二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 真選組★波乱日記★ ( No.236 )
- 日時: 2010/07/12 21:17
- 名前: 月芽麻 (ID: SpLhUj83)
第八十一訓【梅雨って何でこんなにジメジメすんだろ?】
月の満ちる一日前。
とある場所では別のツキが満ちようとしていた。
「今年は、撫子が月人とうちは聞いたのだが…本当かの?」
「えぇ…。美紅は、何も言わないの…ね。」
撫子と呼ばれたそのお人、髪は絹のように柔らかそうな線の細い黒髪で、目は、凛々しく顔は整っていた。
「何を言うとるのじゃ?うちは、撫子の見方じゃぞ?」
少し、古風なしゃべり方をするのは撫子によく似ているがまだ少し幼さが残る美紅という女の子である。
「しかし、一人…満月族からいなくなるのよ?」
「…それは、仕方ない事じゃ。でも、うちはそれでも撫子を祝福するぞ。」
「…ありがとう。美紅——。」
ガラッ。
その時、何の前触れもなく近くの襖が開いた。
「嘉納…妃様がお呼びだ。」
その襖から顔を見せたのは目が見えているのか分からないくらい薄い目の男であった。
「うちが、妃様に?…何か、うち悪い事したやろうか?」
頭を抱える、美紅であったが考えるのがしんどくなったのか顔を上げ笑った。
「でも、多分大丈夫やと思うから…撫子言ってくるの。」
そう言って、美紅は満面の笑みを浮かべて妃様の所に走っていった。
「…撫子。心の整理はついたか…?」
その言葉に、撫子は肩を落とした。
すると、そこから聞こえたのはか細い泣き声だった。
「何で…?ぅ…何で、美紅なの?」
そう言って、撫子はボロボロと泣き出す。
「何でぇ!?何で、美紅が生贄なの??」
「っ…。撫子、少し落ちつきなさい。」
宥めに入る、一人の男。
「これは、運命なのです。月人としての…そして、貴方という存在の…。」
「うぅ…。こんな…。」
「?。え…。」
「こんな、運命私はいらないわ!私は…美紅だけ居れば…。」
そこに、泣き崩れる撫子。
「…仕方ないのですよ。さぁ、神殿へと向かいましょう。」
「いや…。」
「…美紅さまに会えますよ?」
「其れは、美紅なんかじゃないわ。」
目に涙を浮かべ撫子は言う。
「…それでわ。美紅さまと貴方が変わりますか?」
その目は、瞳こそ見えない物の強い信念を持った目に撫子は見えた。
「…。」
「そう言う事です。早く行きましょう…44代目 カグヤ様。」
そう言い終わると、男は部屋を出て行った。
そして、その後を追うかのように撫子も目をこすり追いかけて行った。
月が満ちるまで後——— 一日。