二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 耀気 ( No.641 )
日時: 2010/12/22 20:51
名前: 氷橙風 ◆inazumaCHw (ID: yjS9W/Zh)

「れいむー、何してんのー?」

 その年齢とは裏腹にあどけなさがたっぷりの幼い声に反応し、霊夢は奥を探っていた手を休めて後ろに振り向いた。
 埃が漂い、色々な物——ガラクタ多数含む——が散らかり山積みになっている物置小屋。その全開になった扉のあたりに、少女が立っている。
 逆光のため、霊夢の目に少女の姿は黒々と映ったが、声と気配だけでそれが誰かなどすぐにわかるようだった。

「宴会の準備よー。ったくあいつら、宴会宴会うるさいんだから」

 ずっと下を向いていて痛かったのか、首をこきこきと鳴らしながら面倒くさそうに答えた霊夢。だが、少女——萃香は、屈託のない笑顔で話しかける。

「でも霊夢だって凄く楽しそうだよー?」
「うっ……と、とにかく、萃香も手伝いなさい!」

 若干慌てながらも、お酒を大量に飲むのはいつもあんたなんだから、とクールに付け加えた霊夢の毒づきも気にせず、萃香は素直に従った。
 それは居候させてもらっていることからの日頃の感謝なのか、それともただ何も考えていないだけか。どっちにせよ、準備に疲れてきた霊夢にとってはそれは救いだった。



「——って、あんた何盗み飲みしてんのよーッ!?」
「ふえ? べつにぬすんでなくて、そこにあったのをあじみしたらふぇ……」

 ……が、やはり萃香に酒の準備をさせることは間違いだったのかもしれない。
 と、酔っ払った萃香を呆然と見下ろしながら、霊夢は虚しくそう思ったのだった。


( ただまっすぐに、 )


「ようき」。「耀」は「酔う」「妖」などと、「気」は「鬼」とかけてます。もう造語で突っ走っちゃえ。
萃香のキャラがちょっと違うかもしれないんですけど……でもこのキャラが大好きなんだー。