二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 疾走少年、 [ 黒バス/長篇 ]
- 日時: 2012/08/14 10:57
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/19/
今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならでいふよしもがな、
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*last up!
0814: 花色+1
Hello.‖0813
部活も、マーチングも無事終わり、今はお盆休みです。私は相変わらずキセキにお熱です。
花色彼女*ももう直ぐ完結します。次のネタを考え
ているんですが・・・。
青峰夢書きたい。でも黒バスファンタジーパロは長くなりそう。
青峰夢は切甘。黒バスは、消えた故郷の生き残りの最強ヒロインが故郷の復興を願い、旅をしながらキャラ達と関係を持って行く物語。
高尾は短編書きたいなあああああああああああ。
ってこんな事してる暇ないわ私。宿題まだ半分も終わってねえよ。
[ → ]
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‖Attention!
当方は、黒子のバスケを題材にした長篇、短編、他スレッド。
此方でも使い回しキャラを起用と思っていましたが、原作に沿い、苗字を白李に変えました。なので面影は全く御座いません。
あくまで私の自作ですので、閲覧後の苦情は受け付けません。無断転載、パクリは禁止です。荒らし、晒し、中傷はやめてください。
その他何かありましたら、遠慮なくコメントを残して下さい。出来る範囲でのサポート・努力は致します。
‖About master!
thread Name...疾走少年、 >>000
master...さくら/sakura
好きな子中心にまったりと。かめこーしん^^
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疾走少年、‖menu.
|Long
The basketball which Kuroko plays...
(( 軌跡の断片をさがして、 )) 表記:軌跡
∟私は君等のバスケに、惚れたんだ。
人物/>>036
00. Prologue />>023
01. 黒子はボクです />>012/>>017/>>024/>>030/>>033
( 花色彼女* ) 表記:花色
∟彼女に振られた黄瀬とずっと黄瀬の事が好きだった女。
01. 泣くドロシーの空色のカサブランカ (/>>22)
02. メリルローズは太陽色のキャラメルでお別れ (/>>31)
03. 午前二時、まさかのハンナ、ミルクティーは雪色 (/>>32)
04. ロイヤルブルーのピアスはジュリエットの恋人 (/>>047)
05. 彼のアリスはバラ色のティラミスを食む (/>>048)
06. エメラルドは桜色だと言い張るエリスのくちびる (/>>049)
07. アフタヌーンは黄金色、あとはセーラだけだ (/>>051)
|Shout
きいろ いろいろ ゆうひいろ (/>>017-018/黄瀬)
|Title
きみと夏まつり >>025
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‖others.
|Animation.
>>037 >>038 >>039 >>040 >>041
|memo.
>>044 >>045 >>046
‖KISS.
*お客様
風風様/海穹様/香月様/兎欠様/ゆう様/音愛羽様////
*他
Made in Alice*様(お題)/確かに恋だった様
................................................................................................................................................................
240605 開設
- 花色彼女 04. ( No.47 )
- 日時: 2012/08/07 09:46
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
04.
「ちょ、おまっ。黄瀬!お前篠原と別れたって本当かよ!?」
「・・・まだ、別れてないッスよ」
あれからあの噂は忽ち学年中に広まった。美里っちが流したのか、はたまた誰かが見ていたのか。だが俺にはそういう事は最早どうでも良かった。
俺と美里っちはまだ別れていない。俺がまだ了承していない。
大体なんだ、美里っちから告って来たのに、急にもう面倒なんて、何処の昼ドラだよ。人生初の失恋は、俺にとって分からない事だらけで、これからの俺を大きく変えた。
×
「ったく、何なの?涼太、私達もう別れたはずだけど」
「意味分かんないんスよ!どういう事だよ、マジ分かんねえ!もっと俺に分かるように説明してくれッス」
あれから数日。やはり納得のいかない俺は、遂に放課後、美里っちを呼び出した。
俺が美里っちを呼び出すという事を見ていたクラスメイトは、それだけ見て「何だ、まだ付き合ってんじゃん」と誤解してしまった様で。
美里っちに別れを宣告されてから数日、沢山考えた。バスケにも仕事にも勉強にも集中出来ず、只美里っちの事だけを考えていた。
それだけで、ああやっぱ俺美里っちにベタ惚れしてんだな、と思った。
だからこそ、今日はっきりさせたかったんだ。頭の悪い俺に、美里っちの口から詳しく説明して欲しかった。
そして、勿論俺に別れるつもりは無いから、寄り戻せるならそれで良い。俺の何処が駄目だったのか、分かれば治す事が出来るから。
何より、今の俺は美里っちが欲しくて堪んなかった。一度無くした玩具をまた欲しいと泣き喚く子供の様に、美里っちが必要だった。
「大体、涼太は外見が良いし注目集めるから、私も引き立つかな。と思って付き合いだしたけど、それが中々本気になっちゃって」
「・・・俺も、同じッス」
「そんな時不意に気が付いたんだよね。涼太、私に壁作ってる。」
「か、べ・・・?」
「そう、涼太は私に外見しか見せてくれなかった。私は、全部本当の心も、本当の私も全て涼太に見せているつもりだったのに、涼太は違った。確かに涼太は私を沢山愛してくれた、そりゃあもう私以上にね。それが嬉しかった、でも私は涼太に壁を作って欲しくなかった。ありのままの涼太で、お付き合いして欲しかった。」
そして最後に、「もう、恰好良いだけの涼太と付き合うのは、疲れちゃった」とだけ言い残して、ひらりと背を翻した。
やっぱり俺は頭が悪すぎる。言っている意味が分かんない。え、壁?そんなの作ってない。意味が分からない。
そんな視線を送れば、美里っちは綺麗に微笑んで俺の頬に手を添えた。
「ばいばい」
「・・・っちょ、待てって!」
咄嗟に美里っちの手を掴めば、手を振り払われ、鋭い眼光で睨まれる。
それは、先程俺に向けていた甘い視線とは真逆の、俺の、唯一美里っちの嫌いな顔。
「往生際が悪いよ、涼太。」
「俺がまだ許してない!」
「そんなの知らないよ。じゃ、新しい彼氏が待ってるから私行くね」
そして続けて聞こえた「ばいばい、涼太」が俺と美里っちの別れを告げた。
04:{ ロイヤルブルーのピアスはジュリエットの恋人 }
240807
久しぶりに更新。マーチング終わったぜ!
- Re: 疾走少年、 [ 黒バス/長篇 ] ( No.48 )
- 日時: 2012/08/07 11:48
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
05.
今日、放課後に黄瀬君が隣のクラスに言って篠原さんを呼び出しているのを目撃した。キスといい、本当私は見たくないものを見てしまうようだ。
同時にやっぱり黄瀬君と篠原さんは別れてなかったんだ、どうせ今日は部活の練習見に来ないかだとか、帰り一緒に帰らないかだとかを伝えに行っていたんだと思う。
本当、リア充爆発しろ。あの噂はデマだったらしく、他の男子も「やっぱアイツ等付き合ってんじゃん」って二人を見てニヤニヤしていて無駄に殴りたくなった。
あの噂は、私にとって微妙な噂である。二人が別れていれば、黄瀬君に片思いの私にとって都合が良い話だし、逆に別れていれば私の失恋という気持ちを踏み躙られているようでとても居心地悪かった。
「はあ、本当に私にはベランダの花の水遣り係りが似合ってるんだ」
正直、放課後の誰も居ない教室ってのは凄く居心地が良かった。
夏でも冬でも、ベランダの花は綺麗だし、夕日が差し込む教室は凄くロマンティックだった。
だから、今日も何時もの様に小さいジョウロを片手に水遣りながら話しかけていたんだ。花に。
「ああ、君は本当に綺麗な色をしているね」
「そうッスね。因みにその花俺の花なんスよ?」
「うん。黄瀬君の花は、花まで凄い綺麗な黄色をしているよー!」
と、其処まで言い終えて考えた。
“因みにその花俺の花なんスよ”、“黄瀬君の花”、“黄色”?そして後ろから聞こえる男子にしては少し高い声。
それは私が何時も舐め取る様に聞いていて「素敵ボイス」と称していた、あの黄瀬君の声だった。
「ぎょ、ぎょひいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「う、うわっ!ちょ、どうしてジョウロ投げるんスか!」
「き、きききき黄瀬君ッ!!??」
其処に立っていたのは、私達平凡女子が愛してやまない“王子様”こと、黄瀬涼太くん本人であったのだ。
驚きの余り手に持っていたジョウロを、自分でも驚くべき威力で投げてしまったが、バスケをしている黄瀬くんはすんなりとそれをキャッチしてしまった。
その行動をとっても格好よくて、見とれてしまったが、それより先に同様が走って、妙に焦り黄瀬くんの名前を呼んでしまった。
焦り過ぎたろ私のバカ。異常に不自然過ぎて変に思われたらどうすんだ、バカ。
ごめん、ごめんなさい!と謝り、一人落胆している私に、黄瀬くんは思わぬ行動をとった。
「ふはっ、アッハハハハハ!!!全部声に出てるッスよ白李さん!別に俺白李さんの事変に思ってないから安心して下さいッス!」
「は、はあ、」
「もう、本当白李さん面白いッスね!!」
「・・・・・え?」
「ん?」
黄瀬くんは、え?俺何か変な事言った?みたいな表情で此方を見てくる。
い、否!その前に!!その前になのだよ!!!
彼は今私の事を何と呼んだか?白李さん。そう、HAKURISAN!!覚えててくれたし、名前覚えててくれたし!
「だから声に出てるッスよ。もう同じクラスになって半年経とうとしてるんすから、覚えるッスよ」
「え、でも私みたいな地味虫を?平凡女を?」
「謙虚過ぎっ。同じクラスの白李サクラちゃんッスよね!ちゃーんと名前まで覚えてるんスから」
「な、なななな名前までっ!」
「ちょ、何で泣くんすかー!」
黄瀬くんと話していると、時間が経つのを忘れる位楽しかった。あれ、でも今日部活は?篠原さんは?
聞こうと思ったけれど、何より聞いたらこの楽しい時間が壊れてしまう気がして、何となく、聞けなかった。
何より、今まで半年とこの同じクラスで過ごしてきたのに、私は黄瀬くんを見てるばかりで話した事が一度も無かったから。
この時間が人生で一番輝いて見えた。
「白李さんは、毎日放課後に残って一人でベランダの花に水やってるよね。皆がしない事を黙って引き受けたり、凄い優しい子だなって思ってたんスよ」
「私、花好きだし。それに幾ら皆がしたがらない事でも、皆の役に立てるって気持ちが良いんだよ?」
「優しい子ッスね、やっぱり」
君は恰好良いよ。
すると黄瀬くんが手伝うと言い出したので、二人で話しながら花の世話をしていた。
二人でするから水遣りも早く終わって、もっとこの時間が長くなれば良いのにって思った矢先に、
「白李さん、また来ても良いッスか?俺サクラっちの事気にいっちゃった」
「うん!良いよ。黄瀬くん本当に面白いね。待ってる、から。それと、なまえ、」
「あー、駄目だったッスか?こっちのが呼びやすいんで、俺はサクラっちが良いんスけど」
「ううん、全然!寧ろ呼んで下さい!」
「ははっ、やっぱ面白いッスね」
05:{ 彼のアリスはバラ色のティラミスを食む }
240807
5話目でやっと接点が出来ました。
- 花色彼女* 06. ( No.49 )
- 日時: 2012/08/13 09:31
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
06.
この時間が楽しくなかったと言えば、嘘になる。逆に、愛しさを覚えるくらいだった。
06: { エメラルドは桜色だと言い張るエリスのくちびる }
態とらしく新しい彼氏と言った美里っち。もう新しく作ったのだろうか。否、美里っちくらいの美貌なら容易いだろう。
って、今はそういう事では無くて。
新しく彼氏を作ったとは言えど、嘘かもしれない。俺に、諦めて貰う為のデマかもしれない。
そんな事を思ってしまうのは、まだ俺が美里っちに出来た「新しい彼氏」を見た事が無いからと、まだ俺が美里っちの事を諦めて居ないからだ。
本当に、美里っちに言われた通り、往生際が悪いッスね。バスケ以外でこんなんになってしまったのは初めてッス。
そんな事を考えながら、一人教室へ向かうと何やら声が聞こえた。
「はあ、本当に私にはベランダの花の水遣り係りが似合ってるんだ」
まるで自傷する様な、ははっと乾ききった笑い声も共に聞こえてきて、一人何をしているんだと興味が働き、俺は教室を覗いていた。
だが其処には誰も居ない。空耳?否でも確かに聞こえた。
『私にはベランダの水遣り係が似合ってるんだ』———ふと脳裏に言葉が蘇り、一つのある特定の場所を絞り込む事が出来た。
ベランダ?
ゆっくり、足音を立てない様に近づいて、開いた窓から様子を伺う。
すると俺の予感は確信へと変わった。どうやら当たりだった様だ。
そして、俺の黄色の花を手に取り、優しい目で微笑んだ彼女に思わず息を呑んだ。
「ああ、君は本当に綺麗な色をしているね」
「そうッスね。因みにその花俺の花なんスよ?」
「うん。黄瀬君の花は、花まで凄い綺麗な黄色をしているよー!」
小さい胸の高鳴りを何とか抑えながら、目の前の、白李さん、だったっけ。の返事を返す。
吃驚するかな、とわくわくしていたが、返って来たのは吃驚も焦りも感じていない、割と普通の返事だった。
ただ、この時から俺は彼女に想いを抱いていたなど、この時の俺はまだ知る由も無かった。
少し此方を向いて、頬を赤らめえへへと頬を完全に緩ませて笑う彼女。此方まで頬が緩んでしまう笑顔だな、と思った。
すると突然、
「ぎょ、ぎょひいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
「う、うわっ!ちょ、どうしてジョウロ投げるんスか!」
「き、きききき黄瀬君ッ!!??」
何処からそんな声が出せるのか、女子とは思えない奇声をあげたかと思うと、同時に手に持っていたジョウロを凄まじいスピードと威力で投げてきた白李さん。
な、何なんだ。俺でさえも取るの危うくなったッスよ。
それを見た白李さんは、「き、きききき黄瀬君ッ!!??」と焦って震えてどうしよう、どうしようと頭を抱え始めた。
すると何を思ったのか、急に此方を向いてごめん、ごめんね!ごめん、ごめんなさいいい!!!と挙動不審に謝ってきた白李さん。何やら自分では気づいていないのか、心の声だと思われる声が聞こえた。
明らかに不審過ぎる。俺の予想を遥かに超えた白李さんの言動。本当に、面白い子だなあと思ってしまえば、もう出て来るのは笑いだけだった。
それから、苗字を呼べば神に拝む様に喜びだして。本当に表情がころころ変わる子ッス。
白李さんとは同じクラス。クラスの白李さんと言えば、皆に優しくて、それ程目立つ存在じゃ無かったけどやる時はやって、友達思いで友達が多い子だった。
少し謙虚過ぎるし、何時も楽しそうに笑ってて。俺の友達にも白李さんの事が好きって言う奴は何人か居た。
俺には美里っちが居たから、どうと思う事も無かったけれど。特別可愛いって訳でも無いし綺麗って訳でも無い。勉強は結構出来るけど運動神経も平均位。
俺にとって、否、今までの俺にとっては白李さんとは、何処にでも居る女子、と思っていた。
だが少し見直したのが入学して月日が大分過ぎた頃。忘れ物を教室に取りに行った時、誰かの人影が見えたから様子を伺ってみた。
中には同じクラスメイトの白李さんが居て、一人残ってベランダや教室の花の世話をしていた。
その時に俺は忘れ物と言って教室に入っていく勇気が持てなかったのを覚えている。それから俺は彼女に興味を持ち、彼女の事について少しだけ、友人に聞いてみた。
『ああ、白李さん?あいつ、花好きらしくてさ。頼まれても当番でも無いのに、放課後毎日残って花の世話して帰ってるらしいぜ。本当、もの好きだよな、んな事やったって何も貰えない事分かってる位なら、早く家帰ればいいのに』
「白李さんは、毎日放課後に残って一人でベランダの花に水やってるよね。皆がしない事を黙って引き受けたり、凄い優しい子だなって思ってたんスよ」
「私、花好きだし。それに幾ら皆がしたがらない事でも、皆の役に立てるって気持ちが良いんだよ?」
「優しい子ッスね、やっぱり」
不意に俺の口から出た言葉に吃驚した。
でも思っていたのは本当だ。
俺と花の話をしている白李さんの顔が、夕日に照らされて眩しかった。
俺がまた来ると言った時の白李さんの笑顔は、今までで一番綺麗で、まるで花が咲き誇った様な笑顔だった。俺自身、クサい事を言っているとは自覚している。だけど、その表現が一番しっくり来た。
彼女は、笑うと飛び切り美人になる。色素の薄い栗色の綺麗な絹髪、笑った時に見える、縁どられた長い睫毛。ほんのり赤くなる頬。桃色の血行の良い唇から見える白い歯。
全て、この世のものとは思えない位綺麗だった。こんなに白李さんを食い入る様に見たのは初めてだ。本当に、笑顔が綺麗で目が離せなくなる。
急にどくん、と心臓が動いたのに、俺はまだ気付かない。
こんなに、美里っちも劣る綺麗な笑顔を見せつけられたのに、まだ美里っちが心の中に居るのは、好き、とか言う感情では無く、俺の変な意地なのかもしれない。
この時、俺は新しい恋を覚えた。
只、気がついて居ない、だけで。
240813
- Re: 疾走少年、 [ 黒バス/長篇 ] ( No.50 )
- 日時: 2012/08/13 17:36
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
「ねえー、サクラちんさ。何で赤ちんが好きなの?」
「ちょ、祭りに来てまでその話は止めようよ、敦」
@/はぐれない方法
今日の昼、急遽夕方に練習を切り上げて、皆で祭りに行こうと決まって数時間。
練習の後は汗臭いから風呂に入りたいだの、女子には浴衣を来てきて欲しいから一旦家に帰れと指示があった。主に黄瀬から。
普通は赤司が却下するのだが、今回ばかりは「良いじゃないか。最近構ってあげられないしね。サクラ、一緒に祭りに行こうか、勿論皆とね」と言う事で祭りに行く事になりました。こ、こんの赤司様がっ!
だが残念な事に、敦が綿飴を買っている隙に皆と矧ぐれてしまったらしく。
今日は、皆に会えるまで敦と回ろううんいいよーで只今敦と回っています。
そして当たり前の事の様に、私が敦と回るに当たって問題点が1つ。
それは、身長差が凄すぎる事だ。身長200超えの敦と、身長150後半程の私では軽く50センチは違う。この光景を見て道行く子供達は言うのだった。「お母さーん。あのお兄ちゃん背高いね!そしてあのお姉ちゃんは背低いね!」本当に子供とは正直な生き物である。
わなわなと手を震わせながらも我慢する私を見て、敦がくすくす笑うもんだから溝内を食らわせてあげた。
「ちょっ、サクラちんひどーい、痛—い」
「ごめんね」(棒読み)
「りんご飴一つ奢ってくれたら許してあげるー」
「はっ!?」
「あ、そうそう。赤ちんとの事だけどさあー」
両手には綿飴、腕には抱えきれない程のお菓子。それを持ってしてもまだお菓子を要求するのかコイツは。
何だかんだ言って一番満喫しているのは敦じゃん。
「・・・あんまり皆に言わないでね。特に青峰!」
「えー峰ちん?俺からしてみれば結構お似合いだと思うけどさあ」
「 何 処 が 」
「ま、そんな事言ったら俺が赤ちんに殺されるからねー」
青峰、かあ。そう一瞬だけ脳裏に顔を浮かべたのだけれど。
「ないわ」
だって、本当に、もうガチで。私と青峰は所謂、犬猿の仲と言う仲でして。
おはようと言えば、はよ、チビサクラと返し、頭に腕を乗せ体重を翔けてくる。あいつは自分が190超えのかなり体型ががっしりした大男だとは気付いていないのか。確かにバスケでは有利極まりないかもしれないが、私にとっては、迷惑且つ迷惑だ。背が縮むだろ。
目が合えば、チッと舌打ち。喧嘩すれば飛び交う暴言。胸や尻を触られたりスカートを捲られたりなどのセクハラ行為。
そして何より、私は青峰のあの獣の様な目が嫌いだった。否、嫌いでは無いな。只、あれに真っ直ぐ見つめられると動けなくなる。
「私と青峰?ない。絶対ない」
「まあ、今のサクラちんには赤ちんが居るしねー」
「でも私は敦好きだよ」
「うん、俺も好きだし」
「じゃあ両想いかな」
「バカ、友達としてだしー」
そうやって笑う敦に心癒される。
毎回、思う。敦は私が見上げなければいけない程背の高い巨人なのに、この襲いかかる可愛さはなんなのだ。
多分それは、敦がこんな性格だから。ふわふわしてて、お菓子が大好きな。
だけど、逆に本当に鋭い。力もチーム一だし、本気で睨めば軽く人だって殺せそう。だって敦は気を許していない相手にはとことんそうだ。
私だって最初、吐き気がする程拒絶された。「近寄んないで」「こっち来んな」「何であんた女でしょ?何で男子バスケ部に入ってんの?結局色目使ってんでしょ」その時の私にとって、本当に辛くて、泣きたくて。でも負けず嫌いだからかな。絶対泣くもんか、絶対仲良くなってやる。って思っちゃってさ。
それから、敦には色々言われたけど、私に心を許してくれた時は力強い力で抱きしめてくれて、「宜しく、俺紫原敦。サクラちん大好き」って言ってくれて。
みんなの前で抱きしめられて、恥ずかしかったけど、嬉しかった。
「どうしたの?サクラちんニヤケちゃってさー。」
「え?私ニヤケてる!?」
「うん、何か良いもの見つけたー?」
「いいや、ちょっと思い出しちゃってさ」
「ふーん変なのー」
そうやって敦を仰ぐと敦の瞳に私が映って。
気ダルそうに、でも笑顔を浮かべた敦の、食べようとしていたお菓子を横取りして口内に入れる。
それに怒った敦の長い腕が伸びて来て、私のほっぺたをむにむにと引っ張って「俺のお菓子いいいいい」なんて言ってさ。
「あ、赤司、いっ!?」
「二人で抜けがけか。ふーん良い度胸しているね。・・・二人共明日はメニュー5倍だよ」
240813
- 花色彼女* 07. ( No.51 )
- 日時: 2012/08/14 10:48
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: http://www.kakiko.cc/youtube/index.php?mode
07.
「あっ、美里っち、ッ!?」
丁度、部活に行こうとしていたら偶然帰宅しようとしている美里っちを見つけた。俺は先日の別れ宣告がどうも気に喰わなくて、新しい彼氏が出来たと言うのにどうも納得がいかなくて、美里っちを呼んだ。
正式には、呼ぼうとした、と言うのが正しいッスね。
「遅くなって御免。さっ、帰ろうか」
「うん」
突然現れた男。同じ学年では見知らぬ顔だったから、同じ制服を来ている当たり、先輩だろう。
すると美里っちは綺麗な笑顔を作って、男の腕に自分の腕を絡める。ぴたり、寄り添う様にして歩く二人は、傍観者の俺から見ても、素敵なカップルだった。
俺に向けていた、あの綺麗な笑顔を男に向ける。たまに男が美里っちを笑わせて、「やだー」なんて可愛く笑っていた。
気に食わない、気に食わない気に食わない気に食わない。
俺は只、捨てられたという事実を胸に、前を歩く二人を眺めていた。
此処で漸く、俺の恋に終止符が、———、打たれた。
07: { アフタヌーンは黄金色、あとはセーラだけだ } (/黄瀬)
お昼三時頃。特別日課で進んでいた授業はあっという間に終了を迎え、部活に入っていない生徒達はぞくぞくと帰っていた。
俺は美里っちの新しい彼氏を、まるで突きつけられる様に魅せられて落胆した。
逃げる様に走り去って部活へ向かったが、やっぱり集中出来ず。
シュートをすればゴールを外し、ブロックすれば簡単に抜かれ、遂には紅白試合は俺のパスミスやシュートミスやらのミスで負けた。
遂に堪忍袋の尾が切れた笠松先輩は、
「おいてめ黄瀬ッ!ちょっと顔洗ってこいッ!!」
「・・・・・はいッス、」
怒られ。
俺は言われるがままにとぼとぼと体育館を後にしたのだった。
「おい、アイツ今日調子悪いな」
「熱でもあんじゃねえ?」
×
体育館近くの、水道の蛇口を逆さにして、ジャバジャバと水を流す。
途端にサクラっちに会いたくなった。
蛇口を捻るとタオルがない事に気付き。はあ、と深く溜息を付いてベンチへへたり込む。
美里っちの眼中に俺は居ない。居るのはあの男だけ。だがどうしたんだろう、先程よりも辛くない。先程はやっぱり付き合っていた彼女に直接心を抉られた様な感覚だったが、今はサクラっちが頭の中に居るからか。
どうしてだろう、何なんだろうこの感情は。サクラっちの事を考えているとどんなに辛い事があっても辛くない。
そんな事を考えていると、水滴が一粒、髪から滑り落ちた。そして、其れに比例するように今度はふわりと何かが俺の頭に被さった。
何だろう、驚いて顔をあげれば其れはタオルだった。同時に、まるで愛しいものを見る様な、優しさに融けたサクラっちの視線と混じった。
「泣いてるの?」
「サクラ、っち・・・、」
「バスケ、しなくて良いの?」
「・・・今日、調子出なくて。追い出されちゃったッス、」
「何かあった?」
サクラっちは俺の隣に腰掛け、自分の持っていたタオルで優しく濡れた頭を拭いてくれて。その優しい手つきに蕩けてしまいそうで、サクラっちに溺れてしまいそうで。
気を許してしまった俺は、サクラっちなら、そう思った俺は、少しでもこの気持ちが晴れる事を期待して、口を開いてしまった。
「俺、フられちゃった、」
240814
後3話で完結です!
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