二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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息しない青の水没 / 短編集
日時: 2013/07/20 13:50
名前: 水草 (ID: rjNBQ1VC)



此方では様々なジャンルの短編を取り扱うつもりです
といってもその時々熱のある作品に偏ると思われますが( ´ー`)


〆 主なジャンル!(増えたり減ったり)

・薄桜鬼
・とある魔術の禁書目録
・黒子のバスケ
・進撃の巨人

またボーカロイドの楽曲を参考にした二次創作も綴る予定です


〆 注意事項!

・固定CPや夢があります
・ナマモノにお気を付け下さい
・内容によっては世界観を崩される恐れがあります
・あくまで二次創作範囲のものであり妄想の産物です
・口に合わない場合は直ちに非難して下さい


〆 完結!

∴ 薄桜鬼
>>1 ほら、溶ける前に融け合おう(総司に食べられる千鶴の話)
>>11 これが綺麗な世界の終極(沖千の馴れ初めを回想したり。ほのぼの甘)
>>13 水槽の魚が死にたがる(上記の総司視点。棘のある話。知らない方が幸せなこと)

∴ 禁書目録
>>7 あなたは私の美しいひと(滝壺と麦野の仲直りの経緯やら、麦野の苦悩やらを脱却)

∴ 幕末恋華
>>18 彼女はえくぼの作り方を知る(沖田×鈴花。労咳に掛かった沖田を気にし悄然とした様子の鈴花に・・・?)


▼ 一部お題お借りしました!
彼女の為に泣いた



〆 ぼそり?

書いてるひと:水草(みずくさ)
久しぶりにこの掲示板にやって参りました

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Re: 息しない青の水没 / 薄桜鬼中心の短編集 ( No.9 )
日時: 2012/06/16 19:26
名前: カノン (ID: KjYpxfgY)

ここで書いている小説は・・・

・薄桜鬼〜新撰組の涙〜
・薄桜鬼〜学パロ〜
・ハートの国のアリス〜ワンダーランドへようこそ〜
・ハートの国のアリス〜まだ広がる2つの国〜
・アニ&ボカ短編集〜緋色〜【リクエスト募集!】
・NARUTO〜火影になるために〜


を書いてるよ〜!

応援ありがとう!
勉強めんどいww

またくるね!ばいに〜

御返事 ( No.10 )
日時: 2012/06/17 09:56
名前: 水草 (ID: T6JGJ1Aq)



カノンちゃん

ご丁寧に題名まで教えてくれてありがたい(*´∇`*)
見掛けたら覗きにいきたいと思いますー!

勉強面倒くさいよね すごくよく分かります←
ではでは!ノシ

薄桜鬼 沖千 《完》 ( No.11 )
日時: 2012/06/17 10:52
名前: 水草 (ID: T6JGJ1Aq)




「僕は今から君を好きになるけれど、君はそれを許してくれる?」

 単に好きだと言わないところが、なんとも彼らしい言い回しだと思った。
 異性から恋文等を貰ったことも無かったし、直接告白をされたのはこれが初めてだった。
 それこそ誰かに恋をするなんて経験も無い全くの初心者だ。
 それに自分は行方知れずの父親を探さなければならないという目的があるのだから、恋愛に現を抜かす暇は無い。
 だから千鶴は断ろうと思った。それなのに。


「・・・・・・・・・・・・私で、いいのですか・・・?」

 気が付けばそう尋ねていた。
 自分は何を考えているのだろう。どうしてこんなことを言ってしまったのだろう。
 慌てて訂正しようとしたときには既に遅かった。
 目の前の彼が自分の手を壊れ物を扱うかのようにそっと取って、口を開く。

「君じゃなきゃ意味が無いんだ」

 総司はいつになく真摯な響きを持った声色で柔らかく笑った。
 この人はこんな風に笑えるんだ・・・と思った。いつもの何かを内包したような上辺だけの笑みでは無い。それは紛れもなく大切にしたい人間にだけ見せる表情のように感じられたのだ。
 そしてその瞬間、きゅんと胸が締め付けられるような苦しさを覚えた。
 多分この瞬間から千鶴は総司に惹かれ始めていたのだ。




「千鶴ちゃんの膝、気持ち良くて眠たくなっちゃうな・・・」

 自分の膝の上でもう何度目なのか分からない欠伸を噛み殺す総司を見てやはり疲れているんだろうと思った。
 此処の所、新選組は詳しくは分からないのだが大捕り物があるとかで部外者である千鶴すら分かるくらいに慌ただしく動き回っていた。
 精鋭揃いの一番組の組長を務める総司も当然忙しく、今日は久々の非番でようやく二人でゆっくり過ごせる時間が取れたと彼は千鶴の部屋にやって来たのだ。
 仕事が終わって真っ先に自分に会いに来てくれたのはすごく嬉しい。
 膝枕をして欲しいだなんて普段以上に甘えてくる彼は本当に・・・・・・愛おしい。
 けれど自分のせいで彼に無理をして欲しくないのだ。
 疲れているのなら休んで欲しいし、今日くらいは一人でのんびり過ごすのだって構わない。
 彼だって本当はそうしたいはず。・・・少し、寂しいけれど。でも我慢出来る!
 何より、自分の存在が総司の重荷にはなりたくない。もう十分新選組には迷惑を掛けているのだから。


「私のことなら気になさらないで下さい。忙しかったでしょうし、好きなだけ寝てもらっても構いません。それに私はその・・・・・・沖田さんの寝顔、見てみたいですっ・・・!」

 最後のは取って付けた理由というわけではなく、紛れもない本心だった。
 好きな人の寝顔を見てみたい。なんてものは自然の感情の気がした。
 けれど総司は不満げだ。やはり駄目なのだろうか?
 膝の上の彼は横向きに寝転がっていた身体を仰向けになるように転がすとこちらを見上げる。
 視線がかち合う。
 何度こうして見つめ合っても未だ慣れない、恋人同士の距離というものに千鶴は頬を仄かに紅葉させる。
 それを見透かしたような総司は意地の悪い笑みを浮かべると、千鶴にすり寄って腰にぎゅっと抱き付く。
 膝に顔を埋める彼を見てこれは総司なりの甘え方なのだろうと思うと、千鶴は嬉しくなる。
 そして総司は千鶴を喜ばせることに関して怠らない。もはや一種の才能だ。
 何故ならこのようなとき、更に追い討ちを掛けるような言葉を掛けるのだ。それも常日頃から。
 それは勿論今日だって例外ではない。

「せっかく邪魔者も居ない二人きりなのに眠るなんて勿体無いや。僕はもっと千鶴と話したいんだけど・・・・・・それじゃあ不満かな?」

 不満なわけがない。
 千鶴はそれを伝えるように何度もこくこく頷く。
 それに千鶴、と初めて呼び捨てされた。それも凄く自然に。
 ふわふわ、ふわふわ。柔らかくて心地良い感情が渦巻く。
 それだけで千鶴はとても幸せな気持ちになる。
 恋に溺れると些細なことに一喜一憂するし今までとは一変、世界があらかさまに違って見えるのだから凄いと思う。
 そしてこんな安らぎを与えてくれる総司に出会えたことも、千鶴にとってはこの上なく幸運だった。


「千鶴、・・・・・・愛してる」

 寝言のように呟いた総司の囁きが耳朶を擽る。
 きっともし幸せすぎて人が死ねるとしたら、千鶴はこの瞬間即死していただろう。
 それくらいの満ち足りた幸福を、噛み締めた。

あとがき ( No.12 )
日時: 2012/06/17 11:18
名前: 水草 (ID: T6JGJ1Aq)



>>11
おきちづー!(つ∀`*)
ニコ動で沖千MAD見たら切なくて泣きそうになったので
その反動で幸せすぎて吐血するようなネタが書きたくなりました
沖田さんの労咳つらい・・・労咳マジ滅びろやとか思ってます(割と本気)

そしてこの話の沖田視点も今日中に上げようと思ってます〜
ちなみにこの幸せをぶち壊す内容を予定しているダークなものなので・・・
読まない方が幸せかもしれません(笑)

薄桜鬼 沖千 《完》 ( No.13 )
日時: 2012/06/17 16:04
名前: 水草 (ID: T6JGJ1Aq)




「僕は今から君を好きになるけれど、君はそれを許してくれる?」

 信じた振りをして、騙されてみようと思った。

 土方は彼女の上手く行きすぎた新選組との接近から、他の組織からの間者では無いかと疑っている。
 否、土方だけでは無い。
 おそらく彼女の存在を知る幹部連中は皆そうだ。

 しかし表向きはそんな様子を見せないよう、愛想良く取り繕っている。
 警戒心を露わにしたまま接すれば当然相手も手の内を簡単に見せはしないだろう。
 なにせ男所帯に単身で乗り込んで来たような女だ。相当な遣り手に違いない。
 だからこそ雪村千鶴には好意的な態度を見せつける必要があった。
 誰もが彼女に心を許し、油断しているという錯覚を植え付ける。
 そうして彼女がわざと動きやすいようにした。
 人間は愚かな生き物だ。
 余裕が生まれると慎重になることを忘れてしまう。
 だから新選組の者達は大したがないと高を括らせて用心を怠るように促した。それが、命取りになるとも知らずに。

 此れらは全て事態を迅速に片付ける為だ。
 一刻も早く彼女に化けの皮を剥がすように仕向けた。
 総司は千鶴を見た目通り清純な少女だとは、思わない。
 女は嘘をつく生き物だと知っている。醜い感情ばかりをヒステリックに撒き散らすことも知っている。
 だから総司は弱く見苦しいだけの女を疎ましく思う。

 そもそも初めから彼女が本当に綱道の娘だとは信じていなかった。
 遥々江戸から京にやって来たところ偶然浪士に絡まれ、丁度狂った羅刹に目を付けられ不運にも新選組の秘密を知ってしまった憐れな少女・・・なんて出来過ぎた話は疑って当然だ。

 千鶴が少しでも不審な真似をすればすぐさま殺す。そう心に決めながら彼女の監視に目を光らせた。

 しかし一向に動きを見せない彼女にいい加減痺れを切らしてきた。
 これならいっそ千鶴を締め上げてそれこそ刀をちらつかせてでも吐かせた方が余程建設的で利口な手段に思える。
 だがそれは近藤が望まない。だから総司は考えたのだ。

 そして思い出した。
 自分が男であり、彼女が女だということを。それを利用する。

 土方はこのような手段を嫌うだろう。斎藤はヘマはしないだろうがそもそも女の口説き方を知らない。平助では些か警戒心が足りないから安心出来ない。原田は顔立ちも女好みで細かい気遣いにも長けるから適合者と言えるが、女には甘い節がある。永倉に至っては大根役者であり嘘をつくのが専ら下手だ。ついでによく花街で女に振られている。

 だからこそ自分が適任だと思い、彼女に近付いた。
 女嫌いで嘘をつくのも得意であり、予測不能の事態が起きても動揺しない。
 そんな自分だからこそ篭絡にも引っ掛からない自信があったのだ。


「・・・・・・・・・・・・私で、いいのですか・・・?」

 目の前の少女は雪のように真っ白な肌を赤らめて、指先をもじもじと絡ませたまま不安げに問う。
 これも演技なのだろうと思うと滑稽だ。
 総司は喉の奥で笑いを押し殺した。
 そして彼女の手を握り誠実な声色を努めて、笑いかける。生憎表情を作るのは得意である。


「君じゃなきゃ意味が無いんだ」

 君じゃなきゃ意味がない。
 なるほど、確かにそうだ。上手いことを言ったものだと自身に感嘆する。
 ・・・そう、彼女が間者であるからこそ信じた振りをする必要がある。
 彼女に心酔した振りをすることで最も近しい人間となるのだ。
 そうすれば幾ら彼女が用心深い人間であろうと、自分を利用出来る存在だと思うだろう。
 それこそ上手い理由を取り付けて自分に新選組の幹部しか知りえないような情報を引き出すのにも使えると。

 だから総司は千鶴に何度も愛を囁く。反吐が出るような、甘い笑みを振り撒く。
 そうやって何度も何度も。愛した振りをして、殺そうと思ったのだ。


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