二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.975 )
- 日時: 2010/08/13 16:18
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: 俺ハ、イツマデモ輪廻ト一緒ダゼ?? ズット、ズット。
*+第二百五十八話+*
何度も、何度も思った。
自分が“普通”だったらどんなに良かっただろう、と。
何処にでも居る、中学1年生だったらどんなに良かっただろう、って。
普通に笑い合って、普通に何処かへ寄り道してみたり。
普通に、家族と居られたらどんなに良かっただろう。
何度も、何度も自分の運命を恨んだ。
もうどれが笑ってるのか、笑ってないのかすら分からない。
男装して、ある程度は“普通”を実感できた。けど、
もう男装してる時点で普通じゃないよね。
分かりきって、入ったのに。
それが、今は苦しいんだ。
胸がぎゅっと、締め付けられている。
私は、何人もの人間を騙しているのだろうか。
彼らは知らないから、笑顔を向けてくる。
もし、もしも分かったとき、彼らはどんな反応をするだろう。
唖然?? それとも、絶望??
裏切られた、と言う絶望の方が近い、だろうか。
嗚呼、そんな顔を見たら、私はもう、泣いてしまう。
何かが崩れてしまう。
だから、その前に。
————————消エテシマオウ————————
***
「お前には、操れない。そんなモノ」
朔夜は赤目の彼を見る。
「んだと??」
只でさえ、切れている彼に挑発する朔夜。
「お前には、輪廻のような“覚悟”が見えない」
そう言いながら、朔夜は柳とバトンタッチ。
「アンタ、潰してやるよ」
舌なめずりをしながら、赤也は笑う。
「残念ながら、テニスをやったコトのない俺にだって、君が勝つことは出来ない」
そう言ってから、静かに目を閉じた。
(さァ、輪廻。お前になら、出来るだろう??)
心の中で、暖かい風が吹いた気がする。
「そんなコト言ってられんのも、今のうち、だぜっ!!!」
赤也のナックルサーブが朔夜の顔面目掛けて飛んできていた。
だが、
「ちょろい」
そう言うと、何のその軽く、そのサーブを返してしまう。
***
「へぇ…。“初心者”ってわりには、巧いんじゃない??」
幸村は感心したように、楽しそうに笑った。
「って言うか、あれ、手塚部長の“手塚ゾーン”なんじゃ…??」
驚きつつ、見ているのは銀花。
「でも、気になるなァ。輪廻の覚悟、ってやつ。紅蓮、知ってる??」
クスッと笑いながら、紅蓮に視線を移す幸村。
「残念ながら」
「本当に、残念だね」
ニコッと笑う幸村と、真剣に試合を見ている紅蓮。
「だが、勝負は付いたようだな」
柳はパタン、とノートを閉めた。
***
「言っただろう?? 君の覚悟じゃ、俺には勝てないって」
倒れている赤也の目の前に、朔夜は立っている。
「ほら、手出して」
右手を差し出せば、右手を出す赤也。
「良い子だ」
そう小さく言えば、女の子、とは思えない力で赤也を起こした。
「ふぁぁぁぁぁ、眠ぃ」
ラケットを紅蓮に渡し、長ズボンもジャッカルに返す。
「紅蓮ー」
手を空に上げ、伸びをしながら相手の名前を呼ぶ。
「何だ、朔夜」
不思議そうに、彼は朔夜を見る。
「俺、さ」
朔夜は悲しそうに笑った。
「もう、輪廻から離れられないや」
それは、紅蓮にとって一番聞きたくない言葉。
そして、
朔夜にとっても、一番言いたくない言葉だった。
「銀花ー」
コロッと変わると、銀花に抱きつく朔夜。
「え、な、何??」
銀花は驚きながらも、頭を撫でる。
「今から、入れ、替わる、から…。直ぐ、目ぇ、覚める、か、ら」
充電が切れたように、彼女の力は一切無くなった。
***
俺は、お前の為なら何でもする。
例え、唖李栖が反対をすることでも、
俺はずっとお前の傍に居る。
だから、
だから、
もう少し、
俺を頼って…。
お前が、潰れる前に。
“普通を望んでるなら、その願い、俺が叶えてやる”
“全ての人間を、モノを犠牲にしてでも——————……”