二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- サディスティックな主人公〜エデン&バカテス〜
- 日時: 2011/12/10 08:25
- 名前: 高橋祐貴 (ID: SsOklNqw)
初めまして、高橋祐貴です。
僕は大学に通う傍ら小説を書いている作家志願者です。
あまり文章力に自信はありませんが、同じような夢を目指している方に拝見して頂きたく、小説投稿と相成りました。
読んで頂いた方にはぜひコメントを及ばせながら頂戴したいのですが、余裕のある方のみで構いません。アドバイスでも何でも良いですのでお願いします。
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- Re: サディスティックな主人公〜エデン&バカテス〜 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/10 09:34
- 名前: 高橋祐貴 (ID: SsOklNqw)
PART1
浮遊大陸オービエ・クレア。
この大陸は千年前から氷結の海の上を浮遊しているらしい。まぁそんなことはどうでもいい。
今はもっと大事なことの途中だからな。
「いいか。お前たち護士候補生はまだ天結宮(ソフィア)の正式な隊員ですらない。この階級のままでも任務は与えられるが、最重要任務である巫女の護衛は与えられない。それでは、意味がないだろう?」
長方形のホワイトボードに階級についての説明を綴っては、すぐにまた消してしまう。覚えろというよりその場で頭に叩き込めということみたいだ。
まあ俺は覚えたりするのは得意だし、なんとかなるだろう。
「まずお前たちは天結宮の正式な隊員になるために、正護士を目指す必要がある。今日からお前たちをビシビシと鍛えてやるからそのつもりでいろ。この一年は体作りだ。それまで自分の武器に指一本触れられると思うなよ」
一年か。理論的な長さだが少し長いな。でもそれもこの教官の言う通りだ。反対意見はないな。そもそも俺たちに反対する権利もないか。
辺りには今日入隊した護士候補生たちがいるが皆苦い顔をしてはいる。それでも反対するような奴はいなかった。
「さあ、今日は解散だ。ゆっくり体を休めておけ。明日からは本格的なトレーニングになるからな。では、解散!」
教官の一喝に押されてみんなが自室に向かっていく。ここは野外訓練場だから俺たちの部屋まで一キロはあるな。やれやれ……。
俺は肩を下げながら儀礼衣のポケットに手を突っ込むと部屋に歩こうとしたその時。
「ねぇ、君!」
前から茶髪にアホ面をした、まあよくいえば優しそうで愛嬌のある面をした少年——たぶん俺と同い年ぐらい?——が俺に話しかけてきた。
どうやら緊張した面持ちをしている。
「なんだ?」
「君、もしかして橘太一君じゃない?」
「……」
何で俺の旧姓を知っているんだ、コイツ。名前もあってる。もしかしてコイツと俺はどこかであったことがあるのか?
護士になりたいなんて言う度胸にある奴、俺の友人にいただろうか?
「おい、俺の名前をなんで——」
「お前たち」
「なん——」
——だ? と言いかけ言葉に詰まった。
「教官? どうしたんですか?」
「お前たち……解散と俺は言ったはずだが」
「はっはっはっ」
笑って誤魔化す俺とコイツ。
いやな悪寒が背中に走る。なんだこの空気——寒すぎて死にそうだ。冷や汗まで掻いてきやがった。
「そうか。お前たちには入隊早々、愛の鉄拳をくれてやる必要があるようだな」
「まっ、待ってくれ!」
「ふんっ!」
筋肉隆々のこの男性教官。浅黒い肌、短髪。くそっ、殺す気か。隣の少年に振り切られた拳、やべぇ。
「どけっ!」
俺は体を隣の男にぶつける。よし! これでコイツは拳の軌道から外れた。
ヒュンッ、と風を切る音がした。
俺の顔面に迫る教官の拳。
「くそ!!」
右手で教官の拳をぶん殴る! 殴られた教官の拳は標準がぶれて——俺の顔面のギリギリ横を通過した。
「なに!?」
「はぁはぁはぁ……!」
数秒の出来事とは思えない動き。迷うことなく行動したとっさの俺の判断は正しかったみたいだ。
「大丈夫か?」
「う、うん……ごめん」
「気にするな」
俺はにこやかに笑いかける。
「やるじゃないか。俺の拳を候補生で止めたのは、お前が初めてだ」
驚きを隠せない様子の教官。
候補生に自慢の拳を止められたショックは少なからず大きかったみたいだ。
「お前、名前はなんて言う?」
「末広太一です」
「そうか。覚えておこう。今日は二人とも見逃してやる。だがあまり命令にそっぽを向くなよ。これは俺だけのことじゃない」
「はい」
「すみませんでした」
俺たちは素直に謝る。
それを見て教官は意外そうな顔をした。
「わかればいい」
感心した様子の教官に俺は苦笑をこぼした。
- Re: サディスティックな主人公〜エデン&バカテス〜 ( No.2 )
- 日時: 2011/12/10 10:32
- 名前: 高橋祐貴 (ID: SsOklNqw)
PART2
天結宮・大食堂。
俺はさっきの少年と一緒に昼食をとるために大食堂へ足を運んでいた。
「さっきはありがとう」
コイツ、まだそんなこと気にしていたのか。
「別にいい。困ったときはお互い様だ」
「そう言ってもらえると助かるよ」
そう言って少年は、苦笑を浮かべた。
「おっと、自己紹介がまだだったな。俺は末広太一だ」
「僕は吉井明久」
明久だと!? 俺の昔の親友に確か明久ってのがいたな。バカで泣き虫だけど、優しい奴だった。そういえばコイツも俺の名前を知っていた。
そこで、合点がいった。
「アキ」
「……そうだよ。僕が明久」
思わぬ再会だった。俺の中で何かの感情が再び目を覚ます。今思えば、愛嬌のあるこの可愛らしい顔も何も変わっていない。ただ少し昔より少し明るくなったような気がする。
「久しぶり、だな」
「うん。久しぶり」
なんていうか恥ずかしい。俺はコイツのことを忘れていた。なのにアキは俺のことを覚えてくれていた。
「ごめん」
「最後の日にもそれ言ってなかった?」
「言ったかもな」
俺の両親が離婚するから、そういって別れた俺とアキ。ずっと忘れていた思い出。でもその思い出は、忘れきれなかったみたいだ。
よみがえる過去。
確かに最後は「ごめん」と言った記憶がある。もう思い出すこともないと思っていた一つ過去。でも、こういう結末もあるのか。それを自分は心から願っていたんじゃないだろうか。
「約束、覚えてる?」
「忘れた」
「ええ!? 酷いよ!!」
嘘だ、覚えている。
ただ——なんていうか……。
「僕をお嫁にしてくれるって言ったじゃないか!」
「お前! 場所を考えろ!」
「あ……」
バカだな、コイツ。
——シーン。
と静まり返る大食堂。時間を切り取られた感覚とはまさにこのことだろう。
「……」
「……」
顔を見合わせる俺とアキ。
このままではホモ野郎だと思われてしまう!
「なんだ明久、おもしれー話しているじゃねぇか」
「ゆ、雄二!? しまった聞かれたか!?」
「ああ、バッチリな」
いやらしい笑みを浮かべる少年が一人。引き締まった体と言い長身と言い護士らしい機能美を整えた男だ。
「座っていいか?」
「ああ。えっと?」
「坂本雄二だ。よろしく」
「末広太一だ。こっちこそよろしく頼む」
そう言って握手を交わす。その行為にアキは口を開けていた。
「雄二って意外とキチンとしてるんだね」
「当たり前だ。俺たちはもう護士になったんだぞ。これくらいの挨拶は常識だ。お前も覚えろ」
「そっか。もう護士になれたんだった」
「その自覚があまり持てないのは俺も一緒だがな」
護士になるための試験は凄惨を極める。毎年何千人という人が試験を受けるが、護士になれるのはわずか七十人あまり。また入隊してからも訓練に付いて行けなかったりをして席を絶つ者も少なくはない。
「アキと雄二は試験どうだった?」
「死ぬかと思った。俺と明久は竜種に追い掛け回されて、挙句の果てには滝から落ちたんだからな」
「そうそう。僕はここで死ぬんだって思っちゃったよ」
「ははっ、苦労したんだな」
「笑い事じゃないよ」
確かに明久の脚と雄二の手はがくがく震えていた。
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