二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【DEAHTNOTE】■dissonance■ ( No.9 )
- 日時: 2010/09/24 10:38
- 名前: 夢叶 ◆aIk.35GwhE (ID: JryR3G2V)
■magnet■
嘘吐き。
そう言われても全く悪い気はしない。
■Page.2
……
?? ……この天井……俺の部屋じゃない……
「……」
朦朧とした意識の中、ゆっくりと瑞生は起き上がった。
ぼんやりと照らされる証明……1つ大きな欠伸をしてから、手を額にピタリと当てた。
(———冷たい)
頭には冷えピタ。
……の、上にまた氷がギシギシに詰められたナイロン袋。なんかガサツ、などと思いながら寝ぼけた自分の頭をわしゃわしゃ掻き毟る。
と。
「……起きましたか」
瑞生は目の前に出て来たLを見て身震いした。ふいに、言葉が口から漏れ出す。
「える……さん」
「……私を……知っているんですか」
Lは、はっとした大きな黒い瞳で瑞生をじっと見詰めてくる。何もかも呑み込まれそうな黒い瞳。
理性を正せ、正せ、と、瑞生は自分に言い聞かせた。
ガクガク震える口元を、ぎゅっと噛み締める。
「本当にエル・ローライト……なんだ」
「何故本名を知っているのか聞かせて貰います」
「何故って……私もワイミーズハウスの1人だったから……」
「!! ……ワイミーズの??」
「はい。日本に立ち寄る事になったから挨拶でもして来れば良いだろとメロに」
「そうですか。で、何故鍵が掛かっていた部屋に入れたのか説明して下さい」
(そうですか、って案外素っ気無いな……まぁコイツの性格は知ってたから良いのだけれど)
瑞生の話す事は、全て作り話だ。
理由は言うまでも無いだろう。トリップして来たなんて、信じて貰えないからである。
「合鍵ですよ。ほらこれ」
チャリン……と見せたのは、透明の星のストラップが着いたカギ。
ただし、今見せたのはこの部屋の合鍵などではなく自分の……そう、瑞生の家の合鍵。
「ね」
「……勝手に入ったりして……」
「や、もうソコは反省しています。しているんですが、熱中症になり掛けて死にそうで」
「そうですか……なら、まぁ仕方ないですが……」
嘘付け、と心の中で苦笑しながら瑞生は思った。
Lの顔を見れば分かる。
不満そうに、ダルそうに、仕方ない許すか、なんて思ってないだろう。
凄く嫌そうな顔をしているのだから。
「まぁ……とりあえず寝てて下さい。貴方一応倒れる所まで来たんですからね」
「すいません。ご迷惑お掛けします」
「どうせ同い年くらいでしょう。敬語はいりません……と、名前を」
「—————神田 瑞生です。神に田んぼの田。瑞穂の瑞に生きるで生」
「瑞生、ですね」
「……はい」
Lはこれから間違いなくパソコンを付けて俺の事を調べるに違いない。
いや……調べさせるんだ。だからこそ感じも自分から名乗っんだからな。
そしてワタリにも調べさせる。それから俺はこの世界に存在していないと言う謎を作らせる。
そうすればLは間違いなく俺をココに置いて調べたい、と踏む。
とりあえず住まいが無いとね。それにLに折角合えたんだしどうせならタダ済みプラスLと同居が良い。
—————さて。
「……」
瑞生はゆっくりと目を閉じ始めた。
「(この間に考えなければ……何故自分がトリップして来てしまったのかを。
そして今はこの世界と言う時間で何年なんだ?? ……ああ、何もかもが分からない。
それに下手したら……俺はもうこの世界から出られなくなるかもしれない)」
下唇をギュッと噛み締めて、瑞生は眉間に皺を寄せた。コレは、瑞生のクセの1つでもある。
昔から何か深い考え事をする時、決まって下唇を噛み締めてそのまま目を瞑る。
本人にとっては、それが1番考えやすい空間なのだ。
暫くして、Lが瑞生を呼んだ。
「……瑞生」
「はい。なんでしょう」
来た。
「ちょっと……知人と話をして来るので、ベランダに出て来ますが……」
「分かりました」
「では」
どうせワタリと連絡を取って来るつもりだろう。
違ったとしても、対応はその場で考えられる。
……ただ……
「(ただ……俺と同姓同名の奴がもしこの世界に存在していたら……)」
ヤバイ。事になるだろうな。
確立は極めて低い。だけど、もしいたら危ない。
偽の『神田瑞生』をLに調べられたら……
違う神田瑞生の存在のままこの世界に居座る事になる。それに、正体が解ったのならLはココに俺を置いておこうなんて考えない。
……どうする??
いや、今考えても仕方ない。こんな事。
「—————瑞生??」
「えっ」
「貴方の事を色々と調べさせて貰いました……出身は長野県中野市ですね。
8歳に海外へ留学し、そのままワイミーズハウスに留まる事になった。
そして今、ワイミーズハウスから離れて日本へ戻り、私の所に立ち寄った……と、報告書が届いています。そうですね??」
「あっ、届いてたんですか。良かった説明する手間が省けて」
……
何故……そんな報告書が?? ある筈がないじゃないか。
だって実際この世界に俺は存在していないんだから。
何かがおかしい。
……本当に同姓同名がいたのか……いや、そんな事あって良い訳が無い。
出身は長野県中野市。同姓同名だって??
普通に考えて、ある筈が無い。
このトリップ……仕組まれていたとしか……
「まぁ、とりあえず宜しくお願いします」
「……え??」
宜しくお願いします??
どう言う事だ……
俺の設定ではワイミーズから日本に戻りLの元へ立ち寄った。であって、決して何かを『宜しくする』なんてのは無かった筈。
まさかこれも仕組まれて?? ……遣り尽くし過ぎだ。何が目的で、誰が、何故俺を……
まぁ良い……か。今はね。
とりあえずさり気無く、何を『宜しく』するのか聞き出さなければ。
「はい、宜しくお願いしますLさん」
「あ……私の事は竜崎と呼んで下さい」
「分かりました竜崎。あ……私はこれから何処に移動すれば良いでしょうか」
「いえ、ココに居て貰って大丈夫です。事件捜査協力をしてもらう限りは一緒の行動の方が遣り易いので」
……捜査協力……なるほど。
「竜崎」
「はい」
「…これから大変な事になると思います」
「当たり前です」
L…竜崎は少し怪訝そうな顔をする。
「ですが、出来る限り私は貴方の手助けをする」
「はい」
「頑張りましょう」
「!!」
Lはこの時、確かに何かを感じ取った。
ワイミーズにいた一人の天才少年、ニア。
ニアと同じ雰囲気を纏う
16歳の
彼女から。
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