降りてこいよ」

 征矢はそれだけ言うと、部屋を出た。

 聖那はしばらくボーっとしてから、思い切りのびをした。

 それから部屋を出て夕食を食べに下へ向かった。

聖「提出は来週だし、なんとか終わるよな?」

 まさか、その甘い見解が地獄を招くとは、この時聖那は思いもしていなかった。

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.24 )
日時: 2012/01/30 22:25
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

聖「え? 部活?」

 聖那は持っていた箸を落としそうになってしまった。

 征矢の料理に、聖那のポカンとした顔がよく映える。

征「あぁ。雷門中は部活が盛んらしくてな。お前も入ったらどうだ?」

聖「あのねぇ、そんな簡単に私が部活に入れるとでも?」

征「いや、思ってはいないが」

 思ってないんかい。

 聖那は兄がバカだと感じた。

 いや、でも、思われていなくてよかったと言えば良かった。

 聖那が落ちた箸を拾うと、征矢は続けた。

征「俺がこんなことを言ったのは他でもない。お前が、きちんと中学生としての生活を楽しんでいるのか気になったからだ」

 聖那は兄の話を小耳にはさみながら、箸で口にご飯を運ぶ。

征「お前が不良少女として、周りから怖がられているのは知っている。だからって喧嘩ばかりしていては、一生に一度しかない中学校生活を満足に遅れないだろう? だから俺は、お前を雷門中に転校させた」

聖「……雷門中なら、満足に生活できるってわけ?」

 ぴしっと箸を置き、聖那は征矢の鋭い目を睨んだ。

聖「雷門中だって、レッテルで人を判断するやつらの集まりだ! 今はみんな特に気にしていないけど、いつかみんな言うさ。『飛鷹聖那は危険な不良だ。絶対に近づくな』って。私にはわかっているんだ。どうせみんな建前という名のペルソナを被っている。それが剥がれるのは時間の問題。私はそんな時が来ることぐらい、わかっているさ。元々、予想しているんだ!」

征「聖那、お前まさか前の学校で——」

聖「それ以上聞くな!」

 聖那は机をバンッと叩き、勢いよく立ち上がると階段を駆け上がった。

 自分の部屋に入り扉を壊しそうな勢いで閉めると、部屋の中を数歩ゆっくりと歩いてベッドに倒れこんだ。

 明かりもない部屋では何も見えないが、聖那は家具の位置をすべて把握していたから真っ直ぐベッドに倒れこむことができた。

聖「みんな、同じなんだ。みんな、私を嫌うんだ。だから、私もみんなが嫌いなんだ……」

 聖那は暗闇に本音を吐き出すと、そのまま目を閉じて眠りについた。

















 聖那がふと目を覚ました時には、まだ日が昇っていなかった。

聖(今日は、学校?)

 聖那のぼーっとした頭では、昨日の出来事を鮮明に思い出すことはできなかった。

 ただ昨日の夕食の場で、兄に何かひどいことを言ったことはなんとなく覚えていた。

聖(兄貴、起きているかな?)

 聖那はベッドの側に転がっている目覚まし時計を見ながら思った。

 現在時刻、四時二十三分。

 征矢が起きている時間とは思えない。

聖「……」

 聖那は部屋をぐるりと見回した。

 昨日帰って来た時となんの変りもない、シンプルとも殺風景とも言える部屋だ。

 もう少し寝ようと横になってみたが、どうも眠れない。何か心に引っかかる物がある。

 聖那は黙ってベッドから出て、顔を洗いに洗面所に向かった。

 まだ若干の眠気が残っているせいか、その足取りはおぼつかなかった。

 壁伝いに廊下を進んでいると、ふと昨日嗅いだ匂いがした。

聖「ラーメン……?」

 聖那は洗面所に行くという目的すら忘れ、走って匂いのする方へ向かった。

 家の勝手口のドアを開けると、すぐに雷雷軒の勝手口が見えた。

 聖那は勢いよく店の勝手口を開けると厨房が目の前に飛び込んできた。しかもそこには征矢がいる。

征「よお、聖那。今日は早いな」

 征矢は聖那の方を見ずに、聖那に声をかけた。

聖「は、早いんだな、今日は」

征「まあな」

 征矢は特に聖那のことなど気にしていない様子で、スープの味見をした。

 聖那は兄のさっぱりさに圧倒されながらも、カウンターテーブルの席に座った。

Re: Sなアイツにご用心!! 【イナGO】 ( No.25 )
日時: 2012/02/19 22:58
名前: 奈義沙 (ID: Ru7e1uoX)

征「何か食うか?」

聖「うん」

 聖那は答えると、そのままテーブルに顎を乗せた。

 そういえば今日は土曜日で学校がない、とぼんやりと思い出した。

 ラーメンの匂いと、少しのガス臭さと、脂っこい臭いが聖那の目を覚まさせる。

聖「兄貴……」

征「ん?」

聖「兄貴はなんで、足を洗ったの? 兄貴、言ってたよね、昔。周りからいろいろ言われるけど、それなりに楽しいって。だちとつるんで、楽しいって。なのに、なんで?」

 征矢は聖那に聞こえないようにふっと笑うと、ラーメンの丼の中に昨晩から置いていたスープを入れ、茹で上がった麺といい歯ごたえのメンマと肉汁がたっぷりとあるチャーシューと市販の海苔と可愛らしい小さなナルトを入れて、聖那の目の前に置いた。

 湯気とおいしそうな匂いが、聖那の鼻をつつく。

征「新作だ。味見してくれないか?」

 聖那は黙って頷き、割り箸をぱちっと割った。

聖「いただきます」

 豪快な音を立ててスープを飛び散らせながら、麺をすすると聖那は一瞬ぴたりと止まった。それから何事もなかったかのように再びすすり始めた。

聖「まだ質問に答えてないだろ?」

 聖那は口をもごもごとさせながら、征矢に訊いた。

征「あぁ。そうだったな」

 征矢はそういうと、真っ直ぐと聖那の目を見た。


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