二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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おおかみは赤ずきんに恋をした。かもしれない。
日時: 2012/08/05 18:44
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


ボカロの曲の「おおかみは赤ずきんに恋をした」を見てというか聞いてですが、
『これ他の童話でも書けたら面白いかもしれない』と思ったので
勝手ながら書かせていただくことにしました。
とはいえ、

毎回のことながら栖樺は無鉄砲者ですので、何の童話からしようかは一切考えておりませんゆえ、お許しいただきたいのです。
まぁ、予定としては、日本昔話とかよくある階段とかにも
手をのばしたいかなーって、

そして、ご注意。
栖樺は気分次第でいろんな童話の話が書きたくなる人なので、
すっごい読みづらいし、探しづらいかと思いますが、そこはご協力お願い致します。
勝手ながら、滑手ながら、やってみようと思います。
夏ですが、やることはないので(勉強しろよ)やりましょう。
ということで、
よろしくお願いいたします。栖樺の道話をお楽しみ下さい。
きっとbadエンドもあることでしょうね。
                       栖樺 りゅう

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序曲:1場面 赤ずきん −母との約束ー ( No.3 )
日時: 2012/08/09 18:40
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


小さい頃から、私は森にあこがれていた。

小さい頃から僕は、人にあこがれていた。


小さい頃、お母さんからよく言われていた。
というより、毎日言われ続けた。
「危ないから、一人で森に行っては駄目よ。」
私はその約束を破らなかったけれど、
少し、そのことが心残りになっている。私には。
何度か、行ってみたいと思った。
だから、その日私はお母さんの言いつけを破って、
病気のおばあちゃんのお見舞いに行こうと決めた。

でも、それがきっといけなかったんだ。

そんなことを思わなければ、物語は始まらなかったのに。
いつも通りの日常で、良かったハズなのに、私は、破ってしまった。
お母さんの言うとおりだった。
私はあそこに行くべきではなかった。
おばあちゃんのお見舞いに行かなきゃよかったというわけではなく、
単純に、森に行って『彼』と『出会って』しまったことが

「ごめん、なさい。」

私はきっと一生後悔する。
この日の出来事を。ものすごく。
おばあちゃん。ごめんなさい。森にいる途中、私は何度か
おばあちゃんのことを頭から抜けてしまっていました。
だって、それだけ大きかったんだもの。
私にとっての、『彼』は。

序曲:2場面 森へ ( No.4 )
日時: 2012/08/11 22:46
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


その日はとってもいい天気だった。
お母さんは朝からおでかけ中。
家には私一人。
留守を任されているけれど、私は決めていた。
数週間前に、今日お母さんが出かけることになったのを知って、
前から行きたかった森に住んでるおばあちゃんのおばあちゃんに
お見舞いに行こうと決めていた。
お母さんにもやんわり話したけど、
「そう?ブドウ酒でも持って行ってあげたら?」
と、軽く言われた。
たぶん、本気にしてないのだと思う。たぶん。
そんなに言うならと、私は行くことにした。

「・・・やっぱ窓かしら。」
ドアから出ていくのは近所の人に見つかりそうだし、
うーん・・・。
しょうがない。
靴とバスケットを持って窓へ。
「よい、しょっと。あ、ひかかった。」
頭のずきんがちょっとひかかった。
赤色の糸が出てる。
後で直してもらおう。お気に入りなのに。
「しめたら・・帰ってくるとき困るから・・。」
開けっぱなしは危ないと思ったけど、開けておく。
窓の廻りに見張りとか張ろう。
「えーっと、鳥かなー。」
私はそこらへんにタイミングよくいた鳥を見つける。
1,2・・・・6羽か。
足りるかな?
『お願いがあるんだけど。』
『!?』
『あ、脅かしてごめんなさい。』
『話し・・。』
鳥たちは驚いたらしく一歩(?)退く。
そして、6羽のなかでもリーダーらしき一匹が出てきた。
『うん。できるよ。初めまして。私は・・赤ずきん。』
動物からはそう呼ばれる。
『赤ずきん?変な名前。で、その赤ずきんが何の用?』
『うん。あそこ。』
窓を指差す。
開けっぱなしの。
『開けっぱなしじゃないか。危ないなぁ。』
『うん。だから、見張りをしてくれないかな?』
鳥は羽をばたつかせ、
『見張り?僕らが?どうやってだい。』
『あ、うん。来た人間を追っ払って欲しいの。』
『見かけによらず、物騒なものいいだね。』
む。失礼な。親の前ではしっかりしてるもん。
見かけによらず、か。
『でも、僕らに得することはないよね。』
確かに。
思ったより賢いなこの鳥さん。
普通の鳥さんなら二つ返事で頷いてくれるのにな。
『じゃ、パンとかあげるから。今度。』
鳥さんは納得したらしく、後の仲間指示してくれている。
すごいなぁ。
『それじゃあ、わかったよ。ところで赤ずきんちゃん。』
『え、何。なんでしょう。』
終わったらしく、私のほうを向く鳥さん。
もう行きたいんだけどな。
『どこへ行くんだい?お母さんは、一緒じゃないのかい?』
『あ、うん。お母さんには内緒で。その・・。』
一瞬言葉に詰まる。
きっと行ったら止められる。でも、
『森にね、おばあちゃんがいるんだ。病気なの、だからお見舞いに。』
バスケットを見せながら言う。
鳥さんはまた羽をバタつかせる。
『森に! 危ないよ。今、森には・・。』
『森には何かあるの?お母さんも危ないって言ってたけど。』
鳥さんは言いづらそうに、告げてくれた。
危ない、理由を。

『森にはオオカミがいるんだよ。』

オオカミ?
オオカミって、あの?こんな森に?
『それもたった一匹でね。群れじゃないみたいだ。』
『そうなの?なんで危ないの?』
『凶暴らしいよ。人を見たらぱくっと・・。あぁ、ごめん。』
怖がる私を察してくれたのか。鳥さんは黙る。
『いいよ。忠告ありがとう。よろしくね。鳥さん。』
『いってらっしゃい。気をつけて。』
鳥さんは片方の羽だけで挨拶をしてくれた。器用だなぁ。
私は歩きながら頭の中で鳥さんの忠告を思い返していた。
「オオカミ、かぁ。」
本とかでしかみたことないなぁ。
どんな生き物なんだろう。
あ、でも食べられるのはやだな・・。
『ぱくっと・・・。』
鳥さんの言葉を思い出して、急に怖くなった。
でも、いかなきゃ。
オオカミ。オオカミさん。

「会ってみたいかも。」

笑いながら歩いた。雲ひとつない快晴だ。

序曲:3場面 天気が ( No.5 )
日時: 2012/08/16 18:05
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


森の途中、知り合い?の動物と何回かあった。
そして誰に聞いても、みんなそろって口にする。
『森にはオオカミがいる。』
『行かない方がいい。』
『乱暴でとっても危ない奴だ。』
『キミのような子供は食べられてしまうよ。』
みんな、言う。
そんなに?
そんなに怖いのかなぁ、オオカミさん。
「どうしよう。」
お母さんの言うとおりにすれば良かったのかな。
家でおとなしくしてればよかった?
せっかく、おばあちゃんの・・・。

それに、森がこんなに静かなのは初めてだ。
家に居ても鳴き声が聞こえるのに。
ん?でも鳥はざわざわしてるかな。
「そうだよね。こんなにいいお天気なのに・・。」
バスケットをしっかり持って、
ずきんを深くかぶって、
「よしっ!」
一歩踏み出そうとしたとき、

ポツっ。

「え?」
まさか、

ぽつ、ぽつ、

上を見上げる。
予感的中。雨だ。
さっきまで晴れてたのに!
よりによって今、なんで!
まぁ、雨はちょっと予想してたから、傘は持ってる。
赤色じゃないのが残念。
よかった。これなら先に進めるかも・・・。
あ、でも。森の木々に水がたまって落ちてきたら・・・?!
たまらないとしても、雫の量が、
オオカミさんに会う前に、ペシャンコになってしまうかも。
「うーん。」
変なの、この森に入るまではなんともなかったのに。
不思議だなぁ。

雨が降って、土がぬかんで進みづらい。
それに、
「結構奥まで入ってきちゃったなぁ。」
雨が降ってから他の動物が出てこなくなった。
ちょっと怖い。そのうえ、
「雲から、変な音がするような・・。」
きっと、雷だ。さんだ〜・・・・。
怖い。苦手。嫌い。
おばあちゃんの家に着くまでに、焼こげになっていまう。
どうしようかと後ろを向いて一歩。
振り向く。
もちろん、誰も、何もいないし、見えない。
自慢じゃないけど、私は視力はいいほう。
なのに、鳥一匹見えやしない。
「でもなぁ、もうこんな機会ないだろうし。」
そして、もう一回元の向きに振り向いて、
前を見た瞬間。
その瞬間。
見えたのは、【木】
さっきまではずきんのせいで見えてなかった。
木とはいってもかなり、遠い。
そして、大きい。人二人くらい隠れそうなくらいの。
単位で言うなら私からその木まで150メートルくらい。
良く見えるものだと、思った。
そして、この位置からみても大きいのだ、
近づいたらどれだけ大きいのだろうか。神木かもしれない。
それとも森の奥には大きな木が多いのかもしれない。
そう思って、
私は背伸びをして、木の向こうを見ようとした。
そして、

【黒い影】が見えた。

はっきりと、
濃く、黒い、暗い。
人型には見えなかった。
動物?でも見たことない。
見たことのない動物・・・。ひょっとしたら!
走りだそうとしたそのとき、

ドーン、ゴロゴロ

「いっ! か、雷!」
雨がいっそう強くなり、そして私は気付いた。

「あっ!窓!あ、洗濯物も!」

窓は開けっぱなし、
洗濯物もほしっぱなし、
怒られる!怒鳴られる!帰らなきゃ!
そして、滑る地面に気をつけながら私は走った。

走りながら、寂しさを感じていた。
背中に残る違和感というやつだ。
黒い影が気になる。
ものすごく気になる。何だったのだろう。
ひょっとしたら、もしかしたら、
私の期待した通りだったとしたら?
わくわくしていた。
私はとてもわくわくしていた。
楽しくて。そして
《何かが始まる予感》
それが、怖いのもあって、私は逃げ出したのだ。

「また、来れるよね・・・。」

そう、願った。

序曲:4場面 赤色 ( No.6 )
日時: 2012/08/16 18:26
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


「雷・・・。」
僕は、空を見上げた。
雨もちょっとずつ降ってる。
この森に来てからは、あまり降っていなかったのに。
しまった。
でも、このあたりの木は大きいし、
雨宿りぐらいならできるかもしれない。
少し遠いけど、根城までよりはきっと近いハズだ。

駆けだしながら、僕は考える。
この森には、オオカミがいないらしい。
僕があったことがないだけかもしれないが、
とにかく、僕は見たことはない。
そして、他の動物はたくさんいるのに、僕の前にはあらわれない。
まぁ、食べられてしまうかもしれない相手に
わざわざ出向くような動物はいないけど、
それでも、僕は動物たちから遠巻きに見られる。
見られているのは知ってるし、
その情報は人間にも伝わっているらしい。

木まであと数メートル、走ればまにあう。
雨が激しくなってきた。
木の下は雷が落ちやすいとどこかの森で聞いたけれど、
この木の他にはもっと大きな、高い木がたくさんある。
たぶん、平気だ。
すぐやむだろうか・・。
方向確認。
走ってきた方向には雲がたくさんだ。
反対方向を向こうと、頭を動かした時、

雷が落ちた。

「!」
さすがにちょっとびっくりした。
急だから。
でも光ってからの間を考えると、そんなに近くは無い。
大丈夫だ。この森は、まだ平気だ。
今度こそ、と振り向くと。
そこには、

【赤色】

赤色が見えた。
僕は目がきくほうだけど、
走ってきて疲れたせいで、少しぼやける。
輪郭と色ぐらいの判断しかつかない。
大きさからみると、子供?
小さいなぁ、なんでこんな森の奥に?
そして、その子供は何かを叫んで帰って行った。
いや、違う。
きっと、逃げたんだ。
僕から、この、森から。

他の人間と同じく、あの子ももうこないだろうな。
あぁ、退屈だ。
せっかく人がきても、すぐ逃げてしまう。
僕は誰とも会えない。
それがまるで、決まっているかのように、必然なのかも。
僕は人とは関わっちゃいけないんだ。
そういう、運命なのだ。きっと。

でも、さっきの子良く来れたな。
こんな奥まで来る人間は珍しい。
もう、僕の噂は広まりきっているはずで、
ホントに最近は人が来ないのに・・・。
なにか理由があるのかな。
ひょっとしたら、もう一度くらいなら来てくれるかもしれない。
偶然でもいいから、一度会ってみたい。
それに、あの子。

「可愛かったなぁ。」

まぁ、どうせ会えないから興味ないや。

序曲:5場面 廻り道 ( No.7 )
日時: 2012/08/20 19:19
名前: 栖樺 瘤 (ID: zRrBF4EL)


帰ってきたら、洗濯物をすぐしまって、
鳥さんたちにお礼を言った。
そして、30分もしないうちにお母さんが帰ってきた。
お出かけは、雨で中止らしい。

「中止なの?じゃあ延期するの?」
「そうね。明日晴れれば明日、明後日晴れれば明後日ね。」
お母さんはそういって、お昼ごはんを作ってくれた。
メニューは秘密。一応。変なモノではないよ。
「そっかぁ、残念だったね。」
私はそういう。ホントは嬉しいけど。
「残念じゃなさそうに言うわね。」
「そんなことないよ。せっかくなのにね。」
そういうと、お母さんは溜息をついて、
「赤ずきん。」
「何?私何もしてないよ?」
してはいない。
ちょっと行ってみただけだ。
すぐ近くの森に。
「いい?あなたは良い子よ?それに、賢いわ。」
「うん。そうかな?」
賢い、はよくおばあちゃんにも言われてたけど、
良い子?内緒で森に行ったりするのに?
「今日だって、留守番してくれたし、
 それに、洗濯物も取り込んでくれたしね。しわしわだけど。」
「う、うん。そうね。」
しわしわを強調しないで欲しい。
私だって焦っていたし、それに、留守番・・・。
してなかった。ちょっと胸が痛む。
「だからこそ、心配なのよ。」
「どうして?」
また溜息。
幸せが逃げちゃうと思うな。
「なんども言うけど。いい?森は駄目よ。
 あなた、今日行こうとしたでしょ?」
え、なんでお母さんわかるの?
ひょっとして、服濡れてる!?
でも傘してたし、さっき拭いたし、じゃあ、なんで?
「棚から、ブドウ酒抜けてたの。いくらブドウ酒でも
 お酒はお酒。おばあちゃんには無理よ。
 苺ジュースとかにしてあげて、でもどっちみち、
 一人ではだめ、いい?
 おおかた、雨が降ったからやめたんでしょうけど・・。」
あれ?バレてない。
お母さん、勘違いしてるみたい。
よかったぁ。
オオカミさんを見たかもしれないなんて知ったら、
きっとすごくすごく怒られる。
よかった。

でも、私。
きっと逃げてたんだろうな。
オオカミさんから、森から、運命から。
雨のおかげで助かったのかもしれない。
明日、行こう。
また、森に行こう。苺ジュースを持っていこう。
少し、廻り道しちゃったけど、いいよね。
明日、
晴れますよーに!

そう、願った。
期待通りの晴天だった。
そして、私は少し、がっかりしていたの。


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