二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 木と蝶と小夜曲*REBORN ( No.17 )
- 日時: 2010/09/19 07:40
- 名前: 涙水 (ID: m6In2EsU)
【第3話*出会いは突然に】
「本当に並盛神社に続いてたんだ…」
血の跡を辿ってきたツナ達は並盛神社の前に立っていた。
「この血、神社の裏に続いてるみたいッスね」
目の前に続く血の跡を指で差した獄寺が言う。
石段にこびりついた血は現場にあったもの同様に、時間が経って赤茶色に変色していた。
「とりあえず行ってみよーぜ」
「う…うん」
山本の声に応えたツナが神社の裏側をそっと覗くと、
「えっ! なっ…!?」
少女が倒れていた。
金細工みたいな髪を広げて、血まみれで。
……ちりん。
…ちりん、ちりん。
……きて。
…起きて…。
……起きて、セシルちゃん。
起きて。起きて、セシルちゃん。
「……起きて、セシルちゃ…。
…ん…あ、れ…?」
自分の声で目が覚めると、見知らぬ白い天井が視界に入った。
手足に触れる感触から、ここはベッドの上だと分かる。
ついでに身体には包帯が巻かれているようで、傷の治療もされているみたいだ。
少し頭を動かしてみると、たくさん物が乗った机や脱ぎっぱなしの服のかたまりも見える。
要するに今自分は、怪我の治療をされ、かなり散らかった部屋に寝かされているらしかった。
「あ、起きた?
…えっと大丈夫? 怪我してたみたいだけど」
不意に部屋へ入ってきたのは、同い年くらいの少年。
明るい茶髪に大きな瞳で頼りなさそうな顔つきだけれど、どこか優しさと穏やかを隠し持っているような不思議な感じがした。
「あの、ここは……?」
「ああ、ここは俺の部屋。
俺の名前は沢田綱吉っていうんだけど、あと、えっとそれから…ぶっっ!」
「ちったー落ち着きやがれ。
お前はまともに話もできねーのか」
少年の頬に蹴りをいれて現れたのは小さな赤ん坊。
って……、
「あっ!!!」
アッ、アルコバレーノ!?
なんでこんなところにいるの!?
おしゃぶりが黄色ってことはあの有名な殺し屋リボーン!?
っていうことはこの男の子はもしかして……。
「あ、って? どうかした?
傷が痛む? えーっと、名前教えてもらっていいかな?」
小首を傾げて頭をかきながら少年が尋ねてきた。
「いえっ、かわいい赤ちゃんだなぁって思っただけです!
申し遅れてすいません。私の名前は成瀬譲葉といいますっ」
譲葉は平然を装おうと努めながら自己紹介をする。
「助けて頂いて、どうもありがとうございました!」
「いや、別にそんなにかしこまらなくてもっ」
頭を下げる譲葉に少年が慌てた。
そんな彼の様子を、垂れた前髪の間からそっと覗く。
服の隙間から胸元に光るものが見えた。
おそらく〝それ〟は予測しているものに間違いないだろう。
やはり彼があの————、
「あのさ、何で傷だらけで倒れてたか知りたいんだけど…?」
少年の言葉で譲葉の思考回路が閉じた。
「えっ? それは、その……えっと」
言葉につまる。
そして、
「わ、私っ、記憶喪失みたいで名前しか覚えてないんです!」
突拍子もない嘘をついた。