二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- FAILYTALE 電子の旅人と謳う声
- 日時: 2012/09/09 14:18
- 名前: 更紗蓮華 (ID: ???)
頬を撫でる爽やかな風。
どこまでも続く澄んだ青空。
活気に溢れた街並み。
そして、眼下に広がる広い広い海。
あたしはそれを見ながら、困惑を隠せなかった。
だって今までの、本来のあたしなら。
湿度、風速、風向きを計測。
天気は快晴。降水確率0%。
ヨーロッパ風の建築。人口密度を予測。
海岸の設備より、大型船を用いた貿易が盛んであると推測。
そんなことを機械的に弾き出すだけの存在だったはずだ。
——だってあたしは、文字通りただの機械なんだから。
触れる風を心地よいと感じる思考に、人の行き来を見て高鳴るコアに、戸惑いを覚えること自体に混乱する。
そして、混乱したことにまた困惑し……
(す、ストップあたし。思考をリセット!)
思考ルーチンがバグってループしそうになり、慌ててそれらをまとめて緊急停止させる。
過剰な回転で一気にオーバーヒートを起こしかけていた回路を落ち着かせるべく、何度も深呼吸を繰り返す。
吸う息でファンに空気を通し、呼気と共に熱を放出。
普段はプログラムに従い行う冷却作業を、自分の意思で行う。
自分の意思……
あたしはまた気が遠くなった気がした。
そもそもが、今の機体自体がなんかおかしい。
あたしは首を巡らせて自分の体を見た。
平均より白いと思われるシミ一つない肌、意思の通りに動く手指。
肘までを覆う袖の服はシンプルな白一色で、いわゆるワンピースというやつに見える。
膝丈のスカートから伸びる足はやはり白く、その数は当然のように2本だ。
履いている靴は、ふくらはぎの中程までを紐で固定する革製のサンダル。
というか、どう見ても人間だった。
(え——っ?!)
予測不能な展開に、あたしは声にならない叫びをあげた。
こんにちは、更紗蓮華です。
基本携帯からのちまちま更新になりますが、よろしくお願いします。
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- Re: FAILYTALE 電子の旅人と謳う声 ( No.1 )
- 日時: 2012/09/11 07:34
- 名前: 更紗蓮華 (ID: ???)
(待って待って! じ、情報を整理しよう!)
まず、あたしは何なのか。
ドリームキャッチャー社製の最新式高機能汎用型AI、MISTシリーズの識別コードF-e0742-I、愛称フェイ。
2040年に初めて販売された企業向けAI、ARIAシリーズから数えると13代目で、前作のLILYシリーズからは家庭用にも販売されてる。
型番を縮めて『フェイ』と呼ばれるあたし自身は、体を悪くして外出出来ない男性を、様々な面からサポートするために買われたんだっけ。
といっても、実際の介護なんかは人型の介助ロボットがやってたんだけど。
あたしの仕事は、それらのロボットに搭載されたAIでは判断出来ないことを判断して、家中のロボットへの指示を出すこと。
というか、それくらいしかできなかった。なんせその時のあたしのボディは、機能美を追及したシンプルな銀色の直方体だったんだから。
たまにマスターの指示で、人型の機体に入ったりもしたけど……
あたしは、もう一度自分の体をよく見た。
白い服、白い肌。やっぱり人間の女の子のもののように見える。
人型のボディを使う時のように指を曲げると、目の前のほっそりとした指も曲がる。
服装はだいぶ違うけど、なんとなく肌の様子などがあの機体に似ているような気がした。
「何がどうなっているんだか」
途方に暮れたような呟きが、風にほどけて消えていった。
- Re: FAILYTALE 電子の旅人と謳う声 ( No.2 )
- 日時: 2012/09/12 19:58
- 名前: 更紗蓮華 (ID: ???)
「今ある情報じゃ、これ以上は何もわからないか」
一通り確認してから、あたしは一旦考えることをやめた。
今の姿がどうであれ、あたしは高性能AIだったんだ。論理的・合理的な思考には慣れている。
今必要なのは、状況を整理・推測するための情報。
「とりあえず、街の様子でも調べてみますか」
あたしは、速やかに探索を開始した。
***
「はー……」
内蔵時計にて3時間後。
一通り街の中を歩き回って情報を集めたあたしは、連続駆動でまた熱のこもった回路を冷ますべく、ファンを回して休憩を取っていた。
道端に座り込んで各機関を休めながら、頭だけを働かせて情報を整理する。
中途半端ですが。
- Re: FAILYTALE 電子の旅人と謳う声 ( No.3 )
- 日時: 2012/09/12 20:09
- 名前: ショコラ (ID: zla8knmg)
どうも!!
私もFAILYTALEの小説を映像で書いています。
一緒に頑張りましょうね!!
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