二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.84 )
日時: 2008/11/01 19:35
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

「察していると思いますが、僕はゼークス帝国の見習

い兵士だったんです。・・・ですが四日前、僕は国を

脱出して逃げ出しました。」

「え?国を脱出?どうしてそんな・・・。御家族とか

はいらっしゃらないんですか?」

「・・・・六年前、隣国との戦争に巻き込まれて、両

親は死にました・・・。」

「・・!」

フィルは両手で口を押さえた。ラグナは黙ってアレク

を見つめている。

「ご、ごめんななさい・・・いやなことを聞いてしまって・・・。」

「いえ、気にしないでください。・・・それで僕は十

五になった時に軍に入団しました。・・・もう大切な

ものを失いたくないから・・・自分でそういう人たち

を守りたかったから・・・。」

「アレクさん・・・。」

「でも、現実は違いました。兵士たちはバックに軍が

ついてるのをいいことに、一般の人からお金を巻き上

げてたりしてました。それだけでなく、機械化文明の

過程で発生した公害の救済を求める市民たちを、弾圧

したんです。」

「そんなことが・・・。」

「ひどい・・・。」

「僕はもう耐えられませんでした。こんな国になんか

いたくないって思って、夜中に番兵を殴って気絶させ

て、逃げだしてきました。すぐに追手がかかって、撒

くのに苦労しましたけど・・・。」


しばらくの間沈黙が続いた。一分くらいして、ラグナ

が口を開いた。

「それで・・・行くあてはあるんですか?」

「それは・・・正直言って、何にも・・・。」

「じゃあ、私が父に事情を話して、ここに住ませても

らうように頼んでみます。私の父は町長なので。」

「え?いいんですか?」

「もちろん。父もきっと快諾してくれるはずです。」

「僕もそうした方がいいと思いますよ。ここはノーラ

ッド国内ですし、帝国も迂闊には手は出せないでしょう。」

この人たちは当たり前のように手を差し伸べてくれる。

両親を失ってからの長い間、人の優しさと言うものが

どういうものか忘れていた。ここに辿り着けて良かっ

た。今、アレクは心の底からそう感じていた。

「あ、ありがとうございます!」

「いいんですよ。・・じゃあ、ラグナさん、御馳走様

でした。私、父にアレクさんのこと話してきますね。」

「僕はどうすればいいですか?」

「ひとまず、町の皆に挨拶してきたらどうです?噂は

もう広まってると思いますし。」

「え?なんでですか?」

ラグナは黙って窓の方を指差した。一人の少女が窓に

張り付いてこっちを見ている・・・。

「なっ・・!?だ、誰ですかあれぇ!?」

「ミ、ミストさん!?」

「てへっ♪ばれちゃいましたか。初めまして、ミスト

といいます。よろしくです、アレクさん。」

こうして、アレクの新しい生活が始まる___。