二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— アンケ実施中!! ( No.210 )
日時: 2010/05/06 22:29
名前: アリス (ID: cmeedneH)

—第31夜 神ヘノ恐怖—


***


「ねぇ…此処本当に街があったって場所なのよね…クラウス…」


呆然とリナリーが呟いた。
リナリーだけではなく一緒に同伴していたクラウス、彩人も勿論驚きを隠せずにいる。

コムイに言われて来た街には恐らくイノセンス保持者であろう少女が居たのであった。
けれど今残されているのは…。


瓦礫ヤ焼け焦げタ建物ノみ。


アクマが出るとか、イノセンスが隠されているかも知れないとかそう言う話ではない。


街そのモのが、無イ——…。


「それだけ危険なイノセンスだったってこと…?なら何故兄さんは急げと言わなかったの…?」

「ここら辺一帯焼け焦げてます。何らかの影響でこうなった可能性が極めて高いと考えて良いでしょう」

「きっと…イノセンス保持者かも知れなかった女の子はもう死んでるよ…」


クラウスが地面を見て呟いた。
リナリーと彩人もクラウスの見ている地面をそっと横から覗き込んだ。

地面に落ちていたのは首飾りだった物。
わずかではあるが血がこびりついている。
恐らく何らかの影響でここら一帯が焼け焦げた時に付着したものであろう。
首飾りは焼けたせいか形も少し変わり、色も変色してしまっていた。


「これがきっとイノセンス…きっと…イノセンス保持者だった子は…アクマか何かに襲われて…怖くなった時に発動させたんだね…恐ろしい恐ろしいイノセンス…その子も一緒に…焼け焦げちゃったんだよ…」

「でも…イノセンスは私達のことを守ってくれてるんじゃないの…?」

「そうとは限りませんよ。イノセンスに咎められ咎落ちになるときだってあるんです。僕達だっていつイノセンスに見捨てられたっておかしくはないんです。その時まで僕は生き続けますけどね…」


彩人が悲しげに首飾りを見つめた。
クラウスとリナリーが黙祷を始め、彩人もそっと目を閉じた。


何が起こったか分からないこの街で、三人はイノセンスらしき物を片手に教団へと戻った——…。