二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 結界師
- 日時: 2012/07/26 16:47
- 名前: 朱雀 (ID: ia9Umcvq)
初めまして。
かなり古いアニメですか、作ってみました。
よろしくお願いします。
- Re: 結界師 ( No.11 )
- 日時: 2013/04/13 18:59
- 名前: 朱雀 (ID: ia9Umcvq)
第3話
正「よ!葵。仕事は順調かい?」
居間に着くと、普段着(着物)に着替えた正守が待っていた。
それを見た葵は一瞬、「普段着が着物の21って・・」と思ったが、口に出さなかった。
葵「まあまあかな。この頃変な妖ばっか現れるんだよね。メチャクチャ弱い奴とか臭い奴とか。」
正「そういやーおじいさんから聞いたぞ、この前の仕事。時政君に手柄を取られたらしいな。」
葵「ああ、アレね。取られたんじゃなしにあげたの。」
この前、いつものように支度をし学校の敷地に入った瞬間、あまりの臭さに倒れ込んだんだ。
もちろん、妖犬の斑尾と白尾も動揺に鼻を押さえてその場にうずくまってしまった。
仕方ないので、あの時は時政一人で仕事を片付けたのだ。
正「臭いのくらい我慢できないのか?」
葵「無理だね。鼻が捩れそうなくらい臭かったんだ。とてもじゃないけど仕事なんて出来ないよ。」
正「刻印と道具、それでもダメだったのか?」
正守は包帯が巻かれている両腕と、あげたリボンを見て言った。
葵はテーブルの肘をついて目をそむける。
葵「単に私が強すぎってだけでしょ。この刻印だって、感情が高ぶればすぐに解けちゃうんだもん。」
正「もっと強い刻印が必要って事か。よし、明日から一週間、こっちに来い。
もう1、2段階強い刻印を入れよう。」
葵「えー、またやるの?あれ結構痛いんだよ。」
正「痛くてもやる。オレはこれからおじいさんと雪村のおばあさんに話があるから、部屋行って準備して来い。」
葵「は〜い。」
葵は渋々自分の部屋に戻って、荷物の準備を始めた。
荷を準備し終えた時、利守が部屋に入って来た。
葵「どうした、利守?おやつなら台所にドーナツがあったでしょ?」
利「違うんだ。正兄とおじいちゃんが・・・」
葵「・・・分かった。行くわ。」
葵が居間に向かうと、既に雪村のおばあさんはおらずじいちゃんと正守が言い争っていた。
どうやら、葵が裏会に行く事の話らしい。
葵は深くため息をついて、障子を開けた。
葵「じいちゃん、またそんな事言って・・」
繁「そんな事とは何じゃそんな事とは!!よいか、お前は墨村家の正統継承者!
本来なら烏森から離れてはならんのじゃ!!」
葵「確かに私は正統継承者だけど、それと同時に妖混じりでもあるんだ。
今よりももっと強い刻印をしなきゃいけなくなったの。」
正「そうですよ、おじいさん。今までの刻印じゃ葵の力を完全に制御する事は出来ないんです。
分かってください。」
繁「ふざけるな!ダメと言ったらダメなんじゃ!!!」
葵と正守は同時にため息をつき、明日と言わず今夜と言う事にした。
その夜、見送りに来たのは父さんだけ。(しかも大量のお弁当を持って)
修「気を付けてね。何かあったら連絡するんだよ。」
葵「ありがと、行ってきます。」
- Re: 結界師 ( No.12 )
- 日時: 2013/04/13 19:02
- 名前: 朱雀 (ID: ia9Umcvq)
第4話
正「着いたぞ、葵。俺達のもう一つの家が。」
葵「やっと着いたの?なんか疲れた。」
裏会——
そこは全国の異能者達を統括し、取り仕切る自治組織。
家督を継げない者を中心に組織されている。
その組織の中で唯一家督を継いでいるのは、結界師兼妖混じりの葵ただ一人である。
亜「お!葵じゃない、久しぶり〜。結界師の方はどう?順調?」
葵「亜十羅、久しぶり。てか、順調だったらここに来ないでしょ。」
亜「それもそうね。刻印の道具が届くのは明後日らしいわ。それまでは自由よ。」
正「変だな、葵を連れて帰るって連絡は入れてあったが?」
亜「上があまり許可を出したがらなかったんですよ。
今の刻印よりもう1、2段階上となると、出来る人は少ないですから。」
正「なるほど、そういうことか。」
葵「ねえ、亜十羅。限は元気?」
亜「もちろん、今雷蔵とじゃれてるわ。」
葵は亜十羅に場所を聞いて、限の下へ向かった。
志々尾限は、葵と同じく獣系の妖混じりで同い年の男の子だ。
過去のトラウマのせいで人付き合い(特に女子との)が苦手。
唯一普通に話せる同い年の女の子と言えば、葵しかいない。
雷「バウワァアア!!」
葵「うわぁ!雷蔵、久しぶりね。また大きくなった?」
雷「アウ!」
葵「ふふふ、性格は相変わらずだね。」
限「葵、いつこっちに来たんだ?」
葵「今ついたところだよ。亜十羅に聞いたよ、力の使い方うまくなったんだってね。」
限「そんな事はいい。お前何しに来たんだ?正統継承者だろ?」
葵「ちょっと・・ね。」
葵はそう言って右腕をさすった。
口で言わずとも、限にはこの行動で伝わるのだ。
限は悲しいような怒りたいような、そんな顔をして葵を見た。
限「どのくらい上げるんだ?」
葵「もう1、2段階だって。やるのは明後日らしいけど。」
限「もう1、2段階って!今のでも最高ランクの炎縄印だろ!?」
葵「うん。普通なら下りるはずのないレベルだよ。それだけ、私の力は強いんだって。
ちなみにこのリボンも変えるってさ。」
限「ッ・・・そこまでしなくたっていいだろ。お前は俺と違って、力の制御は刻印なしでもできるんだし。
それに・・」
葵「ま、決定事項だからね。それに、もっと強いのにすれば誰も私の力で傷つかないもん。
それが一番いい事じゃない?」
葵はニッっと笑って木から降りた。
でも、ずっとここで一緒に暮らしてきた限にはわかる。
ああやって笑っていても平気な顔をしていても、心の中では脅えているのだ。
炎縄印の刻印をするにはそれなりの体力が必要だし、葵のしているレベルとなると痛みも半端じゃない。
限「葵、我慢しなくていいからな。」
葵「・・・うん。」
- Re: 結界師 ( No.13 )
- 日時: 2012/09/14 16:24
- 名前: ルル (ID: x2W/Uq33)
わぉ、
おもしろーい
- Re: 結界師 ( No.14 )
- 日時: 2013/04/14 09:12
- 名前: 朱雀 (ID: ia9Umcvq)
第5話
炎縄印格上げ当日。
葵は複雑な文字が書かれた陣の中心にいた。
そのまわりには、炎縄印を入れる専門の術者。
「それでは、炎縄印の儀を始めます。」
リーダー格の人がそう告げると、他の三人が一斉に演唱し始めた。
「ッ!」
演唱が始まって1時間後、徐々に腕の痛みが強くなってきた。
始めの内は平然を装っていた葵の顔が、徐々に険しくなってくる。
手のひらに爪が食い込んで血が出るほど拳を握り締め、
耐え切れずに目をきつく瞑って、噛み締めた口からはキリキリと
奥歯が擦れる音がした。
「う・・・・ぐ・・・」
開始から2時間、ついに抑えていた声が徐々に漏れ出した。
両腕からは炎縄印をつけたところから血が滴り、
床を真っ赤に染め上げる。
「う・・ぐ・ぁ・・・」
炎縄印の儀は全部で10時間。
その間、葵はひたすら想像を絶する痛みを耐え続けた。
10時間後————
ついに、叫び声を上げることなく炎縄印の儀を終えた葵は
気を失って担架で運び出された。
- Re: 結界師 ( No.15 )
- 日時: 2013/04/14 16:08
- 名前: 朱雀 (ID: ia9Umcvq)
第6話
「う・・ん・・」
葵が眠っていた場所は、血生臭い儀の間ではなく、
正守や亜十羅、限達の匂いがする部屋。
正守率いる夜行の部屋だ。
「葵、気がついたか?」
「限?儀式は?」
「とっくに終わってる。覚えてないのか?」
「演唱が終わったところまでならなんとか。」
「儀式が終わった瞬間気を失って倒れたんだ。大丈夫か?」
「うん、もう平気。雷蔵どこ?久しぶりに一緒に遊ぼうよ!」
「お前はまだ寝てろ。体力が元に戻ってからだ。」
「えー。」
「もう一度気を失いたいか?」
「・・・・横になります。」
文句を言いたげな顔で横になった葵は、
チラッと隣にいる限を見てクスクスと笑った。
限はいつも優しい。
こんな風にしか相手を思いやることが出来ないけど、
それでも、心の底から心配してくれている。
限の事を理解していない人には忌嫌われる存在だが、
正守や亜十羅などの大人たちは、限の事をちゃんと理解している。
「限。」
「ん?」
「いつか、一緒に烏森を守れる日がくるといいね。」
「・・・そうだな。」
不器用なりに優しい笑みを浮かべた限を見た葵は、
満面の笑みを浮かべて睡魔に身を委ねた。
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