二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【稲妻・ボカロ】翡翠の波紋【気まぐれ短編集】 ( No.84 )
- 日時: 2010/07/31 21:31
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
+*歪んだ蝋燭に灯を燈す*+
「ねえヒート、」
返事はなかった。電気をつけていず、窓もない真っ暗なこの部屋でも、後ろにヒートがいるのはわかっているのに。
喋らない理由? 私はそんなこと、シラナイ。でも彼に伝えたいことはあるの。
「殺しちゃっても、いいよね?」
ヒートに近付くと、かすかに寝息が聞こえている。
ああ、眠っているから返事をしなかったのね。なんで眠っているのかなんて、私は知らないけれどね?
気配だけを頼りに、手をアノ場所にもっていく。
ヒート、私は目が見えなくたって、貴方のことはなんだってわかっているんだよ。そして貴方も私のことは全て知っている、そうでしょう?
「ねえヒート、」
貴方の名前を、小声でもう一回呼んでみる。
返事がないことはわかっているよ。でも呼びたいの。ほら、貴方も言って? いつもみたいに『クララ』って。ねえ、お願い。
それにしても、いつもより貴方の体が冷たいのは気のせいなのかなあ?
「ヒート、私貴方のこと大好き。大好き大好き大好き。愛してる。愛してるんだよヒート。ヒートもそうだよね、私のこと愛してくれてるよね? 世界中の誰よりも」
ヒート、愛しいよ貴方のことが。大好きで、大好きで、本当に——狂ってしまいそうなほど愛しているの。
何回も何回も、我慢していたけどね。
「壊れちゃってもいいんだよね? そうでしょヒート。どんなことあっても、私を守ってくれるって言ってたもんね。じゃあ、私が私でなくなったとしても、絶対に私を愛してくれる?」
ヒートが愛しているのは私。この私ただ一人。
それは嬉しい、でももし私が私じゃなくなってしまったら、私はヒートに愛されなくなってしまうの? そんなの嫌だ。
「もうすぐね、私壊れちゃいそうなの。壊れて壊れて壊れて、それでも私を愛してくれる?」
ああおかしいな、ヒートがとっても冷たい。ねえどうして? 私はずっと貴方を握っているのに。
貴方の、首を。
「私ね、不安なの。ヒートに愛されないのはとっても悲しいことだから、そしたら私死んじゃうかもしれない。だからね、そうならないために、どうすればいいか考えたの」
部屋には私の声しかしない。真っ暗。全てが真っ暗。
「ヒートがいなくなってしまえば、貴方という存在が消えてしまえば、私は“愛されない”ということにはならない。貴方が他の人を愛するということにはならない。それなら私、大丈夫だよ」
私は手を離してみた。するり、と貴方の体の感触が消えて、ナニカが落ちた音がする。触るものがなくなった私の手を、自分の頬にあててみた。
「冷たい」
まるで貴方みたいに。貴方が冷たくなったのは、私の手が冷たかったからなのかな? それとも、私の心が冷たかったからなのかな?
それはないよね、だって私はいつだってヒートへの愛であったかいもの。苦しいほど暖かい。
「ねえヒート、」
貴方を温めたいの。この、蝋燭で。
歪んだ形の蝋燭に火をつける。
あはは、まるで私の心が燃えてしまったみたいじゃない?
(貴方も私も、)
(壊れてしまった)
+
ヤンデレクララちゃん!! この二人大好きです。
クララちゃんめっちゃ暴走してますすみません。
次ボカロかー……どうしよっかなー。