二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.339 )
日時: 2010/07/31 17:26
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第八十九訓【かぐや姫って案外歳増?】

月が満ちれば、日が沈む。

私の心に日が出るのは…後どのくらい?——。

「後…四時間。最後に会えるのは祭殿…か。」

ぽつりと、呟く小さな声。

その少女の目は、雲がかかったように淀んでいた。

「私は、貴方に何ができた…? 何も出来てはいないのに…貴方は去っていくの?」

——美紅。

それは、小さな願いでもあった。

ずっとそばに居たい。ずっと笑い合っていたい。

そんな小さな願いであった。

「ごめんね…。何も出来なくて。」

ガサッ。

撫子が地球を眺めていると、後ろの草陰から音がした。

「…誰? 今すぐそこから出てきなさい。」

その声に、反応するかのように音は止んだ。

「うちじゃ、美紅じゃ。」

「…え?。美紅…?」

ひょこっと、顔を出したのはまさに美紅だった。

「…撫子? 今さっきまで…何か悲しい事でもあったのか?」

「えっ?。」

突然、美紅が自分の心境を突いてきたので撫子は焦った。

「…撫子の目…悲しい目をしておるからの。」

にへ。っと、気の抜けた笑顔を見せる美紅に撫子の頬は緩んだ。

「大丈夫よ…? だって…美紅がいるもの。」

悲しい気持ちを紛らわす為に、撫子は無理な作り笑いをした。

「…そうか。うちが居るからか、其れはよかった。」

ニコニコと笑う美紅。

「所で…妃様の所に行って来たの?」

「妃様? あ、うん。いって来たよ。」

「…何か言われた?」

心配そうな顔をする撫子。

「…団子は好きか? と聞かれた。」

「え?…団子?」

すっとんキョンな答えに、撫子は目を丸くした。

「だから…大好きじゃと答えた。特に…月見団子。って。」

団子の話…? じゃぁ、美紅は生贄じゃ——?

「そしたら、妃様。笑ってこう言いよったぞ?何時まで好きでいてやれ…とな。」

その笑い顔は少し大人びていた。

「美紅は、本当に団子が好きなのね?」

何時もの笑い方に戻った撫子はほほ笑む。

「うん。だから、月下祭の「カグヤ祭殿」うちは、団子を持っていくぞ。」

「え?私の晴れ姿もちゃんと見ててよ…?」

そう言ったら、美紅は冗談じゃと言って笑ってくれた。

後もう少し、この時が続けばな…。

そう思い、撫子は美紅を抱きしめた。

「…?。撫子?」

「もう少しこのままが良い。」

「…うちもその方がいいのぉ。」

撫子の肩から見えた半分の月。

うちが、このまま君の前に入れるのは後——四時間。