二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.284 )
日時: 2010/07/26 20:25
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第八十六訓【お祭りって片付けが一番だるい】

歌舞伎町が少し浮かれた空気の中、空の上…月にある都では『月下祭』と、言う名の祭りの準備が行われていた。

「…美紅。何してるかな…今頃。」

悲しい目つきで、撫子は青い地球を見降ろした。

「そんなに慌てなくても、何れ会う事が出来ますよ。」

「…生贄の人と此れからどうやって会うというの?」

「祭壇で…と、言ったところでしょうか?」

撫子に問いかけられ、微笑しながら男は笑う。

「…最低。」

そう短く言うと、撫子は神殿の回りを散策するといい男の傍を離れた。

「最低ですか…。貴方の父親というのに。」

男は、少し黙り撫子が去るまで座っていた所に座り込み静かな声で泣いた。

「撫子に…数奇な運命を——。」

そう言った瞬間、さっきまで静かだった部屋に一人の少女が入って来た。

「撫子!!。って、何処にもおらんのぉ。」

其処に立っていたのは、生贄の白服をきた美紅だった。

「…美紅ちゃん…。」

「あ、伯父さん。撫子はしらんかの?さっきから探しておるのじゃが…?。何故、伯父さんは泣いておるのじゃ?」

美紅は、男の目に涙が見えたのに気付き声をかけた。

「…ごめんよ。少し悲しくてね。」

そう言って、男は苦笑いを浮かべ美紅を抱き寄せた。

「…うちなら大丈夫じゃ。」

「え…?」

男は、美紅の顔を覗き込んだ。

其処に見えた顔は、まだ希望を捨て切っていない凛々しい顔であった。

「撫子が幸せになるのなら…生贄なんて何のそのじゃ。」

「美紅ちゃん…ありがとう。撫子の友達になってくれて。」

「友達なんかじゃないぞ。うちと撫子は。」

この答えに、少し動きの止まる男。

「うちと撫子は、完全無敵の絆で繋がれておる大親友じゃ。」

明るいその満面の笑みは、これから起こる事を恐れないそんな強い思いが込められていると男は思った。

「…撫子をよろしくね…。何時までも。」

そお言って、男はその場を立ち部屋から出て行った。

「…大丈夫…じゃ。今日は撫子の為のお祭りじゃ。」

そう言って、美紅もまた押し出てきそうな涙をこらえ静かに何時もの微笑んだ顔になった。

月が昇るまで後—— 十四時間。