二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWARI-
日時: 2012/02/04 21:12
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



本作は私がインディーズ前からずっと大好きなバンド、
「SEKAI NO OWARI」の楽曲から
一曲 物語性のある曲から作り出された小説です

よって、本作を読み進める前に一度楽曲を聴いていただくことをお薦めいたします

本作は非公式であり、あくまで私の勝手な思考の展開となりますので
御了承下さい

SEKAI NO OWARIの楽曲はリアリティがありメロディもポップなものばかりですのでお気になった方は是非他の楽曲も聴いてみてください

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.27 )
日時: 2012/07/15 12:50
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



「だが私は警察よりも早く駆けつけてきたんだ」
「「あ…社長…!!」」




柏木とアヤが声をそろえた




社長?




柏木よりも上の人間がいたのか




社長「御迷惑をかけたね、慧くん」
慧「どうして僕の名前を…」
社長「いやあなに、私に名前をつけてくれた人がいたのって、
そこのお嬢さんがいつも楽しそうに君の話をしていたからね」




そういって朗らかに微笑んだ




柏木とは違ってとても紳士的な雰囲気を引っ提げていた




社長「たぶん救急車もやってくるだろう。大丈夫かね?歩けるか?」
慧「あ…」




腕がそうとう痛むが歩行はできた




社長「…ばかなやつだ。自分の製品をかわいがるだけならともかく
恋愛感情を抱いてしまうとは。大失態だぞ、これは。
それにお前は一般市民に発砲した罪に問われる。
もう今の地位にはもどれないだろう。」




社長はさっきとは打って変わり威厳とした態度で油をしぼった




柏木「…心して罪をつぐないましょう」




柏木も油をのんだ




キキーッ




赤く光る角をつけた車が着いた




「警察だ!発砲したのはおまえだな。署まで同行願おう。」
柏木「…」




社長は振り返りざまにこういった




社長「…さあ、行きなさい。
君達はもう自由だ。
私はコイツの処分をしてからいかないといけない」




そういって紳士的な微笑みを下さった

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.28 )
日時: 2012/07/15 12:59
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



その後救急車にのせられ病院に連れていかれた




白い病院で手当をうけ




真っ白な包帯をまいて




白い星が降る夜空の下を君と歩いた




隣でふと君がつぶやいた




アヤ「わたし…慧がうらやましい…」
慧「…どうして?」
アヤ「…あなたの命には終わりがあるから。」




しばらく黙り込んだあと俺は口を開いた




慧「死ぬことはすごく怖いけど
死なないことはもっと怖い。
君も死なないことの方が怖いの?」
アヤ「…うん。それに…」




彼女は美しい夜空を仰ぐ




アヤ「もしもこの聖なる星が降る夜が
最初から存在しなかったのなら
あの真っ白な世界を朝とは呼ばないわ。
だから終わりの無いものなんて最初から始まりなんて無いの」




誕生するすべてのものに神さまは




はじまりとおわりをプログラムした




あの小さな頃に見た夢の中




神さまが言った答えはきっとこうだ




『それは"今"という時間を大切にできるようにだよ───…』

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.29 )
日時: 2012/07/15 13:25
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



家に着いてから俺は社長に連絡を入れた




慧「…もしもし。」
社長『もしもし?どちらさまかな?』
慧「慧です。」
社長『おお!慧くんか。私もいまそちらに連絡をいれようと思っていたのだよ。
しかしなぜ私の番号を…。
ああ、君のところには私のすべてを知っている
美しい機械がいたんだったな。』
慧「そういういい方はやめてくださいよ。
彼女はしばらく家であずかります。」
社長『はっはっはっ。すまない。
そうかそうか、アヤちゃんの宿も決まってよかったよかった。
あいつは…柏木は拳銃発砲罪でイングリット社から追放となったよ。』




その言葉をきいた瞬間




俺はアヤと顔を見合わせた




慧「そう…ですか。」
社長『なに、当然の報いだよ。
君がそうしょげることはない。
しかし、君は優しいね。』
慧「はい??」
社長『機械のことを"彼女"と人間扱いすることができるんだねと言ったんだ。アヤも、君のそういうところを
きっと気に入ったんだろうな』




そういって電話越しにはははっと笑った




慧「そうでしょうか…。
でも彼女は自分が人間でないことを悔やんでいました。
僕も彼女をほんとうに心から愛してしまっていいのかどうか…」




しばらく沈黙が続いたあと社長は何かを思い出したようにいった




社長『そうか。では、
彼女を人間にするとしよう。』
慧「……は!?」




あまりの突飛な発言に俺はつい無礼な声をだしてしまった




社長『彼女に終わりを設けようというのさ。
明日、暇かね?』

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.30 )
日時: 2012/07/15 13:48
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



翌日俺とアヤは社長によばれ




とある研究所を訪れた




社長「やあやあ慧くん。いらっしゃい。
待っていたよ、アヤくんも。」




研究所の扉をあけるなり




朗らかな紳士社長が出迎えてくれた




社長の後ろにはいかにも賢そうな鬚を生やした博士もいた




その後研究所の応接室へ案内され




ここで待つようにとソファーに座らされた




「ちょっと待っていたまえ。」




鬚の博士が奥の部屋へ入っていった




慧「…近所にこんな研究所があったのか。
知らなかったな…」
アヤ「私…本当に人間になれるかしら。」
慧「…アヤ…」




彼女は涙ぐんでいた




アヤ「今まで…なんども人間らしい行動をしてきた。
舞を舞ったりうたを歌ったり、
泣いたり、笑ったりして…
でもそのたびに私は人間じゃないと思ってきたのよ。
だって私が笑っても、
一緒に笑ってくれる人は誰ひとりいないのだから…。」




とうとう涙をながしてしまった




それと同時に俺の腕は彼女をだきしめていた




慧「これからは…俺が一緒に泣いたり笑ったりするから。
だから…
もう自分はアンドロイドだなんて思わないで。」




今はそれしか言えなかった




「ただいま、お待たせしたね。」




奥の部屋からもどってきた鬚の博士は手に注射器をもっていた




「さあ…アヤさんといったね。腕をだしてごらん。」




博士は首をかしげながらだしたアヤの細い腕にその注射器をさした




アヤ「…これは…?」
博士「ふふふ、君に寿命を設ける薬みたいなもんさ。」

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不死鳥 -song by.SEKAI NO OWAR ( No.31 )
日時: 2012/07/15 14:33
名前: 月詞 ◆oE3vS0unEQ (ID: VHEhwa99)



アヤ「…これで私にも終わりがくるのですか」
博士「人間と同じように老いて死ぬわけではあるまいが
似たようなサイクルにしてある。これを施すことでお前さんの
機能回廊能力がほんのすこしずつ低下し
ある日全く動かなくなる。
すなわちそれがお前さんの求めていた"死"だよ。」




博士は笑っていた




社長「こんなにうまく出来た一号を他人に渡すのは大層惜しいが
"愛"という作りがたい性能をただでプログラミングしてくれた方だ。
特別に譲ろう。
大切にするように」




社長もそう言った




慧「ありがとうございます」




注射が終わったのち博士と社長に挨拶をして外に出た




夏の下旬とはいえまだまだ暑い




アヤ「あ…花火」
慧「ん?」




それはアンドロイド大会開催の花火であった




慧「ああ、また今日も大会か」
アヤ「っわたし…」




彼女はその花火を見てうつむいてしまった




まだ自分の立場は操られるアンドロイドだと思っているんだね




慧「よくみてごらん。」




僕は君の肩をそっと抱き空を仰いだ




慧「花火は下に向かって吹いてるんじゃない。
上に舞い上がるように吹いてるでしょう?
だから…もう…」




もう君もその顔を




あの空に向けて笑ってよ




あの花火にはもう二度と




君を操らせたりしないから




『第25回、アンドロイド大会を開催致します───!!』




不死鳥のように




美しい君に




いつか終わりが訪れますようにと




"形あるものはいつかは壊れるから"




僕は君の手を強くつなぐんだ




『プログラム1番!!ロセス社による吟唱です!!』




僕等の空を




花火が飾り




夏が終わる




-END-

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