二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻11・ボカロ】毒砂糖【カエル様・海刀様リク完成】 ( No.317 )
日時: 2010/09/04 22:19
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

+*毒砂糖*+


「ねえお姉さま」

 長い桃色の髪の毛を絡ませて、ソファにもたれてファッション雑誌か何かを優雅に読んでいるお姉さまは、落ち着いた声で私に返事をする。
 苛立ちで煮詰まるほどあの女は落ち着いていて、そう、そんな上品で優雅で王女様みたいなあいつは先輩を奪い取った。大嫌い、大嫌い。でもその悠長な態度のせいで、あんたはこれから何が起こるかわからずに、綺麗な微笑みを最後まで私に向けることになる。
 私の大嫌いな憎悪の対象の一つの笑顔を。

「紅茶、お入れしましょうか?」

 こんなにも心の中は醜い穢い感情でどろどろなのに、口からは私の大嫌いなお上品な声がでることに少し驚いた。私って結構な演技力があるんだなあとかぼんやり思いながら、私の大嫌いな笑顔をつくる。
 先輩にしか向けることはないはずなのに、例え演技でもそうしなきゃいけないのが凄く嫌で、でもこれは全部あいつのせいなのだと、どうしようもないほど溜まった憤懣で狂ってしまいそうな自分をなだめる。筋も何もない情けなくて虚しい言い訳だということがわかっていても、そうするしかなかった。
 だって、今ここで演技をやめてしまったら、台無しでしょう?

「あら有難う。じゃあお願いしてもいいかしら」

 感謝、という私には程遠い文字が浮かぶ、私の偽の笑顔とは違う本当の微笑みがとてつもなく憎い。これも先輩を奪った。私の大好きな先輩を。先輩は私のことが好きなはずなのに! 一番先輩を愛しているのは私のはずなのに! こんな無駄に笑顔を振りまくこいつが、なんで選ばれるの。
 やめなきゃ、と思っても思考はおさまらない。ずっとずっとこの繰り返しをしてきたのに、ううん何回やったって私の怒りはおさまらないんだ。——私の理不尽な嫉妬の塊は。

「……わかりましたわ」

 高鳴ってくる鼓動を手で押さえて、深く深呼吸をすると不安と自分への恐怖で震える手をなんとか実行に移した。



 純白に磨かれ、傷も汚れもないポットから熱い紅茶を注ぐ。橙色がかった黄金色の滑らかな液体であっという間に一杯になるカップ。
 先輩があいつに買ってあげたものだということを思い出してしまい、カップを叩き壊したくなる衝動が煮え立つ。身体も心も吐き気がして酷く気持ち悪い。だけど、これもあいつを消してしまえば終わりなのだと思うと自然に笑みがこぼれた。

 戸棚から砂糖の入った器をだす。これを、これを入れれば。
 呼吸が苦しくなる程緊張が高まって胸を締めつける。器が震える手から滑り落ちないようにしなくては、と嫌な興奮を必死に鎮める。

 ポットやカップと同じ、純白の美術品のような美しい角砂糖。——中は、純白だなんてとてもいえないおぞましいものが混ざっているけれど。
 二つ、指でつまみカップに入れようとして身体が止まる。本当に硬直してしまう。
 人間って緊張が最高潮まで高まると身体が凍るのかなあ、とぐちゃぐちゃでぼろぼろで霧に包まれたような頭の中でそんなことだけを冷静に感じていた。

「……お姉さまって、砂糖は二つがちょうどいいんですわよね?」
「ええそうよ」

 リビングから明るくて小鳥みたいな声が聞こえた時、意識を失った——いや、悪魔に売り渡したような、そんな気がした。
 目の前が真っ白になる寸前、液体の中になにかが落ちる音がやけに鮮明に耳の奥に沁みこんだ。




なんか書いちゃいました。リク書けよお前。

まー主人公? っての? はミクかリンのどっちかですよ多分。お姉さまはわかってくだされば嬉しいです。先輩は誰でもいいです。多分あっちです。(どっち
まあ主人公はですね、自分が常軌を逸してるってわかってるんですよ。でもやっぱりおさえられないんですよ。自分より全てが優れた姉にずっとずっと嫉妬を抱いてきたんです。それで、まあ。
というお話です。私こういう意味でスレタイ毒砂糖ってつけたわけじゃなかった気がしますけどいいんです。これも一つの可能性!(わけわかめ

それではっ