二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 帝国的日常。 ( No.4 )
日時: 2010/07/05 00:13
名前: 鮫 (ID: 14pOvIO6)

そんなこんなで合宿当日。
帝国学園のグラウンドには、サッカー部の面々が一斉に集っていた。
あんなに嫌がっていた鬼道も、源田の横で大人しく(偉そうに)腕を組んでいる。
「あれ…五条たちは?」
頭数を数えていた佐久間は、少し人数が足りないことに気づいて、傍にいた辺見に問いかけた。
すると辺見は、「んー」と言って少し考え込んた後、何かを思い出したかのように言葉を発した。
「そう言えば…五条は風邪で休むとか言ってたな…」
「風邪?」
「あと、大伝も。」
「…?」
「っていうか、今ここに居ない奴等全員休みだと思う。」
佐久間は耳を疑った。
あれだけ「来いよ」と言ってあったはずなのに、7人しかいないとはどういうことだ。
佐久間は怒りに震え………るはずがなかった。
そもそも、大好きな鬼道との関係をことごとく断ち切ろうとする奴らなど、来ない方が良かったのだ。
むしろ、佐久間にとっては好都合だった。
「あっそ。まぁいいや。」
佐久間はそれだけ言うと、愛する鬼道の元へ向かって走り出した。

ガタンゴトン…ガタンゴトン…
佐久間たち帝国学園一行は、宿泊先となる宿舎を目指して、電車に揺られていた。
「うぁっ、先輩!足踏んでますよぉ…」
成神が悲痛な声をあげる。
「え?あぁ、すま……った!!」
それに続いて、源田の声も飛ぶ。
「あっ、やべ…ごめん源田。」
辺見が小さく謝る。
源田は、ハハッと笑うと辺見の広いおでこにデコピンした。
「ぃたっ!!」
その様子を黙って見ている鬼道。
さらにその横では、常識人咲山が本を読んでいる。
佐久間の腕の中には、疲れたのかスヤスヤと寝息をたてて眠る洞面。
今回この合宿に来たのは、以上の7人だ。
佐久間は、チラッと鬼道の様子を確認すると、寝たフリをして鬼道の肩にもたれかかった。
案の定、鬼道は吃驚したようで、すぐにもたれかかる佐久間の頭をどかすと、横で本を読んでいた咲山の肩に、佐久間の頭を乗せた。
「…鬼道さんの意地悪。」
「うるさい。」
佐久間は少し寂しさを感じたが、これも鬼道さんの愛情表現なんだと自分に言いきかせることで、寂しさを紛らわした。
ガタンゴトン……プシュー
「おっ、とーちゃーく!」
一番乗りで電車を降りたのは、やはり佐久間だった。
それに続いて鬼道、源田、咲山、洞面、辺見、成神も降りてきた。
「人員点呼は…するまでもないな。」
咲山が、少々嫌味を含ませた言い方で呟く。
「ここから宿舎までって、どれくらい時間かかるかなぁ?」
洞面が、小さな体を目一杯伸ばして、佐久間の持っている地図を覗こうとする。
「どれくらい、かぁ…うーん、10分もあれば着くんじゃないか?」
この時、佐久間は大して考えもせずに答えたのだが、実際に歩いてみると、本当に10分程で着いたので、メンバー一同驚いたという。
「おぉ、結構キレーなとこだな!」
先程までおでこをさすっていた辺見が、いつの間にやらすぐ横に移動していた。
佐久間はそんな辺見を無視して、すたすたと宿舎へ入って行く。
宿舎の造りは、学校と似ていた。
横には、帝国ほどではないが大きなグラウンドもある。
聞いてみれば、築14年の比較的新しい宿舎だそうで、内装もしっかりしていた。
今日から2日間、ここで鬼道さんと寝泊まりするのだと思うと、佐久間は胸の高鳴りを抑えることが出来なかった。