二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *.゜__今宵、舞う桜゜.+ 薄桜鬼 ( No.14 )
日時: 2010/08/17 10:35
名前: 白兎 ◆SaHSl/fBF. (ID: 7jEq.0Qb)
参照: 私はもう諦めない———消させない。

*花びら一枚目 01




 『……絶対ぇ、総司許さねぇ』


…俺、雨宮瀬那は廊下をブツブツと歩いている。


目指すは、大広間。

幹部が確実にいる場所。


 『…会ったら、すぐに叩き斬ってやる』

脇差の剣の柄を触りつつ、呟いた。



   ダンダン…


明らかに不機嫌だと、足を強く踏み鳴らしながら歩く。

すると、案の定声のかけてくれる人はいるもので。


 「…雨宮、さん?」


『……雪村?』


か細い声に振り返れば、雪村千鶴は恐る恐る駆け寄ってきた。


 『……どうかした?』


 ————ビクッ

千鶴が怯えて数歩下がる。

……やっちまった。

苛立ちが声音まで変えた。

普段の数倍近く低い、うなるような声になる。


怯えた千鶴をなだめるように、俺は微笑んだ。


『悪ぃ、雪村。ちょっと苛々しててな』


「あ、それは分かります…普段、あまり雨宮さんは苛立ちを露にしませんから…」

『あー…まぁな』

「ふふ…男らしいですし」


 ————まだ、雪村に告げていないことがある。


雪村千鶴が来て、まだ一週間ほどしか経っていないのもあるが。



—————俺は、




                女だ。


見た目も丸っきり男だし、口調も「俺」だ。


非番の日は、それなりに女の格好をして街に出かけているが、生憎雪村が来てからは非番が回ってきていない。


まぁ、そのうち分かるだろうよ。

別に雪村になら、知られても特に問題は無い。



  ————瀬那ちゃーん。


俺の脳内にスッと、総司の嫌な顔が浮かんで、本来の目的を思い出した。


 『……総司を、見なかったか?』


「沖田さんですか…? 確か、中庭に…」


『ありがとう』


素直に軽く頭を下げ、自分より結構小さい雪村の頭を撫でると俺は苛つきを取り戻し中庭へ向かった。