二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 小さな本棚の中の本達 【REBORN】 ( No.4 )
日時: 2010/08/21 12:03
名前: 人間不信 (ID: uT5MQLCg)

「六道輪廻って言葉は知っていますか?」

「人間が六の冥界を巡るって言う真理論でしょ?」


彼女はそんな当たり前のこと、と言った。

相変わらずだった。

普通は信じるべき物を信じない。

普通は信じない物を信じる貴方は。


「貴方は、信じるんですか?」

「まぁ、ある事にはあるだろうね。だって骸は巡ったんでしょ?だったら在り得るよ」


当然そうに貴方は言う。

僕は、微笑んだ。


「にしても此処、掃除とかしてほしいよね」

「・・・まぁ、そうですね」


埃が募った牢獄。

———牢獄。

何時でも脱出は出来ていた。

だけど僕は出ることが出来ないで居る。

貴方が側にいてくれるから。


「骸、脱獄しなよ」

「ハイ?」


急にある日、彼女はそんな事を言った。


「鍵ならあるから」


そういってポケットから取り出したのは牢獄の鍵。

そしてソレを鍵穴に差し込んで、鍵を外した。


「私の時間ももう長くは無いから」

「・・・どういうことですか?」


ゴホッと彼女はせきをする。

せきをしたとき、口から血を吐いた。


「っだから、早く逃げなって。大丈夫」

「何が大丈夫なんですか!?貴方も早く・・・」


僕が腕を掴むと彼女はその腕を振り払う。


「六道輪廻をもう一度回って、私に会いに来てよ」

「・・・!」

「そのときは、骸とちゃんと出会えたらいいな」


そう言った瞬間、彼女の体は倒れこんだ。

その直後、他の人間の声がして、僕は走り出す。







『六道輪廻なんて、信じるからですよ』







(走るとき、涙で眼が霞んだ)