二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- リボーン//囚われマフィア 1
- 日時: 2012/01/07 22:59
- 名前: ダークライト (ID: gQELPCFY)
- 参照: http://www.torawaremafia/
夕日が昇る帰り道、リボーンは当然のように俺の頭の上に乗っていた。そのリボーンが唐突に雲雀さんの妹の話を持ち出した。
あの雲雀さんに妹がいたなんて聞いたことがない。しかもその子は俺たちと同じ並盛中に通い、マフィア関係者だとリボーンは言う。闇マフィア、ボンゴレやキャバッローネ、シモンとは異なり、ファミリー一人ひとりが持つ独自の能力で戦うらしい。そして雲雀さんの妹はその中でも最強と云われているウルティモファミリーの一人だという。
そんな事を聞きながら歩いていると突然目の前に黒髪で白いマントを纏った少女が下り立った。少女は俺たちの方を見るて少し驚いた表情を見せた。そして何より俺が驚いたのは、その子が呟いた一言。
「沢田・・・綱吉・・・?」
なんで俺の名前を知っているのかなんて些細なことに驚いていたのは少しの間だけで、次にもっと大変なことが起こった。黒ずくめの格好をした男の人達がこっちへ走ってきている。それが見えて少女は慌てて走り去ろうとした。その時、この子は追われているんだという事がわかり、俺は咄嗟にその子の腕をつかんで引っ張った。もしかしたらの予想にかけて俺はその子を並盛中応接室へと引っ張った。そこには当然のように雲雀さんがいて、俺たちを見るなり深くため息をついた。もしかしたら雲雀さん全部分かってる?その予想は当たりだった。雲雀はヒョイと少女を椅子へ座らせると応接室を出た。応接室を出た雲雀さんが行く場所は分かっていた。多分さっきの奴らを噛み殺しに行ったんだ。
少女は窓の外に雲雀さんを見つけて眺めていた。そして「楽しそうだね、恭弥は・・・。」と苦笑交じりに言った。
「君、やっぱり雲雀さんの・・・?」
俺は渋々と聞いた。その質問にその子は「妹だよ。」とあっさり返してきた。そして自分から自己紹介を始めた。
「私の名前は雲雀咲夜。並盛中の生徒であなたと同い年。そしてウルティモファミリーのボス、リオの婚約者。」
笑顔で答えるその子がなんか怖いと思うのは俺の気のせいだろうか・・・。
・・・・・・・ていうか「婚約者⁉」と俺は思わず大声で聞いてしまった。そしたら咲夜はクスクスと笑いながら「そうだよ。」と答えた。
しばらくして雲雀さんが外から戻ってきた。だけどその後ろには見たこともない男の人がいた。咲夜は嬉しそうに跳びついた。そしてその男の人の名前がリオ。さっき咲夜が言っていたウルティモのボスだ。リボーンはあからさまに警戒態勢を取っている。そして銃口をリオに向けたその瞬間、咲夜がリボーンに手を翳し、どこから出たのか分からない大量の水がリボーンに襲い掛かった。どうやら咲夜は最初からリボーンを警戒していたらしい。ものすごい形相でリボーンを睨み付ける咲夜を雲雀さんが止めた。
「その赤ん坊は駄目だよ。」
咲夜はもの凄く不満そうに雲雀さんを見た。だけど雲雀さんのことも大好きらしく、大人しく言う事を聞いて手を下した。
リボーンは膝をつき咳き込んでいる。余程苦しかったんだろう。
「アルコバレーノ リボーン。今日は恭弥に免じて見逃すけど、次リオに銃なんて向けたら水なんかじゃ済まないからね。」
可愛い顔して物騒なことを言う咲夜を見て俺は何だか胸が苦しくなるのを感じた。咲夜を見る雲雀さんの目もいつもより少し悲しく見えた。そしてリオの目も同じように見えた。そんなことを考えていると突然咲夜が倒れた。胸を押さえるようにして倒れこむ咲夜はリオは慌てて抱きとめる。そして雲雀さんも今まで見たこともない表情で咲夜を支える。その三人の様子を見ていると涙が出そうになる。そしてなんとなく分かるような気がした。咲夜がウルティモにいる理由が・・・。
次の日、俺は学校で楽しそうに笑う咲夜の姿を見かけた。友達とではなく、雲雀さんと一緒にいる。周りの人は兄妹ではなく恋人だと思っているらしい。まあ見えなくもないけど・・・。だけど二人は何だか距離を置いているように見えた。兄妹なのに、恋人だという噂があるからだろうか。だけど雲雀さんはそんなことを気にする人とは思えない。ならばなぜ二人はあんなに離れているのだろうか・・・。なぜ俺は、そう感じてしまうのだろうか・・・。教室の窓から二人を眺めていると咲夜がこっちに気づいた。咲夜はニッコリ微笑むと小さく手を振った。そして歩き出す雲雀さんを追ってどこかへ行ってしまった。
昨日の殺気が嘘のような笑顔だった。リボーンを警戒しているようだったけど、それはやっぱりマフィアの一員としての敵対心なのだろうか・・・。それともほかの何かなのだろうか・・・。咲夜はいつも何かに怯えているような感じがする。
それが自分の持つ能力になのかリオを失うことになのかは分からない。だけどリボーンを睨み付ける目はまるで動物のようだった。
未知のものを恐怖するような・・・・そんな感じ・・・。
俺は気が付けばいつもあの兄妹を目で追うようになっていた。たまにリオも学校内に来ていて三人でいるときもあった。群れることが嫌いな雲雀さんが誰かと一緒にいるという事は風紀委員や俺たち以外では珍しい後景だった。しかもそれでいて全く問題を起こそうとしないのも珍しかった。
「あ、雲雀さん笑ってる。」
たまに見る雲雀さんの笑顔は、とても穏やかで幸せそうだった。雲雀さんにとって咲夜は本当に大切な存在なんだと思った。咲夜と一緒にいるときは風紀委員は誰一人近づこうともしなかった。近づこうものなら雲雀さんがトンファーを構える。そしてそれをいつも咲夜が止める。それがお決まりのようだった。雲雀さんは咲夜の頼みならばすんなり聞き入れる。その後景は微笑ましいような哀れなような複雑な気持ちにさせた。
こんなこと考えるなんて不謹慎だと思うけど、もしも咲夜がいなくなってしまったら雲雀さんはどうなってしまうのだろうか泣いてしまうのか、それとも涙も見せずに平然と並盛中で暮らせてしまうのか、彼女を傷つけたものを破壊してしまうのか・・・。だけどその全てを咲夜が望むとは俺には思えなかった。この前帰り道で偶然雨に濡れている捨て猫を拾ってるところが見えた。すごく優しい心の持ち主だと感じた。そしてそれ以外にも困ってる人がいれば誰にでも手を差し伸べていた。そんな優しい子が、大好きな兄妹の泣き顔を望むとは思えない。かといってずっと泣きもしない姿も見たくはないだろう。もちろん破壊や戦争といった誰かが傷ついてしまうようなことは当然望みはしないだろう。
リボーンのことだって、殺そうと思えばできたはずなのに、それをしなかった。見てると何だかこっちが護ってあげたくなる。雲雀咲夜、君はいったいどんな世界を望んでいるの?ウルティモファミリー、日本語に訳すと「最後のファミリー」という事になる。・・・君たちはどんな覚悟でそのファミリーにいるの?いったい何を終わらせようとしているの?
今回はここまでです
続きはまた次回。
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- Re: リボーン//囚われマフィア 1 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/07 23:09
- 名前: ダークライト (ID: gQELPCFY)
- 参照: http://www.torawaremafia/
昼休み昼食を食べ終えた俺たちはリボーンに屋上に呼び出された。そこにはリオと咲夜がいた。リボーンが話をしようとするとリオが自分で話すと遮った。リオの話によると近々闇マフィア界で大規模な戦争が始まるんだという。しかもその戦争は一方的なもので他のマフィアの標的は全てウルティモだという。そしてその戦いから咲夜を守るために力を貸してくれというのだ。なぜ俺たちに頼んできたのかは雲雀さんの推薦だそうだ。
「だけどなんで咲夜なの?ボスはリオなんでしょう?」
俺が疑問を口にすると咲夜は少し悲しそうな表情をしながら答えてくれた。
「私は表向きではウルティモの№2だけど、能力的にはリオよりも高いの。多分私の能力が暴走を始めればリオは止めることができない。だけどほかのファミリーの人たちはそれを期待してるみたいで・・・。」
「つまり、コイツを使って何かをしようと企んでるわけだ。まああんだけの能力があれば並盛町なんてあっという間に吹き飛んじまうだろうな。」
リボーンが付け加えたあまりにも真実と信じにくいことだけど、それは確かにありえないとも言い切れない。多分この子は本気なんて今まで出していなかっただろうし最強と云われているファミリー一の能力者の実力なんてはかりきれるとも思えない。
「わかった。手を貸すよ。」
俺は独断で決めてしまったけど周りを見るとみんなやる気に満ちた顔をしていた。また京子ちゃんたちには嘘をつくことになるかもしれない。だけど俺は、咲夜が利用されるとこなんて見たくない。それにきっと俺たちがやると言わなくても雲雀さんは一人で咲夜を護りに行ってしまう。それだけはいけないような気がする。この戦争、もっと大きな影が潜んでいるようなそんな予感がしてならない。すごく嫌な予感がする。これはただの予感なのかそれともボンゴレの超直感なのかは定かではないけれど、可能性があるうちは安心してはいけない。
「護らなきゃ、咲夜を。」
そう心に決めた。
そして俺たちはウルティモファミリーのアジトへと招かれた。そこには思ったより若い人たちがたくさんいた。その何人かが挨拶をしてきた。咲夜の側近であり水使いの桐生奏。その双子の弟でリオの側近の桐生要。この二人はもちろん、ファミリーの人たちは皆咲夜のことを姫と呼んでいる。そしてさっきの二人には見覚えがある。要は確か俺たちと同じクラスで獄寺君とほぼ互角の試験成績だ。奏はいつも要と一緒に行動しているからよく見かけるし咲夜とも一緒にいる時が多い。雲雀さんとの仲はあまり良くないようだけど・・・。
二人は俺たちを応接室へと案内した。そこからはキレイな庭が見えた。輝いているようにも見える庭の草花はまるで咲夜のようだった。なんでそう思えてしまうのかはわからない。でも何故か咲夜もあの花びらや葉っぱのように儚く散ってしまいそうで俺たちはそれをただ見ることしかできないのだと、そう言われているような気がしてならなかった。
木の陰で雲雀さんが寝ているのが見えた。俺は恐る恐る近づいて行った。近くに足を踏み入れた瞬間にトンファーを向けられる。
「なに?」
「す、すいません、お昼寝の邪魔をしてしまって・・・。」
「なにか用なの?」
必死に謝る俺に雲雀さんは尋ねた。俺は渋々と疑問に思っていることを聞いた。
「あの、雲雀さんの妹さんなんですよね。咲夜は・・・。」
「・・・なに、いまさら。」
雲雀さんは当然呆れたような表情をとった。
「いえ・・・、咲夜には能力があるのに雲雀さんには無いのかなと思って・・・。」
雲雀さんは一瞬目を見開いた後、小さく溜め息をついた。
「あの子は特別だよ。」
「特別?」
能力を持っているというだけでも特別なのに他に何があるというんだろう。そう思ったけど俺はそれを聞くことはできなかった。俺なんかが聞いちゃいけないような気がした。多分それが咲夜が怯え続けている理由なんだろう。
俺は雲雀さんの側を離れて応接室へと戻った。戻るとそこにはいかにもウルティモの姫といった感じの衣装を纏った咲夜がいた。でもリオの姿が見えない。咲夜は先に始めているように言われたと言って。今回の戦争のことを詳しく説明しだした。
話によるとこの戦争は同盟マフィアを束ねるファミリーのボスが仕掛けてきたものらしい。ネビアファミリー。最強と云われているウルティモと同レベルの能力を使えるらしいがボスのジェイドの能力はよくわからないらしい。本気を出さない咲夜と同じように・・・。いや、ジェイドは本気どころか本来の能力でさえ見せていないのかもしれない。
「それで、俺たちはどうすればいいの?」
武器は持っている。だけど真っ先に攻撃を仕掛けるのは相手のことを全くと言っていいほどわかっていないたちには無理だった。ここは咲夜たちを頼りに戦う他なかった。咲夜は指示してくれた。それはリオと雲雀さん、咲夜の三人で決めた配置だった。その配置に俺は咲夜の側という事が決まった。
雲雀さんもリオも能力については俺たちよりかなり知識がある。この二人が戦いに出なければ負けてしまう。そして相手の狙いは咲夜だ。その咲夜を戦争に出すわけにも一人にしておくわけにもいかなかった。リオも雲雀さんも俺を信頼してくれているということなのだろうか。だとしたら俺は死ぬ気で咲夜を護るよ。絶対に、だからみんなも無事でいて・・・・。
みんなを見送り俺は咲夜の側へと戻った。ウルティモも全員が行ったわけではなく何人かはアジトに残った。その中には奏もいた。しばらくして咲夜が教会へ行きたいといった。このアジトのい土地には何故か大きな教会があった。教会に入るとそこには咲夜そっくりの女の人の像があった。その胸には咲夜が最初から下げていたペンダントに似たものがあった。咲夜が下げているものは赤く輝いていて像にかかっているものは緑に輝いている。咲夜は驚いた表情で像を眺めている俺に「そんなに似てる?」と尋ねた。よく言われてきたんだろう、「似ている。」と。だけど咲夜は悲しそうな顔をしている。この像にも何かあるんだと俺は確信した。
この子の悲しみが和らぐ時はやって来るのだろうか、もしもこの戦いが無意味ではないものだというのならばどうかみんなを、咲夜を護って。もし本当に神様がいるのならば、この子に能力を授けたことに意味があるのならば、お願いします。
死ぬ気の炎を心の奥で燃やしながら俺はいるかどうかもわからない神に祈ることしかできなかった。
- Re: リボーン//囚われマフィア 1 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/07 23:13
- 名前: ダークライト (ID: gQELPCFY)
- 参照: http://www.torawaremafia/
咲夜と草食動物をアジトに残し、僕たちは敵陣の真っただ中にいた。数は圧倒的に向こうの方が上。こっちは足手まといが数名いる。だけどこんなザコたちを片付けることなんて造作もないことだ。だけど変だ。どうしてこんなザコばかり、こっちをなめている?いや、仮にも最強とまで云われているウルティモをなめるバカはいないはず。嫌な予感がする。そう感じた僕の足は自然とアジトの方へ走り出していた。続いてリオも追って走り出したけど敵は誰一人として追ってくる気配はない、それどころか追いかけようとする様子もなかった。まさか当たっているのか、無事でいなよ咲夜、綱吉・・・・っっ。
アジトについた僕とリオは一瞬動きを止めた。アジトの中は荒らされ、アジトに残っていたファミリーは全滅していた。僕たちは手分けして咲夜を探した。そして最後、残るは教会のみ。僕たちは教会前で合流しドアを蹴破った。そこには倒れる奏の姿があった。まだ意識はあった。
「リオ様、申し訳ありません、姫様をお護りできなくて・・・。」
「沢田綱吉は⁉」
僕が聞くと奏は言いづらそうに言った。
「姫様と一緒に・・・さらわれ、ました。」
僕とリオは驚きに目を見開いた。何故だ?相手の狙いは咲夜ただ一人のはず・・・。なぜあの草食動物までさらう必要がある・・・。
しばらくして戦いから他の連中戻ってきた。もちろん彼らも僕たちと同じ反応を見せた。特に自称十代目の右腕は今にも相手アジトに乗り込みそうな勢いで動揺を見せた。だけどそんなことは無駄だと誰もがわかっている。あの草食動物は武器を持っていた。その彼があっさり捕まったんだ彼らに太刀打ちできる相手ではない。それどころか能力者である咲夜までもがあっさりと・・・。それとも他に何か理由があったの?君が能力を使えないようなことがあったとでもいうの?ねえ、咲夜・・・・。
気を失った俺と咲夜は敵のアジトで目を覚ました。そこはアジトの一室のベッドの上殺そうという気はないんだろうと一安心した。だけどそんな安心もすぐに揺らいだ。俺は錠で手足を拘束され、身動きがほとんど取れない状態にされていた。俺は無駄と分かっていながら無意識にもがいていた。だけど錠はガチャガチャと音を立てて揺れるばかりで解けるはずもなく、無駄な抵抗をしているそばからそれを再確認させるような声が聞こえた。俺の側には俺と咲夜をさらった男がいた。
「お前はだれだ・・・。」
睨み付けるように質問すると男はニッコリと微笑みを返し、「ジェイド。」と名乗った。俺はそのことに絶望感を感じた。相手のボスにさらわれた上に俺は拘束されている状態の中でその相手と部屋に二人きり・・・。ヤバいなんてものじゃない、危険すぎる・・・っっ。
「・・・っっ! 咲夜は・・・?」
俺は最後の希望の元を探ろうとした。ジェイドは「無事だよ。」と答えた。その言葉にほっとしたのもつかの間、ジェイドは思いがけない言葉を発した。
「むしろ自分の心配をした方がいいくらいだよ。沢田綱吉君。」
「・・・え・・・・?」
俺はその意味を聞こうとジェイドの顔を見つめたが話題をあっさりと帰られた。
「それより綱吉君、咲夜達のことが知りたいんでしょ?」
なんで知っているのか分からない話題。俺は思わず身を震わせていた。それは明らかにジェイドという男に対しての恐怖心からの震えだった。
「教えてあげるよ。あの子たちの全てを・・・。」
そう言われて唾をのんだ。そして薄っすらと感じた。どこかの部屋で咲夜が泣きながら震えているのを・・・。
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